緊張と不安がピークに達した主人公は・・・・・。
三回戦。完全実力主義のタイマン勝負(トーナメント)。幽遊白書の暗黒武術会と同じく円形のステージで殴り合うだけの形式で、USJの件で大活躍したA組がトップ争いをするのだろうなと思われていたが、蓋を開けてみればB組の方が目立つ形となっていた。
主に、物間寧戸個人が、だが。
「ハハハハハハハハ!!!!どうだいA組!!!何もできず、蹂躙される立場は!!!」
物間寧戸の頭上には白色の『ダモクレスの剣』が浮遊していた。
「・・・・・シロくん。アレも『ダモクレスの剣』なの?」
「・・・・・あぁ。物間寧戸が、『無色の王』第七王権者にを引き継いだみたいだな」
緑谷出久の言葉に、高槻シロは難しい顔をしながらゆっくりと頷いた。そしてステージを見下ろしながら、「アレは・・・・・どっちなんだ?」と呟いた。
ステージでは透明なバリアを張った物間寧戸に、推薦入学の八百万百が圧倒されていた。八百万百が個性『創造』で武器を生み出すが、全てバリアで弾かれ、ジリジリとバリアに押されるようにしてステージの端の方へと追いやられていく。大砲すら効かないと知った八百万百は、今度は毒ガスを放つが物間寧戸には届かず手前で霧散した。
「そろそろ終わりにしようか、A組ぃ!!!!」
物間寧戸が叫ぶと、八百万百はバリアに弾き飛ばされ、そのままステージ外に叩き落とされた。
「八百万さん、場外!!!物間くんの勝ち!!!」
ミッドナイトの宣言に、観客が沸き立った。
A組の推薦入学者がただのB組に負ける。こういうのを待っていた観客は口々に物間寧戸を褒め称えたが、高槻シロだけは真逆の反応を示していた。
「ちょっと行ってくる」
高槻シロはそう言うと、観客席から飛んだ。
「は?」
高さ2mはあるであろう場所から飛び出した高槻シロは、そのまま自由落下せず、フワフワと飛行しながらステージまで飛んで行った。
「おや?A組の君がどうしてココに?君の出番はまだ先だろう?まさか、ルールすら無視して敵討ちでもする気かい?それはヒーローどころか人として失格の行いだよ?」
「高槻。流石に見過ごせ「王権者として、物間寧戸を拘束します」」
高槻シロから白銀の光が溢れ出し、光は束となって空中に一本の剣を作り出した。
突然の蛮行に観客がザワつき、相澤が席から立ち、状況が分かっていないプレゼントマイクが「おいおいコレはどういうことだ?」と地声で呟く。
「物間寧戸。お前は『無色の王』で間違いないな?」
「そういう君は・・・・・あぁ。『白銀の王』っていうんだ。へぇ、不老不死の、最強の王なんだ。へぇええ(笑)」
「・・・・・質問を変える。キツネみたいな煙について何か知らないか?」
キツネみたいな形をした煙。それはアニメKにおける第1期のボス的な存在である。ソイツは『無色の王』の力を悪用し、人の身体を乗り移りながら混乱を招き続け、やがては『赤の王』が死ぬ要因となった。
『無色の王』というのは、もはやこの世界においては核爆弾クラスの地雷キャラなのである。
「さぁ。何のことかな」
キツネ煙について聞かれた物間寧戸は、至って冷静な風にしらばっくれた。これがもし原作通りの『無色の王』なら高笑いの1つでもしていただろうから、本人じゃないのか?物間寧戸は物間寧戸なのか?いや、原作を信じすぎるのも良くないか。
ソコまで考えた高槻シロは、考えるのが面倒になって全部を『青の王』(事後処理担当)に丸投げすることにした。
「取り敢えず、お前は拘束する。抵抗しないでくれると助かるんだが」
「ソレで『はいそうですが』と言うとでも?」
「だろうな。じゃあ、やるか」
白銀と無色のバリアが正面からぶつかった。余波でステージに転がっていた瓦礫が全て吹き飛び、衝撃波はさっき行われた『緑谷VS轟』並みのものとなった。観客が風圧に押されて凄い顔をし、幸い幼児が飛ばされることはなかったが代わりに数人の飲食物がお陀仏となった。
拮抗は一瞬で、すぐに白銀の光が白を弾き飛ばすと光の中から物間寧戸が飛び出してきた。そして身体を捻って回転しながら放たれた蹴りを腕一本で受け止めた高槻シロは、ヤクザキックで物間寧戸を蹴り飛ばした。
ドガアアアアン!!!という爆音とともに物間寧戸が壁に突き刺さり、観客席から悲鳴があった。
「ちょいちょいちょい!高槻少年!!止まりなさい!!」
事態を重く見たオールマイトが高槻シロの前に立ちふさがると、流石にオールマイトには手を出せない高槻シロは足を止め、未だに状況が飲み込めていない全員が口々に高槻シロを批判し疑いの眼差しを向けた。続いてやって来たヒーロー達が高槻シロを囲み、次々と武器を向けた。
「・・・・・」
しかし無敵バリアのある高槻シロは怯むことなく、何事も無かったかのような様子で明後日の方向を向いた。つられてヒーローの一部が高槻シロの見ている方向を向くと、そこには青服の男達がいた。
「はじめまして、皆さん。
私は第四王権者『青の王』宗像礼司。今日はそこの第七王権者『無色の王』の拘束に来たのですが・・・・・道を空けてくれませんか?」
『セプター4』。青の王とそのクランズマンの登場に、しかし王権者のことを知らないヒーロー達は戸惑うばかりで道を開けることすらせず、場を静観した。
「淡島くん」
「はっ」
宗像礼司の言葉とともに、彼の傍に控えていた妙齢の女性が一歩前に出た。
「我々の名前は『セプター4』。政府公認の王権者関連を統括する部隊である。
今日は15の罪と30の余罪を持つ『無色の王』の拘束に来た。大人しく引き渡しに応じることを願う」
「そういうワケだから、みんな武器を下げてくれるかい?」
「こ、校長先生!?」
「オールマイト。生徒が心配なのは分かるが、今回は拳を下げて欲しい。大丈夫。彼らは悪人じゃないよ。ただお仕事をしているだけなのさ☆」
ネズミの校長先生がリングまで上がってきて、場を収めた。
「ご協力、感謝いたします」
「いえいえこちらこそだよ『青の王』。それとシロくんも、ありがとう」
「あ、はい」
「ただ、今度からは動くより先に相談をして欲しい。君の力はあまりにも異質だからね」
「・・・・・はい」
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青服の男達が物間寧戸を担ぎ上げ、どこかに連れ去って行く。流石に青服の男達が怪しすぎて「私もついて行こう」とオールマイトが言い出すが、宗像礼司はそれを拒否。折衷案として高槻シロが付き添うことになり、体育祭は物間寧戸と高槻シロ抜きで最後までやることとなった。
「あの・・・・・私が行きましょうか?」
途中、拳藤が付き添いに立候補したが、淡島が耳打ちすると何も言わなくなった。
雄英体育祭はその後つつがなく全てのプログラムが終了し、誰もが腑に落ちないまま爆豪勝己の優勝で幕を閉じたのだった。