ガンダムSEED~オリ主で主要キャラ全員生存ルート爆走記~ 外伝 作:とーふ@毎日なんか書いてる
かっこよくて、優しくて。
とても素敵な、世界で1番のパパ。
これは、パパのことが大好きな、12人の娘たちの物語です。
「はい! カット!」
「……これで大丈夫ですか?」
「あぁ、完璧だ……! 素晴らしい」
喜ぶユーレンの姿を見て、セナはやたらと豪華な服をなるべく汚さない様にと気を付けながら花畑から立ち上がった。
いわゆるゴスロリと言われる様な服を着たセナはまだそこまで暑い季節でも無いのに、額に滲んだ汗をハンカチで拭いながら、小さく息を吐く。
「ふぅ。緊張しました」
「お疲れ様。セナ」
「はい。ありがとうございます。お姉ちゃん。お水頂きますね」
セナはキラから渡されたコップに入った水を、零さない様に気を付けながら動きにくい服で何とか飲んでゆく。
「しっかし、アンタもよくやるわね。流石に私でも引くわ」
「ただのホームビデオですよ。フレイだって撮った事ありますよね?」
「いや、ホームビデオにこんな気持ち悪いシーンは入らないわよ」
「まぁまぁ良いじゃ無いですか。どんな物でも思い出ですよ」
「……セナ。アンタね。そうやって何でもかんでも受け入れて甘やかすのはどうかと思うわよ。嫌なら嫌。気持ちが悪いなら気持ち悪いってハッキリ言わないと」
「あ、はは」
フレイのあまりにも真っすぐな罵倒にセナは何とも困ったという様な顔で苦笑しながら、飲み終わったコップをテーブルの上に置くのだった。
そしてそのまま近くの椅子に座り、疲れからか、息を零して目を閉じる。
「というか、アンタ11人も姉妹が居たのね。知らなかったわ」
「え? いや、多分生きている人はそんなに居ないと思いますけど」
「は? いやだってさっき12人娘がいるって言ってたじゃない」
「あぁ、それは……」
「良い質問だ。お嬢さん」
「っ!?」
「ユーレンパパ」
「あぁ! 君の大好きなパパだよ! セナ! さぁ、セナ。セナの気持ちを教えてくれ!」
「えーっと。セナはパパが大好きなので、将来はパパと結婚したいなって思ってます」
「くぅぅう。なんて可愛い娘なんだ」
「えぇ……これ毎日言わせてんの? キモチワル」
「まぁまぁ」
「なんだ。さっきから君は。セナの教育に良くないから余計な事を言わない様に」
「いや、どう考えても教育に良くないのはアンタでしょ。娘に気持ち悪い事言わせて、恥ずかしくないの?」
「気持ち……くっ、確か君は、フレイ・アルスターだったか。セナと仲が良いし。娘候補に良いかと思ったが、性格が悪いのは駄目だな」
「はぁ? 何の話よ」
「私の12人の娘計画だ。計画は順調に進行している! 既に、セナ、キラ、カガリ、ラクス嬢と四人も私の娘になっているからな。後8人娘を引き取って完成だ」
「頭湧いてるの? ラクスはアンタの娘じゃ無いでしょ」
「キラと思い合っているんだ! いずれ私の娘になる!!」
「そんなの。キラがクライン家に嫁いだらたまに会う親戚レベルになるじゃない。とんだ計画ね」
「な、何ィ!? キラ! キラ!!」
ユーレンはフレイに言葉を叩きつけられ、ショックを受けた様に後ずさった後、キラの名を必死に呼んだ。
そして、その余りにも必死な声にキラはラクスと共にユーレンの元へ嫌々来るのだった。
「どうしたんですか? ユーレンさん」
「パパだ!」
「はい。そうですね。血縁上は一応父親ですね。それで、どうしたんですか? ユーレンさん」
「くっ! 甘々なセナとは違い、クールな娘。それもアリだな!」
「……」
キラは厳しい目をユーレンに向けながら、そろそろ本気でセナを引き離すかと考え始めるのだった。
しかし、そんなキラの目など気にせず、ユーレンは暴走を続ける。
「キラ! キラはラクス嬢と結婚する際には、クライン家に嫁ぐつもりなのか!?」
「なっ! なあっ!!?」
「いえ。私としてはキラの家に嫁ぎたいですわ。クラインの家に嫁いでしまうと、どうしてもプラントから離れるのが難しくなりますから。お父様には既に話しております」
「……ラクス。良いの?」
「えぇ。父も本格的に引退すればプラントを離れる事も容易になりますし。オーブで共に暮らす事も出来ます」
「ごめん」
「気にしないで下さいな。私、キラのお父様もお母様も尊敬しております。いずれ……」
ラクスの言葉にユーレンは感動しながら握りしめた手を震えさせる。
そして。
「では……ゆくゆくは「ヤマトの姓を名乗らせていただきたいのです」ヒビキ……ん? なに?」
「あら。どうかなさいましたか? ユーレン様」
「あー。いや? 今聞き間違いか……ヤマトと?」
「えぇ。確かにヤマトと言いましたわ。だって、キラのご両親はカリダ様とハルマ様ですものね。とても素敵な方々ですわ」
「な……なぁ!? いや、キラの両親は!」
「えぇ。本当に。素晴らしい方々ですわ。キラに身勝手な欲望を押し付けて、挙句、お二人に押し付けてから会いにも行かない方とは違いますわね」
「……いや、事情があったんだよ。ラクス嬢」
「あらあら。それはそうでしょう。当然ですわ。聞かせていただきたいですわね。キラやセナ様を苦しめた、その理由とやらを」
ラクスはうふふと笑いながらも、怒気を全身に纏いながら、ユーレンを睨みつけた。
その視線にユーレンは一歩後ずさりながらも、ふむと考えて、キラを見つめた。
「様々な事があった。だが、キラもその素晴らしい才能のお陰で今日まで無事だった。そうだね?」
「あー。まぁ、うん。そうだね?」
「うむ。つまりはそういう事だな」
「話になりませんわね。行きましょうキラ。それにセナ様、フレイさんも。この方とは言葉をかわす価値がありません」
「あー。まぁ」
「そうね」
キラとフレイはラクスの言葉に頷き、離れようとするが、セナだけはやはりユーレンの傍から離れず笑っているのだった。
そんなセナにユーレンは何も変わらず歪んだ愛情を向ける。
しかし、そんなユーレンからセナを引き離す者が現れた。
そう。オーブの若き獅子。カガリ・ユラ・アスハである。
「あまり、私の妹を苦しめるなよ。ユーレン殿」
「おぉ! カガリ。忙しいと聞いていたが、撮影に来てくれたのか!」
「セナがどうしてもというから来ただけだ。貴方の為じゃない」
「素直じゃない娘だ。それもまぁ、悪くないがな」
「……」
カガリはその話の通じなさに目を細め、ため息を吐いた。
そして、セナを抱きしめたまま、己の血縁上の父親を見据える。
「言っておくが、私が父だと思っている人はウズミ・ナラ・アスハだけだ。間違ってもユーレン殿では無い」
「なん……だと……」
「あぁ、そう言えばお父様に聞いた話だが、昔、セナはお父様におねだりをした事があるらしい。つまりセナも私のお父様を父の様に思っているという事だな」
「バカな! そんな話は聞いて無いぞ! セナ! セナのパパは私だけだろう!?」
「……」
「せ、セナ? 何故、答えてくれないんだ」
「あー。いえ。確かにユーレンパパの事は好きですが、ハルマさんもウズミさんもお父さんだとは思っているので」
「……」
その日。ユーレンはこの世の終わりを見た。
愛していた相手が、自分以外の存在にも愛情を向けている。
その事実に頭が耐えられなかったのだ。
最後に彼は脳が壊れると言いながら倒れるのだった。
はい。
アンケートの票数順に書いてますけど。
ここまで本編の補完がまったくされないストーリーばかりで笑う。
まぁ、ギャグ書いてるのは楽しいから良いんですけど。