オーブ国防軍の白き流星   作:御簾

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最終回です。
ここまで読んで頂きありがとうございました。

平和な世界を見たかったですね。
それでは。



おわり

『アムロ、よく戦ってくれた。……それは?』

「コノエ副長か。ありがとう。──これか?いつの間にか身につけていたらしい。珍しい形のネックレスだと思わないか?Tの形だなんて、な」

『ふぅむ、なるほど……良い素材を使っているようだが、これは一体……どこの物なんだ?』

 

 ミレニアムへと帰還したアムロを迎えたのは、号泣しながらサムズアップしているオーブからの整備兵たち。Zアストレイをもう一度羽ばたかせるために熱意を燃やしていた者たちだ。武装を失っているものの、機体に大きな傷はない。格納庫へ降り立ったZの顔は、とても誇らしく見えた。

 急遽追加したマーキングは激戦の中で剥げてしまったのか。翼と盾に、不自然な塗装跡があった。アムロのAと一角獣を混ぜた彼のパーソナルマークは剥がれ落ちて、この宇宙を漂っているのだろう。惜しいことをした、と悔しがるメカニックたちだがアムロはそう思えなかった。

 

「さぁ。どこかに流れていって、やってきた……そんな物なのかもしれないぞ?ここではないずっと遠くから、とか」

『それはそれは、随分まぁ……面白いものだ』

 

 続いてやって来たのはゲルググ、ジャスティス。ガッツポーズが勇ましいヒルダは、早速メイリンの端末を使ってオーブへ通信を試みているらしい。慌てたように右往左往している彼女を遠巻きに眺めながらのアスラン。ジャスティスの片腕と頭部センサーは損傷しているものの、それ以外は健在といったところが彼の技量の高さを表していた。同時に、そこまで追い詰めるほどの猛者が居たという証明にもなるのだが。

 アムロに片腕を上げたアスランが見上げたのは、着艦したインパルスとレジェンド、そしてデスティニー。今回の最大の功労者と言ってもいい彼らの帰還は大歓声をもって受け入れられた。ブラックナイツの撃破にレクイエムの破壊、過去のフリーダムにも並ぶ戦果を叩き出したシンは、コクピットから出てきた瞬間にルナマリアに抱きつかれて飛んでいく。

 

「うわっ、ルナ!?」

「シン!────大好き!」

「え、むぐぁ」

「ようやく言ったな、ルナマリア。いつ伝えるのかと興味深かったが、なるほど。確かにこの機会に言うのが丁度いい。おめでとう、シン、ルナマリア。ゴールインまで随分と長かったな」

「「レイ!」」

「む?」

「「おかえり!」」

 

 首に抱きつかれて窒息しそうになるシンだったが、ルナマリアのダイレクトすぎる告白を受けて顔を真っ赤に染めた。確かに戦っている時には何も考えずに発言していたが、よくよく思い返せばとんでもない発言をしていたのではないか。ニッコリと笑って唇を合わせた二人は、レジェンドのコクピットから現れた彼に振り返る。

 二人の事を遠巻きに眺めていた彼、レイ。もう会えないと思っていた戦友に向けて、二人が両手を広げて飛んでいく。逃げようとするレイだが、その後ろから彼を羽交い締めにして送り出すアスランに直前まで気づかなかったらしい。変な顔をしながら二人に抱きつかれて、彼は素っ頓狂な顔を緩やかに変えた。

 

「──ああ、ただいま。シン、ルナマリア」

『レイ!レイなんだな!ああ、本当に生きて……よかった、よかった……また沢山、話をしよう。ミネルバ隊で』

「ええ、勿論です、副長」

『レイ……!』

 

 感極まって号泣し始めるアーサーだが、その彼にツッコミを入れるような野暮なクルーは居ない。アビーなんかレジェンドの発進オペレーションが終わってから泣き始めて今もそうなのだから。見かねたコノエがデスティニー組の専属オペレーターへと任命したほどには。

 

「艦長、これからどうする?俺たちは海賊……いわば脱走兵のようなものだ。オーブに帰るとして、その後は──」

『そうね、また考える必要がありそうだわ』

 

 ふわりと浮かんだアムロ。格納庫がエアロックによってより騒がしくなった。ヘルメットを脱ぎ捨てながら騒ぎ立てるクルーたちに、その中でもみくちゃにされるシン。アスランも混じっての大騒ぎは格納庫に響き渡ってこちらまで聞こえてくる。ルナマリアもレイも、また結成されたミネルバ隊が大活躍だった。

 思い返しながら、アムロは彼女の下へと向かう。人の輪に入れないまま、隅で膝を抱えたままの彼女。随分と手荒な説教になってしまったが、反省しているような気配はないように感じられる。なんとも厄介な戦乙女だ。こちらが声をかけても、憮然としながら返事するなんて。

 

「問題は山積みだけど……今はとにかく、皆の無事を喜びましょう。そうでしょ、ムウ?」

「そうだな。まさか帰還して早々に飛びつかれるとは思わなかったけども、それ以外は完璧だぜ」

「私のムウなんだから当然よ。──ミレニアム全艦へ!」

 

 満足気に微笑んだマリューの声が響いて、ミレニアムの進路が地球へと向けられる。ハイジャックされた艦がそのまま帰るというのも奇妙な話だが、ここから待っているのは地獄のような戦後処理。証人たるアコードは全滅しているとキラから知らされている上に、アウラも戦死。ジャガンナートも艦と共に宇宙の藻屑と消えたのだから責任の所在が争点になるだろう。

 もっとも、ミレニアムや各MSの通信記録やパイロットの報告もある。ファウンデーション王国の自作自演を証明することが彼らにとって最も重要な課題だ。カガリが頭を抱えていそうな案件だが、それについては問題ないはずだ。彼女にも優秀なパートナーがいるのだから。

 

「進路クリア、発進どうぞ!」

『アスラン・ザラ、ジャスティス!出る!』

 

 カガリから即刻の帰還を命じられたアスランが、キャバリアーと共に先行していく。あのまま地球へと向かうらしい。

 

「キラ君たちにもよろしく」

『ええ、分かりました。もういい加減に、あいつらも休ませてやらなくては』

「その通りだな、我々は彼に頼りすぎた……良い大人がみっともない。今まで丸投げしていたものの重みは計り知れないが、これが本来の仕事だと割り切るさ」

「コノエ副長……今は元通りの艦長か。彼の言う通りだ。ここから先は俺たち大人に任せてもらおう。君たち若者はゆっくり休んで羽を伸ばしてくれ。たまには長い休暇も必要だ」

『ありがとうございます、レイ一佐』

「アムロでいい、そう言ってるだろ?」

 

 艦橋にやって来たアムロが、アスランを見送った。そう、キラとラクス──フリーダムは結局戻らなかった。シグナルロストした訳ではない。フリーダムが健在だというのはしっかり把握出来ているが、戦闘終了と共に彼らは戦域を離脱して行ったのだ。フリーダムの反応が離れていくのを見て、どこか安心した気持ちになったのは彼だけではない。

 キラもラクスも、もう十分と言える以上に戦った。同年代が歩むはずの人生をずっと波乱にしたような、とても濃密で辛い経験をした。これからはゆっくりと休むべきだ。アムロの主張は肯定をもって受け入れられ、地球へ帰還したミレニアムにフリーダムが格納されていないことには誰も口を挟まなかった。

 

「キラは、どうでしたか?」

「強かった。だがそれ以上に彼らも若者だということを思い知らされたよ。恋愛は人を強くする──君にも想い人が居るのなら早く、な?今は忙しいだろうが、そのうちオーブに来るかもしれないぞ」

「もう来てますっ!戦後処理はここでもできるぜ、なんて……仮にも情報省の重要ポストのはずなのに!」

「どうしたんだ?」

「うっさいわね!仕事中なんでしょ!」

 

 あれから数ヶ月。戦後処理に追われる世界とは裏腹に、彼らの空気は弛緩していた。顔を出した金髪に向かってジャケットを投げつけながら、ミリアリアが頬を膨らませた。随分と不服そうだ、何故ここまで怒っているのだろうか。大体想像がつくアムロは彼女と別れて歩いていく。代表首長官邸は広い、逃げる場所はどこにでもある。

 馬に蹴られる趣味はない、と呟きながらぶらつくアムロにも仕事はある。死んだと思われていた彼が実は生きていて、オーブ軍と共に戦っていた……そんなストーリーは民衆にも広く受け入れられている。冷やかしてくるジャンク屋を巴投でリリース。腰を強打した彼はそのまま傭兵に引きずられて去っていった。

 

「ったく、暇人め……」

「あ、アムロ一佐。お疲れ様です」

「広報活動は終わったのですか、一佐。耳に挟んだ予定では昼前までと聞きましたが」

「今日の記者は優秀でね。面倒な腹の探り合いだの失言を引きだそうだの、そういう意図は一切なかったから早く終わったんだ。まさかこのご時世、真実だけを追い求める記者もいるんだな」

 

 入口に向けて進んでいくと、ザフト制服姿のルナマリアとレイが立っていた。ブラックナイツを撃破した功労者たちなのだが、もう一人が足りないようだ。どこに行ったのか、なんて怒るルナマリアの手はポケットに突っ込まれている。それを見ながらレイが微妙な顔を見せていた。ガラが悪いが、それだけ彼の帰りを待ちわびているのだろう。帰還中のミレニアム艦内でも噂になるほど、彼らのやりとりは情熱的だった。MSパイロットにしかできないようなあんな会話、広まらないわけがなかったのだ。

 やがて噂は尾鰭がついて、いつの間にかシンとルナマリアはブラックナイツとの戦闘中にキスをしてから手を繋ぎ、二人で対艦刀を振り回しながら戦っていたことになっていた。レイは仲人だったらしい。それを聞いたアムロは吹き出したし、アーサーはフリーズした。レイが大真面目にスーツを着ようとする姿にはアビーも驚かされた。あの鉄面皮がここまでジョークを解するようになるとは、と。

 

「ところで、君たちは何を?また随分と懐かしいものを引っ張り出してきたようだが……まさかプラントへ?」

「いえ、ただの撮影ですよ。一佐と同じです。プラントへ向けられたレクイエムを破壊し、国を守った若きエースパイロットとして我々の写真を軍の広報が使いたいと」

「そのはずなのに、シンったらまだ来てないんですよ!あと5分で始まるって連絡しても返事は無いし!どこほっつき歩いてるのかしら!もう!」

 

 プンプンと怒るルナマリアだが、それは嘘だということを彼女は知らないらしい。レイによれば、そんなことは建前で実際にはシンがルナマリアに正式にお付き合いの申し込みをするためのお膳立てだとか。それにしたって遅刻しそうになっているのには訳がありそうだ。

 ちらりと窺うと、どうやらシンは既に待機しているらしい。こんなムードもへったくれもない場所で、とは思うが彼の都合にもよるものだろう。そういえば、彼はカガリを始めとしたオーブ軍関係者への対応で、ここ数日官邸に詰めっぱなしだった。許してやって欲しいし、むしろ部下の相手をよくやってくれたと褒めてあげたいほどだ。

 

「まぁ、もうすぐ来るさ。彼も子供じゃないだろうしな」

「だといいんですけど!」

「アムロ一佐は?」

「俺はこれから……少し行くところがあるんだ」

「なるほど、そういうことでしたか。お時間は問題ないのですか?我々はともかく、アムロ一佐の方は」

「君の言う通りかもしれないな、少し急ぐとしよう。ではな。後でどうなったか、教えてくれ」

 

 手を振って角を曲がると、アーサーを筆頭としたミネルバクルーに勇気づけられているシンが居た。何度も何度も深呼吸して、緊張した面持ちを誤魔化すように。ここに介入するのも野暮だと思う。が、ほんのちょっとだけお節介したくなる気持ちがあった。

 少し強めに肩を叩いて、そのまま彼に背を向ける。なるほど、ルナマリアが手を頑なに見せなかった訳だ。花束を持つシンの手、きっとミネルバ隊も気づいているだろう。彼らも一人前の恋愛をする年齢なのだと思うと眩しくなった三十歳。

 

「頑張れよ、若者」

「へぇ、総隊長さんもそういう気分になるんだね。てっきりそういうのには興味が無いと思ってたよ」

「部下の見舞いはいいのか?」

「もう暫くかかるってお医者様が言ってたけど……あの調子じゃ、今日は街で遊んでるんじゃないか?もうピンピンしてたさ」

「命あっての物種だ、許してやれ」

 

 ヒルダも元気そうでなにより。今はコンパスの活動も無いし、長めの休暇にもなるだろう。部下の負傷、そのツケを払わせた彼女の戦いぶりはミレニアム内でもしっかり話題になっている。彼らが死んでいたならばもっとえげつない戦いになっていたんじゃないか、とはメカニック達の談。ボディへの被弾を徹底的に防いだゲルググの姿は、撃破された同型機の雪辱を晴らして満足気だったとか。

 遊び呆けているだろう部下たちのことを考えてか、彼女は頭を抑えた。確かに安静にして欲しい気持ちも分からなくは無いが、彼らも快復して嬉しいのだ。そのうち三人で打ち上げでもするのだろう。彼らの性格を考えてアムロはそう判断したし、ヒルダもそれに気付いているはずだ。だからこそ口では咎めているものの表情は柔らかいのかもしれない。

 

「っと、引き止めちまったね。そんじゃ、また。今度は総隊長さんの指揮で戦いたいもんさ」

「そうならないように頑張るのが今の俺たちだろう。パイロット以外にも仕事はあるんだ」

「違いないや」

 

 官邸から出てすぐ、停められた車の助手席に座った彼女が居た。前を通り過ぎた白髪の青年と長髪の女性に目をやってからこちらに気づいたのか、しかめっ面を幾分か和らげて窓を開く。どうやらわざわざここまで車を回してくれたらしい。少しは変わったのかと思えそうだが、こうすることで外堀を埋めアムロを狙っているようだ。保護観察者を名乗り出たことも効いたかもしれない。

 ある意味面の皮の厚さとそのメンタルには脱帽する。強か、と言うのだろうか。キラを裏切ったことも全て報告され、やや白い目で見られているというのにあの態度を出せるとは。その度に説教を食らっている姿が散見されるが、何故か彼女は満足気らしい。

 

「待たせたな」

「いえ、ほんの数分ですからお気になさらず」

「そうか。では行こう。君は今日は……」

「モルゲンレーテですね、ギャンの新型パックをテストして欲しいとの依頼でした。近接戦闘に特化したものだとか」

「了解、では送っていこう」

 

 風をきって走るのはオーブ国防軍のジープ。モルゲンレーテまでの道のりは短いものでもない。人によってはドライブデートにも見えそうだが、こんな車では雰囲気などあるはずもない。そう思っているものの彼女は気に入っているようだ。あの日以来、何も変わっちゃいないと酷評されがちな彼女も、こうやって見ると色々変わっている。

 しばらく無言のまま、垂れ流していたラジオを切ってアムロが口を開いた。最近の彼女の動向とか、人間関係とか。仮にもオーブの中でも重要ポストに居る彼の保護観察を受けている身として、彼女は迂闊に動けない。下手な事をすればアムロ、ひいてはオーブ軍が動くことになる。そうなればおしまいだ。戦える国家元首と最強の旦那がオマケで付いてくる。

 

「髪、下ろしたんだな」

「ええ、イメチェンです。色も変えたし、ますます誰かわかんなくなっちゃいましたよ、私」

「ピンク色だったのも誰かへの当てつけか?」

「そうかもしれませんね。その誰かさんよりもずっと良い人を見つけられたらいいんですけど、誰か知りませんこと?アムロ一佐」

「そうだな、君のその見え透いた下心が無ければ紹介出来るやつは多いんだが。もちろん俺は無理だぞ、恋愛はしばらく御免だ」

「へーぇ、そう言って。モルゲンレーテに行く時は手土産持っていってるクセに?」

「差し入れだよ、それ以上でもそれ以下でもない」

「ふぅーん」

「……俺を選べば不幸になるぞ、アグネス」

 

 噛み締めるように、前を向いたまま彼は言う。開いたままの窓から吹き込む風に煽られても彼の表情は変わらない。外を見ながらの頬杖をやめて、アグネスは隣の男を見上げるように視線を変えた。いつも真面目そうな彼だが、こういう話題の時は少し後悔が滲む。

 何かあったのか、一度だけシンが尋ねたことがある。その時はアグネスも乗っかって聞いていたのだが、彼はあまり話してくれなかった。ただ静かに一言だけ、もう会えない人がいるとそう言っただけだった。流石のアグネスも気まずくなってその場から逃げ出したが、もしや。

 

「アムロさんって、どこか違う場所から来てたりしません?なんか未亡人みたいな雰囲気ありますよ」

「──俺は純粋なオーブ国民だぞ、アグネス。未亡人というのはまぁ……あながち間違ってもいないんだが」

「すみません」

「いや、いいんだ」

 

 相変わらず何を考えているのか読み取れない。アコードのような能力があったら楽なのに、なんてアグネスの思考はアムロに筒抜けだ。そんな力に頼ってばかりで成長できるものか、と割と本気の説教を帰還中に受けたアグネスは半泣きになっていた。言いたいことを全部先回りして潰してくるのだ、彼を怒らせてはならないとコンパスのメンバーは心に誓った。

 そのアコードだが、どうやらコンパスとしては、アグネスは彼らに操られていたということにするらしい。ザフトの二つ名持ちパイロットが、自分の意思でコンパスのMS隊隊長に攻撃した上裏切ったなど。明らかになればどれほどの反感を買うのか考えたくもない。しかもキラの階級も問題だ、下手をすれば銃殺刑も有り得たのだ。

 

「綱渡りだったな」

「そういえば、アムロ一佐はなんで私の保護観察者になったんです?こんな厄ネタを引き受けるなんてどうかしてますよ」

「そうだな……」

 

 モルゲンレーテ社に到着する。会話は終わりのようだ。丁度休憩のタイミングだろうか、随分と距離の近い夫婦が歩いている。制服を着た嫁にピッタリと寄り添う旦那の後ろ姿は、見ているこちらが胸焼けしそうだ。

 ゲンナリしながらアグネスの方を見ると、彼女も似たような表情だった。アレがあの指揮をして、アレはレクイエムを跳ね返して。世の中分からないことだらけだ。荷物を持ったアグネスを見送るついでに、先程の質問に答えてやる。

 

「君と似た少女を知っているから、とか?」

 

 

 そして、とある海沿いの家で。

 

「……やぁ、四人とも。今日は俺が行くと時間までキッチリ指定した上で連絡していたはずだがな。ん?」

「「「「すみませんでした……」」」」

「いやいや、謝る必要は無いさ。確かに君たちには休暇が必要だとは言った、ゆっくり休んでほしいと思っていたのもまた事実だ。まさか平日の昼過ぎまで寝ているとは思わなかったがな

どうするんだアスラン!めちゃくちゃ怒ってるじゃないか!

だからキラに昨日はやめておけと言ったのに!

でもカガリだって僕達と同じだったでしょ!

「申し訳ありませんわ、アムロさん。まさか昨夜あんなに盛り上がるとは思いませんでしたから

「「「ラクス──!!」」」

 

 仁王立ちするアムロの前に正座しているのは、右からコンパス総裁、スーパーコーディネイター、オーブ国家元首、そしてターミナルのエージェント。それぞれボサボサの髪とパジャマで説教されていた。世界を救った奴らの姿がこれである。

 

「はぁ……それなら全員早く着替えてこい!いいか、いくら世界を救ったからといって徹夜で99年などやるな!なんだギルバート鉄道75とは!あいつにそんな経営など出来るものか!」

 

 どこかの病院で医者が膝を着いた。ついでに看護師は息子にボロクソに言われて泣いていた。自業自得だろう。

 

「まったく……」

「アムロさん、ちょっとちょっと」

「どうした」

「その……カガリさんの件なのですが」

 

 言いにくそうに近づいてきたラクスに耳を貸す。カガリの件とは何だろうか。地球に戻ってきたアスランに抱き上げられて笑っていたらその直後に彼をぶん投げたことだろうか。ウズミ仕込みの体術はザフトエリートにも通用すると話題になったが、それではない?

 

「どうやらその、ですね……」

「──待て、なんだその反応は」

「プラントとオーブの両方に……」

アスラン!

「な、なんですか急に!俺たちは今からシャワーを……」

「昨日やってたのはゲームだけじゃなかったのか?」

「────いえ、そんなことは」

「待て、さっきキラも同じと言っていたな。おい待て逃げるな!これからどうするつもりだお前は!」

 

 手を伸ばしたが、キラもアスランもカガリも消えてしまった。照れ照れと笑うラクスを座らせて、アムロはコンパスの連中にどう説明したものかと頭を抱えた。

 

「これでは道化だよ……!」

 

 頭を抱える彼の苦労は続きそうだ。




※この後もまだまだ続くよアムロの受難

と、いうことで完結です。
二週間弱と短い間でしたがありがとうございました。
UA20万、お気に入り4000、感想300超えと過去一番の伸びを見せてくれました。ありがとうございます。ランキングにも入っていたようで。評価は厳しめだけどな!

さて、そんな本作のアイデア自体は4月頃から抱えておりました。が、あれやこれやとこんな時期になってしまいました。途中、現実世界では色々ありましたが、この作品の彼は彼、アムロという青年はただ誠実に軍人として、キラたちを導く大人として描きたく思って執筆していました。

コズミック・イラという難易度ルナティックな世界にアムロを混ぜ込んでみるとどうなるのか。自分でも少し不安でしたが、楽しんでいただけましたでしょうか。辿り着く場所を探し続け、輝きになれるような結末になれたでしょうか。僕は心配でなりません。何言ってんでしょうね。

ハッピーエンドにしたい、誰かに生きていて欲しい、という僕の思いが如実に反映された作品でしたし、あいつ死んでないやん!とかツッコミが来そうでヒヤヒヤです……

これにてアムロ・レイ一佐の物語はおしまいです。
彼の過去に何があったのか、それは描写しないようにしています。どんな機体に乗って、どんな戦いをくぐりぬけてきたのか。レイや議長が生きている理由とか、色々ツッコミどころは多いです。ので、気になる方はご自分で作り出してみてください。

白い流星の伝説を。

それでは。














































「見てくれ、綺麗な夜景だ」
「本当。地球にこんな景色があったなんて」
「世界は広い、もっともっと遠くまで……彼らの分まで、共に歩んでいこう。私たち二人の運命は、もう誰にも決められていないのだから」
「もちろん。分かち合いながら、貴方と一緒に」



Fin

アフターストーリーは

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  • SEED新作書け
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