スマイルプリキュアS   作:友だち

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(12) 決して忘れない(一章最終話)③

 喉の痛みもだいぶ治まってきた。

 

 すると、マーチとビューティーが飛んできた。2人とも尻餅をついて倒れた。

 

「いたたた」

「なんですかもう…………」

 

「2人とも!」

 ピースが名を呼ぶと、2人は雷のプリキュアに向けて目を向けた。

 

「ピース! それに、サニーとハッピーも…………」

「いつの間にか5人とも揃いましたね…………」

 

「ふたりとも別々の相手と戦ってたはずやけど━━━━なにがあったんや…………?」

「それについては、少し逃げて考えましょう…………」

 

 私たちはそそくさとその場を後にする。その後、建物の陰に隠れる。

 

 少し落ち着いたと思う。喉に手を当ててみるものの特に違和感はない。

 

 そんな中、サニーが呟いた。

 

「暑くないとちゃうか?」

 サニーにしては珍しい。だけど、彼女には大量の汗が流れている。確かに、今の気温はどれくらいだろうか。30℃はあるだろう。この季節、この天気を考えるとありえない。いざ、天気に目を向けると今度は今七色ヶ丘は豪雨が降っているということもあり、湿っている。つまり、じめじめとした暑さになっているのだ。

 

「確かに…………暑いかな」

 ピースも暑いと感じるようだ。手を扇にして仰ぎはじめる。

 

 他のプリキュアのみんなも同意し始める。

 

「でも、どうしてなんだ…………?」

 マーチも汗を流している。

 するとビューティが空を見上げた。

「おそらく、上空に浮かぶあの物体…………太陽ではないでしょうか」

「た、太陽…………?」

 

 一番の反応を見せたのはサニーだった。

 

「いやでも、本来の太陽ってもっとでかいやろ! 地球とは比べられんくらいなあ。それにあんな近くに太陽がおったら、うちら全員溶けるように消えていくで!」

 

 その言葉で私はピンときた。

 

「多分あれ…………。《北風と太陽》かな? コアソウルがかぶっているのはフードに見えたけど、本当はヘッドベールだね」

 

「つまり、あいつは北風と太陽に出てくる旅人と占い師がミックスしたコアソウルってことだね」

 マーチの言葉を「うん」と肯定する。

 

「あーーーー確かに。太陽がしっかりでてくる有名作品といえば、《それ》ってイメージだね」

 ピースも納得してくれたようだ。

 

「そうか……。太陽が明らかにミニマモ…………ミニナ…………小さいのも頷けるような気がするな」

「ミニマムサイズです」

「そ、そうやな。サンキュー」

 

 サニーはそう言うものの、コアソウルの能力は、絵本と人の個性が混ぜり合ったものがベースになっているくらいで、いくらでも変なことはしてくる。

 

 この前のコアソウル、通信機についているコードを鎖に引っかけて飛ばすなんてこと、普通の警官にできるわけがない。

 

「でも、コアソウルとかは瞬間移動とかしてくるから注意しないと…………」

「瞬間移動…………!」

 マーチが今のピースの言葉に喰らいつく。

「どうしたの……」

 

 ビューティが、困惑するピースたちにさっき起きたことを説明した。私もサニーも話を聞いた。

 

「ピースもマーチも反応できなかったって…………つまり瞬間移動ってことか」

「はい。早さという概念が無くなっているのでしょう」

 ビューティと言葉を交わしたサニーは腕を組んで、首を傾げた。

 

「物理法則が壊れるってのは怖いなーー」

「まあ私たちも大概壊していますけどね」

 

 確かにそうかもね。私が胸中で呟いた。

 

「だけど、どうすればいいの?」

 

 マーチが大切な話に話題を持っていく。これからどうすればいい。

 

「そもそも、瞬間移動ってのはどっち(旅人か占い師)の能力なんだ…………」

 

「いやーーさすがにあれは占い師側だと思うなーー。北風と太陽は旅人にフォーカスされることって基本的にないからねーー」

 

 これまで読んできた数十冊の《北風と太陽》の記憶を思い出しながら、答えた。

 

「移動する占い師ってのもまあまあおかしいけどな」

 

「占い師の未来視がそのまま超能力の一つと言われる瞬間移動に持っていかれたみたいな…………」

 

 ピースはそう考察をするが、正直分からないのが現状だ。

 

「でもきっと規則性はあるで!」

 サニーが解決策の糸口を見つけたようだ。

 

「どういうこと?」

「だって、あいつが移動するとき、あいつの持ってる水晶玉がチカチカって光ったんや!」

「本当!」

「なんやピース? お前近くにいたやろ」

「サニーでブラインドになったり、攻撃最中でそこまで目がいかなかったりしたの…………」

 

「そんなことしてる場合じゃないでしょ!」

 二人の言い争いをマーチが止めている中、私はその様子を想像する。すると、サニーの言い方に少し気になることがあった。

 

「サニー」

「どした?」

「光り方と、光る色は━━━━どうだった?」

 

 サニーは唸る。

「うーーーん。こう別々の色にピカピカってなってような…………、それでーーーー色はーーー。すまん正確には覚えてない! 黒と青があったはずや!」

 

「大丈夫。えーーと、色が二つ光ったんでしょ。それで、ヒオリ、コアソウル、ジラが生み出した怪物とかが様々な場所に移動したから━━━━、

 

 多分、光り方がそれぞれ移動する人と場所を現しているとか…………?」

 

 サニーとピース、そしてマーチが、

「あああああああ」

 と腑に落ちたような声をあげた。

 

 少し盛り上がる3人とは別に、私はまだ考えることがあると思った。

「でもそれだけじゃ、結局分からないでしょ…………。どこに移動するのかが…………」

 

「ああ…………そうか」

 サニーのテンションが急転直下する。

 他二人もしゅんとなる。

 

 じゃあどうすればいい? 私は思考する。

 そもそもコアソウルの近くにいなきゃだめだ。でもそれだと、コアソウルが移動したときに、どこに行ったか分からなくなる。しかも、ヒオリたちはどうするの? どれぞれが移動して、結局だれにどこが動いたか分からない。誰かに、さすがにビューティか、すべての移動についての情報を与えることができたら、規則性を探ってくれるはず━━━━。でもどうやって。

 

 ━━私は、この世界で何を学んだ? 何をしてきた。

 

 ━━━━伝えるって約束したじゃないか。言葉で。

 

「大丈夫。みんなが言えばいいんだよ」

 

「言うって?」

 怪訝そうな顔をするピース。

 

 私は確信をもった笑顔で伝えた。

「だれが、どこに移動したのかをだよ。

 まずだれかがコアソウルに張り付く。そこから人を埋めていく。そこでコアソウルの水晶が光ったらその色を言う。そこで誰かが瞬間移動したのを見たら、誰かが、どこに移動したのかを言う。それでビューティに情報を伝えよう…………!」

 

 私のやり方に納得してくれたのだろうか。

 全員が一旦私の考えの是非を考える。

 

 私の無い頭で考え上げたアイデアだ。私の知らない、予想できていない事態がどこかに潜んでいるのかもしれない。私はごくり、と唾を飲み込んだ。

 

 しかし数秒して。

 

「うん、いいと思う」

 初めに了解してくれたのはマーチだった。

 

「大丈夫だよ!」

 ピースも頷く。

 

「うーーん」

 対して、サニーはまだ考えている。

 

 しかし。

「いい案だと思います」

 

 これまで基本的に沈黙していたビューティが口を出す。

「コアソウルが私たちから完全に姿を消した場合作戦は破綻しますし、また水晶の色への注目と戦闘の両立ができないかもしれないですね…………」

「…………う…………確かに…………」

 私は自分の考えが及ばなかったことに気が付く。

 

「ですが、やってみる価値はあると思います。それで失敗しても、今やっている方法では無理だった、という事実が分かりますからね。それも一つの大切な結果です」

 

「ビューティ…………!」

 私は感動した。

 

「わかった。やってみるか」

 サニーも了承してくれたみたいだ。

 

 それぞれが走り出し、建物の陰から離れていく。

 

 

 

 

 

 

 

 マーチはすぐさまマリのところへ向かう。

 

「へえ。逃げたと思ったら…………」

 

 彼女は相も変わらず余裕そうだった。

 

「みなさん気を付けてください! さっき私たちが探されなかったのは、敵が何かを狙っているからだという可能性があります」

 

 ビューティが叫ぶ。

 確かにそうかもしれない。

 私も全力で気を付けないと。

 

 私はとりあえず、あのコアソウルを探した。ちょっと首を振ってみた。コアソウルは、赤い屋根の建物の上に立っているのが見えた。

 

 とにかく、水晶を追わないと。

 

「私、コアソウルのほうに行くよ!」

「おっけーー!」

 サニーの反応が聞こえた。

 近くの家の屋根の上に跳びのった。コアソウルの胸元が見えやすい高さに移動することができた。屋根を伝うように移動して、コアソウルに近づいていく。

 

「いくよ!」

 

 私はすぐに走る。全力足でむかうが、決してコアソウルの持っている水晶からは目を離さない。

 

 すると、コアソウルの水晶が光る。

 

「光った! 黒! 緑!」

 

 私は光った色のことを大声で伝える。

 サニーの言った通り、2段階の色の表示になるようだ。

 

 すると、目の前のコアソウルの姿が消えた。

 

「コアソウル! 消えた!」

 そのことも伝えよう。

 

 すると、直後にピースの声が聞こえた。

「コアソウルが、木の近くに!」

 

「了解です! 続けてください!」

 ビューティの声が聞こえる。

 

 よし、このまま繰り返していけば━━━━。

 

 ━━暑い。本当に暑い。

 ━━もしかして、気温が上がっている。いや、私が来ているのは屋根瓦の上だからかな?

 

 そんな疑問が浮かぶ。

 

 ふと私は上を見る。

 本物の太陽の写真を思い出す。プロミネンスだっけ? 太陽の表面から波のように飛び出しているもの。あのように黒い太陽は黒い炎を纏っている。

 

「赤! 黄色!」

 今度はサニーの声が聞こえた。

 

 はっとして視線を下に移す。すると、黒い太陽の真下に、ヒオリが現れた。

「太陽の下! ヒオリ!」

 

 それを見た私が叫ぶ。

 

 そういえば、そもそも戦わなくても、私がここから見れば大丈夫なのでは?

 

 そう思い、

「ビューティ!」

 私は彼女をここに呼ぶ。

 

 すると、すぐさま彼女は屋根の上に上がってきてくれた。

 

「なんでしょうか…………」

 しかし、彼女の額には大量の汗が流れている。

 

「だ、大丈夫!?」

 一年近く前のこと、ビューティは焼け野原になった総合公園の中で非常に苦しそうにしていたのを思い出す。

 

 正直心配だ。

 

「ええ…………まあ」

「気温、上がってない?」

「そうですね…………」

 

 私の質問に、ビューティは少し苦しそうにしていた。

「もしかしたら…………このまま気温が上がって私たちを暑さの中消す気なんじゃ…………」

 

 汗をかいていたとは言え、サニーならそれだけ暑くても大丈夫だろう。だけど、他の4人が戦闘不能になれば、ヒオリたち的勢力全員からの袋叩きになって敗北するのが目に見える。

 

 だからこそ、今はビューティだけに構う時間は無い。確かに心配だけど━━━━。

 私はここに彼女を呼んだ要件を伝えた。

 

「ビューティは一旦ここにいてほしいんだ。ここにいれば、言葉以外だけでも━━━━」

 

「青! 赤!」

 と、マーチの声が聞こえた。

 

 瞬間。

 ぱっ!

 と、化け物の姿が見えた。

「危ない!」

 

 私はビューティを抱え、その場を離れる。

 赤い瓦の上に突然現れたジラが生み出した怪物。

 

「化け物! 赤い屋根の上の建物!」

 

 ここらに赤瓦の建物はここだけだったので助かった。

 コンクリートの上に着地した。

 

 すぐにビューティを下ろして怪物を睨む。6本の腕が見るからに厄介そうだけど、光線をすぐに当てれば倒れるはず。ジラが本から出したものでコアソウルではないはずだから、倒しきるのに、特別強い力は必要ないはず。

 

 私はコアソウルに駆けだしながら、《ハッピー・シャワー》の準備をしようとした。

 

「青! 黒!」

 というマーチの声が聞こえた。

 

 途端に、6本腕な竜人が消える。

「うわ…………」

 

 コアソウルは私たちのことが見えているのか…………? といわんばかりの完璧なタイミングだ。

 

 とりあえず、私はビューティを━━━━。

「おそらく、規則性が分かったかもしれません」

 

 地面に立っていたビューティはこんなことを言い始めた。

「え……本当?」

 

 正直な話、信じられなかった私はビューティにもう一度聞きなおす。

 

「はい。ジラが出した怪物が2回移動したでしょう。それぞれの色、覚えていますか━━━━」

 

 ビューティからは氷が融けたように信じられないほどの汗が流れている。脱水症状を心配したくなる。しかも、声には張りが見えなかった、本当に苦しいと思っているのだろう。

 

 えっと。一回目が青、赤。二回目が青、黒。つまり━━━━。

 

「ああ!」

「移動する対象が同じだと、前の色が変わらないってことだね」

「はい」

 

 今、私とビューティ、そしてサニーピースマーチと離れている。彼らには、ジラが生み出した怪物が実際に移動したということを見ていないはずだ。しかし、コアソウルの水晶の色を見てくれていた。

 

 試行回数が少なく、確証はないかもだけど、論理的に破綻は今のところない━━━━はずだ。

 

「おっけーー。私、みんなに伝えてくるけど、ビューティは?」

「私は大丈夫です。また誰かが襲ってきたら最優先で逃げます」

「分かった」

 

 私はビューティがいる場所を後にする。

 

 ビューティがいなかったら、自分が”この世界”になぜいるのか、全く見当もつかないことになっていたのだろう。だけど、ビューティに考えてもらったし、一緒に考える機会を持ったことで、自分も考える力が付いた気がする。

 

 そう思いながら、私はサニーたちのもとへ走る。

 

「みんな!」

 

 そこにはさっき消えたジラが生み出した怪物、空にはジラ本人も。ヒオリがサニーと戦っている。近くには、商店街の景観のためかぽつんと立つ植木がある。そしてすぐそばにはコアソウルが立っていて、がっちりと水晶を持っている。

 最初に私に気が付いたのはピースだった。

 

「ハッピー!」

 

「ビューティは?」

 マーチに、今遠くにいる彼女のことを聞かれたので正直に答えた。

 

「分かった━━━━」

「どれで、ビューティが光り方についての決まりが分かったかもって?」

 

「もう━━━━!?」

 マーチはさっきの私に似た反応をした。さすがの頭脳だよね、と言いたくなるも、時間がないことは重々承知している。

 

「うん。多分前側に光る色が移動する対象、そして後が場所だね」

「なるほど…………」

 

 頷くマーチをよそに、近くに浮いていたマリが私たちを嗤う。

「ふふふふ。あなたたちがどれだけ思考力を巡らせても無駄よ! だってあなたたちはここで全員消える運命なんだから!」

 

 余裕そうな笑みを見せながら、こちらへ突進してくるマリ。

 途端に、コアソウルの水晶を見てくれていたピースが叫ぶ。

 

「緑! 緑! 緑! 黄色!」

 ━━━━4連!?

 思考が一瞬止まる。

 

 ━━ううん。4=2×2と思えば大丈夫。2回移動が起きるだけだ。

 

《緑に対応する移動対象》が《緑に対応する場所》へと移動が1回目。

《緑に対応する移動対象》が《黄色に対応する場所》へと移動が2回目だ。

 

 向かってくるマリの姿が消える。そしてそのすぐあと、自分の横側から何かが飛んでくるのを感じた。振り向く。スマホ。かわす。

 

 そしてコアソウルと同じように、植木の横にさっきまで別の方向から襲ってきたマリが立っていて━━━━消えた。違う。どこかへ移動しただけだ。

 

 さっき、ヒオリの移動を見ている。

 赤、黄色だったはずだ。

 

 私は黒い太陽の真下を見る。

 

「あーあ。避けられちゃった」

 

 やはりそこには、空に浮いて攻撃失敗にムスっとしているマリの姿があった。

 

 私は確固たる自信をもって叫んだ。

 

「みんな! 移動する対象は、赤がヒオリ! 緑がマリ! 青が化け物! 黒がコアソウル! 移動する場所は赤が赤瓦の家、黄色が太陽の真下! 緑が木! 青と黒が分からない!」

 

「なるほどな…………!」

「まったく…………!」

 戦闘中のサニーとヒオリの様子は対象的だった。

 

「だったら! 黒はここから少し離れた道路だと思う! 私たちがいる場所は関係ない! 注意するべきところは木と太陽の下だけだ!」

 

 すると、マーチからの補充的な説明が入る。これで現状出てきた色は分かった。

 それからは私たち4人が圧倒していった。

 

 完全に移動パターンを理解した私たちは全員を圧倒していく。ヒオリはまあまあ焦っている。マリはヒオリより強い方と言われたらそうではないけど、相変わらずのニヤニヤ具合で戦ってくるから精神てきには倒しにくい。コアソウルは移動をしながら水晶を光らせるていく。しかし、移動パターを知っていた私たちはすぐにコアソウルに接近し、水晶の光り方を把握できた。

 

 ジラが具現化した怪物については厄介だった。

 

 私が怪物と戦う。六本の腕が意外と怖くて近づけない。

 

「《プリキュア・ハッピー・シャワー!》」

 

 と撃っても、避けられてしまうのだから、私の中ではあまり手を考えられそうに━━━━。

 

 ━━いや、ある。

 

「《プリンセス・フォーム》だ」

 

 私はすぐさま変身した。

 煌びやかな銀色の衣装に身を纏う。

 

「やあああああああ!」

 

 竜人の攻撃を全て圧倒して戦う。六本の攻撃を全部受け止めながら、コアソウルの腹に拳を入れて吹き飛ばす。そのまま地面に取れるのが見えた。

 

 ━━でも、この形態は意外に力を使う。

「はあ、はあ」

 と、いうより体がまだ慣れてはいないだけのようだ。

 

「青、赤!」

 という今度はサニーの指示が入った。

 

 つまり━━━━。

 私は赤瓦の建物のほうを見る。あそこに、竜人の怪物が━━━━。

 

「はああああああああああ!」

 

 とんでもない速度のなにか、いやマーチが私の近くを通りすぎる。

 向こうは赤瓦の場所だ。

 

 マーチはそのまま体を捻り、回転する。横に向かって渦巻く竜巻が生まれ、その中を駆けていくように抜けていく。

 

「《プリキュア・ガラクシア・トルナード》」

 

 マーチは勢いそのままに蹴りを繰り出す。怪物赤瓦の屋根の上の現れた直後にマーチの攻撃があたる。水晶が光った瞬間、瞬間移動の対象と場所を変えることはできない。

 

 鋭い竜巻のような蹴りは、怪物の体を貫き、黒い液体を飛散させた。

 

 あまりにも速い出来事に、逆に私の時間は止まってしまった」

「大丈夫…………?」

 

 そんな私は見たマーチが声をかける。

「ああいや、別に突然のことで…………」

 

「この前の戦い、ハッピーになんとかしてもらったことが多かったからね。あたしも何かしないとって…………」

 

「そうだったんだ…………!」

 

 私は笑顔で言葉を返す。

 

 とはいえ、金太郎のコアソウル相手に攻撃を当てたりとか、突然出てきたヘビへの対処とかしてもらったから私が全部したなんてことは無い。

 

 よし、あとは━━━━。

「黄色、黄色!」

 サニーの言葉が入る。

 

 黄色━━━━誰? ヒオリ、ジラ、コアソウルの三者ではない。となると━━━━消去法でジラかな━━━━。そして黄色は━━━━!

 

「太陽の下!」

 

 黒く煌々と燃える太陽の真下。私は灼熱のような暑さを感じつつも、走り出す。

 マーチもすぐに飛び出す。

 

 決まったと思った。これで、完全に相手について対応できている。

 

 だからこそ、次に起きたことの対処ができなかった。

 

 太陽からまばゆい光が放たれる。ブラックライトが私たちを襲った。

 

「うわ?」

 足を止めて、手で光を遮りながら太陽の下を見る。

 

 そこには黒色の光線、大きさにして半径5メートルはありそうで、そして私はそこから感じる禍々しい力を感じ━━━━━━━━。

 

 光線は地面に落ちた瞬間、コンクリートの地面がはがれる。衝撃が同心円状に広がる。そこからかしこの建造物を壊しながら━━━━━━━━世界は真っ黒に染まった。

 

 私はその衝撃で後ろに飛ばされる。すさまじい熱量を感じながら、私は意識を失った。

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