私は朝食を食べる。テレビの気象予報士によると、今日も一日中雨が降るようだ。
星空家の味噌汁をすすると、お母さんが話しかけてくる。
「みゆきも明日で卒業ね」
「うん━━━━」
”この世界”にきてもう数週間で、2年。
私の精神年齢は16歳を超えて、もう長くない間に高校2年生相当の時間を生きていることになる。それでも私は”この世界”で中学生を過ごしている。しかしそれも、今日と明日のみ。
「仲のいいひとたちは、やよいちゃん以外は県外にいくのだっけ?」
「うん」
卒業式が終わり、数日も経てばあかねちゃん、なおちゃん、れいかちゃんは外へ出ていくことになる。
その間、私を”前の世界”に返すために尽力してくる話になっている。
それに、やよいちゃんとも進学先が被ることは無いので、高校以降私たちは離れ離れ。もう二度と、同じ教室で授業を受けて、同じ生活をともにすることは無い。
そんなことを考えていると、テレビのニュースキャスターが聞き流せない放送をした。
「先日発見された七色ヶ丘総合公園中の謎の跡。まるで溶けたかのように地面や木々が無くなってていて、その理由はいまだに解明されていません」
この前のコアソウルとの戦いの後、空間が割れて《虚空の泥》が溢れてきた。これまでの戦いでは、コアソウルによって破壊されたものはコアソウルが消えれば元に戻るのに、《虚空の泥》によるものはその限りではない。そればかりか空間にあるものを完全に無に帰している。あれは世界を消すものだ。
ヒオリたちの目的は、”この世界”を壊すことではなく、私が持つ力にあるだろう。だからこそ、この世界に対し興味はなく、世界を無に帰す《虚空の泥》を使うことに躊躇は無い。
じゃあどうすればいい?
どうすれば、”この世界”を救うことができる。
”この世界”に来て私は変わった。その変化は一見して変わらなくてもいい。小さな価値観の変化、ちょっとした豆知識でもいい。”ここ”で起きたことが私の魂に影響を与えれば、私は変化したといえる。あのまま”前の世界”に留まった場合の私とは別人だ。
この世界を見捨てることは、私の2年間を否定しているような気分になる。
それだけじゃない。もっと大切な気持ちがある。私は”この世界”で新しい友達ができた。
友達の世界を守りたい。
そのために、どうしたら、ヒオリたちによるコアソウルによる世界の蹂躙が終わる? 私は何ができる?
答えを口に出すのは簡単だ。
━━私がこの世界からいなくなること。
ヒオリたちは”この世界”に興味がない。だから私が”この世界”から消えれば、きっと”この世界”は救われる。
でも、”この世界”のあかねちゃんたちは私に”この世界”に残ってほしいと言ってくれたのだ。
***
暗い城の中呼び出されたヒオリとジラは長いテーブルの中向かい合う。
「それで、何で呼ばれたの」
ジラは持っている本に視線を移すことは無いまま答える。
「マリさんから何かがあるようです」
「マリ━━━━?」
ヒオリは頬から手を放す。
そんな中、テーブル席のドアが開く。
「お待たせーーーー」
金髪のツインテール。濃い緑の制服に赤いパーカーについたポケットに手を入れたまま、マリが入ってきた。
「1か月もいないで何をしていたのよ?」
最近はマリが不在であったゆえに、ヒオリとジラが”今星空みゆきがいる世界”に向かうことが多くなった。面倒くさがりのヒオリはストレスをためている部分もあった。
「えーー。そんなに経ったの?」
しかし、マリはそんなヒオリのことを気に掛けていない。そればかりか数日間しか離れていないような感覚でいるようだ。こめかみに右の人差し指をあてて、思い出すようなしぐさをする。
とはいえ、このことを追及する気は起きない。ヒオリは一つため息をついてマリに要件を尋ねる。
「それで、どうして私たちを呼んだのよ?」
マリはそれを聞いて、にっと笑い答えた。
「私たちのボスからの指令よ。星空みゆきの魂を回収すること」
ボス━━━━。実際に会ったことは。だが、私はその存在を知っている。それよりも━━━━。
「”あっち”はまだ二年くらいしか経ってないわよ」
違和感を覚えるヒオリに対して、ジラは納得をしているようだった。
「でしょうね。彼女の能力はすでに凄まじいほどに成長しています。おそらく《ルメン・ダスト》もそろそろ底を尽きかけているでしょう」
「でもさすがに早すぎない? もう少し待ってもいいんじゃないの━━━━。いや。もしかして、肉体が」
「いえ、たぶん今も病院でぐっすりだと思います」
「じゃあ、なんで?」
ジラは読んでいた本をぱたりと閉じた。
「いいですか。ちょうどいいタイミングで回収しないと、抵抗されて終わりです。これ以上星空みゆきが力を付ければ、僕たちでは対処できなくなります。”あの世界”の《ルメン・ダスト》をわざと小さく設定しているのはそれが原因じゃないですか……」
勤勉なジラは、ヒオリの知識不足に苛ついているようにみえた。
「了解。それで私たち3人でこれから行けってことでしょ━━━━」
しかし、ふと頭の中に声が響く。
待ちなさい。
女性の声。
「これは━━━━」
聞いたことがあるはずなのに、ヒオリは彼女のことについて記憶を持っていない。しかし、体が、心が覚えている。この雪中の石のように冷たいのに、艶のある声を。
いつのまにか、机の上に時空のトンネルが開いていた。
「これは━━━━」
直感的に理解した。今から、マリの言う”ボス”が現れる。
まず、トンネル内と城内空間の隙間を掴む手が見えた。その手は、若い女の子のものであった。ヒオリの見た目上の肉体年齢よりも、10歳ほど年下だろう。
***
雨の中教室を歩きながら、れいかはこの前共有したことにつて思案を重ねる。
みゆきが話していたジラの様子。
ハッピーが、ジラの過去について詰めた時、ジラは苦しそうに頭をおさえ、必要ないと呪詛を唱えるように繰り返していたという。
ジラの過去に何があったかなんてことに対しては、れいかは興味はない。
だが、彼らとの戦いのためにその事例について考えることは間違いなく重要だ。まず考えなければならないところと言えば、自分の過去を思い出すのに、あのように苦しみことはないはずなところだ。
れいかはジラたちよりも上の存在について考えていた。彼らはジラたちに過去を思い出させないようにしている。自分たちの中でそのような仮説が生まれている。
どしゃぶり雨の音を聞きながら、れいかは半年前まで通いつめていた生徒会長に向かった。ガラガラと音を立てて開いたドアの向こうには、長机4個とパイプ椅子10個ほど。その一席に座っている、一人の女生徒の横顔が見えた。
白く長い髪、物静かで幼いのに、まるで自分より年上かのように思えてしまう風貌。
「すいさん、なんでしょうか」
半年前、新たにこの学校の生徒会長になった白石すいは、老シスターのような笑顔を向けて答えた。
「少し、お話をしようと思いまして」
明日はれいか自身の卒業式でもある。そこから数週間経てば、自分は入学が決まっている高校に通うために七色ヶ丘をでていくことになる。その間、なんとかみゆきを”この世界”から”みゆきがいた世界”に返してあげるようにしたいと考えている。
自分が高校生になってしまえば、みゆきと話したりする時間が一気に少なくなってしまうからだ。
でもそれは目の前にいる生徒会の後輩も同じだ。
「構いませんよ」
れいかはドアを閉める。
その後、机の上に置いてあった紙コップ、スティック茶、お湯入りのポットからお茶を二杯ずつつくる。
一つは自分のためで、もう一つはすいの前に渡した。
「ありがとうございました」
「いえ」
れいかは椅子に座る。
すいの座る向きとは垂直になるように腰を下ろした。
「では、なんでしょうか━━━━?」
すると、数秒経ってすいは口に出したのは、
「雨、止みませんね━━━━」
という言葉だった。
せっかく呼び止めてこれ? と思いもしたが、自分が明日卒業だという事実から話を続けようと思いなおす。
「そうですね。卒業式、できるでしょうか━━━━?」
窓の奥に、大量の雨粒と暗雲が見える。遠くのほうで、眩い閃光が放たれた。
「……無理ですね」
「無理━━━━? 天気予報をみたのですか?」
すいも自分と同様外の景色を見ていた。その中、静かに、そして確かに自信をもって言葉をいった。
「いえ、わかるんですよ、なぜか。れいか先輩も知っているでしょう」
すいはどこか、自分の言った予想が当たること多いことをれいかは知っている。
《そういう星のもとに生まれた》という表現があるように、普通に考えて偶然なのに、なにか必然といいたくなるような出来事ばかり起きてしまう人がいる。
ある人が応援したチームや選手が負けてしまう、といったようなものだ。
みゆきなど、道端でもプリキュアとしても戦闘中、地面に落ちるときはびっくりするくらいの確率で顔面から落ちる。人間頭が一番重いことを考慮してもなお異常な数値を叩きだすみゆきに対して、何かスピリチュアルな要素を疑いたくなる、とやよいが言っていた。
彼女もきっとそいうことがあるのだろう。
たとえば━━━━。
「そうですね。文化祭、3年2組がデザイン賞を獲ることを当てましたからね」
「はい」
どこか他人事のように未来を驚きの精度で当ててくるすいは、明日の卒業式はまともに開催されないといった。
それは非常に残念なことではあるが、それが運命というのであれば従うしかない━━━━。
「ほかにも━━━━」
彼女は紫の瞳をこちらに向けた。彼女の瞳の色を、れいかは見たことがあった。
すると、彼女の穏やかな表情が一変し、
「今日で世界が終わることでしょうかね━━━━」
「きゃああああああああああああああああ」
突然、学校中から悲鳴が聞こえた。
頭の中にふと浮かんだ疑問、すいの予想外の言葉、それに合わせたようにざわめつく学校。
れいかは冗談かと思った。いや普通なら思うに違いない。古代文明や、多くの有名な占い師などが、世界が終わる日を予言してきた。
例えば、2012年人類滅亡説だ。マヤ文明で用いられていた暦の1つ長期暦が、2012年12月21日から12月23日ごろに1つの区切りを迎えるとされることから連想された終末信仰である。
普段そのような話は基本的に知らないれいかでも、その日のことは知っている。テレビでも取り上げられるほど、それほどまでの話題になったのだ。だが、今も世界は滅んでなどいない。
だから、きっと、これも━━━━いや━━━━。
「すいさん━━━━」
れいかは、銀髪の少女の言っていることが本当のことであると思わざるを得ないといえるような《すごみ》を感じた。
すいは笑っていた。さっきれいかが部屋に入ってきた直後に見せた、14歳とは思えないような慈しみのある笑顔ではない。狂気的で、これから起きることを楽しみにしているような笑顔を向けてくる。
「そんなわけないじゃないですか━━━━」
れいかは自分をごまかすように笑顔を見せた。
だが、すいの狂った笑顔は止まない。紫の瞳でじっとこちらを見てくる。
あの瞳の色━━━━。
めずらしい瞳の色だと思った。その色は━━━━、いやそんなわけはない。
「あなたは何を知っているんですか━━━━」
れいかは動揺がきえないままぽつりとつぶやく。
「この世界が《プリキュア》によって消えゆく未来を━━━━」
だめだ。
ここから離れないと。
動揺は恐怖と確信に変わる。
すぐに膝を伸ばし、席を立つ。その拍子に淹れていたお茶が倒れ、生徒会室の机と床に垂れるのを横目で見た。そんなことは気にしていられなかった。
れいかすぐさま、生徒会室を出た。
━━みゆきさんに伝えないと。
れいかは窓の外見えた《不可思議な物体》を見ながら、胸中でそう言い聞かした。
***
学校では、まだ受験が残っている生徒がいるので、卒業式の前日まで授業があった。私はもう受験は全部終わっているので、頑張る気持ちは砂ほども湧かなかったけれども、授業妨害にならない程度にはやった。
朝から降っている雨は一層激しくなった。お昼頃になれば、はげしい雷雨となった。2階校舎から校庭を見れば、一面が水たまり。そればかりか激しすぎる雨でそんなグラウンドの状況すら見ることができなくなっていった。まもなくして、先生から七色ヶ丘に雷と大雨の警報が出たことを知らされた。
放課後になれば、先生や私たちは学校に残ることになった。さすがに、これほどまでの雨では帰ることはできない。いや、そればかりか今晩は卒業式の準備がされた体育館に避難をすることになるのではないか、という声がクラスからでていた。
私は机に座り、さすがにこの雨では生徒を学校から出さないだろうなってのを実感しながら、雨が収まるのを待つ。
生徒の悲鳴が聞こえ始めたのはそこだった。
「な、なに?」
反射的にそう言ったが、自分の中ではコアソウルが現れたのだ、という確信が自分の中にあった。
教室内のやよいちゃんとなおちゃんが一気に自分のもとに集まってくる。
あかねちゃんは前の席なので、すぐに自分に向き返り━━━━。
「みゆき…………!」
「うん!」
「な、何だよあれ…………?」
廊下で生徒たちがざわめいている。私たちはそれに気が付き、すぐに向かい、窓から空を見上げる。
向こうに見える街並みは、土砂降りのなかよく見えない━━━━はずだった。
だけど、それでも確かにあるのが見える。数キロメートル向こうの、暗雲から覗く黄金に輝く球体。その大きさは分からないが、遠くからはっきり見るというだけでも尋常じゃない巨大さだというものが理解できた。
全員がざわめき、先生が慌ててやってきて、教室で待機を命じるまでに1分くらいが経った。私はあれがなにか考えていた。
きっと、あれはコアソウルか、コアソウルがだした何かなのに、あれが絵本に出てくるような有名作品に該当するものが思い当たらなかった。
「みゆきさん」
そんな私を覚醒させたのは、さっきまで教室を出ていったはずのれいかちゃんだった。
外に出るや否や、容赦なく降り注ぐ豪雨が全身を襲った。先生たちが何か叫びながら追いかけてきたが、そんな声はもう聞こえなくなるほどの雨音と雷鳴だった。
雨はまるで無限の針のように肌を刺し続け、髪も制服も瞬く間にびしょ濡れになる。制服の襟元から冷たい水が伝い落ち、下着まで容赦なく濡れてしまっていた。それでも立ち止まることはできなかった。この雨は普通の雨ではない。それは最初の一歩を踏み出したときから感じていた。重く、冷たく、どこか悪意さえ感じるような雨。
それでも私たちは走り続けた。空の向こうに見える光る球体━━あれが私たちの目指す場所だ。あれが、この異常な状況を引き起こしている原因に違いない。
足元は泥と水でぬかるみ、何度も滑りそうになる。それでも振り返ることなく進み続ける。
豪雨の中、視界が揺らぐ中で、あの光る球体だけは確かに見えた。その光は、この暗い空の中で唯一の指標だった。
そんな中、れいかちゃんからさっき起きたことの説明を受けた。
「? なんやそれ? そんなん(瞳の色)で決めつけてええんか? 見てみいやこの真っピンク」
あかねちゃんが私を親指で指して答える。
私の髪の色がはるかに珍しい紙の色ってのは知ってる。
「でも、そのすいって人は知ってたっぽいんでしょ? 今の状況になってるって」
やよいちゃんが雨に負けないように大声を出しながら、
「はい!」
「じゃあそれでいいんじゃない?」
確かに、私たちプリキュア以外で、コアソウルなどのことを知っているのはヒオリたちのコアソウルを生み出す人たちだけだろう。なおちゃんの言う通り、れいかちゃんの言うことが正しければ、そのすいって人は━━━━。
「ですが、疑問点が今浮かびました」
本当にさっき起こったことらしい。疑問点が途中で浮かびあってくるのも、れいかちゃんにとっては難しい。
「どうしたの」
「少なくとも七色ヶ丘に入学生として入っていましたし、小学生からの同級生もいます」
「じゃあ…………、れいかの勘違いか━━━━?」
あかねちゃんが言う。
そのすいという人は━━━━。
「待って。その人は、私が転校してくるときにはもう、生徒会の人だったんだよね」
「はい」
じゃあ、れいかちゃんが言った可能性は━━━━。
いや。
”前の世界”で初めてキュアビューティが変身したきっかけとなった《読み聞かせ回》。その時は副会長だったれいかちゃんと、書記の男子に、会計の女の子の手伝いをした。男の子の名前は倉田君、そして会計の名前は━━━━寺田さん━━━━。
「私がいた世界には、『白石すい』なんて人はいなかった━━━━」
数秒間豪雨の音がだけが響く。
もちろん、なおちゃんの弟のひとしくんのように、この世界でしか生まれない子もいる。だから、その子はこの世界でしか生まれていない可能性も━━━━。
さまざな考察をしながら、私たちは雨をかき分けながら進み続け、やがてその勢いが次第に弱まっていくのを感じた。それは、私たちが巨大な球体の真下に近づいたからだった。
ここは私が初めてプリキュアに変身した、あの商店街だった。
雨で濡れた髪が顔に張り付きながら見渡す。商店街の建物は今もそこにあったが、球体から逃げたのか人はおらず、活気はまるでなかった。
そのときだった。奥のほう、商店街の中心にある広場のような場所で、私たちを待ち構えるように立っている影が見えた。
「こんにちわ━━━━」
私たちは前を向きなおす。人影。3人。あれは━━━━。
「これは大集合やないか」
あかねちゃんが言う通り、目の前にいるのは、ヒオリ、ジラ、そしてマリの3人。こんなことは今までなかった。今起きている、起きようとしていることが私たちの戦いにおいて重大なことであると考えるのは不思議なことでなないと思う。
「今すぐこれをやめろ!」
なおちゃんが一番に3人に訴えた。もちろん、そんなことは私も、3人も、なおちゃんも分かっているはずだ。
「やめるわけないじゃない!」
数か月ぶりに見たマリは、いつも以上に甲高い声で私たちをあざ笑う。
戦うことは当然避けられない。
ジラがいつも通り無口なまま口を開く。
「星空みゆき、あなたの力、見せてください」
「やはりみゆきさんが狙いですか」
れいかちゃんが確認をする。やっぱり、敵の目的は私にあるようだ。私に何を求めているかは分からないけど、”この世界”を脅かしていいわけがない。
「みゆきちゃん」
やよいちゃんが話しかけてくる。
「何?」
「この戦いで、あの3人に聞きだそう。みゆきちゃんがどうしてこの世界に来たのかを」
この世界から私がいなくなれば、こんなことは終わる。この世界は救われる。だけど、そんな事実に全員が理解できたとしても、みんなは一度私に”この世界”に残ってほしいと言ってくれたのだ。
だから私は、そんなみんなのために、”この世界”を守りたい。
私は、改めて認識する。戦う決意は、”この世界”で初めてキュアハッピーに変身したあの時よりもはるかに強いということを。
「そうだね」
私は笑顔で頷く。そしてポケットからソウルフルパクトを取り出した。雨の中服と同じようにずぶ濡れになったパクトを見る。されど、その輝きは消えていない。そして、私から私のパクトへ、みんなへのパクトの力の流れを感じる。
みんなも私と同様に、ソウルフルパクトを取り出す。
その様子を見たヒオリが初めて口を開いた。
「さあ来なさい━━━━。あなたたちとの戦いもこれで終わりよ」
動揺はしなかった。3人で来ていることは何か決着をつけようとしているのだろうという発想にはなっている。
だけど私には━━━━”この世界”で出来た友達であり、仲間でもある、一人一人が唯一無二であるみんながいる。
「いくよ」
「「うん」」
私の問いに、4人の返答が一つになった。
プリキュア・スマイルチャージ!
キラキラ輝く未来の光! キュアハッピー!
太陽サンサン熱血パワー! キュアサニー!
ピカピカぴかりん、じゃんけんぽん! キュアピース
勇気リンリン直球勝負! キュアマーチ
シンシンと降り積もる清き心 キュアビューティ!