※2話と3話の間がガッツリと空いていたので2話の後ろに色々と追記しました。
A組がUSJと呼ばれる施設で救助訓練を始めようとしていると、唐突にワープゲートが開いてヴィランの大群が出現。ヒーローの卵達とオールマイトが大々的にヴィランと戦うこととなったこの事件は『原作』においてUSJ事件として長く影を落とすことになったが、・・・・・・この世界には高槻シロがいる。王権者達がいる。葬儀社がいる。
そこかしこ(ロストクリスマスやらダモクレスダウンやら)で原作崩壊が起こっているため、高槻シロとしても少なくないメンツの変更は覚悟していたが、しかし。
流石に脳無が6体に増えているのは想定外だった。
しかも最初からAFO本人まで出てくるのは流石に想定外の更に先を行っていた。
「久し振りだねオールマイト。元気にしてたかな?」
「AFO!!!」
「そう怒鳴らないでくれよ。今日は『白銀の王』についての話し合いと、相談に来たんだからさ」
「相談だと!?ふざけるな!!私と戦「・・・君はまた今度だ。今日の主役は彼だよ」
AFOがそう言った瞬間、飛び出したオールマイトが真横に吹き飛んだ。どうやら脳無が殴り飛ばしたようで、AFOの言葉に続くようにして6体の脳無全てがオールマイトに襲いかかった。
「君対策に特化した脳無だ。存分に遊んでいてくれ」
脳無に埋め尽くされて苦戦するオールマイトを尻目に、AFOは高槻シロの方に視線を向けた。
「はじめまして、高槻シロくん。会えて嬉しいよ」
高槻シロは王権者である。しかも『個性を生み出し与える力』を持ち、ある程度のカリスマ性もあって同世代と比べれば抜けている部分は多いが、それだけだ。
悪の中の悪。悪の王の覇気は高槻シロとは比べようがないほど強大だった。
「雄英に入学してどうだい?ちゃんと馴染めたかな?」
ゆっくりと、AFOは高槻シロに向かって歩き出した。
カツカツと足音を響かせながら悠然と歩く姿は見るからに隙だらけだったが、誰も動けずAFOはこの場を完全に支配していた。
「見たところ君の本性はまだバレていないようだが、内心不安じゃないのかな?この生活は長く続かないと感じているんじゃないかい?」
お前が俺の何を知っているんだ。高槻シロはそう言って吐き捨てようとしたが、できなかった。腕が震え、何かの先に進む恐怖に背筋が凍った。何かが暴かれる気がして、後ずさりすらした。
「分かるよ、君の気持ちは。本当の自分を見せてしまえば恐れられ、避けられる。だから煽り、おどけ、笑う姿を見せる。しかしね、高槻シロくん。そんな自己防衛では本当の友達はできないよ。誰も理解してもらえず、溜め込んで潰れるだけだ。
現に緑谷出久くん、爆豪勝己くん、君達は知っていたかい?彼がニコニコと笑う裏で、生きるために人を殺していたことを。彼がロストクリスマスの当事者『桜満集』であることを。
しかも、それを知った君達はこう言うハズだ。
どんな事情があろうと人を殺したのなら罪を償うべきだと。君達はヒーローの卵だからね。そしてこうも言うハズだ。一緒に頑張ろう、と」
「「っ・・・・・・!!!」」
緑谷出久と爆豪勝己が同時に息をのんだ。
「高槻シロくん。薄々感じているんじゃないかい?君の本質はヒーローではなくヴィランだということを。君もこの社会に抑圧された1人だということを。
だから進路に迷っていたのだろう?自分がヒーローに成れるのだろうか、自分はヒーローなのだろうかと疑問に思っていたハズだ」
AFOの目的は高槻シロに疑問を投げかけること。その先にある雄英との分断である。だからAFOは返答を期待していなかった。
ただ一方的に、高槻シロの心を暴き立てた。
「そうだね。1つ1つ丁寧に教えてあげようか。
まず1つ目。君の姉をバケモノにしロストクリスマスを引き起こした元凶がいて君はその存在を認知している。しかしヒーローと成ってしまえばその元凶を殺すどころか止めることさえ難しくなってしまう。
2つ目。・・・・・・力があり、流されるままでも『今までは』何とかなったが、もうそうはならない。僕がそうはさせないからだ。
3つ目。ヒーローとは無理解なまま常識を押し付ける生き物だ。彼らは紛争地域や貧困層の現実というものがまるで見えていない。だから必ず君は対立する。・・・その時に成ったら、君は一体どれだけのモノを失うのだろうね」
AFOは、笑った。
「4つ目。君のその力は人体実験から・・・」
「勝手なこと言わないで」
AFOの言葉を遮るようにして、よく通る少女の声が響いた。
「アンナ・・・ちゃん」
「確かに今までシロは生きるために殺してきたし、私もシロはヒーローに向いてないと思う。でもそれがアナタ達の元へ行く理由にはならない。シロはお人好しで情けなくて弱くて脆くて、誰かがいないと何もできない吠舞羅のメンバーだから」
「赤の王と、そのクランズマンか・・・」
高槻シロを庇うように、1人の少女が立ちふさがった。続くようにグラサンタバコイケメンがシロの肩を叩き、少し離れた位置に赤髪の男が立った。ゾロゾロと(見かけ上は)ガラの悪い男達が現れ、シロを囲んだ。
「まぁ仮にもウチの賑やかし担当やからな。いてくれんと困るんや」
「キングはいないと困るって言ってるよ」
「おい・・・」
「シロ。私言ったよね?好きに生きたら良いって。ヒーローも復讐もやれば良いって。もう忘れちゃったの?」
「アンナちゃん・・・今日はよく喋「は?」はいすみません何でもないです」
「とにかく。シロはもう吠舞羅のメンバーなんだからシッカリしてよね」
「ママ・・・」
「誰がママか」
唐突な身内ノリに場は混沌へプルスウルトラしかけたが、AFOの言葉で再びシリアスな空気を取り戻した。
「随分と早い到着だね。まるで僕が来ると分かっていたみたいじゃないか」
「小賢しいゲスほど考えることはシンプルやからな。オールマイトがいる、生徒を人質にとれる、校舎から少し離れていて増援は望めない、とまでくれば『必ず来る』と考える方が自然やろ?」
高槻シロの知識にあった、なんて言えないため吠舞羅で一番頭がキレるグラサンタバコイケメンがテキトーに言葉を返すと、AFOは「ふむ」と一人ごちした後。
高槻シロから視線を外した。
「・・・どうやら、今日はこのくらいにした方が良さそうだね」
AFOがそう言うと、AFOの背後に紫色のモヤが出現した。黒霧と呼ばれる男の個性『ワープゲート』、文字通りワープするゲートを作り出すとかいう作中屈指のツヨツヨ個性は案の定AFOの元に渡っていた。
「あぁ、そうだ。脳無は置いていくよ。後は好きに使ってくれ」
「!?待て!!!」
事前にシロから聞いていた相澤消太が『抹消』の個性を発動したが、モヤは消えなかった。AFOは悠々とワープゲートをくぐりかながら振り向き、一言こう言い残した。
「高槻シロくん。また会おう。今度は味方として」
AFOの姿が消えると、別のゲートが開き今度は大勢のヴィランが姿を現した。
赤の王とそのクランズマン、それからA組と相澤消太(あと13号)に対する威力偵察が目的なのか、はたまた単なる気まぐれなのかは分からないが、いずれにせよ言えるのは・・・・・・戦わなければならないということだった。
「13号、生徒を守れ!!!アイツらは俺が「死ねぇえええええええ!!!!」爆豪!!!勝手に飛び出すな!!!」
「ムシャクシャしたので俺も行きますねー」
「高槻おい止まれ!!!!」
「・・・・・」
「轟、お前は無言で行くな小学生か!!!」
「じゃあ俺も」「じゃあ俺も」「じゃあ俺も」「じゃあ俺も」「じゃあ俺「「「どうぞどうぞどうぞ」」」嘘だろ!?!?」
「やってる場合か!!!」
相澤消太はこの日の夜、初めて喉薬を服用した。