「お前は一生を掛けて六眼を欺くんだ」って言われた件 作:赤福かき氷
灼熱地獄の夏日も落ち着き始め、山道には赤蜻蛉の姿もちらほらと目に入る季節だ。
一年生の教室で悟くんが「交流会するよー」と軽いノリで告げたのだ。呪術界初心者の憂太と俺は揃って首を傾げる。俺の知識は戦闘方面特化で、呪術界の形式だの伝統だのは全く存じ上げない。
「交流会.........って何なんだ?」
「その名の通り、学生呪術師同士の交流会だよ。京都に姉妹校があるのは知ってるよね?」
そこまで言われて思い出した。「今年も生徒同士のサドンデスになった。みんな呪霊祓う気ないだろアレ」と
「学生同士が殺し合う例のアレか?」
「睡蓮それ外では言わないでね。怒られちゃうから」
俺の言葉に憂太が信じられないと言った顔で見つめてくる。残念だな、これがこの界隈だぜ。
「1年は基本不参加だろ。私らに関係あんのか?」
「今年は人数的にウチが2人少なくてね。1年から2人出てもらいたいんだ」
京都は随分と人員が豊富なようだ。しかしながら、上層部のお膝元なので参加したら不味い人間が若干名存在する。どこぞの乙骨とかどこぞの憂太とか。
「あっそうだ、1人は憂太ね。あと1人も決めちゃってくれる?」
マジかよ、とでも言いたげな視線が悟くんに集中する。無理もねぇ。憂太本人も青い顔をして首を振っている。さっきから表情の忙しいヤツだ。
階級的に棘が適任だろうと推薦するが、首を振られてしまう。2、3年の先輩方がおにぎり語非対応だからと。オマエ来年できる筈の後輩はどうすんだ。後輩なら良いのか。
4級2人、3級1人と残った3人は階級的に似たり寄ったりである。
「じゃあ睡蓮で良いんじゃね?術式割と派手だし」
「そうだな」
「そんなノリで良いのか?」
パンダはともかく真希は参加を希望すると思ったので意外だ。京都校に進学したらしい妹さんと何かあったのだろうか。
わりかし軽いノリで交流会の出場が決定した。この面でこの術式は問題しか無い気がするが、
京都市内の"碁盤の目"は、栄華を誇った平安の都が位置した名残だ。呪術の聖地と言われるだけあって歴史ある建造物等も多く存在する。勿論おっかない曰くつきの諸々も。
京都一の繁華街たる祇園や千本鳥居の伏見。学問で有名な北野天満宮には、日本三大怨霊と称されるかの菅原道真が祀られているそうだ。
八ツ橋や錦市場の屋台グルメ、京ばあむなどグルメには事欠かない。因みに俺の一押しは"茶の菓"と呼ばれる抹茶のスイーツだ。
「先輩、京都のパチ屋ってアタリ台多かったりすんの?」
「残念ながらパチ台に地域差はねぇな。店舗ごとのアタリ率の問題になってくる」
京都駅構内は東京駅に負けず劣らず人でごった返している。上を眺めると最上階までフロアをぶち抜いた高い天井が目に入る。ガラス張りの窓の外に見えるのは京都タワーだろうか。
「2人とも未成年じゃ......」という憂太の呟きはスルーだ。俺のお気に入り台は地獄少女。小学校低学年頃に流行っていたアニメだが、当時はみんなして藁人形を振り回して遊んでいたものだ。呪術師になった今考えるとおっそろしい話ではあるが。
俺はともかく、秤先輩は制服さえ着なけりゃ補導はされない。ダブっているので当たり前だが未成年ヅラじゃない。
先輩方曰く、今の2年に在学中に1級を獲得したやべぇヤツが一人いるとのとこだ。未だによく分からないが、在学中に2級を取った棘ですら各方面から"逸材"と評価を得ているのを鑑みると、改めて学生1級というヤバさが際立つ。
まぁ俺の横に立ってるヤツは特級だけどな。
因みに何がどうヤバいのかは言葉を濁されてしまった。
*
姉妹校たる京都府立呪術高等専門学校に到着する。東京高も都会のビル街とは様相を異にする建築様式ではあったが、京都のソレは更に上をいった。
前を歩く先輩方に続き間藤君と並んで歩く。横を歩く友人は何とも呑気なもので、表情には特に緊張の色が感じられない。
「間藤君は緊張しないの?」
「だって俺ら所詮数合わせだろ?面倒ごとは全部先輩に投げとこうぜ」
人任せにすんじゃねぇと前列から飛んできた暴言も特に気にした様子はない。僕もこれぐらい肝が据わっていたらと思うことは何度もある。
「俺4級だし。憂太、オマエは特級なんだから期待大だぞ」
「えっ!?」
特級と言っても僕自身が階級相当の実力を有している訳ではない。里香ちゃんありきの話だ。それに、里香ちゃんを加味しないとなると間藤君の方が僕よりよっぽどできる。本人に昇級する気がないのか階級は出会った当初と変わらず4級のままだが。
千本鳥居を想起させるような長い階段を登り、木組みの鳥居を潜って開けた場所にでる。間藤君は「長い」と術式で浮遊して登るという暴挙に出たため、自力で登りきった先輩方からはブーイングが飛ぶ。
「なんか揉めてね?」
間藤君の指さす先には、出迎えに来てくれたらしい巫女装束の女性と五条先生が何やら言い合いをしている。言い合い、と言うよりは五条先生が一方的にクレームを受けている感じだ。
最後尾から深い溜息が聞こえたので思わず振り向くと、学長が頭を抱えていた。
巫女装束の女性がこちらへ視線を向け、その彼女の瞳が驚愕の色で染まる。まるで死人でも見たかのような如き反応だ。
里香ちゃんに対する反応かとも思ったが、どうにも視線が合わない。視線の先は頭に疑問符が浮かんでいそうな表情の間藤君だ。彼はくるりと後ろを振り向くが、誰も居ないのを確認して首を傾げている。
「憂太、俺の顔になんかついてる?」
「何もついてないと思うけど......」
僕たちの戸惑いに気がついたのか彼女は軽く咳払いをして表情を元に戻す。
「睡ちゃん何かやっちゃった?」
「俺さっき京都着いたばっかだよな。星先輩一緒に京都上陸したじゃん」
本人には全く心当たりが無さそうだ。やっぱり里香ちゃんの方を向いていたのかもしれない。
「初日は団体戦だっけ?俺らも一応参加するんだよな」
「そうだよ」
「京都校のヤツらが憂太をリンチにする可能性ある?」
特級という肩書きはあまりにも物騒だと間藤君は主張する。ばらけて数を減らした後に相手取るよりも、人員と戦力に余裕のあるうちに勝負を決めにくる可能性があると。
「京都のヤツらは実物の里香を見たことねぇからな。色々測りかねてんだろ」
「そうだね、里香ちゃんには大人しくしててもらわなきゃ」
「憂太、ソレ多分フラグだぜ」
*
「歌姫と悟は相変わらずだな......」
「学生の時からあんな感じなんすか?」
「中身の成長が追いついていないんだ」
「それは五条先生だけじゃね?」
「睡蓮、聞こえてるからね」
先程大きな溜息をついた学長が補足する。悟くんの三つ上の先輩らしいので、兄さんの二つ上の先輩ということになる。そういえば"歌姫先輩"という名前も偶に耳にした気がするな。
中々に素晴らしい表情で眺められたので何事かと思ったが、彼女の素性を知った今なら納得だ。
死んだ筈の後輩と瓜二つの野郎がいたら誰だって驚く。感性も割とパンピー寄りであるように感じるので、色々と複雑なのだろう。
おっかない顔をして「いい加減にしろ!」と悟くんを絞めに向かう学長という光景を苦笑混じりに眺めていると、校舎の方からぶっそうな気配を撒き散らした数人の生徒が歩いてくる。
「うわぁ、みんな怖そう」
「始まる前からビビんなよ。オマエには里香がいんだろ!」
「そこアテにしちゃ駄目だろ」
パチンコ先輩はさらっと無視して京都校の面々に目を向ける。当然ながら誰が誰だか分からない。ガタイの良い男子生徒が1人、周りの制止を振り切ってこちらへ歩いてくる。
「乙骨憂太、そして名も知らぬ少年よ!──どんな女が
「秤先輩、ヤバいヤツってこういうことか?初対面で性癖の開示とか世紀末地帯かよ」
「そういうことだ。俺らも去年やられたからな、アレ」
顔を寄せて小声で会話を交わす。初対面で術式詳細を尋ねるのとはまた別ベクトルのデリカシーの無さである。恐らく彼が学生にて1級の称号を得ている有望株で間違いないだろう。かなり
性癖の開示でバフがかかるなどというトンチキ事態はない。あるとしてもあの
秤先輩といい東堂葵といい、どいつもこいつも学生には見えない。折本里香の件で憂太の名前はある程度知られていたのだろう。
「さっさと答えろ」
仁王立ちで腕を組み、余りにも堂々とした様子でこちらを品定めする。
哀れ、乙骨憂太はまったくこの状況についていけてない。得体の知れない物から距離を取るべく後ずさった彼の靴底から砂利を擦る音が鳴る。
「間藤睡蓮16歳!
いいだろう。それ程気になるというのならば教えてやる。同級生に当てはまらなくもないが、そんな目で見たら彼女に半殺しにされる事くらい考えずとも分かる。違うからな。
「そうか。───及第点だ」
「オマエ何様だよ」
嘘でしょ普通に答えるの、とでも言いたげな憂太に視線を向ける。この男はこちらが返答するまで引く気はない。向こうの頭を抱えている京都高専の面々もあまり役には立たないだろう。
「憂太のタイプは里香だろ?」
「.........うん!」
幼少期とはいえ、可愛らしい愛を誓ったフィアンセだ。こう答えておけば間違いないだろう。勝手に頷いて満足している東堂と名乗った先輩は、諦め半分といった表情の庵先生に回収されていった。
なんか京都も大変だな。
気の抜けるような掛け声と共に団体戦が始まった。10体の3級呪霊と1体の2級呪霊が敷地内に放たれており、先に2級呪霊を祓った陣営が勝利となる。制限時間を超過した場合、祓った呪霊の総数が多い陣営に白星がつく。
2級という等級は決して低くはないが、両校の猛者半数程は問題なく除霊することが可能だ。ならば、何故制限時間等が設けられるのか。それはルールの最後の一文、「片陣営の全員が戦闘不能になったら試合終了」に尽きる。勿論呪霊にやられて戦闘不能になるはずもない。
協力して呪霊を祓う能力を示し合う、などと謳っておきながら結局みんな呪術師同士の大乱闘を繰り広げる気満々なのだ。
『睡ちゃん、向こうどうなってる?』
「東堂先輩が真っ先に飛び出してったぞ」
味方陣営で唯一空が飛べるやつ、ということで現在進行形で索敵中だ。空に浮いている以上丸見えなのだが、特に戦力として数えられていないので問題ない。一人くらい足止め出来たら儲けもんだと言われている。
憂太と俺の一年コンビは数合わせで出場が決まっているため、
「星先輩、目の前に魔女っ子だ。いいなアレ」
『やっぱ向こうも索敵要員いるよね。去年もそうだったな』
電話口の向こう側から何やら忙しない音が聞こえる。東堂先輩と会敵するのも時間の問題なので「なるべく粘って死ね」と
......睡蓮さんの犠牲軽くない?
「アンタも空飛べるのね」
「浮いてるだけだぜ」
カスタムされた高専の制服も相まって、魔女の宅急便の彼女の姿が過ぎる。目の前の魔女っ子はジブリの彼女のように平和な性能はしていないと思うが。
(術式は箒のほうか?)
上層部のお膝元たる京都だ。加えて、冥冥1級が鴉を飛ばしているため天眼の使用は奨励されない。
仮に魔女っ子先輩本体が空を飛べるならば、わざわざ箒に乗る必要はない。ロマンを求めたのならば話は別だが。
どのみち俺の任務は「やられるまで索敵すること」である。制限呪力量内で上手くやりくりすれば問題無いだろう。先輩命令もあるし、どうにかなるならどうにかする所存ではある。
1番怖いのは鴉の前でやらかして諸々が悟くんに露見することだ。今更そんなヘマを犯すはずはないが。
浮かびながら術式に呪力を流し込む。
きさらぎ駅の任務当時は浮遊と加重の並行はキツかった。元々俺の術式ではないため"式業呪法"のように精密な操作は困難だった。
呪力量制限と"式業呪法 隠匿"、加えて重力の操作。幾ら鍛えてきたとて、この3つを並行するのは困難だった。重力の操作が「浮遊」と「加重」の二つとなれば、並行作業は合計で4つにもなる。流石にキツかった。
しかしながら俺は偉大なる成長期。高専での生活によって数多の術師や呪霊と出会い、存分に
制限呪力量内で重力操術を使ってそれなりに暴れるぶんには問題ない。何故ならば重力操作を極めた誰もが認める
ギリ平均の呪力でやりくりすれば「すごーい」で済む話なのだ。寧ろ高専に通っていて全く成長しないというのも不自然である。
魔女っ子先輩がジリジリと接近してくる。藍色の瞳に警戒心を乗せた油断のない視線を向けられる。「1年4級」の肩書きに騙されてくんないかなと思ったが、格下相手でも手を抜くつもりは無いようだ。
『睡ちゃん、そっちどうにかなりそう?救援は無理そうなんだけど』
「......そうみてぇだな」
眼下では東堂先輩が東京陣営にカチコミをかけていた。周囲の木々を薙ぎ倒し、ついでと言わんばかりに三年の先輩を吹っ飛ばす。
こっそりボス呪霊の気配を窺うが、乱闘地帯から西方にかなり離れた位置にいる。乱闘が片付くまでは見つからないだろう。呪霊よりよっぽどやべぇヤツがいるからな。
「"付喪操術 鎌異断"」
彼女が箒で旋回すると共に呪力の風が飛んでくる。横薙ぎの風だったので高度を少し下げて回避する。小回りが効く分俺の方が有利だ。感じられる呪力の流れ的に、箒が媒体で間違いないだろう。
「ちょこまかと......やるわね一年!」
再び風が薙ぐ。勿論回避行動は取るものの、不規則かつ複数の空気の刃を浮遊だけで回避しきるのは中々に厳しい。
ほつれた制服の糸が空を舞う。某宅急便の箒とてこんなおっかない性能ではなかったはずだ。
「ソレってデッキブラシでもいけんの?」
「アンタ状況わかってる?」
目の前の先輩がロマンを求めて箒に乗っているというわけではなく、何らかの術式で箒を操作しているらしい。
呪詞と共に再び強い風の刃が俺を襲う。しかしながら、大技には隙がつきものだというのは何処の世界でもよく聞く話である。
呪力消費は限りなく少ないため浮遊する分には問題ないのだが、何発も「加重」を外すのは宜しくない。そちらはそれなりに呪力を消費するので、制限呪力量超過になっても困る。
一瞬の隙に合わせて周囲の重力を弄る。
浮遊状態の人間がいきなり均衡を崩されたらどうなるか。当然バランスを崩す。地面に叩きつける勢いで加重するが、流石に命の保証はしかねる為ある程度で解除する。
自宅の窓から転落して死亡、という事故など誰もが一度は耳にしたことはあるだろう。十メートル未満の距離とて、万有引力に従った結果命を落とす。
今の高度は地上約五十メートル。重力による落下加速も加われば、幾ら術師とはいえ無傷では済まない。
(飛んでる相手にはめっちゃ効くな)
魔女っ子先輩から箒をもぎ取り放り投げる。やはり箒無しでは戦闘継続が不可能であるようだ。何はともあれこれでまずは1勝。
「魔女っ子先輩生きてます?」
「アンタ......アホの割にやるわね」
結んでいた髪の毛の片方は解け、制服も所々破れて土埃に塗れている。それは俺にも言えることだが。
多重並行作業にも脳が慣れてきた。すこぶる良い傾向だ。
瞬間、強大な呪力が大気中に満ち満ちる。転校初日の憂太から感じた気配と同じそれ。
(里香でてんじゃんどうすんだよコレ!!)
東堂葵の襲撃に続き、続々と京都校陣営の術師が東京校に襲いかかった。呪霊と多対一の戦いを繰り広げた経験こそあれ、憂太にとって術師との集団戦闘は経験がなかった。
それは常に憂太と行動を共にする里香にも言えることだ。異常事態、憂太の危機だと察知した折本里香がその能力を存分に発揮。
簡単に言えば"出ちゃった"のだ。
里香の余波でボス呪霊を含む会場内の呪霊は全滅。交流会は東京校の勝利で幕を閉じた。慌ててすっ飛んでいった俺は、顔面蒼白で里香を抑え込もうとする憂太を横目に「フラグ、回収だな」と呟いて秤先輩にぶん殴られた。
結果は東京校の勝利。祈本里香もまぁギリ完全顕現した訳ではないし、死人も出ていないので何とかお咎めもなし。ボス呪霊を倒したのは憂太という扱いだ。
俺や秤先輩が向こうを何人か落とし、こちらも3年の先輩が何人かやられていたので何とか団体戦の形は保った。
里香の活躍で残りも死屍累々となったが。
「やっちまったな憂太!」
「笑いごとじゃないよ......」
疲れ切った顔でベンチに腰掛ける憂太の肩を組む。一瞬で呪霊がバスターされていったあの光景は気分爽快だった。
そして
たぶん苦労してんだろな。
「間藤睡蓮よ、お主は何故呪術師に?」
死んだ目をした京都勢を笑いながら眺めていると、見事な白髭の老人に声を掛けられる。確か、京都校のトップたる楽厳寺学長だっけか。悟くんいわく"ゴリゴリの保守派"、つまり憂太の敵対派閥ということだ。
あんま関わりたくねぇと内心で溜息をつくが、投げかけられた質問は想像とは事なっていた。
「フツーにスカウトされたから。術式持ってて視える人間を放逐しとくのはやべぇってことで」
「お主の身内は何も勘付かなかったのか?」
「パパ
京都の学長の期待していた返答とは異なったようだ。俺が
悟くんの粗探しをしたいのか、憂太の足を引っ張りたいのか定かではないが、下手に関わって万が一にも諸々が露見したら非常に困る。
流石に京都の学長を口封じすんのは不味いし。
東京勢に怪しまれる前にさっさと会話を切り上げる。
(兄さん、交流会にも顔出してたんだろな)
京都の学長とて驚いただろう。かつての東京高専教師として対峙していた男と瓜二つの生徒が眼前に現れたのだから。
上手く誑し込めば利用できなくもない、という魂胆は少なからずあったのだろう。残念ながら、俺が保守派と相容れることは絶対にない。
最初から最後まで問題だらけだった交流会も誰1人欠けることなく無事に終了した。欠けることなく、などという当たり前の要素が喜ばれている時点で呪術界の治安はお察しだ。
どうせならもう少し長居しようぜということで、俺と憂太は京都市内を観光している。前もこんなんあった気がする。
阪急電鉄烏丸駅から清水寺方面へ続く道は"京都河原町"と呼ばれる観光街だ。都路里や中村藤吉などの抹茶の店からおばんざい等の飲食店に至るまで、様々な店が並べられている。
糖分を摂取したい気分だったので多種多様の可愛らしい飴が売られている店に足を運んだ。店内は九割九分が女子ばかりで肩身の狭い思いをしたが、こうなりゃ道連れだと憂太を引きずって入る。
「これのど飴じゃね?」
「いいね!狗巻君に買ってかえろうよ。他のみんなは何がいいかな」
「プロテインは?」
「それは京都じゃなくていいと思うよ」
濃茶手毬という丸い飴を選んで口の中に放り込む。ほんのり抹茶の香りがして美味しい。
「そう言えば秤先輩たちは?」
「パチンコ行こうとして星先輩にどっか引き摺られてったぞ」
「最後まで締まらないね.........」
「ほんとそれな」
誤字報告ありがとうございます!
8/18 21:05 修正しました