オーブ国防軍の白き流星   作:御簾

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そして始まる反撃。
アムロさんのMS、まだ迷ってます。
ともあれ、宇宙に適応した新人類が本領発揮できる宇宙で、適性の高いMSに乗る。どうなるのか見ものですね。

核動力系MS、防御力もあって機動力も確保されてる上にビーム主体だからアンチPS装甲攻撃も出来るって……天パもニッコリ。実弾攻撃はPS装甲に効かないから要らんやろ理論で持たなさそうです。
え?FT装甲?いやーちょっと……対策必須かなって

もう終わりも近いので1日2話か3話更新します。誤字報告、感想にはいつも感謝しかありません。ありがとうございます。
まずは一話目、おはようございます!


今更ですけど、執筆中BGMは当該シーンのものを一生リピートしてます。その方が書きやすいんですよねー……



その10

『機関最大、離水!』

『メインスラスター、エンゲージ!』

『ミレニアム、発進!』

 

 足元に血が集まり、内臓が浮かび上がる不思議な感覚が俺を襲う。飛行機乗りなら慣れているだろうこれは、地球独特のものだな。見送りのムラサメが離れていくと、ちょうど朝日に向かう構図になった。なんとも不思議なものだ。

 

『10分後にオーブへレクイエムが撃たれる!ミレニアムは直ぐに退避しろ!巻き込まれるぞ!』

 

 俺が通信し、オーブのお家芸ともいえる警告射撃を終えた直後なのだが……アスハ代表からの緊急通信が来た。やはりアコードはこちらを監視していたらしい、これからレクイエム発射の準備をするようだ。どちらにせよあの国を撃とうとしていた訳か。

 

 待機室の俺たちに緊張が走る。今まで幾度となく危機にさらされてきたオーブだが、今回ばかりは防ぎようがない。ムウはまだ間に合わない、レクイエム近辺には艦隊が展開しているわけでもない。方法があるとするならば、別のターゲットに撃たせなければ。いや、待て?まさか。

 

『こちらはミレニアム、キラ・ヤマト。ファウンデーション、聞こえるか。残念だったね、僕はまだ生きている。自分の国民を犠牲にしてまで殺そうとしたのにね!』

 

 そうか、この艦がある!キョトンとした顔でモニタを見るシンやルナマリアだが、そんなことをしている余裕があるとは思えない。彼らのキラへの執着を鑑みるに、彼が生きているとなるとこちらがターゲットになりかねない。つまるところ、ノイマンの本気が体感出来るということだ!

 

『君たちは人類を導く者じゃない、ただの殺戮者だ。僕達は真実を知っている。証拠もある。世界中にそのことを訴える。君たちの負けだ。アコードか何か知らないが、虐殺者の企みは絶対に潰す!コーディネイターだけじゃない、ナチュラルを侮った報いは必ず受けさせる!』

「言うなぁ、キラも」

「よっぽど頭に来てたんでしょうね、アムロ一佐とムウさんのこと。キラさん、二人が無視されて侮られてるのには気づいてたみたいですよ。絶対に許さない、って怒ってました」

「嬉しいんだが、それはそれとしてだ。奴らの狙いがこちらに向けられるとするなら、ベルトが必要じゃないか、シン、ルナマリア!出発前にゴムボールの気持ちを味わいたいか?」

「「嫌です!」」

 

 二人に声をかけて、俺たちは待機室の座席からベルトを引き出した。これで、部屋の中をピンボールするようなことにはならないだろう。あくまでならないだけで、似たようなことにはなりかねない。例えばジェットコースターのような何か、とか。

 

『月の裏側に高エネルギー反応!』

『タンホイザー起動、緊急制動っ!』

「やっぱりだぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「ノイマン、よく避けられたな……!」

『てぇ──!』

 

 プガチョフ・コブラと呼ばれる急制動。ミレニアムが艦首のタンホイザーを空へ向けて放ってから、機関最大出力。ぐっ、と押される感覚と共に足元が置いていかれるような感覚があった。外がどうなっているのかは見えないが、おそらく今この瞬間に大気圏離脱を行っているはずだ。

 

 ちらりと見てみると、シンが今にも死にそうな顔をしていた。ルナマリアは比較的マシだが、それにしても顔が引きつっている。まぁ、確かにノイマンの操艦技術を体感するには実体験が一番だからな、当然と言えば当然か。かく言う俺も、あまりいい気分ではない。

 

「だが一番の難所は抜けた。宇宙に上がって、ファウンデーションを叩く……これからが地獄だぞ!」

「負けませんよ、あんな奴らに俺とルナは!」

「シン……!」

「顔赤いよ、お姉ちゃん」

 

 ニッ、と不敵に笑いながら気合いを入れるシンと、それに心動かされたルナマリア。若いパイロットは血気盛んだが、今は彼らの力が何よりも頼りになる。二人だけの世界に入っているものの、これでもエースパイロットなんだぞ。顔が赤いことを除けばな。メイリン、ツッコミはやめてやれ。

 

「アイツらに怪我させておいて、タダで帰らせないからね。その報いを受けてもらうよ、アコード!」

「ラクス……絶対に助けてやるからな」

「まぁ、俺たちは俺たちなりにやるとしようじゃないか。ああそうだ、アスラン。宇宙は広い。自分が手の届く範囲だけじゃなく、その向こう側──遥か彼方まで見通してみろ。何か変わって見えるはずだ」

「レイ一佐……」

「思考を読まれるのなら、それを逆手に取ってやれ。実戦経験なら君の方が遥かに上だ。強さは力だけじゃないことは、君も分かっているだろう?」

「勿論です」

 

 残念ながら、と言うべきか。俺と同じように救出されていたハーケン隊はエドワウの下で留守番だ。生きている方が奇跡とまで言われる重症を負っている野郎二人を連れて高速戦闘など、自分から死にに行っているようなものだ。エドワウの顔を見た時は信じられないほどの驚きを見せていた。だが、そんな彼らを置いてまでヒルダはここに居る。彼らに任されたというのもあるが、どうやら彼女がリベンジマッチを期待しているようだ。

 

 気合を入れて目を閉じるのはアスラン。ラクスを取り戻すための時間稼ぎは、彼にかかっていると言ってもいい。立案された作戦を見て首を傾げたのは俺だけでは無いが、かつてアスランに支給されたのはレジェンド──ドラグーン搭載型だったと聞いた時には納得してしまった。それなら問題ない。少し勝手が違うだけだろうしそれだけアドバイスをな。慣れた感覚が近付いてきたから、ようやく本調子になれそうだ。

 

「ラミアス艦長、そろそろか?」

『そうね、その通りよ。ズゴック、フリーダムは発進準備。全パイロットはコクピットで待機を』

「了解、ラミアス艦長」

「こちらも了解……待て、ズゴックだと?」

 

 脳裏で例のあの赤い奴が踊り始めた。いや、流石に聞き間違いだと思いたいがそうでも無さそうだ。ラミアス艦長がこんな所で言い間違える人では無いことは重々承知している。だからこそ信じられない。何を言ってる?まさか、ズゴックってあのズゴックか?去年俺が落書きで提出したあの赤い奴なのか?パイロット達と格納庫へ移動しながらも思考は止まらない。

 

 大事な戦いの前だというのに、気が抜けてしまった。確かに新型MSの開発案が欲しいと言われて設計したが、まさか本当に作ったとか言わないだろうな、エリカ・シモンズ!俺の父がここ最近忙しそうにしてたのはそういう事なのか?いやいや、まさかそんな。ザクやグフもあるんだ、ズゴックぐらい既にあってもおかしくないハズ……だ……

 

「本当にズゴックなんだな……角が生えているが」

「まぁ、色々ありまして」

『あれ?この機体、アムロ一佐がデザインしたんじゃないんですか?アスランさんが喜んで制作依頼を出してましたよ?』

「何故だ!?いくつかあっただろうに何故これを選んだんだ!?しかもなんだあの角は!明らかに俺が想定しているより大きいじゃないか!まさかお前これって──」

『レイ一佐!出撃します、下がって!』

『俺も今から出るんだぞ!それよりもなんでそれを採用したのか、後でじっくり聞かせてもらうからな!』

 

 カタパルトデッキに上がっていくズゴックとフリーダム、そしてキャバリアーを見送ってから気がついた。もう一機、格納庫に機体が並んでいる。ここからでは見えないが、あれはまさか……ムラサメ?なぜこんな所に?

 

『じゃあマリューさん、行ってきます』

『ええ、必ずラクスさんを』

『それと、シン』

『え、はい』

『ミレニアムを頼むよ』

『──っ、はい!必ず守ります!隊長もお気をつけて!あんな奴ら、隊長なら余裕です!』

 

 聞こえてくる通信に笑みを浮かべながら、俺も機体を立ち上げていく。これから作戦開始だ、慣れない設定、慣れない機体とはいえ第一段階ではミレニアムから離れる予定は無い。この後の作戦がどうなるかは分からないが、囮になるというのならラミアス艦長の手腕の見せ所という訳か。

 

 艦周辺の情報をピックアップしていくと、どうやらミレニアムは加速を続けているようだ。こちらを迎撃に向かっているであろう艦隊との相対速度を加味した上で予想すると……凄まじいスピードだ。対面からはビームが通過したかのように思えてしまうのではないか?

 

『ブリッジ遮蔽、第一戦闘配備。ハンガー移動、アムロ機、発進準備!』

『アムロ一佐、お気をつけて……!』

「ブラックナイツが相手でないのなら、俺にもやりようはあるさ。それよりも、問題は奴らの目を欺けるかだな……離脱出来るかも心配だ」

『でも、やるのでしょう?』

「当然だ。だがそこに至るまでが問題だよ」

『アムロ一佐の言う通り。我々に対してこの陣形では、こちらの陽電子砲は使えませんからな……』

『大丈夫です、我に新兵器あり!耐熱耐衝撃結晶装甲、展開!』

『戦術バジルールを行う!』

『ミサイルタイミング、入力完了!』

『アンチビーム爆雷発射。トリスタン、CIWS起動。ミサイル発射管、ナイトハルト・ディスパール装填。最大戦速で中央突破!』

 

 戦いの狼煙はファウンデーションが上げた。ミサイル、艦砲射撃と共に放たれたのは、旗艦による十二連陽電子砲だ。一斉射撃による面制圧で、回避を許さずミレニアムを撃沈するつもりだろう。激しい攻撃に晒されながら、しかし艦に損傷は無い。

 

『ディスパール、CIWS!撃ちーかた、始めぇ!』

『耐えられるか……!』

『当然です!』

「無論だ……!たかだか十二連の陽電子砲で、この装甲を抜けるものか!やれるものならやってみろ!」

 

 カタパルトの真下まで移動したハンガーで待機しながら、砲撃に晒され揺れる艦の通信に反論する。ミレニアムの誇る最新にして最強の防御兵装は、アルバートと俺が開発したんだ。オマケにキラとエリカ主任も参加している、これでミスが有るはずも無いだろう……!

 

 そしてもうすぐ──この結晶装甲の耐久が切れた時が俺の出番だ。単独での出撃に不安が無いか、と聞かれれば俺にもやり切れるかは分からない。少しのミスが俺だけではなくミレニアムをも落としてしまう可能性を孕んでいるが、それ以上に俺は高揚している。何のしがらみもなく、ファウンデーションを打ち倒すというただ一つの目的に集中できるのだから!

 

「耐久限界まで残り3、2、1……ラミアス艦長!」

『左舷カタパルト起動!』

「アムロ・レイ、行きます!」

 

 ほんの1秒のズレもなく、ハンガーがカタパルトへ上昇。言い切るよりも先に機体が射出された。勢いを生かしたまま機体を反転させると、凄まじいスピードを体感できる。スペースデブリに当たるだけで激しい衝撃に襲われるだろう。だが幸いにも、ミレニアムは俺よりも先行している。彼らの動きを知っているからこその単独出撃、無事の帰還難易度は高い……だが、ミレニアムの航路をなぞるだけでデブリの数は減らすことが出来るはずだ!

 

 ミレニアムよりもやや遅い程度に減速するが、これでも敵艦隊との相対速度は俺の体験したことの無いレベル。こういう無茶はムウの仕事だろうに、ラミアス艦長も人使いが荒い。苦笑してはいるものの、久々の無重力と拡張されていく自身の感覚は心地いい。今ならば、過去一番の戦いぶりを見せられそうだ。意識の手を広げていく感覚、指先に張った糸に何かが引っかかったような手応え。俺は目を見開いた。

 

「邪気が来るか!」

 

 

 ミレニアムの進路に向けてばらまかれたのは、ファウンデーション艦隊が放った超高速対艦誘導弾だ。一艦でも数え切れない物量を艦隊規模で行えば、多少狙いが雑でも直撃弾が見込めるだろう。ミレニアムの迎撃能力、そしてクルーの全てを分析した結果直撃の可能性は非常に高い。これで終わりだ。オルフェがそう確信した時、オペレーターが悲鳴を上げて報告してくる。

 

「閣下、MSです!誘導弾進路上にMSが!」

「何だと?苦し紛れの迎撃か……気にするな!我らはミレニアムを落とす事だけに集中すれば良い!」

 

 

 

「そ、それが……」

 

 

 

「ZGMF-X666S、レジェンドです!」

 

 

 

「何?レジェンド?」

 

 先の大戦で破壊されたという機体が何故ここに?艦隊を回頭させながらモニタに映る機影を見た。誘導弾の弾幕の前に放り出されて絶望しているとでも言うのか、特徴的な灰一色なレジェンドはゆったりと宇宙空間に漂っている。しかしその背中に、ドラグーンは無い。

 

「奴のドラグーンはどこだ?」

「閣下!」

「今度は何だ!」

 

 

 ミサイルの雨に対するは一機のMS。機体自体に大きな変更点は無く、主にドラグーンの改修が主目的となっている。ビーム射撃、ビーム刀身形成による突撃は元より、エネルギー効率の改善によって稼働時間は30%延長。また大型のものとは別に、小型タイプからもビームを発生させることで全てのドラグーンを刺突攻撃可能にしている。もちろん、まだ機能が追加されているが、果たしてアムロがそれを全て扱えるかどうか。

 

「後は野となれ山となれ、か」

 

 伝説の名を冠したそれは、ドラグーンを全てパージした状態で漂っている。迫り来る誘導弾に恐れることなく、アムロは静かに目を閉じた。システムに頼るのではなく、己自身の空間認識能力を信じて待つ。探査する感覚にある程度の数が収められたところで目を開き、同時に放たれるのはビームのカーテンだ。

 

「当たれ──!」

 

 裂帛の気合いと共に、レジェンドの前面に張られた光の網はミサイルを通さない。被弾を避けるため、常に一つ一つ別タイミングで場所を変えながら絶えずビームの弾幕を張り直し、その度にミサイルが撃ち落とされて爆発四散。ものによっては周りを巻き込んでいた。撃ち漏らしはビームライフルで処理をして、遥か後方で旋回するミレニアムへの被害を許さない。

 

『全MS、発進!』

 

 ドラグーンを回収しつつミサイルの爆炎に照らされるレジェンドと、その後方にてファウンデーション艦隊と向かい合うミレニアム。ギラリと輝く双眸が、オルフェを鋭く射抜いていた。

 




※アムロさん、初見でドラグーン使いこなすだけではなく、ラミアス艦長のトンチキ作戦を成功させてしまう。
迎撃でぶち込まれるミサイルを単独で撃墜し続けるとか、それなんて無理ゲー?流石に無茶だろうとか考えてたハインライン大尉達でしたが、平然とドラグーンをつかいこなすアムロさんにドン引きしてしまいました。

ヤベー奴にヤベー機体渡したら化学反応が起きますよねってお話。
待て次回。

アフターストーリーは

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