アビドス「ニセ」スナオオカミ   作:フドル

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お久しぶりです。一年以内に投稿すればエタじゃないって誰かが言ってた気がするので恐らくセーフ。

くっそ今更ですけど前回の感想コメントと誤字脱字報告ありがとうございます。

あ、今回オリキャラの名前が出ます。苦手な方はご注意を。


ん、原石

「んんんんんん‼︎」

 

 ニセコは布団を頭まで被り、トリニティで現在大好評のふわふわ枕に顔を埋めながら可愛らしい呻き声を漏らしていた。

 

 既に今更感はあるが、ニセコは前世男性の転生者だ。そのため自意識も当然男性である。それも成年間近のだ。

 

 なのにトラウマを刺激されたからといって、精神的年下の少女に甘えるなんて言語道断。ニセコからするとそれはレッドラインを余裕でぶち破ったアウト判定である。過去に戻れるのなら情状酌量の余地無しで助走をつけてから殴りかかるレベルだ。

 

 ニセコは自分のことを内心では夜の港で1人佇むかっこいい感じの孤高の狼と考えている。スケバンから見ると完全にふにゃふにゃ笑顔でもっと撫でて〜とねだってくる幼女なのだが、ニセコ的にはタバコ代わりにココアシガレットを咥えた孤高の狼である。

 

 ……なのだが、最近はそれが揺らいでいるような感覚をニセコは感じていた。それを強く感じるのはスケバンに抱擁された時、特にトリニティ出身のスケバンから抱擁されると孤高の狼が剥がれて中身の幼女が撫でてくれるの?と出てきてしまう。

 

 スケバンがニセコの笑顔に勝てないように、ニセコはスケバンの抱擁に勝てない。トリニティ以外のスケバンからの抱擁にも独自の良さがあり、一度抱きしめられればニセコは無血開城をするように即負けする。

 

 これはいけない。今のままだと子供用のバケツをひっくり返して作った砂の山のように高いニセコの男性としてのプライドがスケバンたちのバブみに負けてしまう。

 

 そこでニセコは閃いた。バブみに負けないように強くなればいいのでは?と。そのために必要なものも既にニセコの脳内が導き出している。

 

 それはマッスル。即ち筋肉である。転生系の小説を読み漁ったことがあるニセコの知る限り、筋肉を前面に出した小説の主人公は当然筋肉でムキムキだし、誰かに負けるシーンなんて見たことがない。どんな苦境でも謎理論の筋肉パワーでブチ破る正に無敵の象徴だ。

 

 なので自分がムキムキになれば、スケバンたちの抱擁にも勝てるはず。つい最近の白モップとの追いかけっこでも筋肉の必要性は感じていたのでタイミングも丁度いい。

 

「ん、目指せパーフェクトボディ」

 

 仮に身体がムキムキになっても精神がムキムキじゃないと抱きしめられた時点で敗北なのだが、ニセコは園児が安全に入れるプールのように深い自身の知謀に満足してそこまで頭が回らなかった。脳味噌のリソースの大半がスケバンのことと銀行強盗に使われているからです。あーあ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 変な方向に思考がかっ飛んだニセコは善は急げと言わんばかりに早速トレーニング器具を買い集めた。その途中で前回手助けしてくれた便利屋68の社長のことを思い出し、協力してくれたのだからと今回手に入れた金額の幾らかをお裾分けしようと準備したのだが、何故か送り先の会社が見つからない。

 

 検索方法を何度変えて試してもヒットせず、情報屋に聞いてもそんな会社は聞いたことがないと返事が来る。しかし会社ではないがその名前で活動している生徒なら聞き覚えがあると言われ、その情報を買えば陸八魔アルという知っている名前が出てきた。

 

 なら間違いはないだろうとニセコは段ボールにお裾分けを詰め込んで信頼出来る運び屋に配達を依頼。今頃は大金が突如自分のものとなったことにアルは喜んでいることだろう。

 

「お、ニセコが筋トレをしている姿なんて初めて見たな」

「ん、私はムキムキボディを手に入れる」

 

 実際は寮の自室の前でヒナから今回の件を詰められている最中に運び屋からお裾分けが入った段ボールをパスされ、しかも中身をヒナに見られて盛大に白目を剥いているのだが、そんなことが起きているとは知らないニセコは筋トレをしながら意外そうな顔をしているスケバンに返事を返す。

 

「へー、もしそうなら姐様が喜びそうだ」

「姐様?」

「あ、そっか。ニセコは姐様のことを知らないんだっけか」

 

 詳しい話を聞かせてもらうとヒナに襟首を掴まれて連行されるアルが運び屋に助けを求めて手を伸ばすが、仕事を終えた運び屋はクールに去るぜと背中で語りながらニセコに負けず劣らずの逃げ足で運び屋が迫る風紀委員たちから逃走を始めた頃、ニセコがムキムキになる姿を思い浮かべたスケバンが思わずこぼした姐様という人物にニセコは興味を持った。

 

「姐様は凄いんだぜ? 優しくてお淑やかで──」

 

 筋トレを中断し、ニセコは顔の前で両手を組んでうっとりとした表情をしながら姐様たる人物のことを語り始めたスケバンの話を聞きつつ、脳内で姐様の人物像を作り上げていく。その結果、完成したのはお花畑の中心で優しく微笑みながら手に持った如雨露でお花に水をあげているシスターさんだ。

 

 確かにこの姐様ならスケバンたちを後方で優しく見守ってくれていそうな良い姐様だとニセコは感じた。トリニティ出身のスケバンもこの姐様の影響を受けてあんな優しそうな雰囲気を纏っているのかもしれない。

 

「──それから凄いムキムキなんだ‼︎」

 

 だがこのスケバンの言葉を聞いた途端、ニセコの脳内姐様はお花に水をあげるのをやめて如雨露を地面に置いて立ち上がった。

 

 ゆっくりと両手をあげ、力強い掛け声と共に勢いよくポーズを取る脳内姐様。修道服が弾け飛び、中から現れるのは逞しい筋肉。朝の日差しを受けて輝く筋肉はニセコの想像で作られているものの、思わず美しいと言ってしまう魅力を持っていた。しかし顔は優しいシスターさんのままである。

 

「そうなんだ。スケバンの姐様なら私の姐様でもいいのかな」

「はは、そんなの当たり前! 姐様は優しいからニセコのこともきっと受け入れてくれるさ!」

 

 お花が観客のボディビル大会がニセコの脳内で始まったが、そんなことはおくびにも出さずに不安そうに今思ったことをニセコが口に出せば、スケバンはそんなニセコの不安を吹き飛ばすように笑い飛ばした。

 

 そんなスケバンの姿をニセコはパチクリと見ていたが、言葉の意味を理解すると頬を少し赤く染めてトレーニング器具を再び手に取った。

 

「…ん?もしかしてニセコ、今照れた?」

「照れてない」

「………ふふっ、あたし達の妹分は可愛いなぁ‼︎」

「んんんんん‼︎」

 

 ノータイムで受け入れてくれたことに照れ臭さを感じ、照れ隠しのためにトレーニングを再開したニセコだったがスケバンには通用しなかったようで、ニヤニヤしたスケバンに捕まり、彼女の気が済むまで頭や頬をわしゃわしゃされるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 ニセコが照れたというスケバンからの連絡で集まった他のスケバンにも揉みくちゃにされた次の日から筋肉の必要性を強く感じ取ったニセコは筋トレに励んだ。

 

「んっ、んっ、んっ、んっ──」

 

 時にはベンチプレスを使ったトレーニングに励み。

 

「ニセコ、くじ引きでスイーツ食べ放題券が当たったんだけど一緒に行くか?」

「行く」

 

 時にはトリニティのスイーツ食べ放題に出掛けてドカ食いし。

 

「いやぁ、早朝に走ると気持ち的にも清々しくなるよな」

「ん、わかる」

 

 時にはスケバンたちと一緒に朝の日差しを浴びながらブラックマーケット内でランニングをしたり。

 

「ん、ここのラーメンは絶品と聞いた。スケバンたちも食べるべき」

「……確かにうめぇな。アビドスなんて行ったことがないから知らなかった」

「すいません、替え玉一つ!」

 

 時には美味いと聞いた地元で人気のラーメン屋にスケバンたちを誘って食べに行き、店を出た5分後にホシノたちが来るという本人は知らないけど結構ギリギリなことがあったり。

 

「ん……」

「先生、ニセコは大丈夫なんでしょうか?」

「えぇ、恐らく成長痛でしょう」

 

 時には急激な身体の成長に伴う成長痛に苦しみ、心配したスケバンに連れられてミレニアムの病院に行ったりした。

 

 そうするうちに月日が経過し、トレーニングを続けたニセコは…ニセコは……。

 

 原作シロコ体型になっていた‼︎

 

「ふふん、これがトレーニングの成果」

 

 以前までは持ち上げるのも一苦労していた銃火器をスケバンたちに見せびらかすように楽々と持ち上げるニセコ。表情には出ていないが、声音からはひしひしと自慢げな雰囲気が漂っていた。

 

「なぁ、あれってただ成長してその分筋肉が付いただけじゃないか?」

「あたしたちからするとあんなに食べておいてあの体型を維持しているニセコに驚いているよ。あたしももっとトレーニングするかぁ…」

「体重が増え始めたのを確認してからそれ以降怖くて体重計見てねぇよ。今の私は一体何キロ増えたんだろう…?」

 

 対してスケバンたちはニセコの身体の成長速度やあんなに食べたのにスリムを維持している体型に驚いていた。

 

 今のニセコはトレーニングの成果を見せるために下着のみという肌露出が激しい姿となっている。スケバンたちが凝視するのはニセコの腹部。薄らと見える鍛えられた腹筋……には目もくれず、スケバンたちはニセコのすらっとしたくびれのある腰を見ていた。

 

 それから自分の腰を見ると、そこには指でしっかりと掴めてしまう贅肉が服越しからでもその存在を主張している。

 

 そう、スケバンたちはニセコと一緒にご飯やスイーツをドカ食いしているのに日銭を稼ぐ時やニセコのトレーニングに付き合う時以外では運動をしなかったせいで摂取カロリーに対して必要な運動が足りず、見事に太ってしまった。それでもニセコから見るとそんなに違いがあるのかと思う程度なのだが、スケバンたちからすると太ったということ自体が問題だった。

 

 この日からスケバンたちはダイエットと称してトレーニングに励むが、ニセコからは変わらずかなりの頻度で美味いけど高カロリーの食事に誘われる。しかしダイエットだからと断ればニセコが獣耳をへにょっとさせて寂しそうな顔をするので結局は食べに行き、得たカロリーを消費するために更なるトレーニングに励むループが発生。

 それを繰り返すうちにスケバンたちの肉体は強くなっていくのだが、ダイエットに意識が向いているスケバンたちがそれに気付くのはかなり後のことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん、いつもの」

「……あいよ、準備が出来たらあの場所に配達しておく」

「それで大丈夫」

 

 ブラックマーケットの銃器を扱う店の店主に、ニセコは慣れた様子でお金を詰め込んだ袋をカウンターに置いた。新聞を読んでいたロボット店主はチラッとニセコの顔とその袋を見ると片手で袋を回収し、新聞に視線を戻しながらいつも通りのセリフをニセコに放つ。

 

 店主の言葉にニセコは頷き、そのまま店を後にした。これは2人の間では既に何度も行っているやり取りで、あの店主がどういった人物かを知っているので態度云々をどうこう言うつもりはニセコには無い。

 

 ニセコが今さっき店主にお願いしたのは弾の補充だ。当たり前の話だが、ニセコは初めから全ての銃器を完璧に扱える訳ではない。満足に扱えるようにするためには当然練習が必要になる。

 

 特にエイム力は実際に的などを撃ってみないと育たないし、練習をサボればいざ使おうとなった時に構え方が悪くて狙い通りの場所へ弾が飛ばなくなる。

 

 とはいえ自身の手の延長と断言できる程使い込んでいる愛銃の『真偽』ならたとえ数ヶ月触らないままでもエイム力が錆びつくことはないだろう。しかし他の銃器は違う。

 

 銀行強盗の時に様々な種類の銃器を使うニセコはその銃の感覚が鈍らないようにと週に数回のペースで練習を繰り返している。もちろんそんなことをすれば弾は無くなるので、今回のように補充が必要になる。それが先程の店主とのやり取りだ。

 

 流石にトリモチ弾のような特注弾は製造を頼んだ会社じゃないと用意出来ないが、それ以外なら用意出来るのがあの店主だ。そのためニセコはあの店を重宝している。

 

「ん、用事は済んだし帰ってピッキングの練習をしよう」

 

 歩いて来た道を逆戻りしながら、この後の予定を考えるニセコ。そんなニセコの横をぱたぱたとペロロを模したリュックを背負い、トリニティの制服に身を包んだ少女が通り過ぎていく。

 

 ブラックマーケットでは珍しいその姿をニセコは視線で追いかけた。何故そんなに慌てて逃げているのかと思ったが、彼女の後ろを多数の不良が追いかけている姿を見て納得した。

 

 本来の時空より経済が循環しているブラックマーケット。手が足りないからアルバイトが欲しいと募集する企業も多く、大半の不良たちは働けるのでお金を持っている。しかしニセコが来るまではカツカツの生活を送っていた弊害なのか、どんな時でもお小遣いを得るチャンスがあるのなら不良たちは飛びついてしまうようだ。

 

 そんな不良たちをニセコは否定するつもりなんてない。むしろ彼女たちの姿を追いかけて自分ならどう逃げるのかとシミュレーションをするのがニセコの密かな趣味だ。今回もニセコは軽い身のこなしで建物の屋上へ登ると、逃げるトリニティ生徒と追う不良たちを後ろから追いかけ始めた。

 

「ん、私ならここで──」

 

 そしてジッと不良たちの姿を見ながら逃走のシミュレーションを始めたニセコだったが、しばらくすると不良たちから逃げる少女を見つめていた。

 

 何故なら逃げる少女がニセコがこうしようと思ったことを寸分違わず実行しているからだ。実は声が聞こえているのかと途中から声には出さずに脳内での思考のみに切り替えたニセコだったが、それでも少女はニセコが考えた行動を行う。

 

 残念ながら隠れ続けると逃げ切れるのにすぐに出てしまって不良たちから再捕捉されて追いかけっこが再開してしまうこともあったが、それでもしっかりと逃げることが出来ている。

 

 原石だ。ニセコは逃げる少女を見てそう思わずにはいられなかった。銀行強盗なんて一度もしたことが無さそうな姿から漂う銀行強盗適性にニセコは興奮を抑えられない。

 

 あの原石を磨かなければ。そんな使命感すらニセコは感じた。少女からすれば確実に迷惑だろうが、誘ってみるだけならタダだからとニセコは観察をやめてこっそりと物陰に隠れて不良たちをやり過ごそうとしている少女の背後へ移動する。

 

「ん、あなたには才能がある。私と一緒に銀行を制覇しよう」

「……え゛っ?」

 

 そしてニセコに気付いていない少女の両肩を力強く掴み、ニセコは興奮を滲ませた声と共に思わず問い返さずにはいられない誘い文句を放った。当然少女……阿慈谷ヒフミは振り返り、出会い頭に突然そんなことを言い出したニセコへ戸惑いの表情を向けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん、お茶」

「あ、ありがとうございます」

 

 あの場で話をするのもなんだからと軽い自己紹介だけを済ませた二人はニセコの家までやってきた。その途中でもヒフミはここでは目立ち過ぎるトリニティの制服のせいで不良たちに絡まれかけたが、ニセコが不良たちに札束を投擲すると不良たちは幸せそうな表情で道を開けてくれた。もし札束を投げたのがヒフミだったらまだ金を出せるだろうと不良たちも絡んでいただろうが、ブラックマーケットの中ではニセコ相手に上振れを狙おうとする者はあんまりいない。

 

 来客用のスリッパを履いたヒフミはお茶を用意してくれたニセコに感謝の言葉を送り、そのままお茶を口にする。その間にニセコはヒフミの対面に座り、ヒフミが一息ついたタイミングで早速本題へと踏み込んだ。

 

「さっきも言ったけどヒフミには才能がある。私の趣味に付き合って欲しい」

「あはは……。えっと、危ないことじゃないのなら私なんかで良ければお手伝いします」

「……………」

「……危ないこと、なんですね?」

 

 ニセコの趣味にヒフミは困ったような笑みを浮かべるが、不良から助けてもらった恩があるからなのか危険がないのなら手伝いをするつもりのようだった。しかし危ないことという言葉にニセコが黙り込んで何も返事を返さないことからヒフミの顔から笑みは引っ込み、問い詰めるような表情をニセコへと向ける。

 

「大丈夫、とってもスリリングで楽しめる趣味だから」

「それって捉え方によってはとっても危ないって意味じゃないですか⁉︎」

「でも命の危険はない。銃を使う追いかけっこだから場合によっては怪我をするかもだけど、ここならそれは日常茶飯事。だから問題ない」

「それは……そうですけど」

 

 嘘は言っていないと言いたげなニセコにヒフミは思わずといった風にツッコミを入れる。しかしキヴォトス人からすると追いかけられながら銃を撃たれることは危ないうちに入らないのではとニセコは考えているのでヒフミのツッコミは決まらなかった。それどころかニセコに丸め込まれる始末。

 

「ん、納得してくれて良かった。じゃあ報酬の話をしよう。いくらぐらい欲しい?」

「えっ⁉︎ 悪いですよ!私は──」

「……そっか、ヒフミはペロロのリュックを背負ってたし、お金よりもペロロ関係の方がいいよね?」

「詳しく聞かせてください」

 

 手伝ってもらうのだからとニセコが報酬の話を始め、ヒフミはそれを断るためにワタワタと手を動かしながら椅子から腰を浮かしたが、ペロロというワードが耳に入った途端、しっかりと椅子に座り背筋を伸ばしてニセコに話の続きを促した。

 

「とりあえず、私が今すぐ渡せるペロログッズは……これくらいかな?」

「こ、これは……‼︎」

 

 タブレットを操作してヒフミへ手渡すニセコ。それを受け取ったヒフミだが、タブレットに映っている画像を見るなりクリッとした瞳を大きく見開かせた。

 

 軽く確認しただけでも数量限定や期間限定、過去に製造が終了して今ではヒフミの全財産でも全く届かないプレミア価格がついているものもある。

 

 それらがニセコの趣味に付き合うだけで手に入る。流石に全部貰うことは無理だろうが、入手難易度を考えれば一つだけでも十分だった。どう考えてもそれ相応の何かをする趣味とわかるのに、ヒフミはニセコが少し引くレベルで瞳を忙しなく動かして複数ある画像のペロログッズを注視し、レア物ばかりで興奮しているのか呼吸を軽く荒げながらも画像をスワイプする指は止まらない。

 

「こ、こんなに沢山のペロロ様をどうやって……」

「ん、売られた物は買い手がいないと基本的にブラックマーケットに流れてくる。私はここだと少し顔が利くから事前に連絡さえしておけば結構融通してもらえる」

「つまりここにはないペロロ様でもニセコちゃんがお願いすれば手に入る可能性があるってことですか⁉︎」

「う、うん。言っておけば仕入れさえ出来たら連絡してくれると思うし、買う意思を示せばそのまま売らずに確保してくれるはず」

 

 興奮したヒフミが立ち上がり、机越しに上半身を前のめりにしてぶつかるギリギリまで頭を寄せて問いかけてくるのをニセコは肯定する。実際ニセコが商品を買うと言ったら必ず買うということはブラックマーケット内では知れ渡っているので、先に予約などがなければ融通してくれる人は多い。

 

「手伝います。ニセコちゃんの趣味」

「……ん、ありがとう」

 

 ニセコの肯定を聞いたヒフミは椅子に座り直し、今日一番の笑顔で銀行強盗の手伝いを受け入れた。その表情はまるで聖母のようで、暖かな光すら感じる。

 

 既にヒフミの脳内はペロロ様に埋め尽くされている。一応ヒフミの脳内では危機感と書かれた鉢巻を巻いたヒフミが駄目だよと本体と書かれた鉢巻を巻いているヒフミに向けて必死に叫んでいるが、突然ペロロ様の覆面を被った二人のヒフミに腕を掴まれて危機感ヒフミはどこか遠くへと運ばれていった。

 

「あ、このペロロ様って誰かから奪ったものじゃないですよね?」

「大丈夫。ちゃんと洗ったお金で買ったものだから足はつかない」

「なら大丈夫ですね!」

 

 ヒフミの脳内に聳える越えてはダメな一線砦にはペロロ様に狂った沢山の物欲ヒフミ軍が突撃していたが、堅牢な砦はそれを跳ね返し続けていた。しかしニセコの発言で砦内にいた安堵感ヒフミを筆頭とした一部がまさかの裏切り。内側から砦の門を開けたことで物欲ヒフミ軍が続々と流れ込んでしまう。

 

 こうなっては止めることは不可能で、最後の抵抗として気付き鉢巻を巻いた将軍ヒフミがニセコが発言した洗ったお金という不穏な言葉を武器に物欲ヒフミ軍へ特攻したが呆気なく飲み込まれ、ヒフミの思考は物欲に支配されてGOサインが出てしまった。

 

「じゃあ私も準備があるから次の週末の朝にまた来て。家で待っているから」

「わかりました‼︎」

 

 話は纏まり、必要な物をニセコから伝えられたヒフミは不良に絡まれると大変だからとブラックマーケットの外までニセコに見送られ、前払いで一つだけ渡された限定品のペロログッズを両腕で大切に抱きかかえて上機嫌のままトリニティ自治区へと帰って行くのだった。

 

「……ん、やっぱり伝えない方がいいよね。爆弾を詰め込むつもりでペロロを買ったって」

 

 そんな上機嫌姿のヒフミを見届けたニセコはヒフミの姿が見えなくなってからポツリと家にペロログッズを大量に置いていた理由を呟いた。ぬいぐるみなら逃走中に適当な場所へ置いても追っ手が置く瞬間を見ていないのなら気付かれないと考えて準備した物だが、実行はまだ一度もしていない。

 

 本当はヒフミがペロログッズを見て驚いている時に話すつもりだったのだが、口を開いた直後に強盗帰りでヒナなどの強者と出会ってしまった時のような凄まじい悪寒を感じたため話さなかったのだ。仮にニセコがヒフミに本当の使用目的を伝えた場合、グルグル目となったヒフミに壁際までガン詰めされてニセコが理解するまで延々とペロロ様の話をされることとなったのでニセコの判断は正しかっただろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから日が流れ、約束の日にキチンと訪れてきたヒフミを家に迎え入れたニセコは事前に準備をしていた荷物を背負ってからヒフミを連れて銀行へ向かった。仕込みは既に済ませており、あとはいつもの水着姿で突っ込むだけである。

 

 しかしここでトラブルが発生。ニセコが水着とシュノーケルを持参することとヒフミに伝えていたため、ヒフミはすっかり海かプールに向かうものだと勘違いしていたのだ。一応初対面の時にニセコは銀行強盗を仄めかす発言をしていたのでそこから色々と繋げればニセコの目的が銀行強盗だとわかるのだが、ペロロ様のインパクトでヒフミは初対面の時のことなんて完全に忘れていたのでどうしようもなかった。

 

「ん、ヒフミ大胆」

「あうぅ……、銀行強盗をするなんて知っていたらもっとしっかりとした水着を選んでました……」

 

 銀行近くの路地裏でニセコに急かされ水着姿となったヒフミは恥ずかしそうに持参したペロロの浮き輪で身体を隠す。ヒラヒラがついたタイプのビキニを着用したその姿は銃器を隠すスペースなど必要ないと言っているようにも見え、その姿に流石ヒフミだとニセコは惜しみない賞賛の拍手を送る。

 

 そうしたやり取りをしながらも、ニセコは自分で持ってきたバッグに視線を向けた。そこにはヒフミが水着やシュノーケルを忘れた時でも問題ないように自分と似た水着などが入っており、いざという時はヒフミにプレゼントしようと準備していたのだ。

 

「こうなったらサクッとやってサクッと帰りましょう! 準備はいいですかニセコちゃん‼︎」

「ん、大丈夫」

 

 とはいえヒフミはやる気満々なので必要ないかとニセコはバッグから目を離し、用意した銃火器をしっかりと背負い直す。ここでしっかりとヒフミが恥ずかしいなどと言ってゴネていれば用意していた水着の話になり、ヒフミは無事肌露出が少ない水着に着替えることが出来たのだが残念ながらヤケクソ気味にニセコへやる気を見せてしまったのでそれはなくなってしまった。

 

 そんなことはさておき、厳正なる選考(迷ったため棒倒し)の結果として今回もゲヘナの銀行を襲うこととなったので白モップと出会わないように下見はしっかりと行っており、強盗初心者のヒフミがいるので今回はヒフミが言った通りにサクッと済ませる予定だ。それならいつかの銀行窃盗の時のように夜間にこっそり銀行へ潜入してお金を持ち帰ればいいのだが、それでは銀行強盗の魅力がヒフミに伝わらないためニセコは断念することに。

 

 銀行強盗は逃げる瞬間が最も楽しいとニセコは確信している。あの手この手で距離を詰めてくる追っ手から逃げる緊張感。包囲された時にどう切り抜けるかを僅かな時間で考える焦燥感。一か八かの行動に出た際にそれが上手く決まった時なんて最高にハイになってしまう。

 相手の策を事前に見抜いて出し抜いた時の快感は二度と忘れられないし、見抜いた相手の策にコチラの策を重ねて翻弄される相手の姿を見るのもオツなものだ。要するに何をしても楽しい。

 

 そんな楽しさをヒフミに味わってもらいたいのだから昼間の銀行強盗一択だ。しかし今回は初歩的な部分だけ。どんな界隈でも初心者は優しく沼へ沈めないと廃れていくのが世の定め。数少ない同士が増えるかもしれないチャンスをそんなヘマで失いたくはないため、まずは単純な銀行強盗をして追いかけられるハラハラ感をヒフミに味わってもらう。

 

 その第一歩を踏み出すために、ニセコとヒフミは共に銀行へと踏み込んだ。

 

「ん、先手必勝」

「えぇー⁉︎」

 

 自動ドアが二人を迎え入れ、それに対するお礼としてニセコはEMPグレネードを投擲し、爆発を待たずに前回も使ったトリモチ弾を装填した4連装ロケットランチャーを躊躇なくぶっ放した。自身の知っている銀行強盗と全く違う行動を取るニセコにヒフミは驚愕するしかない。

 

 ヒフミはお手伝い内容が銀行強盗だと知っても断ったりせず一緒に行ってしまう程度には普通の女子高生なのだが、今時の銀行強盗は即発砲の即制圧がトレンドだということを知らないようだ。たとえ銀行強盗のニュースが朝の番組でやっているのを見てもヒフミは物騒ですねと思うだけでどんな銀行強盗をしているかなんて調べようとは思わないのだ。

 

 流行りに乗り遅れたヒフミが驚いているうちにニセコは素早く銀行内を制圧。勤務する職員も目の届く位置まで移動させてから拘束し、ニセコ自身は持ってきたドローンと共にボストンバッグを背負って奥へと向かう。

 

「じゃあファウスト、店内の警戒をお願い」

「は、はい‼︎ ……え゛っ?」

 

 ニセコの言葉に反射的に返事を返したヒフミだったが、内容を脳が理解して戸惑いの声を出す。いつの間にファウストという別名がついたのか、何故自分に任せると言ったのか。しかしその理由を聞く前にスピードが命と言わんばかりの速度でニセコは奥へと行ってしまったため、ヒフミの声は静かな店内に響くだけだった。

 

 一人になったヒフミが周囲へ視線を向けると、沢山の刺すような視線が自分に向いていることがわかる。さらにニセコと違ってヒフミはほんわかとした優しい雰囲気を放っているのでコイツならなんとか出来るんじゃないかと周囲は考え、次第に視線には敵意が混ざり始めた。

 

「あ、あはは……」

 

 ペロロを求めてブラックマーケットによく訪れ、その度に不良たちに追いかけられているヒフミは当然敵意混じりの周囲の視線には気付いているが、どうしたら良いのかなんてわからないので困ったように口をひくつかせて笑みを浮かべることしか出来ない。

 

「ふぃー、お金をおろさなくちゃな〜」

 

 そこへさらなる不幸が舞い込んだ。ゲヘナの生徒がお金をおろしに銀行へ入店して来たのだ。自動ドアの開く音が静かな空間に響き、音を聞いて振り返ったヒフミと入店した生徒の視線が交差する。

 

「ご、ごめんなさい‼︎」

「えっ? ぶっ⁉︎」

 

 ヒフミの動きはあまりにも早かった。謝りながらも流れるような動きで手に持っている愛銃を使って相手に殴りかかったのだ。まさか入った銀行が強盗をされている真っ最中だとは思っていなかった油断もあってゲヘナ生徒はヒフミの攻撃をモロにくらってしまう。しかも顎を狙った渾身の一撃だ。

 

 しかしここはキヴォトス。撃たれても痛いで済む耐久力のおかげでゲヘナ生徒はよろめいて膝をついたがなんとか耐えることが出来た。だがそんな生徒の身体を覆うように影がさす。

 

「ごめんなさい!ごめんなさい!」

「ちょっ! 待っ! 痛っ!」

 

 影の主は当然ヒフミで、気絶していないとわかるなり銃器による殴打を続行。二度目の攻撃で堪らず床に倒れたゲヘナ生徒だが、気絶していないからと軽いパニック状態となったヒフミはさらなる殴打を加え続ける。

 

 ちなみに銃撃をしない理由はニセコに銃声は外の注意を集めてしまうから極力やめて欲しいと言われているからだ。それを律儀に守って殴打だけで制圧しているのだが、周囲からするとその姿はさぞ恐ろしいことだろう。

 

 やがて限界が来てゲヘナ生徒が気絶すると、ヒフミは息を整えながら既に拘束された人たちに視線を向けた。ヒフミからすると先程まで痛いほど向けられていた敵意が消えていることが不思議で周囲の様子を確かめただけだったのだが、捕まった人たちからすると騒げば次にこうなるのはお前たちだと言われているようなものだった。

 

「あはは……、静かにしていてくださいね?」

 

 そのためヒフミのこの言葉に生徒たちは身体を震わせて黙り込む。いくらゲヘナの生徒でも目の前で見せしめをされれば大人しくもなるのだ。あ、銀行強盗犯のアイツよりも初めて見たこっちの方がヤバイ奴だとこの場にいるヒフミを除いた全員の考えが一致し、ヒフミ程度なら自分たちで制圧出来ると考えていた生徒は飛び出さなかった自分を褒めてすらいた。

 

「ん、大漁」

 

 そんなタイミングでニセコがパンパンに膨らんだバッグを背負って奥から戻ってきた。ニセコはいつもなら拘束されたゲヘナ生徒が騒いでいるはずなのに何故か静かな店内を訝しんでいたが、ヒフミとその足下で目を回して倒れている拘束されていないゲヘナ生徒を見ると全て理解したかのように手を叩き、無言でヒフミに向けてグッドサインを送った。

 

「じゃあ帰ろっか」

「はい! お邪魔しました!」

 

 今回はヒフミがいるのでいつも以上にニセコは本気だ。なのでいつものように拘束を解除出来る薬剤は渡さないし代替案も言わない。そのまま足早に銀行を後にし、ヒフミも自動ドアの前で拘束された人たちに向けてペコリと頭を下げてからニセコに続くようにその場を立ち去るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わ、私はなんということを……学園の皆さんになんて言えば……」

「大丈夫、バレなきゃ犯罪じゃないって偉い人も言ってた」

 

 そして路地裏にて服装を戻したヒフミは両手で頭を抱えてうずくまっていた。どうやらあんな格好(ビキニ)で銀行強盗をすることに動転していた意識がやっと落ち着いて状況を理解したようだ。そんなヒフミにニセコは声をかけつつ、逃走の準備を整えていく。

 

「ん、準備オッケー。乗って、ヒフミ。あとバッグもお願い」

「わかりました……。全てはペロロ様を手に入れてから考えます……」

 

 駐輪場に置いておけば盗まれる可能性が高いため路地裏の目立たない場所に隠していた大型二輪バイクをニセコは引っ張ってきてヒフミにヘルメットを渡す。どんよりと落ち込んでいるとはいえペロロ様は欲しいのか、ヒフミは渡されたフルフェイスタイプのヘルメットをしっかり被るとニセコからバッグを受け取ってバイクの後部席へと座った。バッグがヒフミに移ったことで背中がガラ空きとなったニセコは代わりにレバーアクション式のショットガンを背負う。これでいざとなればニセコも銃撃戦に参加することが出来るようになった。

 

 エンジンをかけてからアクセルを回し、ニセコたちが乗るバイクが走り出す。それからしばらくは平和に運転していたが、途中からニセコがかなりの頻度で周囲の様子を確かめ始めた。

 

「どうしたんですか?」

「追っ手の確認。ちょっと細工したけどいつ来てもおかしくないから」

 

 いつもなら既に通報が入ってやって来た風紀委員の生徒たちと追いかけっこをしているかもしれないが、今回は銀行を襲う少し前にゲヘナ内のとある部活に温泉になるかもしれない水源の情報をリークしていたのでそっちの対処をしている可能性が高い。

 

「念には念を入れたけどこれならヒフミの服もいつもの制服でよかったかも」

 

 トリニティ生徒がゲヘナに行けば銀行にたどり着く前にトラブルが起きると考えたニセコの説得によっていつものトリニティの制服ではなくスケバンの服を着たヒフミ。悪目立ちしないようにとニセコがスケバンにお願いして貸してもらったのだが、この分だと必要なかったかもしれない。そもそもトリニティのヒフミがいるならゲヘナに行くなという話だが。

 

 しかしヒフミがいつもの制服のままだと銀行強盗の道中でゲヘナ側から絡まれて大きな戦闘にまで発展し、結果として水面下で進められているゲヘナとトリニティのとある共同作戦に修復不可能なヒビが入る可能性があったので、意図せずファインプレーとなっていた。これでヒフミがいつもの制服姿だったなら美食を探求する部活があの手この手で先日からトリニティへ進撃しようとするのを頑張って阻止していた白モップの苦労が水の泡になってさらにシナシナになるところだっただろう。

 

「確かに誰も追いかけて来ませんね」

「ん、今頃来てもあと少しでトリニティの自治区だからもう遅い」

 

 ニュースでニセコのドタバタ逃走の映像を見ているからか、流石にヒフミも誰一人追いかけてこないのは不自然と思ったようで後ろへ振り向いて辺りを警戒している。対してニセコはそろそろゲヘナを抜けてトリニティへ入るからか警戒は続けながらも先程よりかは気楽な様子だった。

 

 そんなタイミングでニセコたちを狙って遠方より誰かの狙撃が放たれる。ただの狙撃ではなく神秘が多量に込められていた一撃だったためニセコが気付いて当たる前に回避したのだが、放たれた弾丸は道路に命中すると着弾点の周囲を軽く陥没させた。

 

「ひゃあ⁉︎ な、なんですか⁉︎」

「ヒナだ」

 

 見覚えのある攻撃を見て誰が狙撃してきているのかを見抜いたニセコは驚いてしがみついてきたヒフミをそのままにしてバックミラーでヒナの位置を探ろうと試みるが、自力で見つけるよりも先に第二射が遠くに建つビルの屋上から放たれたことで答え合わせとなった。

 

 弾速は速くて威力も抜群だが前回の銀行強盗でヒナの攻撃はニセコのトラウマを刺激したことも相まってしっかりと記憶に染みついている。これだけ距離があれば撃った瞬間を見ることが出来れば回避は容易だ。

 

 神秘を込めても届かないとわかっているのか前みたいな乱射もしてこないためニセコは楽々と狙撃を回避して逃走を継続し、風紀委員の増援が到着する前にゲヘナ自治区を離脱。当初の予定通りゲヘナ自治区を離脱してニセコたちはトリニティ自治区へ突入するのだった。

 

 

 

 

「こちらヒナ。例の強盗犯はトリニティ自治区へ逃走したと向こうに伝えて。何故かは知らないけどあの子以外にも1人増えているからその子にも警戒を」

 

 

 

 

 ゲヘナとトリニティは仲が悪いことで有名なのでトリニティ自治区へ入ってしまえばゲヘナの風紀委員も追いかけてこない。本当は直接ブラックマーケットに逃げるのが一番なのだが、もしブラックマーケットの中まで風紀委員が追いかけてくると自分はともかくヒフミが危ない。

 

 そんな考えでニセコは一度トリニティを挟んでブラックマーケットに帰る逃走計画を立案した。トリニティ自治区に一番近いゲヘナの銀行を襲い、リークした情報を元に動いているとある部活へ風紀委員が目を向けている間にバイクで一気にトリニティ自治区まで逃走。後はゆっくりと走ってトリニティからブラックマーケットへといった感じの計画だ。それなら最悪の何かが起きたとしてもトリニティ自治区でヒフミをバイクから降ろせば彼女は安全だと判断。ヒフミの服はスケバンのものだが彼女の学生証などはキチンと持たせているため問題はない。

 

 なのでヒフミの安全策はバッチリ……の、はずだった。

 

「んー、なんでだろう? 何処からか情報をリークされた?」

「ひゃあ⁉︎ ニセコちゃん! 撃ってきてますよ⁉︎」

「ん、取り敢えずヒフミも撃ち返して」

 

 トリニティ自治区の道路をバイクで爆走するニセコたち。その後ろには正義実現委員会の生徒たちがまたお前かと言わんばかりに目くじらを立てて逃げる二人をバイクで追跡していた。

 

 目の前を封鎖するように横道から飛び出してきた正義実現委員会の車を回避しつつ、ニセコは何故トリニティ自治区で追いかけられているのかと不思議そうな顔で首を傾げ、ヒフミは後ろから飛んでくる銃弾を怖がりつつも身体を捻って片手で愛銃を構えて後ろに向かって弾をばら撒いている。しかし片手で撃っているからか命中精度はおざなりだ。

 

「結局いつもと同じになったけど……ヒフミ──」

「ご一緒します‼︎」

「だよね。飛ばすからしっかり掴まってて」

「はい‼︎」

 

 ヒフミなら巻き込まれたか無理矢理従わされた的なことを言えばこんな状況でも助かるとニセコは考え、提案だけでもしてみようとしたが言葉の途中で食い気味に最後まで付き合う旨をヒフミから伝えられた。後部席のシート後方についている専用グリップからニセコの腰に移されたヒフミの手はしっかりと力が入っており、意地でも離さないという強い意志を感じる。

 

 分かりきっていた言葉にニセコは頭を下げることで遠方からの狙撃を躱してバイクを加速させる。違法改造を施されたバイクの速度はグングンと上昇し、追っ手である正義実現委員会のバイクは距離を離されていく。狙撃もニセコたちの速度に発砲から弾着までの誤差修正が間に合わないのかニセコたちが通った後の道路を穿つだけだ。自慢の迫撃砲は夕方の帰宅時間に使用するのは流石に躊躇うのか飛んでくる気配すらない。

 

 しかしやれることはまだまだある。そのうちの一つを実行しているのか徐々に車の密度が上がってきたためニセコたちは事故を防止するために速度を落とすしかない。とはいえ一般人からすると未だに爆走と言える速度は維持しているが。

 

「ん、検問……じゃなくて封鎖してる。これだと通れない」

「なら迂回するしか……」

「ううん、突撃する」

「……えっ?」

 

 ニセコの視線の先にはバリケードを作って物理的に道を封鎖して待ち構えている正義実現委員会の姿があった。遅れながらヒフミもそれに気付き、あそこに突撃しても逃げられないと思ったのか迂回をニセコに提案するがニセコはバリケードの前にあるものを見つけると迂回案を拒否して突撃を続行した。

 

 今までの経験から仮に迂回してもその先に何かがあるのはほぼ確実。それなら正義実現委員会が作ったバリケードを乗り越えたほうが逆に安全と言える。

 

 右手でハンドルを握りつつ、ニセコは背中にぶら下げていたショットガンを左手で引き抜いた。そして射線をしっかりと確保してから発砲。ニセコ側からの攻撃に正義実現委員会の生徒たちは素早く物陰やバリケードの後ろに隠れるが、ニセコの狙いはそこではない。

 

 すかさず飛んできた正義実現委員会の反撃をバイクで走り回りながら他の車両たちを盾にして防ぎつつ、ニセコは片手で持つショットガンのレバーを前に押し出して銃を下向きに一回転させるスピンコックで次弾を装填。そして即座に発砲。弾はバリケードによって通行止めされていたトラックの荷物を固定している金具を破壊し、斜めに載せられていた長方形の荷物が自重でずり落ちる。

 

 目的の位置まで荷物がずり落ちたことを確認したニセコは一度後ろへ下がって距離を確保。だが速度の差で引き剥がされていた追っ手が追いついてきたので確保出来た距離は短い。

 

 しかしこれだけ距離を確保出来れば充分と言いたげにニセコは力強くアクセルを捻った。

 

「ヒフミ、ちゃんと掴んでてね」

「大丈夫なんですよね⁉︎」

「ん! ブラックマーケット製は伊達じゃない‼︎」

 

 なんせスピード第一、信用第二、そして第三に安全が来るのだ。規定に従って製造されている市販のバイクとは作り方からして違う…‼︎

 そんなコンセプトで作られたのだから速度だけなら誰にも負けないと言わんばかりにニセコたちが乗るバイクのエンジンが唸りを上げ、瞬間的に加速した速度には事前に忠告されていたヒフミでさえ一瞬上半身が後ろへと持っていかれた。

 

 瞬く間に目前まで迫るトラック。トラックが動く可能性が唯一の懸念点だったが、トラックの獣人運転手は自分が乗車しているトラックが撃たれていると気付くなりすぐに降りて逃げてくれたのでその懸念点は無くなった。

 荷物はそれなりに大きい長方形なのでこのまま突っ込むとタイヤが荷物に正面衝突する。そうなればバイクは強制停止してニセコたちは勢いそのままに空を舞うことになるが、そうならないようにぶつかる直前でニセコはハンドルを持ち上げてウィリー状態となって荷物の上に前輪を乗せた。前輪さえ乗れば後輪は勝手についてくるので限界までアクセルを捻り、バイクを加速させて荷物の先端へ突撃し、ニセコ達は加速したバイクと共に空へ飛ぶ。

 

 軽々とバリケードを飛び越えようとするニセコ達に、まさかこんな方法で突破されるとは思わなかったのかバリケードの内側にいた正義実現委員会の生徒はみんなニセコたちを見上げて呆然としている。中には口をあんぐりと開けている生徒もいた。

 

 しかしこの直後、何かに殴られたかのようにニセコの頭部が右へと傾いた。運転手が体勢を崩したことでバイクも傾き始めるが、ここまでである程度要領を掴めていたヒフミが咄嗟にニセコの逆側へ身体を傾けてフォローに入ることでバイクの転倒だけは阻止。普通の女子生徒とは?と問いかけたくなるファインプレーだが、このままニセコが動かなければ着地に失敗するのは確実だろう。

 

「ニセコちゃん‼︎」

「…………ん! 大丈夫‼︎」

 

 ヒフミが呼びかけるとなんとか復活出来たのかニセコが体勢を戻してしっかりとハンドルを握りしめた。それによってバイクも無事着地に成功し、正義実現委員会を置き去りにして走り去っていく。

 

「さっきのは多分ハスミの狙撃。やっぱり当ててきた」

 

 ブラックマーケットまでの最短ルートを走りつつ、ニセコはハスミが居るであろう方向へ視線を向ける。最初の狙撃から大凡の位置は特定出来ていたのでバイクで走っている間は可能な限り射線が通らないようにと気を付けていたが、どうしても飛んだあの一瞬だけは射線が通っていた。他の罠があるのかわからない道かハスミの実力次第では被害無く通り抜けられる道かの二択だったので後者を選択したニセコだったが、ハスミはキチンと当ててきた。発砲から着弾までの誤差も少しの時間しかない状況でしっかり修正していたのは見事と言う他ないだろう。

 

 そんな彼女のミスはただ一つ。ニセコを狙ったことだ。移動の要であるバイクか守るべき初心者のヒフミを狙われたのならニセコたちは今頃ピンチになっていたことだろう。

 

 まぁ何度もニセコに苦汁を飲まされているハスミなので、わかっていても咄嗟にニセコへ照準を合わせてしまったのだろう。事情を知っている者たちからすると気持ちはわかると肩に手を置いて慰めるレベルでハスミはニセコにヘイトを向けているのだ。

 

「ん、でもあれが最後のチャンスだった」

 

 今回はゲヘナからの逃亡ルートでトリニティを通っているだけなので、正義実現委員会がここまで部隊を展開出来ている時点で凄いというべきだ。質や量を考えると情報をリークされて偶然ここにいた部隊がそのまま展開したのだろうが、それだけでは数多の追っ手から逃げてきたニセコを捕まえるには策も人も足りていない。連絡を受けてツルギなどを筆頭としたトリニティ内の実力者も集まってはいるだろうが、流石に間に合わないだろう。

 

「待てーい‼︎」

「……ん、誰あれ?」

「あれは……コユリさん⁉︎」

 

 しかしこのままニセコたちがブラックマーケットまで逃走することは許さんと正義実現委員会が必死に撤去作業をしているバリケードをニセコたちと同じようにして飛び越えてきたバイクが一つ。大声で叫んで登場したのでニセコはバックミラーからその存在を確認し、ヒフミは後ろへ振り向いてその人物の名前を叫んだ。

 

「知っている人?」

「はい! 3年生の先輩です!」

 

「ほーん? 私のことを知っている子が後ろに座ってるのね?」

 

 ニセコが追いかけてくる人の情報をヒフミから集めている間に追いかけてきた当人はアクセルを全開にしてニセコたちの隣を並走していた。ニセコ側がバイクをフルスピードにすれば再び距離は開くだろうが、障害物がない直線の道じゃないとフルスピードは事故に繋がるので基本的に使用出来ない。というか直線の道でも安全を押し除けたスピード第一がコンセプトなせいで運が悪ければ途中でバイクが道路を走る際の振動に耐え切れず自壊する。

 

 自壊運ゲーよりか真面目に戦う方がいいため接近に気付いていてもスピードを上げずに様子見をしていたニセコだったが、近付かれたことで見えてきた相手の顔に知っている反応を見せた。何せ並走する彼女はいつの日かの逃亡時に創作の時間を返せと狂乱しながら迫ってきた人物だったからだ。

 

 ならばあの手を使うしかないとニセコは口を開こうとしたが、言葉を出す前にコユリから待ったと言わんばかりに手のひらを向けられて止められた。

 

「まぁまぁ、何を言おうとしているかは分かっている。その上であえて言おう。新刊は完成していると…‼︎」

「おぉ…‼︎」

「えっ、お二人ともなんの話をしているんですか?」

 

 ニセコの言葉を止めたコユリはドヤ顔と共に前回の攻撃は効かないと力強く宣言。まさか既に終わらせているとは思わなかったのか、ニセコは彼女に向けて感嘆の声を漏らす。対してヒフミは二人が何の話をしているのかわからないので、攻撃してもいいのかニセコとコユリの顔を交互に見ながら悩んでいた。

 

「後顧の憂いが無くなった私はまさに無敵…! ところでお二人っていつから一緒なの?」

「ん、つい最近出会った仲。相性はなかなか良いと思ってる」

「ほほう…! ちなみに声をかけたのはどちらから?」

「あの、今って逃走中ですよね? 悠長に話していて大丈夫なんですか?」

 

 前回は回避不可の即死呪文(進捗どうですか?)をニセコに唱えられて敗北(自滅)したが、今回は違うと拳銃を構えたコユリ……だったが、態々構えた拳銃を懐に戻して代わりに手帳とペンを取り出してニセコたちの仲を聞き始めた。恐らく自身の中にあるなんらかのセンサーが強く反応したのでニセコたちを自身の百合畑に加えるべく取材を始めたのだろう。

 

 それに対してニセコも素直に返答しており、二人の間に流れるほんわかとした空気にヒフミは戸惑うしかない。

 

「おっと、私としたことがつい……。続きは捕まえてからにしましょうか!」

「ん、残念ながら私は貴方の作品に加わるつもりはない」

「貴方たちも私の百合畑に加えてやるわよ‼︎ ……ん?ちょっと待って?」

 

 ヒフミの言葉に今の状況を思い出したのか手帳を胸ポケットに入れてから拳銃を取り出すコユリ。しかしニセコの言葉に引っかかるものがあったのか、好戦的な笑みがあっという間に真顔へ戻った。

 

「あの、もしかして私の別名知ってますか?」

「百合園ノハラ。貴方の作品は全作3冊ずつ購入して読ませてもらってる」

「ミ゜っ⁉︎」

 

 なんてこったい。これがコユリの内心だった。銀行強盗さんはまさかのお得意様だったのだ。思わぬ遭遇に思わず変な声が出てしまったコユリだが、反射的に拳銃を投げ捨てるのはなんとか留まった。まだ相手が本当にお得意様なのかわからないからだ。

 

「ぐ、具体的にはどの作品のどこが良かったですか?」

 

 拳銃は構えているが、ぶっちゃけ手が震えているので照準はブレブレ。撃っても当たることはないだろう。だがこれは仕方ない。作者にとって直接感想を言われるのは緊張するものである。自信作なら尚更だ。

 

 コユリの問いにニセコは考えるような仕草をした後、たっぷりと時間をかけてから口を開いた。今更だがコイツらは現在逃げる側と追う側である。でもそれ以上の優先事項が追う側に出来ちゃったからね、仕方ないね。

 

「ん、前からのガブリーエとイブリンの絡みも良かったけど、前作の小悪魔系サクラーコがミーネに押し倒されていつもの外面を取り繕う暇すらなく慌てる展開はドキドキしたし、最新作のナギーサとミーカの幼馴染ものは一から関係を作られているから話に入り込みやすかった。ナギーサがミーカをふとした時に目で追うシーンみたいに所々丁寧な描写があるし、ミーカはそんなナギーサに気付いているけど今の関係が壊れるのが怖くてアクションを返せないところはじれったいけど正直大好き」

「ふむ…………ご愛読ありがとうございますゥゥゥゥゥゥ!!!」

「えぇぇぇぇ⁉︎」

 

 ニセコの感想にコユリは少し間を空けたあと、偶然事故りましたと言いたげにバイクを捻って自ら倒れた。バイクの速度もあってあっという間に小さくなっていった彼女の行動にヒフミは驚きの声を出すしかない。コユリは読者を大切にするタイプだったのだ。そんな彼女にとって読者に拳銃を向ける行為は百合カップルの間に挟まろうとする男レベルで許されざる行為だった。それがたとえトリニティどころか様々な自治区の銀行に迷惑をかけている銀行強盗犯だったとしてもだ。

 

 ちなみにニセコは作品としてコユリの本を楽しんでいるだけなので、そっちの気はない。いや、元男なので正確には少しあったのだが、銀行強盗によって心が少年期まで逆行してしまったので無くなってしまった。多分心が思春期あたりまで戻ってきてもその頃には元男の現ニセコになっているのでどうなっているかわからない。そもそも銀行が存在する限り少年期から戻ってくるかも不明だが。

 

 その後、バリケードが撤去されたことで立ち往生していた他の正義実現委員会が駆け付けたが今更ニセコたちに追いつける訳がなく、ニセコたちは無事にブラックマーケットへ逃走するのだった。

 

 ニセコの家に帰るとコユリの作品にヒフミが興味を持ち、是非読んでみたいとニセコにお願いするがニセコはそれを拒否。最初は作品としても面白いためニセコも許可しようとしたのだが、それって無垢な男友達に女の子説があるあの人の作品を見せるみたいなものではないかと気付いてしまったのだ。

 それとヒフミにそっちの気があるとニセコは思われたくなかったので、話をさりげなく報酬のペロロに誘導。見事にヒフミを釣ることが出来たのでニセコは安堵の息を吐いた。

 

 その一方、物陰ではニセコに友達が出来たことを密かに喜ぶスケバンの姿があったとかなんとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ねぇ、ノノミちゃん。シロコちゃんどうしたの?」

「私にもわからなくて……多分いつものことだと思うのですけど……」

 

 ニセコと呑気に話していたことを誰かに報告されたのか突然部屋に正義実現委員会が押し入ってきたことで百合の花畑(比喩表現)を見られてしまい、誰をモデルにしたのか一発でバレてしまうほど登場人物の姿と名前が似ていたために報告を受けたティーパーティーから焼却処分を命令されて阿鼻叫喚となっているコユリのことは置いておいてここはアビドス校舎。いつもとは様子が違う原作体型まで成長したシロコの姿にホシノは静かにノノミへ近付いて何があったのかを聞くが、ノノミも原因がよくわからないようで曖昧な予想しか出せない。

 

 ニセコが銀行強盗をしたニュースが流れるとシロコはいつの間にか水着姿になって興味津々にスマホを眺めているのだが、今日は水着姿にはなっているがとても静かにスマホを眺めていた。どこか威圧感のようなものを放っているシロコの後ろ姿にはホシノですら近付くのを躊躇するレベルだ。

 

「シ、シロコちゃ〜ん? どうかしたのかな〜?」

 

 それでも聞かなければ何もわからないとホシノは果敢にシロコのもとへ歩き、後ろから問いかけながらシロコが持っているスマホの画面を覗き込む。そこに映っていたのはやはりニセコの銀行強盗ニュース。しかしいつもとは違い、ニセコの隣には別の誰かがいた。

 

 シロコに付き合わされて一緒に銀行強盗のニュースを見ることが多いホシノはおやっと眉毛を上げた。今までニセコはずっと一人で銀行強盗をしていたので意外だったのだ。そしていつもなら記事をスクロールして夢中に読んでいるシロコがニセコとその隣にいる誰かの画像から画面を動かさない姿を見て何故シロコがこんなことになっているかの理由もわかってしまった。

 

「ん、銀行強盗したんだ。私以外の女と」

 

 予想通りの言葉にホシノはあちゃ〜と額に手をつけた。恐らく我慢していた銀行強盗欲に会いたい人物の隣に知らない女がいることが混ざり合って良くない形で爆発したのだろう。

 

 今のシロコが何をするかはホシノからしても未知数なので、もうニセコに一度全部押し付けてやろうかと頭の片隅で考えるが、そうすれば仲良く銀行強盗をするだけかとシロコとニセコが銀行強盗をしている後ろでそれを止めようとする自分の姿を思い浮かべつつ、なんとか丸く収まるようにシロコを宥める言葉をホシノは探し始めるのだった。




ニセコ

ムキムキボディを手に入れるために筋トレを始めたが、プロテインとか筋肉に良い食事とかを全く気にしていないのでただ鍛えているだけ。そのため本人が望んでいるボディビルダーのような光沢のある筋肉は手に入らない。
現在はヒフミから漂うアウトロー適性に気付いたのでペロロを餌にして銀行強盗の沼に沈めようとしている。

普通の女子高生ヒフミ

付き合うと言ってしまったので銀行強盗にもキチンと付き合った良い子。そういうところはちゃんと断らないと彼女の善性に付け込んで悪いことに加担させようとする人が現れるかもしれない。トリニティに帰ってからはしばらく身バレが怖くてビクビクしていたが、シュノーケルとフルフェイスヘルメットのおかげでバレてはいない。
ニセコがペロロ様を持っていたので興味があるんだと思い、そのままペロロ沼に沈めようと考えている。

コユリ

本作のオリキャラ。原作開始時には卒業していなくなる予定。百合畑を死守するために抵抗し、隙をついて持てるだけの百合を持ってから窓ガラスを割って華麗な脱出をするが、ニセコによって鍛えられた正義実現委員会の追跡力によってあえなく捕まった。しかし逃げている間に同士へ百合を渡すことは出来たので本人的にはオッケーです。
トリニティに限るが在籍する生徒の声を全て覚えており、ニセコの後ろにいたのがヒフミだと見抜いていたが、お得意様であるニセコの関係者なのでバラすつもりは全くない。情報を漏らすと信用がなくなるからね。ちなみに正義実現委員会の突入に気付かなかったのは夢中でヒフミとニセコのカップリングの案を練っていたから。もしニセコに知られたら火炎放射器を持って凸されていた。

ゲヘナ・トリニティ

ではこの日にしましょうか。遅れることのないように。
ああ、奴らに痛い目を見せてやろうか





 百鬼夜行などの他の学園もそのうち出したいけどあまりにも筆者が無知だから情報を集めるところからやる必要がある……。ストーリーはスキップしつつ気になるところだけ読む派の弊害がこんなところに……。一応百鬼夜行にニセコを出現させるなら鼠小僧みたいな感じにさせたいっていう原案はあるんですけどね。
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