まぁ我慢強い勇者ならどんな苦難も乗り越えてアイドルを推せるだろう   作:ヒラメもち

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番外編27 (瑠美衣視点, 対決コラボ後編)

 

 ストレイライトと対決コラボをしている私たち2代目B小町。

 スタッフさんたちが次の準備をしてる間は、別のことをしていた。

 

 それは写真撮影です。

 

「ぎゅーって感じで撮ろう! ペアっぽい感じで!」

「ペアっぽい感じ?」

 

 ユニットごとに撮ったり、6人全員で撮ったり、勝負するメンバーごとにツーショを撮ったり。

 配信に使われるのはスタッフさんが撮ってくれるけど、自分たちもSNS用に撮らないとね。

 

 ふゆちゃんから自撮り棒ごとスマホを受け取って、写真を軽く確認しただけでも。

 

「ふゆちゃん天才だよ! 自撮り棒のスペシャリスト!」

「そうかな? ルビーちゃんが気に入るの、選べそう?」

 

 ほんわか清楚系で可愛い。推せる。

 いやいやそうじゃなくて。

 

「一緒にチェックして選ぼうよ!」

「うん、そうしよっか、ルビーちゃん!」

 

 パイプ椅子を借りて、私たちは写真を選んでいく。

 

 他のユニットのアイドルと一緒に自撮りできて、ラインも交換できるくらいお近づきになれた。アイドルとしても、ドルオタとしても嬉しいな。

 

「よしっ、あとはちょっとだけ加工して~」

 

 そこまで盛らなくても、私もふゆちゃんも可愛いけどね。

 

「順調かしら?」

 

 カメラマンのお姉さんが声をかけてきた。撮影してもらってた時も思ってたけど、ママくらい綺麗で優しそうな人だ。

 

「はい! お姉さんも見ますか?」

 

 私が画面を見せると、髪を耳にかけながら顔を近づけてきて、『ステキね』って褒めてくれた。

 

「携帯でもこんなにいい写真が撮れるのね」

「ですね! 科学の進歩を感じます!」

 

 前世だと、いわゆるガラケーだったからなぁ。

 生まれ変わったらみんなスマホだったもん。

 

「若い子たちは携帯で写真を加工するのよね? 私なんてなんとかパソコンについていけるくらいなのに」

 

「えー、お姉さんも綺麗で若いですよ~!」

「ふゆもそう思います!」

 

 『あらあら、お上手だこと』って頬に手を当てて、そんなお姉さんの大和撫子な美しさに、思わずドキッとしちゃった。

 

 指輪をはめてて、結婚もしてるんだね。

 

 それから。

 今度は1人ずつ撮ろうって話になって、一眼レフって高そうなカメラを貸してくれて、カメラマンの体験をさせてもらっていると。

 

 2つ目の勝負の準備ができたみたい。

 

 私とメムちゃんは応援に回って、かなちゃんを代表として送り出す。

 

「さあ Belles of three. Stray match! 次は体力対決だ!」

 

 次はコウモリパニックっていうみたい。

 コウモリを模したオモチャがフワフワと落ちてくる。それをピコピコハンマーで叩くと、センサーが反応して、普通のコウモリで10点、金色のコウモリで50点が入るんだって。

 

 テレビでもあまり見ないような企画で。

 

「おもしろそ~」

「センサーだってさ。時代だねぇ」

 

 メムちゃんの言う通りだよね。

 クイズも楽しかったけど、こういうのもやりたいな。

 

 今回の勝負に出るメンバー2人は動きやすい恰好に着替えてて、軽く準備運動をしている。

 

「ストレイライトの代表は、あさひちゃん! 準備はいいかい?」

「準備万端っすよ」

 

 ショートパンツで生足を見せてて、めっちゃ快活そうな子だね。

 おさげに結んだ髪もロリロリしてて可愛いし。

 

「対するB小町の代表は、かなちゃん! 準備できたかな?」

「いつでもいいわよ」

 

 スカートとレギンスのようで確かスカッツだっけ。

 どれだけ動いても完璧に見えなくて、ロリロリでズル可愛いやつだ。

 

 いやー、どっちも美少女で眼福だよ。

 ピコピコハンマーもよく似合ってる。

 

「出てきたら叩けばいいっすよね?」

「そんな単純な考えじゃ、足元すくわれるかもしれないわよ」

 

 元気でフリーダムな あさひちゃんに対して、翻訳すれば『転ばないようにしなさいよ』って かなちゃん伝えてる。

 勝負自体も楽しみだし、どんな展開になるかも楽しみだね。

 

「それでは、笛が鳴ったらゲームスタート! 位置について! よーい!」

 

 笛の音が鳴る。

 先に飛び出したのは、あさひちゃんだった。

 

「おっ、結構当たるもんっすね」

 

「あさひちゃんが10ポイント獲得!」

 

 点数だけじゃなくて。

 司会の人の声で、流れまで持っていかれた。

 

 全体を映してるカメラはともかく、カメラマンのお姉さんは的確に、あさひちゃんの動きを追ってる。

 

「元気よく走り回ってて、どんどん点が入っちゃってるよぉ」

「まだまだ! これからだよ!」

 

 かなちゃんのことだから、何かを狙ってるんだと思う。

 

「わかってるわよ!」

 

 あさひちゃんが走っていく前に、かなちゃんは(かろ)やかにジャンプしてから、空中で金色のコウモリを叩いた。

 

「ここで かなちゃん、初得点! しかも50点だ!」

 

 あさひちゃんはまだ40点だったから、これで逆転した。

 

「そこっ!」

 

 少し大げさに声を出しながら、かなちゃんは再び50点を取って。

 

「なんであんなに速いんすかね?」

 

 あさひちゃんは呟きながら、仕方なく10点を取っていく。

 

 あの子も50点の金色は狙おうとしてるみたいだけど、かなちゃんに先を越されてる。

 

「あー、なるほどねぇ」

「メムちゃんも分かった?」

 

 基本的には金色だけを狙っているのと、そして集中しているから。

 しかも、かなちゃんが見てるのは、飛んでいるコウモリじゃない。マシンからコウモリが出るところを見てたり、それと起動音を聞いてたり。

 

「出てからすぐに叩いてる?」

「それに、何度か立ち止まってるよ」

 

「……こう? 」

 

 ふゆちゃんたちも気づいたみたいで、あさひちゃんが金色のコウモリを取った。

 

「わかったっす!」

 

「適応が早いわね! それに耳もいいみたいだし!」

 

 あちゃー、完全にペースを取られたよ。

 マシンの前を派手な動きで陣取ってるし、どんどん点差が追いつかれていく。

 

「45秒経過! かなちゃん優勢で勝負は折り返し! ここからはコウモリの数も増えていくぞ!」

 

 司会さんがそう言うと、一気に数が増えた。

 あれじゃ黒色も無視できないほどだよ。

 

 かなちゃんが選ぶのは。

 

「真っ向勝負しかないわね!」

「望むところっす!」

 

 2人はダンスをしているように、次々とコウモリを叩いていく。それで、お互いにぶつからないってのがアイドルだよね。

 

「勝つのは私よ!」

「負けないっす!」

 

 2人が真剣に勝負してるから、こっちまで熱くなってくる。

 

「「これで!」」

 

 笛の音と同時に、お互いに最後のコウモリを叩いた。

 点数はどうなったんだろ。

 

「やりきったっす~……」

「ふ~ あとは祈るのみね」

 

 かなちゃんは、クルクルとピコピコハンマーを指で回して、肩に担いだ。汗は流れてるけど、その自信満々な表情を崩さない。

 

「終了! さあ、注目の最終結果は!」

 

 私たちは、ごくりと息をのむ。

 

「最後に叩いたコウモリはそれぞれ! 黒色と金色だった!」

 

 つまり?

 

「かなちゃん220点! あさひちゃん240点! 」

 

 ということは?

 もしかして。

 

「あさひちゃんの逆転勝利! コウモリパニックはストレイライトに軍配が上がりました!」

 

「やったっすー!」

 

 司会さんがそう宣言すると、スタッフさんたちから拍手が起きる。

 

「く…… 悔しい~! 最後が金色だったら勝てたのに~~!」

 

「惜しかったねー!」

「ナイスファイトだよぉ!」

 

 最後の最後で、運で負けちゃった気がするよね。

 かなちゃんったら、拳をギュッと握って心の底から悔しがってるよ。

 

 でも対決が盛り上がる結果で嬉しくもあって、複雑な気持ちなんだろうなぁ。

 

「おめでとう、機会があればリベンジするから」

「受けて立つっす」

 

 かなちゃんと あさひちゃんは握手をする。

 私たちの中でも特に負けずぎらいだからね。

 

「1戦目に引き続き、熱い勝負だった! 会場のみんな、両者に改めて拍手を!」

 

 私たちも全力で拍手をする。

 2人ともすごくいい表情してるね。

 

 

☆☆☆

 

 

 3本勝負、その最後の対決場所であって、私たちは海に来ていました。

 

 釣り、それが運対決ということ。

 制限時間内で大きい魚を釣ったら勝ちっていうシンプルな勝負になってる。

 

 船に乗るなんて初めてだし、潮風が気持ちいいし、景色もすごくいいし。お兄ちゃんとみんなでクルージングに来てる気分だよ。

 

 ただ問題があるとすれば。

 

「釣れないねぇ」

「釣れませんねぇ」

 

 メムちゃんも愛依(めい)さんも1時間くらいずっと釣竿を握ったままってこと。

 編集でカットしてどうにかするしかないんだろうけど、このままじゃ夕方になっちゃうよ。

 

「あっつぅ~ なんで私たちまで釣りを……」

「あついわね……」

「せっかくじゃん」

「せっかくっす」

 

 ふゆちゃん、ちょっと本性が出ちゃってるよ。

 今はカメラで撮られてないから大丈夫だと思うけど。

 

「船はいいぞ。キミたちは小型船舶免許に興味ないか?」

「使う予定もないので、遠慮しておきます」

「自分も同じく」

 

 船長さんはパパの知り合いらしくて、それで協力を頼まれたんだって。今はお兄ちゃんやプロデューサーさんといろいろ話してる。

 

「やれやれ、身近に可愛い女子がいながら奥手なんだな。俺の若い頃はもっと積極的にアプローチをかけていたぞ」

「その話って...」

「船の免許と一体どういう関係が?」

 

 私は麦わら帽子に指を添えながら、お兄ちゃんたちのほうを振り向く。

 ニコニコしているカメラマンのお姉さんと目が合う。ずっと撮影してくれてるんだ。

 

「お兄ちゃんたち、釣りとかしたことある~? なんかパッと釣れる方法ないの?」

「ないな」

「ないですね」

 

「船長さんはどうなんっす?」

「そもそも俺は魚に触ることすらできない。というか釣りの最中に海に落ちないようにしろよ。俺は泳げないぞ」

 

 船長さん、確か釣り餌からも逃げてたよね。

 実はこの船ってかなり不安なのでは。

 

「釣り竿は動かさなくていいのかな?」

「検索して調べてみたんだけど、そういうのはルアー釣りらしくて」

 

 メムちゃんや愛依(めい)さんが話している通りなら、釣れるかどうかって運なんだね。

 

「そういえば、魚群探知機といったものは?」

「クルージング目的で免許取ったし、使ったことがないな」

 

 お兄ちゃんの話に船長さんは首を振った。

 こういう船と言えば、釣りの人ってイメージだったんだけど、そういえば釣り具もレンタルしてたんだっけ。

 

 そんな時、チリンという鈴の音が鳴った。

 

「鳴ってるよ! 愛依(めい)ちゃんの釣り竿!」

「っ!? 重いっ!」

 

 ふゆちゃんの声で、一斉に注目が集まった。

 折れそうなくらいに釣り竿が曲がってて、相当な大物だよ。

 

「手伝うよ!」

「さ、サンキュー」

 

 メムちゃんが一緒に釣り竿を持ってあげてる。

 2人分の力ならだいぶ安定してるっぽい。

 

「ぐぬぬぬ めっちゃ重いんですけどぉー!?」

「くぅ……」

 

 バシャバシャと海面が音を立てている。

 かなり近づいているんだ。

 

「ルビーちゃん、タモとってぇー!」

「そこの網よ!」

「これだね!」

 

 かなちゃんが指差した方向を見る。

 すごく丈夫そうな虫取り網だ。

 

「どっせぃ!!」

 

 これだけ魚が目の前にいるなら、楽々に釣れる。

 グッと力を込めて引き上げた。

 

「とったど~!」

「やったね、ルビーちゃん!」

「力持ちっす!」

 

 抱き枕くらいの大きさのお魚がタモの中でピチピチと跳ねてる。銀色な身体がピカピカ光ってるようだよ。

 

「これ、なんて魚だろ」

「ブリじゃないっすよねぇ?」

 

「スズキですよ」

 

 私たちが悩んでいると、カメラマンさんが顔をのぞかせて教えてくれた。

 

 6人で目配せをして『スズキだーー!』って声を合わせて、みんなで喜ぶ。力を合わせて釣ったって感じがするよね。

 

「んー、この大きさを私が抜くのは時間的に厳しいかも、今回の勝負は悔しいけど……」

 

 メムちゃんが残念がると。

 『引き分けだね』って愛依(めい)さんがそう言った。

 

「みんなの力がなかったら無理だった、だから引き分け」

愛依(めい)ちゃんいいの?」

 

 笑顔で頷いてくれた。

 

「ふふっ、じゃあもう(ひと)勝負必要だね」

 

「1勝1敗1引き分け、じゃあ延長戦だね!」

 

「決着はライブでつけよう、ということね」

 

「盛り上がってきたっす!」

 

 番組的にもすごくおいしい展開だよ。

 対バンライブがすごく楽しみになってきた。

 

 港まで戻った私たちは、カメラマンのお姉さんが料理してくれたスズキを食べてから、それぞれ帰宅した。

 

 

☆☆☆ 

 

 

 待ちに待った対バンライブの日、お兄ちゃんやミヤコさんだけじゃなくて、パパやママやルナも応援に来てくれた。船長さんやカメラマンのお姉さんも

 

 最後の勝負の決着は、お互いに2曲ずつ、それで観客のみんなの投票によって決まる。 

 

 くじ引きをして、先にストレイライトの番だ。

 

「しょっぱなからめっちゃ盛り上がってるねぇ」

「相手のことを気にするより先に集中しなさいよ」

「でも、最初からこんなトップスピードの曲を出してくるなんて」

 

 場が温まってない分、有利だと思っていたけど。

 最初から全力を出してきた。

 

「ストレイライトがスペシャルなんだ。こっちもスペシャルB小町メドレーを見せるしかないよ!」

 

 私は、2曲を繋げようって提案する。MCとか省いてパフォーマンスで一気に盛り上げようって。

 

 かなちゃんやメムちゃんも頷いてくれる。 

 私たちは手を重ねて気合いを入れ直した。

 

 

 

 その時の勝負の結果はとても面白い結果になった。

 大切な思い出の1つで、ストレイライトのみんなとは友達になれて、アイドルユニットとしてライバルだとも思ってる。

 

 また対バンライブする機会もあるかもだし、その時までレッスンやトレーニング頑張らないとね!

 

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