スマイルプリキュアS   作:友だち

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(7) 繋がる心 ④

 沈んでしまったあかねちゃんたちを助けるためには、私はあの泥に飛び込む必要がある。だけど、その能力は誰が使うのか。コアソウルなのか、マリなのか。

 バッドエンド王国との戦いでは、ウルフルンたち三幹部たちができることは少なく、呼び出したアカンベエに頼りっきりであることが多かった。

 だからコアソウルが黒い液体を出すことに賭けることにする。

「コアソウル。キュアハッピーを倒して」

 マリの表情は見る限りに驚いていた。

 彼女の命令を聞いたコアソウルはひと際大きな叫び声を轟かせた。空気が揺れるようだ。

 私の目の前に立つコアソウルは、姿は人魚。そしてもう一つの要素として網を使ったことから、漁業の人だろう。

 コアソウルの人魚は、鋭い眼差しで私を睨みつけた。その目には冷酷さと凶暴さが宿っている。私は身構え、深呼吸をして心を落ち着かせた。これまでの戦いで鍛えられた直感が危険だと告げてきている。

 人魚はその声に応えるかのように、私に飛びついてくる。鋭く爪を振り下ろしてきた。私はそれを見て、ギリギリのところで回避した。だが、人魚はすぐに次の攻撃を仕掛けてきた。その動きは素早く、次々と襲いかかる攻撃は休む暇も与えない。

 私は反撃に転じるべく、全力で拳を振りかざした。しかし、人魚はその攻撃を巧みにかわし、逆に私の側面を攻撃してきた。鋭い痛みが走り、私は一瞬よろけた。

 私は咄嗟に右掌を見せて、人魚に向けて光を放射した。光は人魚の顔に当たり、その攻撃を一瞬止めた。その瞬間を狙い、私は足を人魚の胴体に蹴りを刺すようにいれた。人魚は体をくの字に曲がり、飛ばされ、近くの塀に激突した。

 私は追撃しようと数メートルの距離を埋めようと走る。

 コアソウルはすぐに起き上がった。そして右手に網を持っていた。あの網は横に平べったい形なので、自分に絡みついても抜けることはできる。だけど、強度が大きくて破ることは困難だ。私はさっきの経験から近づくのは危険だと判断して止まる。しかし、コアソウルは右手を振り。網を私の上空に投げた。

 バサっとパラシュートが開くように網が開いた。正方形になっている網の端には銀色の杭があった。さきほど、沈んでいくあかねちゃんたちのもとへ向かおうとする私を拒んだ網。あれを私が突破することができなかったのは、あの杭が強力だったからだろうということを直感的に分かった。私は後ろに飛び跳ね、網に落下地点から避ける。

 地面に網が落ちると杭が地面に刺さる。もし私が網を避けなかったら完全に拘束されていただろう。

 ━━この世界に来て1ヶ月が経った。”前の世界”では私は中学3年生に上がっているはずだ。

 この世界でプリキュアとして戦うごとに、自分の無力さを思い知らされていった。だからなおちゃんやれいかちゃんがプリキュアになれないのではと思った瞬間、私の胸が傷んだ。私はみんなの力を求めた。みんなの力が私の隣にいてほしかったのだ。

 ━━その力は、みんなだけの力だ。私の力じゃない。私が使おうとしてもうまく扱えない。

 どうして私はそんなことに気がつかなかったんだろう。

 私は空にハートを描く。

「《プリキュア・スターダスト・ライト》!」

 桃色の軌跡を集め、光屑が放射状に放たれる。質量を伴った光は人魚へ向かう。

 人魚は下半身を巧みにしならせ、上空へとんだ。星が少し瞬く夜空に、真っ暗闇の穴ができたようだ。私は空を見上げた。その途端。

 足元から悪寒がした。

 すると私のつま先1メートルほど前方で確かに黒い光が見えた。そこから広がるように闇が広がった。これは━━━━、間違いない。あかねちゃんたちを連れ去った黒い液体だ。私の足元を飲み込んだ直後、私のかかとが沈んだ。

 私は尻餅を付いた。私のお尻が液体に落ち、黒い泥が跳ねる。黒い粒が放物線を描き、私の頬に落ちた。

 私の頭が割れるような痛みがした。

「が、あああああ!?」

 思わず右手で頭を抑えた。

 だけど、プリキュアの力を奪われたみんなの痛みはこんなものじゃなかったはずだ。想像を絶する痛みだっただろう。頭を刺し続けられるような痛みを耐えながらもう一度空を凝視した。

 バサッ。

 私を包むように、網が開いていた。私を捕獲するつもりだろう。みんなも同じように捕まえられたのだろう。

 私は腕を伸ばす。格子状の編まれた網のすき間を、左腕がくぐり抜けた。そのまま腕を丸め込むようにして網を掴んだ。そこでちらりと黒い液体が作った沼のほとりを見た。網を固定する杭は、地面に刺している。この網を持っていれば地面に落ちることはない。

 でも、私が落ちればそこにはあかねちゃんたちがいるはずだ。それをしないのは私が落ちたくないからなのか。

 ━━違う。黒い沼は人魚のコアソウルが作っている。沼の開閉も自在に行えるだろう。もし私だけが落ちてしまえば"この世界"と沼内とを繋ぐトンネルが二度と開かないかもしれない。私はそのことを恐れているのだ。

 上空では天高く飛び上がったコアソウルが、私に向かい降りて生きている。下半身をしならせ、私を落とすつもりだろう。そうはさせない。私はもう一つの腕も、網の穴をくぐり抜けさせる。人魚が尾を振り落としてくる。それを私の右腕で受け止め、握りしめた。尾びれが私の右腕を掴む。

 ギャアアアアアア、と人魚がわめき始めた。私の行動にびっくりしたからか、左右の杭が外れた。そのまま私とコアソウルは落ちていき沈み始めた。頭に差し込む激しい痛みのまま、私は暗闇の中へ落ちていった。

 

 

 ソウルフルパクトが光った。淡い桃色の光が私を包んだ。すると、頭をつんざくような痛みが消えていった。スマイルパクトで変身したプリキュアの力は、バッドエンド王国の力、即ち皇帝ピエーロに対抗する力を持っていた。そのように、ソウルフルパクトが作るプリキュアは、コアソウルに対抗する力をを持っている。

 ソウルフルパクトが放つ光は、単純に暗闇を照らす灯りとなった。真っ暗闇の中、かすかに見える。上を見ると、暗闇の中、なんとなくだが黒い穴が見えた。そこからほんのわずかだが、光があふれ出そうだった。右腕でコアソウルを掴んだままにする。私が離せば、コアソウルは瞬く間にあの穴へ泳ぎ昇っていくだろう。

 コアソウルは暴れるものの、私の力になすすべがないようだ。

 そのまま沈んでいく。暫くして、光が見えた。その色、橙。私ははっとした。そのまま沈んでいくと、黄、緑、そして青。間違いない。この光はみんなのものだ。私が放った、だけど私の物ではないソウルフルパクトの光。4つの光は持ち主に呼応してより一層大きな光となってこの空間を照らしていた。私たちを結びつけた光によって、私は導かれる。

 100メートルほど沈んだ。そこでようやく全員の姿が捉えられた。

 私は視界に入った瞬間言葉を失った。4人は仰向けになったり、うつ伏せになったりして、この空間の中に確かにある地面に横たわっていた。仰向けにたおれるやよいちゃんは目をつむり、意識を失っている。だけど、その顔色には生気が伴っていた。沈んでいくときの顔つきは真っ白になっていた。だけどこの空間で少し回復をしていたのだ。自分のソウルフルパクトの光が、自分自身を守っている。

 私が全員からこの力を取り上げたからだ。私の中に深い後悔がまた押し寄せる。だけどこれからどうするかだ。

 そう考えた時、私の右手で人魚がさらに暴れ始めた。

 見上げれば、私の右腕を貫通していた網がいつの間にか消えていた。

 しかし、コアソウルは魚の下半身をひどく動かせる。ここは水の中と考えてよかった。思えば肌の感触が空気で満たされた地上じゃない。人魚が住む海の中なのか。となれば、今のコアソウルは水を得た魚。重力など気にもせず四方八方に動くことができるわけだ。

「わああああああああ!?」

 360度。上下左右前後関係なく振り回される私は思わず、どっちが地面でどっちにみんながいるのかわからなくなった。それでもこの手を離さないと両手を使い必死にしがみつく。だけど、私は無力だった。

 何もすることが出来ない。

 そして、しばらくたって、人魚のコアソウルは一定の方向へ動き始めた。重力が上から下へ流れているのを感じ、人魚が向かうのは上方向にある”この空間”と”地上”を繋ぐトンネルだということを察知した。

 いつのまにかつむっていた目を開けて、人魚が向かう先をみるとやはり穴がある。

 まずい。まずい。まずい。頭の中でなんとかしようとする。

 とにかく、私は左手で光のエネルギーを上空へ。下向きに発射されたジェットエンジンとして、なんとか上へ向かうコアソウルの動きを阻害できないかと考えた。だけど無駄だった。私の体力がなくなっていく一方だ。海の中を自由に舞う人魚にはどうということは無かった。

 このままでは、みんなが。

 下を向く間にも、みるみるうちに上のほうへ人魚が向かっていった。

 

 ***

 

 みゆきの声が聞こえた。しかし、あかねはどう返答したのか覚えてはいなかった。名前を呼んだだけのような気もするが、本当にそうなのかは分からない。

 気が付けば、あかねはどこかに立っていた。

 下を向けば、黒ずんだ赤い大地。

 周りを向けば黒い瘴気で周りがよく見えない。しかし、隣には。

「あかねちゃん.......」

「やよい.......」

 同じプリキュアの仲間であるやよいの姿があった。

「ちょっと、やよいの姿透けとるで」

「え.......。でもあかねちゃんだって」

 あかねは自分の手を見る。確かに、自分の手の奥には赤黒い大地が透けて見えた。自分の体が半透明になっている。

「ここは.......」

「どこでしょうか」

 なおとれいかの姿もあった。彼女たちの姿も確かに透けていた。

 みゆきにプリキュアの力を与えられた4人がいた。

 もう一度回りを見渡せば、岩々しい大地。荒廃した世界。ジェットコースターのように、空を蛇のようにくねりながら行く岩があった。

 あかねはここがどこか知らない。見たことが無かった。

 ここは━━。どこだ。

 そう、顔を見合わせていると、「危ない!」というれいかの声が響き渡った。

 あかねはれいかが見ている方向を見ると、目の前には巨大な顔があった。あまりもの突然のことだったので、あかねは顔という認識しかできず、思わず両手で顔を抑えた。顔に激突するので防御をしたのだが、当たらなかった。体がすり抜けたのだ。

 顔を上げて、今通り過ぎ去っていったものを見る。岩を破壊しながらも進むその姿は、蛇のようだった。体長は50メートルはあるだろうか。とにかく巨大だった。顔をみると、まず、黄色くて丸い鼻が特徴的だった。そして引き裂かれたかのように横に長い口から、これまた大きな舌が飛び出ていた。目は白く丸い玉に、黄色い眼球と闇のように黒い瞳が見えた。

「まさかあれは━━━━アカンベェ」

 れいかが再び口を開いた。

「アカンベェ━━━━?」

 あかねはなんとなく聞いたことがあるその言葉の出所を思い出す。

 そうだ。数日前、みゆきの家にまぬかれた時に話してくれた、みゆきかつて戦っていた《バッドエンド王国》の怪物。

「えーーーーと。一番の特徴は、まず大きな鼻かな? 赤だったり、青だったり、黒色もあったね。あと黄色もいたような」

 そんな風にみゆきがいっていたアカンベエの特徴を思い出す。完全に一致している。

 そんなことを考えるうちに、アカンベェと戦う姿が見えた。遠くで細かくは見えないが、あかねの動体視力で鮮やかな桃色のツインテールを捉えた。

 あれは、間違いない。キュアハッピーだ。

 彼女は必死そうに、アカンベエと戦っていた。

「もしかしてこれが、みゆきちゃんが戦っていた世界なの?」

 なおが呟いた。

 先日のれいかの考察で、みゆきが別世界から来た人間だということはほぼ確定的だとあかねは思っていた。こんな黒ずんだ希望のない世界で戦っていたのか。

「とにかく、あっちに行ってみよう」

 やよいが声に出した。ここがどこなのかは分からない。そして、今自分たちがそういう状況なのかもつかめない。あかねたちは足を動かし、アカンベエとハッピーが戦うほうへ足を進めた。

 しばらくすると、キュアハッピーの姿が近くから見えるようになった。

 だが、彼女に干渉することはできない。自分たちは見ることしかできていない。

 ハッピーは突撃してくるアカンベェの顔を抑えていた。

 よく見ると、彼女の姿は、自分がよく目にしたものと違っていた。馬鹿でかいツインテールは同じだが、その衣装はドレスといえるようなもので、自分たちが変身で纏うコートとはかけ離れて違う。そして耳元には翼のイヤリング。同じく翼型のアクセサリが羽ばたくように付けられ、真ん中には雲形のティアラがあり、ティアラの中央には桃色の宝石が埋め込まれていた。

「なぜあなたはこの世界を拒むのですか」

 男性にしては高く、女性にしては低い、中性的、それでどこか薄気味悪い声が耳に入った。

 あかねは声がした方向を振り向く。アカンベェ側の上空で浮く人の姿があった。

 見た目は一見男性だった。センター分けされた濃色の前髪。左の側頭部から、後頭部、右の側頭部と大きくまとめられた髪はそれぞれ青、赤、黄色。カラフルだが、それが気味の悪さを引き立てている。頭には白い仮面がはめられたている。その見た目にあかねは聞き覚えがあった。

「もしかして、あれは、ジョーカーというバッドエンド王国の幹部でしょうか」

 れいかの言葉に、あかねは納得した。だが、彼はいないはずだ。ふとみゆきは「皇帝ピエーロに吸収されて消えたんだけど━━」と付け加えるように説明していたような気がする。じゃあどうして、あの敵を自分たちが目の当たりにしているのか。

 ここでれいかが、一つ口にした。

「私たちは確かに、見ています。しかし、私たちは目の前の現象に介入することはできません。つまり、見ることしか出来ません。故に私たちは見ている」

「どういうこと?」

 やよいの言葉にれいかは続けた。

「私たちが見ていることしかできないのは、これは過去の光景だからです。一度起きたことを変えることはできません。私たちはかつて起きたことを目の当たりにしているのです」

「じゃあ、これはどういう過去なんだい」

 なおはれいかに尋ねる。

「これは、みゆきさんの記憶でしょう。私たち4人だけが、それぞれ共有してみるものとするのならば、まず浮かび上がりました」

 確かに、自分たちはみゆきのソウルフルパクトと繋がっている。その繋がりの結果なのだろうか。

 あかねがそんなことを考えている間にも、激しい息切れをするハッピーと、必死に戦う彼女を見下し笑みを浮かべるジョーカーの口論が繰り広げられていた。

「わたしはいつものみんながいいから! 元に戻ってほしいの!!」

「なぜです? みなさんこの楽な世界を楽しんでいるのに……」

「心の底からは楽しんでないよ! わたしの知ってるみんなの笑顔は、あんなんじゃないもん!!」

 みんな、とは誰のことだろうか。

「可笑しなことを言いますねぇ……。よく考えて下さい。一生懸命頑張っても、結果が出ないでがっかりして、と〜っても辛かったでしょう? どんなに努力しても結局上手くいかない。人に笑われて……、嫌な想いをするだけです。みんなを巻き込んだのに失敗して、仲間の頑張りを全て無駄にしてしまった……。何か意味がありましたか? 思い悩んで考えても、結局は友達に迷惑をかけて、情けない自分にウンザリするだけ……。それなら最初から頑張らなければ、そんな思いもしなくて済む。失敗する事も無いんです。」

「うわあああああああああ!!」

 アカンベエに弾き飛ばされるハッピー。

「みゆきーーーー!!!!!」

 もう一人、誰かの声が聞こえた。小さい女の子のようだ。しかし、声に出していたのは人ではなかった。手の広にのせれるくらいの小さい二頭身の体。おでこには桃色のハートマーク。頭の横にはくるくるまきにされたやわらかそうな毛。あれはおそらく、キャンディという名の妖精なのだろう。

 吹き飛ばされたハッピーに追い打ちをかけるように、アカンベエは自身の腹を落とし、ハッピーを潰そうとした。しかし、ツインテールの少女は必死に両手をかざし、振り落とされる巨体を受け止めた。

 必死に輝かせるその眼。息が切れ切れのまま、ハッピーは語り始める。

「私、メルヘンランドであなたにボロボロにされた時に分かったの。泣いたり、悩んだり、一生懸命考えたお陰で、それまで知らなかった自分に気付けたし、自分にとって何が一番大切かも分かった! わたし、キャンディが大好き。それと同じだけ、友達も、家族も大好き。だから━━みんな一緒が良い。みんな一緒の未来が、きっとわたしのウルトラハッピーなんだって━━」

 友達は下らんくなんかない!

 声が聞こえた。自分の声だ。言った覚えがない、でも間違いなく自分の声だ。

「な、なに、今の━━? 私の声?」

 やよいが隣で疑問の声を出した。自分と同じ現象が起きているのだろう。

「答えを出すのは大変だし、面倒だし、苦しいし・・・でも、辛いかもしれないけど、私達はそうやって少しずつでも前に進んでいきたい。不器用かもしれないけど、私達は皆と一緒に未来に向かって歩いていきたい。皆で進む未来はきっと! キラキラ輝いてるから!」

 ハッピーは訴えかけるように叫ぶ。だがそれを打ち砕くように、アカンベエの目が光り、光線となってハッピーの体を吹き飛ばす。

「いくら叫んでも、あなたのお仲間には届きません」

 ジョーカーがあざ笑う。やはりハッピーは誰かのために戦っていたのだ。だけど、共に戦う仲間はいない。

 アカンベエは再び瞳から光線を、それも複数放つ。

「あああああああああああああああ!!」

 連射される光線。すべての攻撃が直撃する。満身創痍ハッピーは、ふわりと体を宙に浮かせた。うつぶせになって地面に墜落した。彼女の体は動きそうにない。次の攻撃で、完全に倒れるだろう。

 だれか、彼女を助けて。

 あかねはそう思いながらじっと行く末を見る。

 妖精キャンディがハッピーの前に立ち、その身をアカンベェに向ける。既に涙で潤んだ瞳は、覚悟を決めてアカンベェを睨んでいる。

「キャンディ逃げて!」

「キャンディもいっしょにたたかうクル。こわいけどそうきめたクル」

「アハハッハハハハッハハッハ!!!二人まとめて消えなさい!!!」

 より一層甲高い笑い声をひびかせ、ハッピーたちを消そうとする。

 アカンベェの口から放たれた特大の光弾。

「キャンディ逃げてーーーーー!!!」

「ハッピーーーーー!!!」

 もう、逃げ場は無かった。

 途端、炎が見えた。光線をかき消し、あたりには火の粉が舞う。

 ハッピーの前に立つ少女がいた。ハッピーと同じイヤリングと宝石の色が違うだけのティアラ。右に伸びる一本の翼のアクセサリ。そして橙のお団子━━。見たことがある。服装は違うが、間違いない。自分と瓜二つどころではない。全くの同じ━━━━。

「届いたで、二人の気持ち!!」

 キュアサニーは倒れるハッピーに向けて力強く言葉を出した。

 自分だ。自分があそこにいる。だが、自分はここにいる。あかねは混乱した。彼女は誰だ。

 眩暈がした。こうなる覚悟は出来ていた。れいかからもう一人の自分についての話を聞かされていた。だけど、あかねは耐えられなかった。もう一人の自分がいるという事実に。ぐにゃりと視界が歪み、あかねはは地に手をついた。

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