SEED世界に転生したがオーブ語しか分からない   作:黒巛清流

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セーフ、ギリギリ毎日投稿!


第五話 捕虜と補給

しばらくしてキラも少し落ち着いたのだが同時に艦内の状況も切羽詰まっていた。

アルテミスではろくに補給も出来ずに出てきたから水も制限されている。風呂も入れないから臭いが気になって仕方ないな…。

 

「そっちの整備は済んだか? キラ」

「洗浄できないのが痛いですよね…」

 

食堂へと向かうとキラの学友達が出迎える。するとフレイが頭を下げていた。

どうやらこの前の失言を謝罪しているらしい。ついでだし軽い雑談程度はしておくか。

そして食事をしながら軽い雑談を済ませ、俺はキラを連れてとあるところに来ていた。

 

「悪いなキラ、ノイマン曹長は操舵手だから連れてこれなくて」

「いいですよ、それにしてもどこへ?」

 

ちなみに現在向かっているところは独房代わりとなっている一室。忙しくてろくに会話出来てなかったラスティと会話をしようと思っていたのだ。連れてきたのは俺だし。

バジルールさんには中々のしかめっ面をされたが何とか許可を貰えた。

 

「残念ながら俺は共通語を話せないからな。捕虜との会話はキラかノイマン曹長に頼るしかない」

「今度軽い会話程度なら教えますよ」

「暇があればいいんだがな…」

 

部屋の前に着くとシンプルなシャツを着た橙色の髪をした青年がいた。

 

『ん? 今度は知らないやつが来たな…なぁ飯の水少なすぎじゃね?』

 

彼は思ったよりも落ち着いているようでベッドに寝ころび足を組んでくつろいでいた。

 

「初めましてだな、俺はグエル・ジェターク」

『…は? どこの言語だそれ…?』

 

おっと…さっきまで話してたから分からなくなってたな。キラ頼む

 

『彼の名前はグエル・ジェターク。オーブの言葉しか話せないから僕が通訳するよ』

『なるほどねぇ、オーブのやつか。で? 何が聞きたいんだ?』

 

ちなみに尋問とかの話は聞いたが名前やザフトの赤服以外のことは話していないらしい。と言っても別に尋問とかそれをしに来たわけじゃない。

 

「いや、単純に会いに来たことと一つ謝罪があってな」

『謝罪? なんだ?』

「初対面の時に顎を蹴り飛ばして悪かったな」

『…お前、あの時のやつか』

 

さっきのおちゃらけた気配が消え、軍人らしい姿を見せるラスティに少しだけ警戒の色を見せる。そしてラスティ自身も目の前の彼も警戒していた。

…勝てない。

ラスティは素直に目の前のグエルと名乗った青年に対してそう評価した。

190ほどある鍛えているのであろう体躯、コーディネーターである自分でも…もしかしたら同期で教官すら倒したアスランと同等かもしれない。目の前のグエルを見たラスティはそう思った。

 

「今回はただの雑談だ、別に暴れたりしなければザフトと返還交渉…あとは襲ってきた時にお前を人質に…とかもあるかもな」

『おいおいコルシカ条約違反だろそれは』

「こ、こるしか…?」

「武力紛争が生じた場合に、傷者、病者、難船者及び捕虜、これらの者の救済にあたる衛生要員及び宗教要員並びに文民を保護することによって、武力紛争による被害をできる限り軽減することを目的とした条約のことです。簡単に言うと捕虜には人道的な扱いをしましょうってことです」

 

戦時国際法みたいなもんか、まぁ元々そんなことするつもりはないが…あー、何かフレイの話聞いてるとフレイはしたりするかもしれないな。なんかコーディネーターを目の敵というかあまりいい目で見てない気がするし。

そんなことを思っているとラスティがふと思い至ったように話す。

 

『なるほど、お前らさてはコーディネーターだな』

『僕はそうだけどグエルさんは違うよ』

「そうだな、俺はナチュラルだ」

 

そういうとラスティは目を見開く。

 

『ばかな…ナチュラルだと…?』

「俺も出自はよくわかってないがな。ナチュラルであることは検査で確定している」

『そうか…そもそもキラ・ヤマトと言ったか。なぜお前は地球軍にいる?』

『…え?』

 

どうやらキラに話しかけたらしくラスティの視線がキラに固定される。

 

『コーディネーターなのに何故俺達と戦っている』

『それは…友達がいるから…』

「…もしかしてコーディネーターなのに何故地球軍にいるとか言われてるか?」

 

そういうとキラは分かったんですか!? と言いたげな顔を向ける。

なんとなくだが合っていたみたいだな。

俺はラスティを見る。

 

「なぁラスティ」

『…なんだ?』

「これは簡単な質問なんだが、お前の敵は何だ?」

『敵…? それはナチュラルだろ。戦っているわけだし』

「じゃあキラは味方か?」

『…』

 

ラスティは黙った。そうだな、コーディネーターが味方ならキラや地球軍のコーディネーターも味方になる(ノイマンさんから地球軍にもコーディネーターがいることは聞いた)。

 

「戦争ってのは面倒でな。断言させて貰うがナチュラルとコーディネーター、仮にどちらかが滅んだとしても戦争は終わらない」

『なっ!?』

「恐らくそっちにもいるんだろう? 戦いは止めようという穏健派が」

『...』

 

再度言葉が止まる。流石コーディネーターの赤服、頭の回転が速い。

 

『だが...我々は血のバレンタインの…』

「そうだな、こっちにも…確か『エイプリル・フール・クライシス』だったか」

 

血のバレンタイン、エイプリル・フール・クライシス。

どちらも根の深い問題だ。

 

「こちらの方が死んでるから~などという気はない。人の死に数で優劣など付けられないからな。だがエイプリル・フール・クライシスで起きた問題で一番重要なものがある」

『…?』

「その事件で恐らくだが、親を亡くした第一世代のコーディネーターが地球軍に入っている。ザフト憎しでな」

『-ッ!!』

「餓死・失業等含めて被害者は約10億、地球にいたコーディネーターも多く被害を受けたらしい。そうならその恨みがザフトに向くのは当然となるだろう」

 

戦争ってのは面倒だ、ゲームみたいにどちらかを倒す時だけじゃ終わらない。

 

『グエル…って言ったか…? 戦争は…どうやったら終わるんだ?』

「…さあな、俺が言った方法で止まるわけじゃない」

 

俺はラスティから背を向けその場から去ろうとする。

 

「だが、どちらかを滅ぼすだけでは止まらんさ」

 

 

 

 

 

『補給を?』

『受けられるんですか?どこで!』

 

補給の目途が立ったらしい。どちらかというと墓荒らしと言った方が近いが。

デブリベルトには、宇宙空間を漂う様々な物が集まっている。破壊された戦艦も、宇宙空間なら水は凍るとどこかで聞いたことがあるし食料はともかく水や弾薬は大丈夫だろう。

 

『喪われたもの達をあさり回ろうと言うんじゃないわ。ただ…ほんの少し、今私達に必要な物を分けてもらおうというだけ。生きる為に』

 

その後、デブリ内の探索を行う。

中にはユニウスセブンも存在した、『血のバレンタイン』が起こった場所だ。

まだ一年ほどしか経っていない……遺体も残っていた。

 

船内に戻り報告と会議。キラ達は難色を示していた。

何十万人もの人が亡くなった場所だ。そこから水とはいえ何かを持っていくことに抵抗感が生まれるのは間違いないだろう。

 

「…キラ」

「グエルさん! グエルさんもそう思うでしょう! あそこにしか水はないとはいえ!」

「…俺達は生きている。生きているなら、先へ進まないといけない」

「…グエルさん?」

 

これはほぼ受け売りだしなんなら漫画の言葉だが…。

少し冷静になったキラに言葉を続ける。

 

「俺達は奪うんじゃない。受け継ぐんだ…確かにキラの言うことが本来は正しいのだろう…だが」

 

一息入れる。

 

「俺達は今を生きている…過去の者たちが残していったものを…受け継ぎながら…」

「グエルさん…」

「…せめて、手向けの花でも送ろう。去ってしまった者たちに」

 

キラ達は花を折り紙で作り始めた。亡くなった者たちへの。

…こうしてると…コーディネーターだろうがナチュラルだろうが…ただの人と変わらないな。

 

 

 

水の回収を行う間、俺はマリューさん達に相談をしていた。

通訳にはノイマンさんに頼んでいる。

 

『ユニウスセブンのあるところを調べたい?』

「…はい、何だか分からないんですけど。あそこを調べないといけないっていう」

『うーん、まあいいんじゃないの? キラだけでも警戒は十分だろ』

『MSが複数あったら気づかれる要素も増えるからね』

 

というわけで氷の切り出し中に俺はとある場所に向かっていた。

ユニウスセブン跡地のとある一室、なんだかここを調べろとでも言われているような…。

部屋のドアを開ける。遺体はなく農業プラントにしては何かやけに研究機関っぽいというか…宇宙だしそういう研究機関があったのか? なんとなく直感で先に進むと俺を待っていたかのようにひらりと俺の手元に何かが飛んでくる。

どうやら写真のようだ。俺は何気なしにその写真を見る。

 

「……-ッ!? これは…!!」

 

そう思った瞬間。

ここまで聞こえるような大きな爆発音。

 

「なんだ!? 何があった!?」

「ジェターク、どうやら偵察兵のジンがいたようだ、いまストライクが撃墜したが応答がない」

 

…ちっ! 最悪だ…!

キラは今までMSを撃墜していない。つまり、初めて人を殺した…その精神的ショックは計り知れないだろう。俺は急いでアークエンジェルまで戻り許可をもらってビラヴィードに乗ってキラの元へと向かった。

通信は切っているようだったから接触回線により話しかける。

 

「…キラ、大丈夫か」

「ぐ…うぇ…グエル…さん…」

 

嗚咽交じりの声。もしかしたら吐いたのかもしれない。

 

「ゆっくり深呼吸をしろ。まずは落ち着くんだ」

「……」

 

ゆっくりと深呼吸をする声が聞こえる、少しは落ち着いたらしい。

 

「後のことはゆっくり話そう。先に戻れ、あとは俺が引き継ぐ…」

「はい…では先に……あれ?」

 

俺の機体にも聞こえる救難信号。

視線を向けると救命ポットが存在した。

 

「…」

 

俺とキラは互いに頷くとそのポットを艦に持っていく、救命ポットに縁があるな。キラ




あ、そうだ
ちょっとアンケート取ります。
そのため次の投稿はちょっと遅れますね。

他の水星の魔女キャラを登場させるか?

  • 出してほしい
  • 出さないでほしい
  • 少人数なら出してほしい
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