よくある転生ものですので、苦手な方は自衛してください。
時系列はFREEDOM開始より少し前です。
推奨BGM『アークエンジェルのクルー達』
時は宇宙世紀──ではなく、コズミック・イラ71年。地球と宇宙、二つに分かれて生活する人類が争い、互いに互いを滅ぼそうと躍起になって戦い続けていた。呼び名が違うだけで、俺にとってはほとんど似たようなもの。ただ79年か、それとも71年か。8年の誤差は、平和に慣れきっていた俺の目を覚ますにはあまりにも強引すぎたが、それにしてもあまりにも突然すぎる戦いの始まりだった。
中立コロニーでのMS開発に、それを強襲・強奪する襲撃者。これもどこか、俺には身に覚えのあるシチュエーションでしかない。たった一機残されたMS、ガンダムに乗って戦っていたのは未だ20にもならない少年で、彼を巻き込んだ世界は大きく変容していく。
4年。プラントと呼ばれるコロニー群と、地球連合との戦いが終結するまでに必要だった年数だ。
「そうして戦い続けた結果がこれか。スーパーミネルバ級──随分と大きい艦を作り上げたものだな。設計者は何を考えてるんだか」
「どうしたんですか、一佐?」
「ままならないものだな、と思って。4年前、俺がヘリオポリスに行っておけば良かった。そうすれば君を戦いに巻き込むことはなかっただろうし、苦労をかけることもなかった」
「それは……でも、もうどうにもなりませんから」
すっかり青年となった彼を見て、また深く息を吐く。二度目だと言うのにこれだ、己の無力さに腹が立つ。握っていたペンがミシリと悲鳴を上げた。悟ったような眼をした彼は自分よりも階級が上で、しかし年齢は遥かに下。本来ならば俺が行くべきだろうに。
スーパーミネルバ級MS惑星強襲揚陸艦、ミレニアム。新たに創り上げられた女神の子、千年の名を持つそれを運用するのは、同じく新設された世界平和監視機構コンパス。二度の大戦を終え、もう戦うことに疲れてしまったのだろうか。遺伝子調整されて作り出されたコーディネイターと、元来の出生のナチュラル。その争いは、第三者による監視によってようやくの平和を享受することができる……とも、言えないのが実情だ。
「しかしこれを作ってどうするつもりだ?性能から鑑みるに、対軍制圧用の兵器だろう。コンパスとして保有するには余りにも強大すぎる」
「そうかもしれません。でも、やれることは今のうちにやっておきたいんです。何かが起こってからでは、遅いから……」
「准将、ナノ粒子の制御プログラムに不具合が見られます。このまま修正を続けるよりプログラムを1から作り直した方が早いでしょう。プログラム開発部門の仕事なのかこれが。まだ素人を呼んできたと言われた方がマシなレベルです。こんな些事でお手を煩わせるようなことなどしたくありませんが、准将だけではない。一佐の力を借りることになるとは技術者として全く恥じ入る限りですね」
「その件だが、俺の方でプログラムを組んでみた。齧っただけの人間が口を出すのもどうかとは思うのだがアルバート、君はどう思う?」
そんなコンパスに、俺は所属している。正確にはオーブ国防軍からの出向という形だが、宇宙空間を航行するミレニアムの中に乗り込んでいることに変わりはない。地上のアークエンジェルと、宇宙のミレニアム。二つの艦を母艦とし、MS隊を行き来させることでその役割を果たすコンパスの運用思想は、俺に懐かしいものを感じさせてくれた。
格納庫で無重力に身を任せながら、目の前で俺のプログラムを眺めているのはザフトからの技術者たち。リーダーを務めている彼は非常に気難しいらしいが、果たしてそうだろうか。俺にはただ技術にひたむきな人間だとしか思えない。まぁ、こだわりが強く自分よりも能力の低い者を下に見るような雰囲気もあるのだが……それはもう、技術者だからと自分を納得させるしかない。
「ところで准将、君は休んでいるのか。そろそろ家に帰れる頃合だし、しっかり疲れを癒してくるといい。総裁も待ちわびているはずだ。彼女の手料理は美味しいんだろう?残業なんかして朝帰りなんかするんじゃないぞ」
「あはは、気をつけます」
「一佐。このプログラムですが、はっきり言って今すぐこれをベースとして再開発させたいレベルです。よろしいでしょうか」
「構わない。むしろ役に立つなら嬉しいほどだ。今の俺は何でも屋のようなものだからな」
「じゃあ、僕もこれで。少し休んできますね」
「根を詰めすぎるなよ」
軽く敬礼。准将はともかくとして、こちらを取り囲んでいた他の技術者に怒号を飛ばしながらアルバートが去っていく。元のプログラムがそんなに気に食わなかったのだろうか。しかしその彼がザフトのMS開発の一端を担っていたのだから、やはりメカニックとしては超一流、天才の域に足を突っ込んでいるのだろう。
ただ移動時間の効率化と言って二人とも格納庫の中をマグネット・アンカーで移動するのはやめて欲しい。俺が手遊びで開発したものだ、安全性も耐久力も不安が残っているんだぞ。
「一佐、よろしいですかな?」
「艦長?どうしたんだ」
「MSの運用について、より効率の良い方法がないか模索中でしてな。もしお手隙でしたらお話を、とも思いましたが……」
まだ遠くから聞こえてくる彼の声に目を細めて、未だ終わらない機体の調整を続けていく。キーボードに手を置いた時、俺の事を呼ぶ声がした。
難しいことを聞く。俺は戦術アドバイザーでもなんでもないというのに、ここまで信頼されるとは思わなかった。オーブの一兵卒なんだがな。
「ふむ……准将とシンを中核戦力としての中央突破作戦、と言えば聞こえがいいが、現状の運用では准将が一人で突っ込んでいるだけにしか見えないな。無論、それで被害が減るのなら組織として有難いことはない」
「が、しかし?」
艦長は静かに続きを促した。察しの良い人だ。元教師だったか、それにしては随分と貫禄のある人物だな。こういった人物が一人居るだけで、組織は十全に回っていく。何より心配りが良い。惜しむらくは、パイロット組に伝わっていないところか。特に三人。
「彼の負担が大きすぎる。このミレニアムのMS隊は決して少なくないどころか、艦として保有するには余りにも強大なパワーを持っている。ハーケン隊は無論、個々人の力量だけならオーブ軍を相手にしても勝てると思えてしまう。が、だからこそ惜しいんだ」
「やはり、准将ですか」
「ああ。君も彼の思うところは理解出来るはずだが、余りにも背負いすぎている。アークエンジェルの頃からそうだが、一人で戦う期間が長かったのだろう、他人に背中を任せるという行為を嫌う節がある」
「連携を取れるのならば、それに越したことはありませんな。関節部の消耗も、フリーダムが抜きん出ています。整備の負担を減らすという意味でも、准将とは腰を据えて話さなくては」
そうだ、それが我々、大人の仕事なのだから。
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「くっそぉ!また負けた!」
「これで何回目だっけ、えーっと確か……10回目くらい?やっぱり一佐は強いですね。射撃が掠りもしませんでした」
「そう力むな。お互い、前回よりもしっかり成長していたさ。ジャスティスには独特のクセがあることは君も分かっているはずだし、それを克服しようと頑張っているのも伝わってくる。次回はもう少し回避運動のぎこちなさを解消していこう。ゲルググの射撃性能は悪くないどころか、そこいらのMSに比べるなら高級なんだ。一般兵に比べると精度は高いが、准将の背中を追うならまだまだ遠いぞ」
「うっす!」
「はい!」
目の前で悔しがる少年少女に、俺は笑いかける。将来有望なパイロットたちだ。前大戦で扱っていた機体とはコンセプトが大きく違うというのに、それでも俺をヒヤリとさせる場面も多い。パイロット同士というのも珍しくないがお互いザフトの赤服とは、なかなか見込みのあるカップルだ。
「そして、君だ」
「うっ、はい。分かっています……」
「突出するなと何度言えば分かる?連携がおざなりすぎる。己の機体特性を把握し、カバーを受けられる位置で戦うのがコンビネーションというものだ。ジャスティス、ゲルググが様子を見ている段階から斬りかかってくるとは、随分な自信家だな」
「すみません。でもあれは!」
「月光のワルキューレだの、フリーダムキラーだの、赤服だの。ザフトはそんな下らないことに拘るきらいがあるが、ハッキリ言おう。二つ名や服の色など飾りに過ぎない。オーブの一兵士に3人がかりで負けているなら、君は緑服からやり直すべきだ。私情を抱えたまま戦うな。いずれ死ぬぞ」
「はーい」
「ちょっと!一佐の話聞いてるの?」
「聞いてるわよ!はいはい、私が悪かったのよね。あんた達が後ろからチマチマ撃ってるのに業を煮やした私が!」
目の前の少女は明らかに不服そうだが、これでもマシになった方だ。俺がここに来た時は酷かったぞ、何せ俺に向かってコナをかけて来たんだからな。その時は容赦なくシミュレータで叩きのめして隊の訓練量を三倍にしてやった。巻き込まれた准将は死にそうな顔をしていたぞ。
「出方が分からない以上、様子を見るのは当然だ。それぞれ生存時間を60分から引いた時間だけランニングしてこい。いいな?」
「ゲェッ」
「なら120分にするか?」
「「「60分でお願いします」」」
ゲンナリと肩を落とすツインテール。だがこれも訓練の一環だから、諦めて欲しい。俺としては将来有望なパイロットの教官を出来るのだから、有難いとは思っているぞ。
「ン、これは」
艦内放送、呼び出しだ。俺の名前が繰り返されている。ブリッジということは、また何か起こったのだろう。肩を竦めながら床を蹴り、エレベーターへと身を躍らせた。
『繰り返します』
『アムロ・レイ一佐。至急ブリッジにお越しください。コノエ艦長がお呼びです』
この時、俺はまだ気づかなかった。
世界を渦巻く、ドス黒いまでの悪意に。
FREEDOMではイモータルジャスティスが好きです。
対戦よろしくお願いします。
あと感想と評価もお願いします。モチベになります。
良くも悪くもガンダムSEEDシリーズのテイストを
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出して欲しい
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出さなくて良い
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モルゲンレーテでムウ・ラ・フラガ