ちょびっと柔らかいコンパスをお楽しみ頂ければ。
感想と評価が増えてて感謝感激アムフォルタス。
アンケートも答えてくれよな!
未だにアプリリウスに到着しない本作をよろしく。
おまけ(C.E.71年)
アス「キラが懐いているオーブ軍人だと!?お前、キラに何をした!まさか弱みにつけ込んだんじゃないだろうな!トゥ!」
アム「話を聞け」
アス「ヘァー!?」
初対面で暴走したアスランを優しく投げ飛ばしたアムロ一尉でした。ジャスティスとかいう謎のMS片手にザフトから抜けたアスランも大概だと思うんです。
「──クライン総帥によろしくと伝えておいてくれ。良いな、間違っても残業なんかするなよ。させるつもりもないが」
『あはは、分かりました』
『任せてください!その時は俺が無理矢理総裁のところに連れて行きますから!な、ルナ!』
『あー、はいそうしますね』
『別に私がやってもいいのよ?』
「全く……それでは、気をつけてな」
『『『『はい!』』』』
「ローエングリン、撃てぇ!」
陽電子砲から吐き出された光線が大気を割き、そこを3つの機影が宇宙へと駆け上がっていく。単独での大気圏離脱、再突入が可能なフリーダムとジャスティスはともかく、ゲルググとギャンは大型ブースターを利用しなければならない。やはりフリーダムとジャスティスは特別機、ということか。
アークエンジェル下部に懸架されていた大型ブースターが切り離され、瞬く間に宇宙へと消えていく。モニタに自分の顔が写りこむと、そこには不安げに揺れる瞳があった。彼らならば大丈夫だろうが、万が一のこともある。アルバートには例のプログラムの修正をこちらに回すよう連絡しておこう。
「さて、と。私たちはこれからどうしようかしら」
「一先ずは待機だな」
「同意だ。機体のチェックでもしておくか?」
「それならシミュレータだな。今日こそはお前に勝ち越してやるぞ、アムロ。いつまでも負けっぱなしじゃ格好つかんからな!」
「なら、お前が負けたら食堂奢りだな」
「乗った!」
●
一方、プラントにて。
「クライン総裁は、今回の件についてどうお考えか!ヤマト隊長の独断によって、本来捕らえられた筈のミケールを確保しそこなったのだぞ!」
「国防委員長、そこまで」
「クライン総裁、今回の件もお疲れ様でした。ああ言っては居ますが、ジャガンナートも、コンパスが無ければこの平和も維持できないと分かっているはずです」
「お気遣い、痛み入りますわ。ラメント議長」
「して、やはりミケールはカナジには?」
首を振る。アプリリウス市のコンパス本部より退出する彼らは、文字通りの首脳陣。それぞれ付き人を侍らせたプラント議長とコンパス総裁の二人だ。並んで歩く二人の背中は決して気楽なものとは言えそうにもない。
ミケールはカナジにも居なかった。報告より判明した中で最も重要なのはその点だ。ユーラシアの軍事緩衝地帯に潜んでいる可能性あり──キラ・ヤマト、アムロ・レイ両名によって作成されたそれの結論。やはりか、としか言いようがない。
「アムロ一佐の推測通り、彼はユーラシアに潜んでいるのでしょう。自らの名を使ったテロリズムは、これ以上看過する訳にも行かないのですけれど」
「ううむ、ユーラシアですか。居場所が分かっているというのに、よりにもよって……我らだけで手出しが出来ないのも、難しい問題ですな」
外の空気を吸うと、少しリフレッシュした気分になれる。難しいことばかり考えていては肩も凝るといったもの。やや柔らかくなった空気の向こう、青い鳥がやってくる。幸せを運ぶというそれは、ブルーと名付けられた機械仕掛けの鳥だった。
アムロの指南でキラが作ったという二羽目の鳥は、差し出した指に足を絡めて止まり木とする。キラも今回は帰ってくるだろう。アムロから送られてきたメールにもそう記されていた。万一の場合は、シンが引きずってでも連れて帰るとか。
「ヤマト隊長が戻るのは、1ヶ月ぶり……いや、半月ぶりですか。あの『白い流星』アムロ・レイ一佐が無理矢理連れ帰ってきた時には何事かと思いましたが」
「今回はゆっくり休めそうですわ。頼もしい部下に見守られているようですし、帰ってくるかと」
「それは良かった。……しかし、彼は不思議な男ですな」
この混迷の世界、消えぬ戦いを全て一人で対処しようなどと。彼がかなり無茶をしていることはラクスも理解している。それが彼なりの努力だということも、そんな彼を止める仲間がいることも、ラクスは知っている。
「優しいのです。キラは」
だからこそ、こんな言葉しか言えないのだ。自分のために、平和を齎すためにその身を挺して働き続ける彼の想いに甘えてしまっている。それを知りながら、彼の行為を否定しないまま受け入れている自分に嫌悪感。そうならないように努力している大人がいるということは、あまり理解出来ていなかった。
「あら?」
「通信ですか、場所を変えた方が?」
「いえ、これは……シン?」
突然のコール音に驚きつつ、発信元がシンであることに目を丸くした。彼から自分に通信とは随分と珍しい。キラのことなら、いつも通りルナマリアかアムロが一報を入れるはずだが、そう考えてはたと気が付いた。今回はシンが張り切っているそうだ。
『総裁!シン・アスカです!』
●
「今、アプリリウスに向かってるとこなんすけど……なんかミレニアムのエンジントラブルか何かが起こっちゃって。帰れるのが早くても日付変わる前くらいになりそうで……」
『あら、それは。大事ありませんでしたか?』
「積荷が何個か格納庫にばらまかれたくらいですね、ほら。今必死に化粧品集めてるのがアグネスで、ルナは一緒になって服も集めてます。隊長も隊長で荷物がばらまかれて大変だって……」
『エンジントラブルとは珍しいですわね。帰港次第メンテナンスの手配を行っておきますわ』
『こちらからも人員を出しましょう。最新鋭の艦でトラブルとは……何事も無ければ良いのですが』
格納庫の上から見下ろすシンがカメラを向けると、慌ただしい格納庫の映像がラクスとラメントに見せつけられる。なりふり構わず、とはまさしくあの事だろうか。アグネスとルナマリアがかき集めているは彼女達の私服や化粧品、アクセサリ。なんで格納庫に、と聞かれれば帰港するから纏めていたのだ。
荷物は全て部屋に置いてあるシンからすると、高みの見物と言ったところか。いずれ帰港ギリギリになってルナマリアに泣きつくのだろう、と白い目を向けてくる整備士たちだが、残念ながら彼がそれに気づくはずもない。むしろ敬愛する隊長の荷物を拾い集めに行っていた。
「隊長、これは?」
「ムウさんから渡されたよく分かんないやつ」
「これは」
「アムロさんに貰ったお茶」
「これは」
「コノエ艦長から貰った30万のイヤホン」
「これは」
「アムロさんが作ったマグネットアンカー。ハインライン大尉と一緒に改良しようって話になってて」
「これは」
「ラクスへのお土産」
「私物は!?」
なかった。
『私から言うのも何ですが、キラはもう少し趣味に没頭しても良いのですよ?戦うだけが貴方の役目では……』
「ううん、僕の役目はそれだよ。今、僕がやるべきことなんだ。趣味とかは全部終わってから考えようかなって」
「隊長……」
ただキラに懐いているだけであってシンは阿呆ではない。キラがこう考えている理由に思い至って、表情を曇らせる。昨日のアムロの話がこうも捻くれてしまうとは、彼も浮かばれないだろう。脳裏のイマジナリーフレンドがシンの肩を叩いた気がした。
こんな時、レイならどうするだろうか。そう考えてゲンナリした。彼なら容赦なく指摘しそうだ。これが准将のためになるからとスパスパ彼の傷を抉っていきそうで、やはり自分がやらねばと決意する。手にした布切れをキラに差し出しながら、自分が出来る限りのキメ顔で。
「隊長、アムロさんの言ってたことは……」
「あ!シンったら!隊長のパンツ握りしめて何言ってるの!?ルナマリアから隊長に浮気するってこと!?」
「バカシン!あんたついにそんなところまで!?」
「違ぇよ!」
「シン……」
台無しだ。
結局、キラの誤解を解くことは叶わないままだった。格納庫で女二人に詰め寄られるシンが目撃されたぐらい。それはそれでキラが微笑む理由にはなったものの、ブチ切れながらスパナ片手にやってきたハインラインによって強制解散となった。
『ってことがあって!』
「まぁ、シンが言いたかったことはもっと別にあったんだろうな。アグネスとルナマリアのタイミングが悪すぎたとも言えるが……そうか、エンジントラブルとは。アルバートの機嫌が最悪な訳だ」
『あの時の大尉、こっちをスパナで殴り殺しそうな勢いでしたよ。あー怖かったぁ、隊長に慰めてもらおうっと!』
『ちょっとアグネス!』
「はぁ……変わらないな、アグネスは。ところでルナマリア、アプリリウスにはあとどのくらいで?」
シミュレータを終えた俺たちはアークエンジェルで待機を続けていた。機体の調整はほとんど完了しているからと、ムウから吹っかけられる挑戦に応えては勝ち越す日々。そろそろ財布の紐が怪しいムウががっくりと肩を落としているのが愉快だが、それはそれとしてミレニアムは大変だったようだ。
食堂で飯を食っていたと思ったらルナマリアから通信が来たのだ。緊急事態かと慌てて出てみればこの始末。シンめ、一体何をしているのか。俺としてはキラをアプリリウスに引きずり出せばそれでいいと考えているのだが、どうにも思い通りにはいかないな。
「予定通りなら今日だったはずだが……エンジントラブルなら復旧作業次第ってところか。コノエ艦長は何と?」
『早くて明日、遅ければ明後日になりかねませんな。ハインライン大尉が先導しての作業中ですが、一体どの程度必要かサッパリ。アムロ一佐を向かわせるのがあと数日遅ければ、と後悔していますよ』
「艦長」
『ルナマリア、作業の様子を見てきてくれ。それと、プライベートな内容は部屋から行うんだ。流石に艦橋の設備で通信されては困る』
『はっ!?はい!』
「ルナマリア……」
「よっぽど頭に来たんだろうな」
向かい側のムウと顔を見合せると、呆れ顔が見えた。おそらく俺もそうなのだろう。苦笑したコノエ艦長と他愛もない会話を交わしているとエンジンの調子が戻ったとの報告があったらしい。
通信が切れる直前、艦橋にやってきたハインラインの顔が死んでいたのは怒りによって感情がショートしたからだろうか。よっぽどのトラブルだったのか、それとも初歩的すぎて気づけなかった自分が意味不明だったのか。おそらく後者だろう。
一息。コップの水を飲み干して、ムウがこちらにスプーンを突きつけた。マナーが悪いからやめろと手を降ろされると、彼の顔は真剣そのものだった。顔は。分かったから匙を下ろせ。マナーを考えろマナーを。
「悪い悪い。……で、アムロはどう考える?」
「俺は思考が読めるという前提で話すな。……ファウンデーション王国のコンパス参入か?あれはダメだな、獅子身中の虫になる。コンパスがあっという間に食い尽くされて崩壊するぞ。移民を受け入れ続けた国家のようにな」
「それはどういう?」
「ターミナル、アスランからの情報だよ。急速な発展を遂げたファウンデーション王国の裏側は真っ黒だとさ。国策としてのデスティニープランの採用で発展だけ、メリットだけが浮き彫りになると思うか?」
当然反発も起きているだろう。だが国外にそれは知られていない。おそらく徹底した情報統制が為されている筈だ。ほんの僅かにも流れ出していないのはファウンデーション側の努力の現れだろうが、それにしても。
急速に復興を遂げた都市部と郊外部の格差は未だに埋まることなく、むしろ広がり続けている。スラム街のようなものも形成されているだろう。逆に言えば、ファウンデーション側はそれを見逃しているとも言える。そうして集めた不穏分子を一度に摘発する方が手間が省けるからな。
「何にせよ、見極める必要があるな」
「同感だ。またアイツらに負担をかけるなんてことにならなきゃいいんだが……そうもいかないだろうな」
「コンパスの中でも屈指のパイロットたちだ、まず間違いなく国家訪問の際に呼び出されるだろう。俺も、お前もな」
「うげぇ、格式ばったのは嫌いなんだけどなぁ、俺は。王国ってことはどうせ舞踏会とかあるんだろう?警護するのが主任務だってのに舞踏会とは、手間が増えるぜ」
「ラミアス艦長と踊ればいいじゃないか」
馬鹿言え、と笑われた。
冗談のつもりは無かったのだが。
※シンは戦闘時キラに頼って貰えない以外はただの忠犬ムーヴをカマしているものとする
次回はちょっと話を進めてファウンデーション王国。
キララクのやりとりは原作と同じです。ミトメタクナイ!
では次回もよろしくお願いします。
良くも悪くもガンダムSEEDシリーズのテイストを
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出して欲しい
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出さなくて良い
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モルゲンレーテでムウ・ラ・フラガ