スマイルプリキュアS   作:友だち

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(9) 祖父母と孫 ②

「おばあちゃん」

 私は障子をあけて、れいかちゃんとおばあちゃんの部屋に入り込む。部屋の中は静かで、おばあちゃんは食卓となる小さい丸い机で本を読んでいた。。おばあちゃんが読んでいたのは厚みのある小説で、その本が放つ古びた雰囲気が、なんとなく”この世界”の自室にある大量の本と同じような雰囲気を醸し出していた。

「どうしたの?」

 おばあちゃんは目を上げて私たちに気づき、優しい笑顔で迎えてくれた。

 私は少し緊張しながらも、私は自分の胸の中の不安を隠しながら言葉を選んだ。

「少し、昔の私について教えてほしいんだ」

 私は小さな声で言った。おばあちゃんの表情が一瞬曇ったように見えたが、すぐにまた微笑みを浮かべた。

「昔のみゆき.......」

 おばあちゃんはそう言いながら、ゆっくりと本を閉じて膝の上に置いた。もちろん、”昔の私”は”この世界の私”のことであり、別人だ。しかし、そんなことを一般人であるおばあちゃんに言えるはずはなく、私は嘘をつくほかない。

「そうね。最近(みゆきの)お父さんから聞いたの。みゆきの様子が変わった。普段より明るくなったって。それと関係あるの?」

 おばあちゃんは穏やかに問いかけた。

「ぐぐっ」

 なんだか、私が身代わり状態みたいになっているのがバレているのだろうか。普通なら思いつくことも、思いついたとしても疑うことすらないだろうから大丈夫、そう自分に言い聞かせた。

「いいわよ」

 おばあちゃんが詮索をしなかったことに感謝する。私はゆっくりとおばあちゃんの前に座った。れいかちゃんも私の隣に座り、静かにおばあちゃんの話を待った。

「それで、いつのこと?」

 おばあちゃんが尋ねる。

「うん。えっとね。私がお父さんの仕事の関係でおばあちゃんの家に住んでいた時かな」

「そう……」

 おばあちゃんは少し考え込むようにしてから、近くの机に置いてあったコップに入ったほうじ茶を少し飲んだ。これから話す時間が長くなる。そんな予感がした。

「知っているでしょ、みゆきは今と比べてずっと人見知りだったのよ」

 おばあちゃんの言葉に、私はただ頷いた。それは”別の世界”から来た私も同じだからだ。

「みゆきさんから、そんなことを聞いたんですが本当だったんですね」

 れいかちゃんが感心したように言った。

「ええそうよ。近所の人たちに対してもね、私に張り付いていたのよ」

 おばあちゃんの声には懐かしさが滲んでいた。

 みんなに”前の世界”の私のことを話したが、やはり私の幼少期のおとなしさに驚くのは、”前の世界”のあかねちゃんたちとの反応は変わらなかった。そんなに、意外だったのか。それとも意外と感じる人たちしかいなかったのか。

 ううん。普通なら意外というのが普通だろう。なぜなら私は一度普通ではない体験をしたのだから。

 スノーホワイトに染まった、大人らしくも子どもらしくもあるワンピースに、桃色のリボンがついたキャプリーヌ。小麦色の長い髪と瞳。彼女の笑顔で私は勇気をもらった。雪のように美しく、しかしあっという間に消えていったあの夏の日々――。

 感傷に浸る私を見てか、おばあちゃんは言葉を止めた。

「どうしたの?」

 おばあちゃんの声が柔らかく響く。

「ううん。私も昔を思い出して.......」

 私は少し照れたように答えた。

「そう。続けてもいいかしら」

「うん」

 彼女がいたから今の私がある。決して何物にも何者にも変えることはできない思い出。私の魂の核ともいえるような、胸の内に残る記憶。

 だから私は次の言葉に引っ掛かりを覚えた。

 「ある日、みゆきは見覚えのない古い動物のぬいぐるみを見つけてきたの」

 ぬいぐるみ。私の家にもある。熊さんとかひよこちゃんたちとか。でも私は、おばあちゃんからぬいぐるみをもらったことは無い。拾った記憶もない。この地域でもらったもので、明確に”もの”と呼べるものは、ここらの畑でとれた野菜や果物、なけなしのおこずかい、そしてあの翼型の手鏡だけ。

 ここが”この世界”と”私自身”を大きく分けたものだという確信が生まれた。

「見覚えが無いとは――?」

 れいかちゃんが尋ねる。

 「みゆきにどこで拾ったのって聞いたら、家で拾ったって言ってたの。でも私もそのぬいぐるみを知らないの」

 れいかちゃんが何か察したような反応をした。おばあちゃんは何か”この世界の私”について重要な情報を言っているような気がしたと、私はなんとなく思った。

「それでね、そのぬいぐるみを見つけてから、みゆきの様子が少しずつ変わり始めたの。でも、そのぬいぐるみを見つけてからは、毎日そのぬいぐるみと一緒に遊ぶようになったのよ。朝から晩まで、一緒におままごとをしたり、お話をしたりしていたわ。今日は何を話したのかって」

おばあちゃんは懐かしそうに微笑んだ。

「そのぬいぐるみは、なんの動物だったんでしょうか」

 れいかちゃんはもう一つ質問をした。

「白いウサギさんだったわ。ふわふわした毛並みで、大きな耳が特徴的だったのよ。白いウサギが出てくる童話はたくさんある。日本のものだと、『うさぎとかめ』、『カチカチ山』。海外のものだと『うさぎとはりねずみ』、『不思議の国のアリス』など、私にとっては馴染みの深いぬいぐるみではあるの」

 おばあちゃんの説明に、私はますます混乱した。なぜなら、私の家にはそんな白いウサギのぬいぐるみは存在しないからだ。

「でも、あるときからみゆきはそのぬいぐるみを持って外へ出るようになったのよ。それまでは家の中だけで遊んでいたのに、外に行くようになったの。そして、ある日そのまま夜まで帰ってこないことがあったの。様子を見に来た(みゆきの)お父さんお母さんと一緒に探し回ったわ。幸い近所の人がたくさん見ていたらしく、見つけることはできたけどね。みゆきは公園のベンチでぬいぐるみを抱きしめて寝ていたのを見つけたの。ホッとしたけれど、その時の光景は今でも忘れられないわ」

 私が知らない私の物語。きっと彼女はこの思い出を胸にして、中学生になって、高校生になって、大人になっていく――はずだった。だからこそ、”別世界の私”、自分自身が未来への道を奪っていることを改めて認識して胸が痛い。

 だけど、私に何ができるのか。彼女の人生を取り戻すことはできるのだろうか。そのために何もしていないのに、何もできないのに、心を痛めるだけで何かあるのだろうか。私はただ、悲しむ自分を感じて、自己肯定感を満たすためだけにやっているだけなんじゃないか。

 だけど、今はそんなことを考えてもどうしようもない。

 私は、今しようとすることをやるしかないんだ。

「それでおばあちゃん?」

私は少し声を震わせながら尋ねた。

「どうしたの?」

「そのぬいぐるみは今どこにあるのか、おばあちゃんは知っているの?」

「いいえ。そもそもみゆきは引っ越しの時に持っていったきりだったわよ」

「そう……」

 私の家にも、ウサギのぬいぐるみなんて無かったはずだ。でも、おばあちゃんの話を聞く限り、私がそのぬいぐるみを捨てることはないはずだ。普通に考えたら無くしたと考える。もちろん、二つの世界の私同士はそれぞれ別人だ。

 だけど、”私自身”の経験上、星空みゆきならあり得てしまう。

 私は胸の中で様々な思いが交錯するのを感じながら、おばあちゃんの話をじっと聞き続けた。何か大切な手がかりが隠されている気がしてならなかった。

 

 

 

 おばあちゃんの話が終わった日の夜、外は熱帯夜の真っ只中だった。家の外では、セミの鳴き声が絶え間なく響き渡り、昼間の暑さを引きずるように夜の空気もじっとりと重い。おばあちゃんの家は田舎の広い一階建ての家で、風通しがよく、昔ながらの広い部屋が特徴的だった。

 私たち五人は、そんな広い部屋に布団を五枚並べた。畳の上に敷かれた布団は、かなり広々とした空間を作り出し、隣同士がぎりぎり触れ合うことのないほどにゆったりしていた。部屋の中は木の香りが漂い、洗濯したてのふかふかの布団で気持ちよく寝ることが━━━━出来そうになかった。

 外の木で盛大に鳴き続ける蝉の音がここまで響いてくる。

 灯りを消し、真っ暗闇の部屋の中に入っている鳴き声がうるさいうるさい。

 ミンミンミンミンミンミン。

 一瞬も途切れることなく、夜空にこだまする。

 しかも暑い。

 明らかに熱帯夜。クーラーが無い部屋の中では気温調節をすることは不可能だと思う。

 何度も私の隣で寝返りをうつあかねちゃんがいた。

「寝れない」

「さすがにうちでも暑すぎて寝れんわ」

「私もーーーー」

 熱中症もよくなったやよいちゃんも、私たちに反応してくる。

「え、全員起きとる?」

「うん」

「はい」

 あかねちゃんの声掛けに、なおちゃんもれいかちゃんも反応した。

 すると、やよいちゃんが一つ。

「せっかくおばあちゃんの家に来たんだから、寝るだけじゃもったいないよね。せっかくだし、話でもしよう」

「ちょっと。やよいちゃんは熱中症で倒れてたじゃん」

「だからだよ。今日なんて電車に乗って歩いて寝た記憶しかないし」

「やろうな」

 みんなから少し笑いが起きた。やよいちゃんの体調は心配ではあったけれども、元気そうだ。

 今日朝から夕方前に掛けておばあちゃんの家にまで移動した私たち。そこからやよいちゃんは寝ていたし、晩御飯もまともに食べていない。

「それでは、せっかくの機会ですので、おばあさまの話の続きでもしましょうか」

 れいかちゃんは提案した。

「みゆきちゃんのおばあちゃんのことだね」

 なおちゃんが反応した。今日ここに来た理由の一つでもある。

 れいかちゃんはおばあちゃんが話してくれたことをあかねちゃん、やよいちゃん、なおちゃんに語った。

 私は布団の上で座りながら、その話をもう一度聞いていた。

 暗さに慣れてしまい、3人の顔がなんとなくだけどわかった。3人はれいかちゃんの話を真剣に聞いていた。

「へーー。それは不思議だね」

 話し終えた後、なおちゃんがまず反応を見せた。

「そうです。あのぬいぐるみ、ただのぬいぐるみではないのかもしれません」

 れいかちゃんが続けて話し始めた。

「もしかすると、妖精ではないのかと思うのです」

 ━━確かに。

 私はなんとなくれいかちゃんの言葉に納得した。

 もし妖精なら勝手におばあちゃんの家に来ることも、私から離れることもありえる。

「妖精ってどういうことや」

 あかねちゃんが怪訝そうな顔をしながら聞き返す。

 するとれいかちゃんはこちらを向き、微笑んだ。

「キャンディ、でしたっけ」

「うん」

 私の同じように頷いた。

 たしかに私は、親友であるキャンディという妖精が隣にいた。そして私は、小麦色の髪をしたあの女の子のことを、妖精ではないかと思っている。

「そういえば、みゆきの過去にいたなあ。あの羊みたいなやつ」

 あかねちゃんが思い出す。人魚のコアソウルに飲み込んだ時に偶然みることになった私の記憶。怠け玉のなかの出来事。確かにあの中にキャンディがいた。キャンディがいなかったら、私たちは怠け玉の中で永遠にバッドエンドのままだったからだ。

「~~クルって言ってた子でしょ。あたしは豚さんにみえたけどな」

「えーー。狸でしょ」

「いえ。キボシイワハイラックスでしょう」

「なんの動物やねんそれ」

 なおちゃんとやよいちゃん、そしてれいかちゃんもキャンディの記憶を頼り、思い思いのことを言い出す。うん。思い思い過ぎる。

 キャンディは羊でも狸でないクル! メルヘンランドの妖精クル!

 って怒りながら否定するキャンディの姿がよく見える。

 みんなはどこか納得していないような反応だった。れいかちゃんも多分、3人と同じよう、ふわふわした現実感を感じている状態かもしれない。

 みんなはキャンディにあったことが無い。もちろんポップにもだってないし、そもそもメルヘンランドのみんなと会ったことがないのだ。

 実際に触れ合ったことがないから、れいかちゃんが言ったことがそんなに納得いっていないのだろう。

「じゃあさ。方法があったらみんなに会ってほしいんだ。キャンディたちと」

 だったら、実際に会ってもらうしかないと思う。

 だけど怖くもある。私は最初”別世界のみんな”を見た時にかなり混乱した。キャンディも飲み込むのは少し混乱するかもしれない。

 キャンディはよくても、”あの世界のみんな”はどうだろう。キャンディと二人で秘密にしておくのか。もう一人の自分を見た時に不快感を感じたと4人全員が現実感の伴った言い方で教えていた。もし別世界に自分がいると認識すれば、”前の世界”のあかねちゃんたちが、”この世界”のあかねちゃんと同じようなことになるかもしれない。いや”この世界”のみんなと同じように、性格が違うから別人だと認識してもらうことはできるはずだ。

 そんなことを考えていると、れいかちゃんが一つ話を切り出してきた。

「では、もし本当にウサギのぬいぐるみが妖精だったとしたら、そのぬいぐるみがどこに行ってしまったのせしょうか」

 れいかちゃんは障子へ、いやその奥へ目を向けた。蝉の鳴き声も、最初は煩わしく感じていたが、今ではどこか落ち着いた雰囲気を醸し出していた。

「だったらみゆきちゃんのように、別世界じゃないの?」

 なおちゃんが尋ねた。

「どこか遠くに、とも考えられますが、みゆきさんの例もある以上その可能性もありますね」

 するとこの場に静かになった。れいかちゃんは話し終えたようで、私たちも特に話すことはなかった。

「ちょっとこの空気どないするん」

 静かになった。

「私は話すことは終わりました。みなさん何かあればどうぞ」

 逆に話題を振られると困ってしまう。

 そんな中、やよいちゃんが答えた。

「ところでさ、最近ヒオリたち三人についてどう思う?」

 やよいちゃんの突然の質問に、私は少し戸惑いつつも何を言いたいのかはすぐに分かった。

 最近は、ヒオリとジラしか見かけていない。最後に見たのは、お花見に行った時だ。マリは自身のスマホを武器にしてコアソウルと一緒に戦ってきたが撃退した。その後に現れたヒオリによって去っていったが、それから姿を見ていない。

「確かに、マリは最近全然見かけないね」と私は答えた。

 彼女たちは基本的にローテーションを組むかのようにやってきた。順番は多少前後するが、一人がこれだけの間来なかったことは無い。そう考えたら、どこか不気味だった。

「そやけどさ、最近問題なく撃退しとるし、特に気にする必要もないんちゃう?」

 とあかねちゃんは余裕そうに言った。

 最近はコアソウルの撃退が簡単になってきてる。その理由は私たちが強くなったからだ。プリキュアになって、1年以上が経過した。私だけに関しては、”前の世界”と合わせて2年以上プリキュアとして戦ってきている。その分パワーは強くなっているし、多分知識も経験も上がっている。

 その時、れいかちゃんが静かに口を開いた。

「勝って兜の緒を締めよ、という言葉があります」

 彼女は詩的な表現を使って言った。

「何それ?」

 私は尋ねた。

「兜とは頭にかぶる防護用の武具で、緒とはあごのところで結ぶひものことを指します。この言葉の意味は『勝った時に油断をして、兜を頭から外してしまうと、どこからの反撃を受けて負けてしまうかもしれない。勝った時でも兜を脱がずに、むしろ兜の緒をしっかりと締めて用心しよう』ということです」

「つまり、油断するなってことだよね」

 やよいちゃんの言葉に頷く。

「その通りです。『勝って兜の緒を締めよ』という言葉の由来は、戦国時代に北条氏綱(ほうじょう うじつな)が息子の北条氏康(ほうじょう うじやす)に書いた遺言『五か条の訓戒』にあります。その中の一つに、『合戦で見事な勝利を得た後、油断が生まれる。敵を侮り、行儀が悪くなることは必ずあること。これは慎むべき。散々こうして、滅亡する家は昔から多い。この油断する心は何事にもあてはまる。勝って兜の緒を締めよ、ということを忘れてはならない』とあります」

「そ、そうか……」

 あかねちゃんは反省する口ぶりだった。

「れいかちゃんはよく知っているね」

 するとれいかちゃんは思い出すように笑い答えた。

「お兄様との勉強の時間で知りました。勝利した後でも油断せずに謙虚であり続けることが大切だと」

 ふと、やよいちゃんがにこやかに言った。

「れいかちゃん、なんだかお兄さんのことをすごく尊敬してるんだね」

 するとなおちゃんが口を出した。

「そうなんだよ。れいかはお兄ちゃん子でさあ。兄からいろんなことを教えてもらったって昔からずっと言っていて.......」

 れいかちゃんは恥ずかしがることもなく、なおちゃんに言葉を許していた。そしてふと視線を遠くに投げかけ、思い出に浸るように語り始めた。

「お兄様は、本当にすごい方なんです。一日中休憩もせずに勉強や剣道の練習をしている姿を、私は何度も見てきました。その姿は、まさに圧巻でした」

 彼女の言葉には、深い敬意と尊敬が込められていた。れいかちゃんの目には、その光景が鮮やかに焼きついているのがわかる。彼女の話を聞きながら、私たちは自然とその情景を想像することができた。

「お兄様が自分に勉強や剣道を教えてくれるとき何時間も付きっ切りになってくれるんです。私はついつい休みたくなりますが、その度にお兄様は決して許さずに笑顔で机に向かうように言ってくれました。『まだ足りないよ。頑張ろう』って。今の私があるのはそんなお兄様の教育の賜物です」

 れいかちゃんの話を聞きながら、私はお兄さんの教育スタイルがどれほど厳しかったのかを理解し始めた。その姿勢には、まさにスパルタの真髄が見て取れるようだった。

「そうして、お兄様のように自分もなりたいと思ったんです。努力を惜しまず、自分を律し、常に成長し続ける姿勢を身につけたかったんです」

 れいかちゃんは、決意を新たにするように、まっすぐに私たちを見つめながら言った。

 その言葉を聞いて、私の中で一つの確信が生まれた。あのスパルタ教育の背景には、お兄さんの存在が深く関わっているのだと。れいかちゃんが語る超厳格な教育方法と、彼女自身が体験した苦労や努力が、まさにお兄さんから受け継いだものだと感じた。

 今のれいかちゃんは、お兄さんとの経験が自分の核になっているのだと感じた。

 その瞬間、私は”前の世界”でのれいかちゃんを思い出した。今のようにれいかちゃんはだれかの言葉を借りることが多かったが、それはれいかちゃんのおじいちゃんが多かった。

 ”この世界”のれいかちゃんが、お兄さんに対して同じような愛情を注いでいる。もしかしたら、二つの世界のれいかちゃんを変えている要素になるのかもしれない。

 しかし、その違いについて口にするのは躊躇われた。私はその理由を察することができたが、それを直接言葉にするのは適切ではないように思えた。

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