私は「お願い、早く追いついて」と何度も声に出しながら、村まで続く道を全力で走っていた。そのときは飛ぶという考えが出てこないほど私は焦っていた。息も結構荒くなっている、だけどこの足を休めることは考えなかった。早くしないとチルノと大ちゃんが危ないからだ。するとずっと走ったおかげで前のほうにさっきの男二人が見えるぐらいまで来た。
私は二対一は不利だと思って少し遠いところから氷の槍を作って右のほうにいる男に向かって投げた。二人は槍に気づくことができず、槍は右の男の体に深々と突き刺さってその場にバタンと倒れた。隣にいた男はいきなり隣の奴が殺されたことに驚いていたがすぐにこっちを向いて、熊手を強く握って寄ってきながら言ってきた。
「てめぇ、妖精の癖に不意打ちなんて、やってくれるじゃねえか!」
「妖精を嘗めないでよ!アンタだって物が無ければ私を倒せないんでしょう?所詮は人間は物頼りってことね」
「このヤロォ!」
私が軽く挑発すると男は熊手を私に向けて何回も刺そうとしてきたが、私はそれを軽いステップで避けた。すると男はいきなり手を後ろに持っていったかと思うと私に向けて何かを発射してきた。私はそれを避けることができずに当たってしまった。そのものとは細かいネットのようなもので、それは私からまったく離れなかった。男はヘラヘラと笑って、さっきの怒った様子は無かったかのように言ってきた。
「へへへ、それはな、妖精にだけ効くネットなんだよ!これでおめえは動けない、今の気持ちはどうだ?」
「・・・うるさい、やっぱり物頼りじゃない」
「ケッ!ほざいてろ、死ね!」
私の言葉にイラついた男が熊手を動けない私に向かって刺そうとしてきた。私は目を瞑って刺されるのを覚悟した。・・・・・が一向に痛みがやってこない、そしてなぜか男の悲鳴が聞こえてきた。私は恐る恐る目を開いてみるとそこには私に刺そうとしていた熊手が男の腹部に刺さっていた。私はいきなりの出来事で何も理解できなかった。
なぜ私を殺そうとしてた男が今目の前で死んでるの?周りには誰もいない・・・そして何でだろう、なんか目を瞑る時と目を開けたときの視界が変わってるような気がする。・・・場所が入れ替わってる?
などと思考を張り巡らせていたがすぐに今の状況を思い出して、私は再び村へと足を走らせた。
□ □ □ □ □ □ □ □
「はぁ、はぁ、やっと着いた。あ、門が開いて・・・あれは・・・」
村の門に着いて中に入ろうとした瞬間、目の前に長身で青髪の私が嫌ったはずの女性が大量の血を流して倒れていた。私はなぜか、会いたくないと思っていたはずなのに母さんに近づいて、母さんの体を持っていた。なんと母さんがまだ息があることに気づいた。だが母さんの体は熊手の刺し傷だらけで服はびりびりに破けていて、顔には血飛沫らしきものがついていた。顔色はとても悪そうだった。がしかしいきなり母さんの腕が動き出したのだ、その腕は私の顔を力なく撫でた。そして母さんは目を細めて私に言ってきた。
「・・・フィ・・リ、最後に・・・もう一度会えて・・・良かった」
「・・・母さんなんで怒ってないの?」
「怒る?・・・とんでもないわ、だってフィリの気持ちは・・・痛いほど・・・分かるもの・・・捨てられてからずっと・・・・・辛い思いをしてきたんだよね・・・それなのに私はあんな能天気な事言って・・ゴホッ!ゴホッ!」
「もう喋らなくていいよ!安静にしててよ!」
「いいえ、私はもうじき死ぬわ、だけど最後に言わなきゃいけないことがあるの・・・」
「何?いわなきゃいけないことって」
「・・・・・それは・・・フィリの、あなたのその名前の意味のことよ」
「私の名前の意味?」
「そう・・・あなたの名前の意味にはね、私のある願いがあるのよ・・・それはね、フィリサティと言う意味があるのよ、フィリサティっていうのはね、幸せと言う意味があるの、そして私の願いはあなたが皆に幸せを与えるような存在になりますようにっていう願いがあるの」
「・・・皆に幸せを与える・・・分かったよ母さん、私は皆に幸せを与える存在になるよ!」
「うん・・・良かったわ・・・これでもうだいじょうぶぅ・・・・・・・」
「母さん?母さん!・・・そんな」
母さんからはまるで生気が抜けたような感じにだるっとしていた。私は実感した、今私の腕の中で母さんは死んでいったのだと・・・私は母さんの死をしっかりとかみ締めてチルノの元へと向かった。
□ □ □ □ チルノ視点 □ □ □ □
「いつまで経っても減る感じがしないよ!なんでいきなりこんなことに・・・大ちゃん!大丈夫?」
「うん!大丈夫!チルノちゃんも気をつけて!」
私と大ちゃんは今さっきいきなり村に人間達が入ってきて手当たり次第に妖精を殺していくのを見て止めさせるために人間達と戦っていた。だがしかし一向に減る気配がないのだ。いくら人間だとはいえ、大人数にもなればさすがにキツい。それで妖精の他の皆はもう・・・大半がやられていた。ほとんど戦わなかったから、戦う練習をしてなかったからこういう事態にも対応出来なかった。周りには殺された妖精や私達が倒した、人間達が沢山倒れていた。
私は大ちゃんが心配になって大ちゃんの方を見た瞬間、咄嗟に叫んでいた。
「大ちゃん!後ろ!危ないよ!」
「え?・・あ!」
私が見たものは倒れている人間だったが、ソイツはまだ死んではおらず手に槍を持っていた。そしてその男は槍を大ちゃんめがけて投げた・・・
次が最終回になりそうです。
それでは次回も見てくれたら嬉しいです!