まぁ我慢強い勇者ならどんな苦難も乗り越えてアイドルを推せるだろう   作:ヒラメもち

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3話 番組の内部事情

 

 今日の学校でも、お昼は生徒会室に集まってた。

 夏は冷房つけれるし、冬は暖房つけれるし、3年のカナちゃんとの集合場所にも便利なんだよね。まあカナちゃんのコネで使わせてもらってるから、秋頃までだろうなぁ。

 

 身内だけで集まれる場所で、教室と違ってだいぶ気楽に過ごせる。

 

 大人に囲まれるような芸能界もいろいろあるように、若い子たちが大勢いる学校でもいろいろあって。

 この芸能科にも、それなりにグループって感じのが作られてたり。お兄ちゃんがフリーなのか聞かれたり。一般科の知らない男子が緊張しながら声をかけてきたり。

 先輩いわく、普通の学校なんだから普通にしてればいいとは聞いてたけどね。

 

 直接何か言われるようなことはないのがマシなのかな。フリルちゃん、みなみちゃん、そしてお兄ちゃんも大丈夫だと思う。

 でも、ずーっと昔の私が想像していたより、JKキラキラみんな仲良し、そういうわけでもなかった。

 

 だからこそ、私が芸能界のできごとを話せるのは、家族や友人くらいだ。悩んでたら相談に乗ってくれて、しかも内緒にしててくれると信じられる。

 とはいえ、2代目B小町として本格的に芸能界に入って、コンプライアンスだとか、炎上対策だとか、たくさん耳タコほどに聞いてきたから。

 

「アクアに続いて、ルビーまで、ずいぶん燃えそうな泥船に乗ってるのねぇ~ あんなにホットで熱々な番組に出れるなんて~ うらやましいわ~」

 

 本当はカナちゃんにも全部言いたかった。自分から火薬庫の中に入っちゃって、なんかもうアシスタントさんが倒れそうな人だらけってことまで。

 

「……い、言えないから! 番組の裏事情なんて!」

「放送した範囲のことだけだぞ。話せるのは」

 

 というか、もう私が初めて出た回が配信されたんだ。

 撮影から編集と配信までが早すぎないかな。ネット番組なんだから、もっとゆっくりでいいのに。

 

「『深掘れワンチャン』、お兄さんが出てるってことで話題な番組だよね、クラスで」

「うちも友達に教えられて昨日見たら。ほんまにルビーちゃんが出てきてビックリしたわぁ」

 

 じゃあ次回には『油と洗剤を間違えて鍋に入れたらヤバイことになって、お風呂から飛び出してきたお兄ちゃんが助けてくれた話』だとか、『新しい醤油を開けたら噴き出してきて泣いたけど、一瞬でシャツを綺麗に洗ってくれた話』だとか、そんな失敗話の小ネタがもうすぐ公開されちゃうじゃん。

 

 それより『毎朝お布団かけ直してくれる話』とか、『ミカンの皮むいて、あ~んしてくれる話』とか、お兄ちゃん自慢のほうがいくらでもウェルカムなんだけど。

 

「私も、アイさんたちまで現場にいるなんて思わなかったわ。エキストラには贅沢すぎないかしら」

「それは付いてきてくれたんだよ。お兄ちゃんと場所が違うから」

 

 だってぇ、イチえもんからミヤえもんに話してくれたら、ブチギレちゃってぇ。

 信頼できる人を絶対に現場に連れていくことが出演の条件だってぇ。

 

 ミヤえもん、ママとパパが忙しい時なんて。

 よくルナに付いてきてもらってる。ふがいないお姉ちゃんでごめんね。この夏いくらでも高級アイス買ってあげるから。

 

「僕はドッキリ仕掛けられただけだからな。事前に聞いていたら、出演しないよう説得していた」

 

「すごく嬉しそうやったけどなぁ」

「双子タレントの相乗効果?」

「このシスコンでマザコンが」

 

 お兄ちゃんが照れてて今日も可愛い。双子共演は私の目的の1つだし、私の特権だよね。

 

 でもでも私を出演させないなんて。

 お兄ちゃんこそ、1人で抱え込んでたじゃん。はぐらかしてたけど、鏑木さんから番組の裏事情を調べてくるよう頼まれたんだと思う。

 

「む~ ぷくぷく……」

 

 どうせ完璧スーパーマンなお兄ちゃんは、私なんてお荷物扱いなんでしょ。

 

「なんやろ、あざとかわいいわぁ」

「ほら、フォローしてみせてよ、お兄さん」

 

 みなみちゃんも、フリルちゃんも、今回の私は頑固モードだよ。

 そう簡単には、ごきげん直らないよ。

 

「ルビー、協力してくれるなら感謝してる。僕では撮影現場には関われないから、ルビーの協力が必要だ」

 

 お兄ちゃんがナデナデしてくれたぁ。

 私がんばりゅ。

 

「………妹のあんたが心配なのよ。あー、まったく過保護なんだから」

「共演は嬉しいことだ。だけど、カナも心配してくれてるように、番組が番組だからな」

 

 カナちゃんも、お兄ちゃんも、ほんと優しいよね。

 だから私が、お兄ちゃんのことを心配なのも伝わってほしいよ、もっともっと。

 

「そうなんだよ。あの番組は、炎上ギリギリ、そんな火薬庫みたいなものだぞ」

 

「それ、まんま誰かのセリフでしょ」

「軽く声真似までしてるからな」

 

 『なんで気づいたの!?』って驚いて声を出す前に、バレた原因まで説明されちゃった。さすが幼馴染とお兄ちゃんというべきだね。

 

「深堀りしていく対象のチョイスがいいよね。個人的には、企業の一発芸大会に潜入するのが神回だった。あれはぜひともルビーにもやってもらいたい」

 

 フリルちゃん、なんて無茶ぶりを。

 

「一発芸なんてできないよ!? あ、でも、ピーマン体操なら歌って踊れるかも」

「そのネタやるなら、まず私に取材交渉することね。はい却下」

 

 くぅ、これがアシスタントさんたちの気持ちなんだ。

 たとえ取材交渉しても、3秒で却下されちゃうじゃん。

 

「ぴかちゅう…さんを探す以外のネタも、楽しめそうやなぁ」

「まあね! 炎上ギリギリを、元気に楽しく、お届けしてるよ!」

 

 めっちゃ次回とかの内容を言いたい。アシスタントさん頑張っててくれてるもんね。

 あの怖いディレクターさんも、楽しい番組は作ろうとしてるんだよね。めっちゃ怖いけど。

 

「あの番組、お兄さんのクールなツッコミもいいんだよね。ほどよくストレート、そんなたった一言だけで、傷を(えぐ)っていくような」

「あれは、常識で考えて言ってるだけだ。ツッコミのつもりではないな」

 

 お兄ちゃんは炎上しないギリギリのコメントを感じられていいよね。だから外向けクールキャラが崩れて、シスコンムーヴを見せてくれるのが超ポイント高いと思う。

 もしもSNSで鍵垢以外が自由に許されてたら、いっぱい見どころポイントを切り取って流すのになぁ。

 

「あれ、ツッコミのお手本が近くにいそうなのに?」

「なんでこっちを見た。この私がツッコミ芸人に見えてるのかしら?」

「有馬先輩の、そういうとこやろなぁ」

 

 そりゃあカナちゃんでしょ。

 でもお兄ちゃんがどこか遠くを見て、懐かしんでいる感じだ。てことは別の人なんだろう。

 

 んー、思いつかないや。

 なら、生まれ変わる前の友達とか?

 

 たぶん心の半分くらいは嬉しい気持ちだけど、ちょっと複雑な感じだった。お兄ちゃんも私が知らないとこで、仲の良い人がどんどん増えていくのかな。

 

 

****

 

 

 今日も外で撮影だった。めっちゃ暑かった。

 メイク落ちるから汗をかかないでね、みたいな圧が無茶ぶりだった。

 

 それで、お兄ちゃんが、鏑木さんに頼まれて調べてるだけはある。

 とにかくアシスタントさんたちが大変そうなのが伝わってくる。

 

 お兄ちゃんから伝えていると思うんだけど、全く改善は起きる様子はない。何かきっかけでも待ってるのかな。

 

「えと、吉住(よしずみ)さん? ちゃんと寝れてます?」

 

 この若手の男の人は、私がリポーターを担当する回で、よくアシスタントさんをしてくれる人だ。

 編集室まで様子を見に来たら、今日の荷物すら片付けられてないまま、メールチェックをしてた。

 

「ひっ…あ、ルビーちゃんかぁ……」

 

 こっちを見て安心してるけど、だいぶヤバイじゃん。私たちが部屋に入ってきたことにすら気づいてなかったよ。

 机の上にはエナドリたくさんあるし。目の下にはクマができてるし。

 

「まだ帰ってなかったんだね。妹のルナちゃんもいるのに」

 

「冬はコタツで丸くなってますけど、夏なら平気そうです!」

「ねぇお姉ちゃん。この私を、まるで猫みたいに扱ってない?」

 

 そりゃ猫よりも可愛いでしょ。私たちの末っ子を、赤ちゃんの頃からかわいがってきたもん。ママとパパ、お兄ちゃんと私、みんなで育てた自慢の妹だよ。

 

「あっ、そのままでいいよ、ほんと!」

 

 吉住さんはそう言ってくれるけど、何か手伝いたいから。

 

「いえいえ、勝手に片づけてるだけですから」

「おしゃべりなお姉ちゃんがお邪魔してるからね」

 

 ミヤえもんの部屋もリビング扱いしてるけど、どんなに忙しそうでも、私は物の整理整頓くらいしか手伝えないもん。

 というわけでルナの指示を聞きながら、段ボールやクーラーボックスなどなどを運ぶ。

 

 ルナは隣のパイプ椅子の上に立って、勝手にメール見てアドバイスを始めてるけど、いいのかな。

 まあ早く終わるんだからいいことだよね。

 

「あ、ありがと。2人とも疲れてる…のに……」

 

「私ってアイドルなんですよ? 体力には自信があります!」

「至って健康体だよ。目の前にいる誰かさんと違って」

 

 ルナのクールなツッコミに、吉住さんは苦笑いだよ。

 お兄ちゃんの妹なだけはあるなぁ。

 

「いつもこれくらいの時間なんですか?」

 

「えーと、ほら、最近は…残業すると…人事に怒られるし…コンプライアンスに厳しくなってるし……たぶん大丈夫…」

 

 全然、大丈夫そうに見えないよ!?

 こういうとこの改善を、鏑木さんしたがってるのかなぁ。でも、あの人が直接の上司なら、ずばばっと直接言えそうなものなんだけど。

 

 そして突然、ルナが隣の椅子から降りた。

 そのあとすぐ、バーンって大きな音で扉が開いたから、めっちゃ驚いた。

 

「吉住ィ! レポ動画のテロップテッペンまでに上げろって言ったろ!!」

 

「えぇ!? さっきアップしました!」

 

 出た、怖いディレクターさんだ。

 めっちゃ早口で聞き取りづらいし、いきなり怒鳴ってる。それに、吉住さんの言葉も全く通じないで、あれこれ文句を言い続けてる。

 

「絶対に取材拒否の飲食店に取材してみた、あれのアポどうなってる!!」

「全部断られました! すみません…すみません……」

 

 吉住さんは全力で頭を下げてる。いつもこんな(つら)い経験までしてたんだ。

 ただでさえ疲れてるのに、こんなの良くないよ。

 

「あ、あの! ちょっと落ち着きませんか!」

 

 やばっ、思わず言っちゃった。

 血走った目というか、めっちゃブチギレてて、こっち見てきてる。

 

「あぁん? ……なんだ、こんなやついたか……?」

 

 そう言われて、背中が冷たくなるくらいに驚いた。

 だいぶがんばってたけど、まさかディレクターさんに顔を覚えられてなかったの? 私そんなにダメだったの?

 

「……星野ルビーだよ。苺プロの大切なタレントなんだけど?」

「ルビーです! B小町でアイドルやってて、最近リポーターをさせてもらってます!」

 

 ルナ、さすがにもっと怒らせるのヤバいよ。

 今は冗談抜きで機嫌を取らなきゃ。

 

「あー、いたな、アイのところか……ちっ、まさか吉住ィ…女を連れ込んでやがるのか?」

 

「そんなことは……」

 

 吉住さん、本当は否定したいことも、否定できないんだろうね。

 だってこんなに怖いもん。

 

「その……そういうんじゃなくて…」

「なんだって? ハッキリしゃべれ、吉住」

 

『……まったく、立場と礼節は(わきま)えた方がいいよ』

 

 えぇ!? 珍しくルナが本気でキレてるっぽい!?

 私のためとはいえ、このままだと私の立場が危ないよ!?

 

 吉住さんも、ディレクターさんも、完全にビビっちゃってるし。

 私だけ平気なんて、ルナが器用すぎるよ。あの有名漫画の覇気のようなものだと思うけどさ。

 

「なんてね。子どもからの冗談だよ?」

 

 冗談らしくてよかった。

 でもルナのおかげで、今がチャンスだ。

 

「ほら、みんな忙しくて疲れてるんですよ! 落ち着いて考えましょう!」

 

「ぁ、ああ、そうだな。吉住、あのアポ、なんとかしておけよ」

「わかりました! テロップの確認はお願いいたします!」

 

 意外と素直に頷いたプロデューサーさんが出ていったこと。

 そのおかげで私や吉住さんは、やっとホッとできる。結局は難題を押し付けられちゃったけどね。

 

「はぁ、ありがと、助けてもらって……あの漆原(うるしばら)さんも…まあ……」

 

「無理してフォローしなくていいですからね?」

「それより今日は早く終わらせて、休むといいよ」

 

 このままじゃ愚痴大会が始まっちゃいそうだし。

 ルナの言う通りだね。

 

「でも…その…申し訳ないし……」

 

「船に乗ったナントカ、だよ」

「乗り掛かった舟という、ことわざだね。ちなみに本来の意味よりは、義理や人情(にんじょう)を強めて使っていると思うよ」

 

 そう説明しながら、また隣のパイプ椅子の上に、靴を脱いで立ってるし。

 うちの妹はマウント取るの好きだなぁ。そんな背伸びしてるようなところも可愛いけどね。

 

「はぁ、でも今回も無茶なんだよなぁ」

 

「次の企画なんですか?」

「絶対に取材拒否の飲食店に取材してみた、そのアポについてだね」

 

 ルナはあの早口を聞き取ってて、しかも覚えてたんだ。

 相変わらず、まるで私より大人っぽい妹だよね。こんなにナデナデしたくなるほど可愛くて、ママを幼くしたらこんな感じって可愛さなのに。

 

「そうなんだよぉ……絶対取材拒否の店が取材受けたら、絶対取材拒否の店じゃなくない?」

「んー、早口言葉? なくない? それならある?」

 

 『あれ?』って吉住さんと2人で呟いて、わからなくなってきた。絶対に取材拒否だから、絶対に取材できないじゃん。

 

「絶対取材拒否の店じゃなく…ある……あれ?」

「とにかく、3人でがんばって考えましょう!」

 

 もし本当に思いつかなかったら、お兄ちゃんとか、イチえもんやミヤえもん、あかねちゃんにも聞いてみればいいし。

 

「取材拒否の店は手当たり次第に調べて、全部断られたんだね?」

 

「そうなんだよ……そりゃ取材されたことない店を、でっち上げて、なんかこう……でもそれは違うんだよなぁ…」

 

「それは違うと思います」

 

 こういうとこが、この番組を好きになってきてる理由なんだよね。そりゃ『やらせ』もある程度は含めてるし、炎上ギリギリも攻めてる。でもアシスタントさんたちが、取材交渉とかして、がんばってる姿は本物(リアル)だから。

 

「吉住さん、すごいですね。いつもこんな難しい企画を考えてくれてるなんて」

 

「えっ……あ、ありがとう?」

 

 よしっ、帰りはだいぶ遅くなりそうだけど、アポが取れるまで手伝おう。

 吉住さんも少しは元気が出てきたみたいだし、前向きなのが大事だよね。

 

「んー、お兄ちゃんとのデートとかで、取材拒否っぽいのなかったかなぁ」

 

「へ、へぇ…デート……仲がいい兄妹なんだね…」

「言動には気をつけてね、お姉ちゃん」

 

 え? カナちゃんが言ってるんじゃないし。

 妹の私なら全然平気じゃない? なくなくないの?

 

「それはそうと、思いつかないようなら1つ提案してみようか?」

「もうルナは思いついてるの!?」

「ど、どうかお願いします!」

 

 吉住さん、もはや神頼みしてるみたいだ。

 そういえばルナって、カラスの神様とかだっけ。

 

「ただし、お姉ちゃんはそれなりに身体を張るだろうね。それとキミにも代償は払ってもらうよ」

「ほどほどなら?」

「僕はともかく、アイドルでリポーターの子にそこまでさせるのは……」

 

 吉住さんは心配してくれるけど。

 ルナのことだし、たぶん大丈夫だと思う。

 

「いいよ、聞かせて」

「要は取材拒否していても、誰が頼むかで変わるものだよ」

 

 てことは、私から頼めばいいのかな。

 ルナのアドバイスはすごく助かるよ。

 

「そこで1つ、面白い店があることを観測……もとい、思い出した。ラーメン五郎、いわゆる二郎(じろう)系だね」

 

「わ、めっちゃ気になってたやつ!」

「ルビーちゃん、アイドルなのに!?」

 

 あれでしょ、ニンニクマシマシ背脂マシマシ野菜マシマシって呪文を唱えるところ。スターなコーヒー屋さんみたいだよね。

 

「重要なのはアイドルというところだね。まさしく対極で、そう簡単に踏み入ることのできる場所じゃない。そして、そこの店主は女性に決して手加減しないらしい」

 

「そこで、深堀りリポーターの出番ということ! 私がそれを完食すればいいんだね!」

 

「身体を張りすぎてる! アイドルにとって、チートデイどころじゃないぞ!?」

 

 確かにそうだね。この試練は食べる時より、食べた後にある。

 だけど季節はちょうど夏で、いっぱい走って何とかしてみせる。

 

「そこに電話してみましょうよ! というか1度でいいから食べてみたいし!」

「お姉ちゃんならそう言うと思ったよ。というわけで私の食べきれない分は、キミが食べてね。キミの奢りで」

 

「……あれ、なんか乗せられてる気が……で、でも、ルビーちゃんのキャラを、活かした企画にはできる…」

 

 もう他の店も思いつかないし。ちゃんと私が食べきれば全く嘘じゃないし、面白くなりそうで、私とルナも番組を理由にしてラーメンを堪能できる。

 

 そういうわけで、検索をかけて電話してアポを取ってみることにした。そこの店主さん、2代目B小町のことを知ってくれてて、『俺の大盛りを食いきれず、限界まで胃袋を膨らませたJKが見てぇ』って特別に許可してくれた。

 

 そこから吉住さんが企画書にまとめてる間に調べたけど、お店に出してるラーメンの画像を見れば見るほど、ヨダレが出てくるね。

 

「2人とも、ほんっとうに、ありがとう。これでなんとかなるはず!」

「お礼はラーメンの奢りでいいよ」

「私も食べてみたいですし」

 

 食べたい欲が重なって、ごり押してる企画な気がするけど。

 ちゃんと面白くなるなら視聴者もオーケーでしょ。

 

「ところで、キミは苺プロに興味はないかな? 」

「それもいい提案だね! うちは子育てママもパパも多いほど、とにかく平和ですよ! 吉住さん!」

 

「……もう少しここでがんばってみるよ…できあがるモノは確かに面白いし……ルビーちゃんやルナちゃんは応援してくれると思えたから」

 

 やっぱり、すごく尊敬できる人だった。

 吉住さんはもう少し残るらしいけど、さすがに私たちは先に帰らなきゃいけない時間だ。

 

 たぶん吉住さんは毎日ほとんど休めてない。でもギリギリまでがんばってくれるおかげで、この番組は成り立ってるんだなとも思える。

 それに、あの怖いプロデューサーさんもまだ残るらしくて、私たちとは入れ違いになった。私が恐る恐る『お疲れ様です』って声をかけると、軽くお辞儀はしてくれた。

 

 変えるべきところはなんとかしたい。

 でも番組の良さ自体は消えてほしくない、そんな内部事情だよね。お兄ちゃんにも伝えよう。

 

 私ができることと言えば、リポーターとして番組を盛り上げること?

 そうすれば、この番組に予算が増えたり人が増えたりするのかな。

 

 

 






『はふはふ……うっま! 食べても食べても全然減らないよ!』

「……ルビー…明日から早朝ランニング、一緒に3倍しような……」

 妹2人が何か隠してるとは思っていたが。
 こんな大盛りを完食チャレンジは、さすがにアイドルとしてレッドカードだろ。

 母さんは大笑いして許しそうだ。父さんもすんなり許しそうだ。
 僕が何とかしないと。
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