白銀のハンドシェイカー   作:不知火勇翔

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次回(USJ)がシリアスすぎるので今回はギャグ全振りです。




身体測定と模擬戦回

 高槻シロが貰った転生特典は3つ。1つは『白銀の王』としての力。不変を象徴する力のため、かなり堅いバリアを張れたり不死だったり、浮遊することができる。そして2つ目は『ハンドシェイカー』としての力。これは誰かと手を繋いだ時に力が溢れ出し、ニムロデと呼ばれる武器を出して戦うことができる。

 そして最後の3つ目が、『罪の王冠』『王の力』。これは人の心の内を武器として引き抜く力で、その最もヤバいところは、その抜いた武器『ボイド』を貸し与えることができる点である。ボイドにはそれぞれ心の内を反映した特殊能力が付属しており、例えば全てを断ち切るハサミなら命だろうが何だろうがチョキンとやれてしまうし、カメラなら空間を切り取る力を持つ。貸し与える際に何のリスクもデメリットも無い上に元手も不要で、中にはバケモノみたいなボイドもあり、つまり『王の力』は個性を同時に1つしか使えないAFOのような能力である。

「・・・何ですか、コレは」

 雄英高校の入学式の日、校長室にて。オールマイトは根津校長からとある新入生についての資料を見せられていた。

「八木くんには彼を見ていて欲しいんだ。教職者としてだけじゃなく、オールマイトとしても」

「それは、どういう・・・」

「彼はね、生まれてからずっと力を持て余してきたんだ。だから雄英に入学し、無制限に使えるようになったら何をするか分からないんだよね。ハハハ☆」

 高槻シロの力は、1人で抱えるには強大すぎる。特に『王の力』は彼が次のAFOにすら成れる力を秘めているため、もし彼がヴィランと成れば流石に雄英でも制御しきれない。だからこそ根津校長は直接オールマイトに頼み込んでいた。

「絶対に、絶対に目を離さないで欲しいんだ。頼まれてくれるかい?」

「・・・・・・・・・」

 新たなAFOの出現。その意味を真に理解しているオールマイトは、小さく「善処します」とだけ言うと校長室を後にした。

 

 

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 個性を与える個性。字面にすると簡単だが、そう単純なものじゃない。個性に恵まれなかった者が五万といるこの世界で『個性を恵む』こと、それはすなわち他者に大きな戦力と『借り』を与えることであり、簡単に沢山の親派を獲得できるということであり、纏まって自警団でも作られた日には最悪世界が滅ぶ。そういう個性なのだ。

 だからオールマイトこと八木俊典は見極めなければならない。彼がどういう人物なのか、彼が何を思い、どう感じ、どこへ向かうのかを。

 そういった決意を胸に校内を歩いていると、変な人集りが目に入った。

「どけ!俺は彼女に話があるんだ!!!」

「話があるなら今この場で話せ!何だ!!!」

「ちょっと試したいことがあるから身体を貸し「本当に何を言ってるんだお前は?!?!」

「ちょっと胸に手を突っ込んでザワザワするだけだから良いだろ別に!!お前には関係無いだろ!!」

「無くても止めるわバカタレ!!!!」

 どうやら揉めているらしい。周りで見ていた野次馬に声をかけてみると、どうやら銀髪の少年が新入生の歌姫に激しくナンパまがいの声をかけて周りにいた歌姫のファンと小競り合いになったらしい。

 ・・・・・・銀髪の少年?

 首を伸ばして人集りの奥を見ると、銀髪の少年が複数人の男子生徒に取り押さえられながら『わめいていた』。

「胸に手を突っ込んでザワザワの何がいけないんだ!言ってみろ!!!」

「言うことがありすぎて迷うくらいだわ!!!まず胸に手を突っ込むって何だ!!!何がしたいんだよ!!!」

「俺の個性がそういうタイプなんだよ!悪いか!!」

「悪くはないが!!!悪くはないが、そういうのは関係を深めてからにしろ!!!初対面相手に、しかも入学式の日に何を言ってるんだお前は!!!」

 う~んこれは。

 オールマイトはこれからの教師生活に暗い影が下りた気がした。

「ハッ。お前の意見は聞いてねーんだよ!!!本人の意志次第だろ!!」

「断りますよね『いのり』さん!!!!」

「・・・いいよ。私を使って」

「ヨシッ!!!!」

「はぁ!?!?」

「正気ですか?!?!」

「?うん。面白そうだし」

「ほら見たかバカ者どもめ!!!」

「テメーは黙ってろ!!」

「あいたっ、暴力ー!!暴力はんたーい!!!」

「うっさ・・・」

 何なのだろうか、これは。これは、何なのだろうか。

「・・・・・・」

 とりあえず考えるのを放棄し、何だかイカガワシイことが起きそうだったため物陰に行って『オールマイト』に変身し、戻ってみると・・・・・・。

 高槻シロの腕が少女の胸に突き刺さっていた。

「??????」

 直後、高槻シロと少女の周りから光が吹き出した。

「?????」

 オールマイトが立ち尽くす中、彼に構うことなく事態は進展してゆく。

 光の柱が天高くまでそびえ立ったかと思えば、すぐに消えた。これで終わりかと思えば、高槻シロは少女の胸から『異常なまでに大きな剣』を引き抜いた。

 高槻シロと少女の周りに金属製の物質が飛び回り、何だか場が幻想的な雰囲気に包まれて全員が黙り込む中、高槻シロだけは楽しそうに少女に話しかけた。

「やっぱSランクボイドだ!ねぇ『いのり』さん!!俺これから体力測定なんだけど、一緒に受けてくれないかな?!あ、別に痛いとか怖いとかは無いよ!ちょっと近くにいてくれるだけで良いんだけど、どうかな?!」

「え、まぁ、・・・いいけど」

「オッケ、じゃあ掴まっててね!!!」

 高槻シロが地面を踏み込み、そして飛んだ。高槻シロに掴まっていた少女もそのまま飛び上がり、追尾するようにして周囲を浮遊していた螺旋状の物体も飛んで行った。

 取り残されたオールマイトと男子生徒達は、何が何だか分からないまま飛んで行く少年少女を見上げていた。

 

 

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「個性把握テスト・・・なんだが、アイツは遅刻か」

 グラウンドに生徒達を集め、高槻シロがいないことを知って呆れていた相澤消太の頭上から声が響いた。

「すんません遅れましたーーー!!!」

 高槻シロが、女子を抱えて降ってきた。しかも手には物騒な大剣があり、相澤消太とA組が呆然としているのを気にせず高槻シロは声高らかに宣言した。

「はじめまして!俺の名前は高槻シロ!そんでコッチがアシスタントとして来てもらった『楪いのり』さん!!みんな、よろしくな!!!」

 彼のことを知る爆豪勝己、緑谷出久、峰田実は心の中で一言こう呟いた。

 ・・・・・・あぁ、いつものことか、と。

 

 

 その後。無事に高槻シロは個性把握テストを無双。爆豪勝己の血圧を上昇させ、普通科の女子(見た目は普通。中味はテロリスト)をここまで引っ張って来たということでクラスメイトからはドン引かれ、緑谷からは素直に賞賛されたのだった。

 

 

 

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 そして翌々日。とある演習場にて。

 

 

 

 他の世界には初対面の相手に好きな異性のタイプを聞く詩的な男がいるが、高槻シロはその先を行く。

「爆豪!!!」

「・・・んだよ」

「好きな体位は何だ!!!」

「聞いた俺がバカだったよクソが死ねぇえええ!!!」

「照れてんじゃねぇよ男ならちゃんと言え!!!」

「男でも女でもそういうことは言わねえだろ普通!!」

「ちょっ、おま、ヒーローだろ建物ごと爆破するなバカ!」

「バカはテメェだバカ!!試験中に何を言ってんだよ!」

「爆豪!!!よく考えろ!この場に女子はいない!つまり下ネタ言い放題だ!!違うか!!!」

「違うわクソが!!しっかりモニターしてんだろバカ!」

「かっちゃん・・・・・・丁寧にツッコむから絡まれるんだよ・・・」

「デク!テメーは何悟った顔してんだよクソが!!」

「・・・・・・・・・同中(おなちゅう)の喋りに入りづらい・・・」

「峰田くんさぁ・・・」

「言われると思った!!!オナチューだもんな!!!字面が完全にアウトだもんな!!!」

 

 

 

「男子達、楽しそうだね・・・」

「あれは楽しそうなのでしょうか・・・」

「いや絶対楽しいだろアレ・・・」

「おーい4人ともー、これ試験だからねー(汗)」

「あれが、切磋琢磨というやつなのか・・・」

「いや絶対違うでしょ。下ネタで盛り上がってるだけでしょ」

 

 

 個性把握テストが終わって、次いで始まったのは2対2の団体戦だった。ヒーローチームとヴィランチームに別れ、建物に立てこもるヴィランチームが守る核爆弾(ハリボテ)にヒーローチームが触れたらヒーローチームの勝ち、指定時間まで守りきればヴィランチームの勝ち、というシンプルなルールながら、これ入って数日の生徒にやらせるか?と疑問に思いたくなるぐらいの重い試験である。

 そして案の定クジ引きで高槻シロと、高槻シロの無二の親友に昇格した峰田実がヴィランチームになり、そしてヒーローチームは緑谷と爆豪がチームアップした。

 入試1位(高槻シロ)と入試2位(爆豪勝己)が初めて対決するということもありオールマイトを含めた全員が期待した面持ちで彼らの決闘を待ったが、まず始まったの小学生のような口喧嘩であった。

 

 

「峰田くん。そういう言葉づかいは良くないよ。ねー緑谷くん」

「そうだよ峰田くん。峰田くんもヒーロー志望ならさ」

「マジレスすな!」

「俺を蚊帳の外にすんな殺すぞ!!!」

「ハッ、寂しがりが吠えたぞ!ちゃんと録音したかー?」

「クソッ、絶対消す!!!絶対潰す!!!」

「かっちゃん。殺人は良くないよ」

「マジレスすな!!!冗談だわクソが!!」

「そうだぞ緑谷。反省しろ」

「その流れをもう一度やるのかよ!?!?」

「うん。ごめんシロくん」

「緑谷も乗っかるなよワザとやってんだろ!!」

「爆豪お前、峰田くんにツッコミで負けてんぞ」

「負けてねーわクソが!!」

 

 

「早く始めろバカども!!!!!!」

「「「「相澤先生!?!?!?」」」」

「様子を見に来たら何だコレは!!!お前達それでもヒーロー志望か!?!?」

「「す、すみません!!!」」

「ほーら怒られた」

「全部お前のせいだろ何他人事みたいに言ってんだよ!」

「高槻!!!集中しろ!!!」

 

 

「じゃ遠慮無く」

 

 

 高槻シロは、呆けていた緑谷の胸に腕を突き刺した。

「デクー!!!!」

「んっお"んっお"んっお"」

「ちょっ、ギャグ展開の中で攻撃は流石に卑怯だろ!」

「峰田くん。知将って呼んでくれるかな?」

「ただの外道だろソレは!!!」

「ほいっ」

 高槻シロが腕を抜くと、気を失ったのか緑谷は倒れ込んだまま動かなくなった。

「よし。後1人」

「外道だ・・・・外道がいる・・・」

 愕然する峰田実を捨て置き、高槻シロは爆豪勝己の前に立ちふさがった。そしてシリアス顔で変なことを言い出した。

「爆豪。お前、お袋にバレてんぞ」

「・・・・・・何のことだよ」

「押し入れの右下にあるダンボールのことだよ!!!」

「なん・・・だと・・・」

「っしゃあ今だオラオラ!!」

「あっ、クソ、ぐああぁあああああああ!!!」

「はい勝ちー!何で負けたか明日までに考えといてくださーい!!!」

「外道だ・・・・・・・」

 

 

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「高槻少年。君は遊びに来たのかな?」

「反省しております・・・・・・」

 高槻シロはああ言っているが、結果で言えば高槻峰田チームの完勝であった。そこに誰もツッコみはしなかったが、しかし。

 この結果は高槻シロの才能を、これでもかというほど物語っていた。

 

 

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 同時刻。赤の王と高槻シロの言葉を信じた宗像礼司とそのクラン『セプター4』は蛇腔総合病院に突入。数多の劣化版脳無を斬り捨てたその先で、ヤーナム並みに冒涜的なものと対面した。

 

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