SEED世界に転生したがオーブ語しか分からない 作:黒巛清流
となってるので投稿は遅れ気味になるます
【足つきからの、MS及びMA二機の発進を確認!】
「くっ…! やはり墜としに来たか…! 迎撃用意!」
「私も出よう、シグーを用意してくれ」
【第一戦闘配備発令!】
ヴェサリウスの艦内では慌ただしく準備が行われていた。
現在戦えるのは死に体のヴェサリウスと頭部の整備が間に合っていないジンにイージスとシグーのみ。
本来ならMSが二機もあれば十分だろうが相手にも先ほど大立ち回りを見せたMSがいる
「…ん?」
クルーゼは疑問を覚えた。
そう、先ほど大立ち回りを見せたイージスに似た赤いMSの姿が見えないのだ。
それに疑問を持っていると突然通信が響いた。
【こちら地球連合軍、アークエンジェル所属のモビルスーツ。ストライク!】
全員の動きが止まる。なおもストライク…キラの通信は続いた。
【我々は今、プラント最高評議会議長、シーゲル・クラインの娘であるラクス・クラインを保護している!】
「なにっ!?」
「ラクス様を!?」
ヴェサリウス艦内に動揺が走る。見つけられなかったラクス・クラインがいることに乗員達の声が混乱した様相を見せ始めていた。
【我々は彼女の保護を貴艦へ要請する! 応じる場合ナスカ級は艦を停止してほしい! それと…イージスのパイロットが受け取りに来ることが条件だ。この条件が破られた場合、我々は…彼女に相応の対応をするつもりである】
「んなことはしないがな」
「ポーズは必要ですからね」
キラの両サイドにいるムウが茶化すようにいい、リドリックは真面目に返した。
「…キラ」
アスランは誰にも聞こえないようにふっと呟く。
惚けてしまうと同時に艦長のアデスの声に意識を戻す。
「どういうつもりだ、足つきめ!」
「…はっ! …隊長…行かせて下さい…」
「敵の真意がまだ分からん!本当にラクス様が乗っているかどうかも…」
「隊長!」
クルーゼは顎に手を当て少し考える。そして顔を上げるとアスランに伝えた。
「…分かった。許可する。」
「…ありがとうございます」
「よろしいのですか?」
アデスは部下の進言を認めたクルーゼに問いかけた。
クルーゼはいつものように冷静な表情と声でそれに答えた。
「ストライク一機だけならまだ幼いと何か考えられたがMAが二機も随伴している上にもう一機のMSがまだ見えていない。下手に手を出すのは愚策と言えるだろう」
見た先では足つきとネルソン級が砲をこちらに向けている。主砲は向けていないようだが…。
「ここで勘ぐって、下手に抵抗すれば…」
「もう一機のMSも出撃し、向こうはこちらを沈めに来るだろうな」
先ほどジン3機に大立ち回りを見せこのヴェサリウスを撃墜寸前まで追い詰めたあのMS、その脅威が再度こちらを向くことになるかもしれないことにアデスの背筋に冷たいものが走る。
アデスの態度にクルーゼは満足したように微笑むと出ていったアスランに続くようにブリッジの床を蹴った。
「隊長も出撃なさるので?」
「向こうもMAがいるんだ。護衛役に私がいてもおかしくないだろう」
そうシグーに向かいながらクルーゼは思考を回す。
赤いMS…ビラヴィードは出てこないだろう、あの機動を行えば中のパイロットにはかなりのGがかかる。
乗っている者がコーディネーターであっても重症化は防げないだろう。
ほぼ間違いなくナチュラルが乗っていたであろうビラヴィードはもう出てこれないだろう、だが…もしまた出てくることがあれば…。
「フッ…」
クルーゼは何かを期待した自分に笑った。
ストライクの目の前にゆっくりと進んでくるイージスとシグーが見えた、キラ達が息を吞む。
二機は武装していたが銃口をストライクに向けることはなく少し前で静止した。
「アスラン…ザラか…?」
【そうだ】
ストライク内にイージスからの通信が届く、キラはその声に何かこみ上げるものを感じながらも指示を飛ばす。
【コックピットを開け!】
キラの指示に従ってイージスはコクピットを開いた。シートから身を乗り出して赤スーツのパイロットが姿をあらわす。キラもストライクのコクピットを開いた。
ヘリオポリス以来、はじめてキラとアスランがお互いの姿をその目で認識し合う。
キラは言葉を交わしたい気持ちを押さえながらラクスに視線を向けた。
「何か話して」
「?」
「顔が見えないからほんとに貴方だってこと、分からせないと」
「あ~、そういうことですの。【こんにちはアスラン。お久しぶりですわ】
『テヤンデイ!』
そう陽気な声で、ラクスはストライクのコクピットからアスランへ手を振って見せた。
その姿にアスランも思わず頬を緩ませる。
【確認した】
【…我々は正式にこの女性の保護を願う。受け入れるならば彼女を連れて行け!】
キラはゆっくりと彼女の背を押しイージスへと渡す。
座席から離れたアスランは彼女の手を取った。
「いろいろとありがとう。キラ…アスラン、貴方も」
その言葉にアスランはお辞儀で返した。
音声通信で聞こえる声にキラは頬を緩ませる。短い間だったけど彼女と出会えたことを後悔していないと言える。すると彼女を支えながらアスランはこちらに声を発した。
「キラ! お前も一緒に来い!」
広域放送されていない三人だけの通信。キラがすぐに通信を切ったためムウとリドリックも何を話しているかは聞こえていない。恥も外聞もない。ただアスランは親友と戦いたくない一心でそう叫んだのだ。
「お前が地球軍に居る理由がどこにある!? 」
「僕だって君とは戦いたくない。君に銃口を向けたあの時を思い出すと今も手が震える。でも…あの船には守りたい人達が…友達が…」
ふと頭にグエルの姿が出る、まるで兄のようにこっちのことを気にかけ。
言葉が周りに通じないのに人の心配ばかりするあの人を。
「…仲間が居るんだ!」
「キラ…!」
それはキラの覚悟だった。
逃げずに進むと言ったのに引き金を引けなかった自分との決別。
崩れ落ちそうになった自分を支えてくれたグエルへの信頼。
共に戦うことを選んだ友人たちへ。
「僕は君を撃ちたくない……けど、君が僕の大切な人や友達を傷つけると言うなら……僕は、君と戦う。大切な人達を守るために」
アスランは名前を呟くだけで何も言えなかった。キラが言った戦う意味に対して、アスランは
母がナチュラルに殺され、その憎しみでザフトへ入隊し。憎しみのままに戦っている自分にとって、目の前に立つキラはあまりにも眩しくて…だから、アスランには負け惜しみのような言葉しか口に出せなかった。
「……ならば仕方ない……次に戦うときは…俺がお前を討つ!」
そんなアスランの言葉に、キラは昔見たおどおどとした調子もなく真っ直ぐな眼差しで答えた。
「僕もだ…アスラン」
クルーゼは結局動かなかった。
まるで心を見透かしたかのようにこちらに視線を向けるラクスに気づいたからである。
本来の歴史であればここで攻撃を仕掛けるはずだったのだが…クルーゼは先ほど見たビラヴィードに心が揺れていたこともあり、交戦することもなくアスランからの通信を待った。
「クルーゼ隊長、ラクス・クラインの保護を完了しました」
「わかった」
そのままクルーゼはアスランと共に帰投した。
ムウとリドリックの肩から力が抜ける。
「ひと悶着はあるかと思ったが何事もなかったな…こっちも戻るぞ! 追撃して藪蛇は困る」
「了解」
「分かりました」
そして三機はアークエンジェルへと戻る。格納庫に到着しストライクから降りるとそこには整備の人とは別に人がいた。
「グエルさん!!」
「よう、大変だったみたいだな」
ヘルメットを外しながら声を上げる。
まだ本調子とはいかないようだったがグエルが出迎えてくれた。グエルはムウたちにも手をあげる。
するとキラは視界がわずかに歪んでることに気づいた。
『あ…れ…?』
それは涙だった、ほっとしたからか。先ほどのアスランとの問答が今になってきたのか分からなかったが急に涙が溢れてきたのだ。グエルはふっと笑うとキラを抱くように頭を自分の胸元に抱えた。
「…頑張ったな、キラ」
それが、決壊の瞬間だった。
キラはだらりと垂らしていた手をグエルの胸元に置いて拳を握りしめた。
『ぅ、ううう…うぁあああ…ッ!!』
本当にアスランと戦いたくない。
けど、状況がそれを許してくれない。
キラは自分の中で堪えていたものを吐き出すように涙を流す。しばらく嗚咽をあげて小さな子供のように泣くキラを、グエルは兄のように笑みを浮かべながら背中をポンポンと叩いた。
「俺の胸ぐらいいつだって貸してやる。今は好きなだけ泣きな」
次回は少し時を戻してグエルが目覚めた時の描写を。
SEEDアニメ見てたけどこの辺辛すぎない???
16歳の少年に背負わせていい話じゃないよ…???
自分で書いておいてなんだけどキラとノイマン(とラスティ)以外と交流取れないの難しいな???
素人意見だけどやっぱりグエルポジがいるだけでキラ君だいぶ救われる気がするのよね。
…ちなみにですけど
ちょっとだけ『アークエンジェルに一般アスランが乗っていたら~』をイメージしてます
ビラヴィードが赤かったり盾がメインなのもそれが理由