村の状況はとてもひどい状態だった。村中ほとんどが妖精や人間の死体や血で広がっていた。鼻が曲がってしまいそうな程漂ってくる腐敗臭、目を背けたくなる死体の数々・・・
そんな中、私はある妖力らしきものを感じ取った。とても感じたことのある妖力だ。私はその妖力の発信源までダッシュで行った。その場所に向かっている間、私には少しの希望が感じられた、なぜならその妖力はチルノと大ちゃんの二人分の妖力だったからだ。二人ともまだ大丈夫、まだ間に合う・・・そんな気持ちが私の背中を押していた・・・がしかし、その希望は突如として消え去った。一人分の妖力が消えたのだ。そして今目の前で起きている惨状を見て私は言葉を失った。
それは一人の手で顔を覆って泣いてる女の子とその近くにいる槍が腹部に刺さっていて血を流している女の子の光景だった。その倒れている女の子は水色のウェーブのかかった髪、青色の服が似合っていて、私の最初の友達、チルノだった。近くには今にも死にそうだったがニヤッと笑っている男がいた。多分コイツがチルノを・・・
私は泣いてる大ちゃんのところまで行き、肩に手を置いて話しかけた。
「大ちゃん、一体何があったの?何でチルノは刺されてるの?」
「・・・チルノちゃんが私が刺されそうになった時に目の前に出て、私のことを庇って・・・」
「・・・・・ちょっと待っててね」
「え?う、うん」
私はチルノを刺したと思われる男の前まで行き、目の前に氷の槍を作った。男は「ざまあみやがれ」と言って笑っていた。私は即座に男の頭目掛けて槍を振り下ろした。そして大ちゃんのところに行こうと思っていると周りは生き残りの人間達に囲まれていた。だけど私はそれに動じず、静かでそして冷たい声でそいつらに言い放った。
「アンタら、何してくれてるの?本当にふざけないでよ!」
そう言うなり全方向に氷の結晶を手裏剣状に飛ばした。人間達は断末魔の声を上げながら倒れていったが、一人だけ殺しそびれたらしく、熊手を持って突っ込んできた。私はすぐに反応して避けた後、その男の腹に手を当てて言った。
「この技は本当に危ないから使わなかったけど、アンタらになら安心して使える・・・「氷血華」!」
私がそう言った瞬間、男の背中からいきなり血のように赤い氷が出てきた。
今やった氷血華は触れた相手の血液を凍らせて相手の中から貫く技で、相手は貫かれたダメージと大量失血で高い確率で死んでしまう技だから私は今まで使わないようにしていたが、チルノをあんなことにさせた奴らなのだから、後悔はしていない。
私は完璧に全員を倒した後、チルノの前まで行き、チルノの手を掴んで妖力を送ってみた・・・が手ごたえが一切感じられない。すると大ちゃんが泣きじゃくりながら言った。
「うう、もうダメなのかな・・・私が不甲斐ないばっかりに、チルノちゃんは・・・」
「そんな事は無い!だ、大丈夫!絶対チルノは助かる!」
「どうやって?妖力はもう効かないし、薬だってこの村にはもう無いだろうし」
確かにさっきやったとおり妖力は効いてない、私はこの村には詳しくないから薬屋なんて何処にあるかまったく検討もつかない。私はどうなっても良い!何か、何かチルノが生き返る方法が無いのだろうか・・・・・すると、一つのとんでもないがチルノが助かる方法を思いついた。それは・・・
「ねぇ、大ちゃん、私さっき変なことが起こったんだよね。自分の場所ともう一人の場所が入れ替わると言うことが、それで私思ったの、これって新しい能力なんじゃないかって。多分「入れ替える能力」じゃないかな?・・・それでさ私とチルノの命を入れ替えることができると思うんだよね」
「ッ!?ダメだよ!そんなことしたらフィリちゃんが!」
「・・・いいの、私母さんに言われたんだ、皆に幸せを与える存在になってって。だから私はチルノに生きる幸せを与えるんだ。そのためなら死ねるよ」
そういうなり私はぎこちない感じでチルノの手を握りながら力を入れた。するといきなり私の体とチルノの体から青色の光が出てきて、チルノの光が私の中に入ってきて、私の光がチルノの中に入っていった。その次の瞬間、チルノは目を覚まして、動揺しながら体を起こした。だが私は大量の血を吐いた。多分本当に入れ替わったんだろう、私はその場に倒れこんだ。チルノがすぐさま私の体を持ち上げた。大ちゃんは涙を流していた。チルノは今の状況が分からないでいたが私が吐血したことに心配しながら言ってきた。
「フィリ!なんでこんなことになってるの!?私は刺されたはずじゃ・・・もしかしてフィリ、何かしたの?」
「・・・うん、チルノと命を入れ替えたんだよ・・・」
「・・・え?それじゃあ、フィリが死んじゃうよ!嫌だよ!フィリがいなくなるなんて!」
「ごめんね・・・こうするしかなかったんだよ、こうでもしないとチルノが生き返らないから」
「私のことなんか良かったのに!」
「そんな事は無いよ・・・チルノは私の最初で最高のそしてかけがえの無い友達なんだから」
私はそういいながらチルノの顔を撫でた。するとチルノは私のことを抱きしめた。その感触はとても暖かく柔らかい。私はその感触に涙を流して言った。
「チルノ、大ちゃん・・・最後だから言うね。まずチルノ、チルノといるととても楽しかったよ。少しおバカで心配だったけど、チルノ並みに頑張ってたんだよね。そしてごめんね村であんな事言って・・・そのお詫びだけど・・・チルノ、手だして」
チルノが手を出した後、私は能力で「氷を操る能力」とチルノの無能を入れ替えた。すると私の羽が崩れていって透明な羽になって、チルノの羽が六つのクリスタルのような羽になった。私はそれを見て目を細めて言った。
「ああ、とても綺麗だよチルノ。この能力があればチルノはもう最強だよ」
「うう、あ、ありがとうフィリ、私この力で最強になってみせるよ!」
「うん、ありがとう。次は大ちゃんだね、大ちゃんはとても物知りで頼れる友達だったよ。だから私がいなくなった後、チルノをよろしくね」
「分かったよ!フィリちゃん、私チルノちゃんを守ってみせるよ!」
ああ、もう言いたいことも言ったし、やりたいこともやった。もう悔いは無いかな・・・いや、一つだけあるかな。
「二人とも、一緒にいられなくて本当にごめんね・・・そして友達になってくれて本当にありが・・とう」
そうして私の意識はフッと途切れた。
□ □ □ □ チルノ視点 □ □ □ □
「二人とも、一緒にいられなくて本当にごめんね・・・そして友達になってくれて本当にありが・・とう」
フィリの体はそう言った瞬間、重くなった。私はフィリの体を何度も揺すったが反応が無かった。私は目の前の事実に大量の涙が出てきた。そして・・・
「う、うわああああああああああん!」
「フィリちゃん!」
私はとにかく泣き叫んだ。体の水分が全部抜けるんじゃないかというほど、それと同時にフィリの体が氷の結晶になり、空へと飛んでいった。しばらくして私の顔に白く冷たいものが当たった。空から雪が降ってきたのだ。私はこの雪がフィリのように感じられてさらに泣いた。
だけどこんな事をしてもフィリは戻ってるはずもなく、ただそこには空からの雪と二人の妖精の姿しかなかった。
□ □ □ □ あれから数年後 □ □ □ □
「チルノちゃん、本当に大丈夫なの?」
「大丈夫だって私は・・・いや!アタイは!さいきょーだからっ!」
これはある三匹の妖精の物語。まず一匹は取り柄が無くて落ちこぼれていたが、ある妖精によって大事な能力を手に入れた。次に友達が出来なくて悲しんでいたが、二匹の妖精によってかけがえのない友達を手に入れた。そして最後の一匹は皆から嫌われ、挙げ句の果てには家族に捨てられてさ迷っていたが、二匹の妖精によって楽しい日々を送り最期はその二人の腕のなかで安らかに眠っていった。
そんな三匹の妖精の物語・・・
ここまで読んでくださった方々ありがとうございました!
最後は自分を犠牲にチルノを蘇生するという話でしたが・・・ありきたりでしたかね?
だとしてもあの曲はちょっとこの話と合いすぎじゃない?と自分で思ってしまいましたねw
いやぁもう自分で言うのも何なんですが・・・プレビュー見てるときに泣いちゃいましたw
そんな感じで「東方妖精記」は完結です!今までありがとうございました!
「東方空風録」のほうも見てくれたら嬉しいです!
それではさようなら!