スニーク・チキン・シーカーズ~唐揚げの為にダンジョン配信はじめました。寄り道メインで寝顔に絶景、ダン材ゴハン。攻略するかは鶏肉次第~   作:北乃ゆうひ/YU-Hi

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 あけましておめでとうございます٩( 'ω' )و


 毎日更新していた頃に投稿していた範囲にある
「香とデルクとギャラリー対応」と「湊と配信コメと焼きそば」の間の1話『涼と香と大ジャンプ』が抜けていたことに、今更ながら気づきましたので、追加しております。

 なんかおかしいな?と思いながらも読まれていた方、申し訳ありません


ディア と 焼き鳥 と 金の針もとい串

 

「とりあえず涼ちゃんのコトはしばらく放置します!」

 

:コラボ相手を放置宣言

:残当

:まぁ置物化してるから仕方が無い

 

「そして、これッ!」

 

 そう言いながら、ディアは自分のSAIからマザーグースの頭部を一つ取り出して、台に置く。

 

:うーんデカイ

:この鳥頭が!

:大きさを考えなきゃ可愛い顔してる

:でもあのクチバシで地面をえぐるんでしょう?

 

「頭だけでこんなに大きい上に、首も長いんですよね。

 なので、セセリ取り放題って感じでした」

 

:長い首をセセリ扱い

:七面鳥のセセリって旨いの?

:そもそも七面鳥って美味しいの?

:検索してもクリスマス用のローストくらいしか出てこないんだよな

 

「うーん、一般的な七面鳥の場合は……赤身の牛肉をベースにしたような風味の鳥胸やササミってカンジで、油分少なめで淡泊な味わいかな?

 単純な旨味だけなら、鶏肉の方が上。なので、料理の仕方によっては物足りない味になっちゃうところはあるって感じかな。でも、ちゃんとそこを理解して料理してあげれば、鶏肉に負けないくらい美味しいと思う。

 あと、全身が胸肉やササミみたいな油分の少ないお肉だから、あっさりした味のお肉が好きな人とか、ダイエットや肉体作りしてる人には鶏肉より向いてるかも」

 

:ディアちゃんちゃんと味を知ってるんだ

:そういう人だからこそ料理も信用できるんだろうな

:ちゃんちゃん って何かと思った

:句読点の必要性

 

「はッ!? 今、湊が鶏肉って言ってた気がする!? 料理ある!?」

 

:涼ちゃんおはー?

:おはー笑

:ポロっと本名を口にしてるっぽい辺り完全に寝ぼけてる

:急に覚醒したな

:(¥2000)おはよー!

:すでに本名バレしてるからいいけど完全に事故感あるなw

:反応の仕方に笑ってしまう

:反応の良さに草

 

「言ってないし、料理もないから、もうちょっと寝ててね~」

「……しゅん」

 

:置物に戻っちゃった!?

:すっごい残念そうな顔www

:ディアちゃんどうして寝かしつけたの!?

 

「いや今の禁断症状中の涼ちゃんだと放送事故起きそうで……」

 

:置物の時点で放送事故

:自分のチャンネルのニュースを自分で口に出来ない時点で…

:すでに事故ってると思うんだけどな・・・

:寝ぼけ涼ちんがディアちゃんの本名ポロリしてたんだけど?

:未だかつてここまでぐだついたコラボがあっただろうか

 

「さて、涼ちゃんが大人しくなったところで、改めて料理していきたいと思います」

 

 そう告げて、ディアはマザーグースの頭を仕舞うと、今度は肉の塊を取り出した。

 

「大きいサイズのモンスターなので、すでに解体済み切り出し済みですが、こちらが一品目に使うお肉。マザーグースの首小肉(セセリ)です!」

 

:小肉……とは

:鶏の首は小肉というけどさぁ

:鶏の首の肉は稀少部位ではある

:小肉たらしい

:基本的な鶏のサイズを思えば少量しか取れないのは確か

:しかしマザーグースは首が長いしいっぱいあるし小肉感ないな

:七本も首があって長いから稀少感もないぞ

 

「鶏肉のセセリは適度な弾力と噛むほどに溢れる旨味が特徴の部位ですが……じゃあ、マザーグースはというと……それは、試食の人たちのリアクションをお待ちください!」

 

:首は良く動かすから筋肉質で歯ごたえがあるんだよな

:マザーグースもそんなカンジじゃ無かった?

:ってことは鶏肉よりもかなり硬め?

:でも伸ばしたりぐにょぐにょ曲げたり出来る柔軟さはあるだろ

:もしかして鶏肉より柔らかかったりしない?

 

 流れてくるコメントを見て笑いながら、ディアは取り出したマザーグースのセセリを一口サイズにカットしていく。

 

:ディアちゃんそれって首の全部?

 

「違います。これ一本の首から取れたセセリです」

 

:鶏肉何頭分だよw

:あれだけで結構な量あるな

 

「そして一品目はシンプルにいきますよー!」

 

 宣言しながら、竹串とカットした長ネギが出てくる。

 

:もう材料の時点で……

:絶対美味しいやつじゃん

 

 串にセセリ→長ネギ→セセリ→長ネギ→セセリと刺して、一つ完成。

 それを手早く繰り返して積み上げていく。

 

:焼かなくても分かるこの旨さ

:もう美味しそうなんだけど

:ビジュアルに抗えない

:ちょっとビール持ってくる

 

 盛り上がっていくコメント欄の予想通りの行程をディアが進めていく。

 

 専用のコンロを用意してあったのか、火の付いたそれにセセリネギの串を並べていく。

 

「……!? お肉の焼ける匂いがする……?!」

 

 ディアがパラパラと塩を振りながら、丁寧にセセリ串を焼いていると、涼が目を見開いて動き出す。

 

 そんな涼の元へ、即座にモカPが操るドローンが近づいていった。

 ドローンがホロウィンドウを展開して涼の目の前でコメントを流していく。

 

:今度こそ覚醒だな

:さすがにこれは誤魔化せない

:(¥5000)おはよう 今配信中だから気をつけて

 

「え? 配信中? っていうか何か目立つ色のコメントが??」

 

:(¥1000)混乱のところ悪いけどもうしばらく大人しくしてて

 

「……配信……」

 

 きょろきょろと周囲を見回して、だんだんと状況が理解してきたようだ。

 

「あれ? 今日ってコラボ配信の日? まだ数日くらい時間なかった?」

 

:置物だった時間が飛んでるの??

:鶏肉禁止令……どれだけショックだったんだ……

 

「おはよ、涼ちゃん。お料理出すから、そっちに座ってて」

「……!?」

 

:一瞬で席に移動したぞw

:涼ちゃんの目が輝いてるww

:あまりにも嬉しそうすぎて草

:もう焼き鳥にしか目がいってなさげ笑

:ぶんぶん首を振ってて草

:あの勢いで首が振られればセセリの味も増すというもの

:涼ちゃんの首を食べたい勢がいるな?

:食べなくていいから舐めたい

:変態はお帰りください

 

 ディアの指示に従って素直に座る涼を見て、ディアが笑う。

 

:完全に保護者系お姉さんスマイルだった

:今のディアちゃんの顔良すぎる

 

 焼き上がった焼き鳥を、長方形のお皿に乗せていく。

 その姿を見ていた守は席から立つと、ディアの近くまでやってくる。

 

配膳(サーブ)くらいなら手伝うぜ」

 

:鳴鐘はムーブがイケメンすぎる

:顔もイケメンだろ

:美形のポニテ男子とか最高すぎる

:ポニテ男子ガチ勢がコメント欄に混ざってるよな

:勘違いするなよ 私は男子も女子もポニテが好きなだけだ!

:ポニテガチ勢でござったか

:ポニテガチ勢・・・なんでお前 涼ディアコラボ配信に来てるん?

:↑チキンで美食家なだけだが?

:なら仕方ないな

:ピストル大名もいるぞ

:↑お前は呼んでない帰れ

 

 謎に盛り上がってるコメント欄を横目に、ディアは守にお礼を告げた。

 

「鳴鐘さん。ありがとうございます! 涼ちゃんのとこはラストで、まずはゲストの皆さんのとこにお願いします」

「え?」

「りょーかいだ」

 

:涼ちゃんの顔wwwwww

:後回しにされたのそんなにショックなの?草すぎる

:濡れた長毛仔犬よりもぐんにょりしてない?

:まるで捨てられすぎた仔犬のようだ

:捨てられ過ぎた仔犬って何????

 

 そしてカメラは、準備を続けるディアから、皿を運ぶ守へとフォーカス対象を変えた。

 

「ほほう。マザーグースのセセリ串か。こうしてみると普通の鶏肉にしか見えんな」

「ですね~~! しかも結構弾力ありつつも柔らかそ~~う!」

 

 自分の前に出されたマザーグースのセセリ串に対して、一成と心愛の感想は、ふつうの料理を見るかのようだ。

 

 それに対して、なんとも言えない顔をしている男がいた。

 

「いやいやいやいや! 二人とも正気か!?」

 

 良轟である。

 

:ラゴウさん青ざめてるやん

:マヒしてたけどこれが普通のリアクションじゃね?

:確かにモンスターの肉を食べるって発想はディアちゃんや涼ちゃんならではかもだしな

 

「安心していいぜ、良轟のおっさん。

 何せディアちゃんは本物のシェフからその腕を認められたセミプロのような料理人だしな」

「料理の腕が悪くないのは手際を見てても分かる。私が恐れているのはそういうコトではない!」

 

:それはそう

:決しておかしい反応では無い

:だがここはディアーズ・キッチン!

:そして涼ちゃんねるとのコラボ配信!

:ダン材料理こそが醍醐味よ!

:ダンジョン素材料理から逃げられると思うなよ!

:お前ら何キャラなん?

 

「ダン材――なるほどダンジョン素材……」

 

 納得はしたが、理解はできない――そういう顔をする良轟の前に、守は皿を置いた。

 

「でもこの見た目なら、別に怖くないだろ?」

「むむむ……確かに、見た目だけなら普通にネギま串のようにも見えるが……」

 

 眉を(ひそ)めて唸り出す良轟に、守はシニカルな笑みを浮かべると、サーブを続ける。

 

 そうして守は、香やシロナ、スタッフの分も配り終えると、自分の分の皿を手に席へと戻った。

 

 それを確認したディアも、自分の分と涼の分も用意して、それぞれの場所へと置く。

 

「さてお待たせしました!」

「待ってた!」

 

:キラッキラ笑顔

:まだ輝いてないのに輝いて見えるw

:守りたいあの笑顔

 

「涼ちゃん、ちゃんと食レポしてよ?」

「するする! するから食べていいよね?」

「それじゃあ、まずは一品目。頂きましょうか」

 

 ディアの合図で、みんなが「いただきます」と口にして、セセリ串を口に運ぶ。

 

「……出演者もスタッフもためらいなく口に運ぶのだな!?」

 

 何やら、戦々恐々している良轟を余所に――というか気にも掛けずに、涼は待ちに待った鶏肉を口に運ぶ。

 

「ん~~! これ、セセリだよね? 美味しい! ぷりっぷりなのに歯切れは良くて、しっかりした噛み応えのわりには、柔らかくほぐれてく……!」

「うん。セセリだよ。何のモンスターか分かる?」

 

:だんだん輝いてきたな

:強い輝きはないけど嬉しそうに輝いておる

:感情によって輝き方変わるよな

:涼の顔の輝きソムリエが多数いるな

:なにをどう見て判断してんだろうなソムリエたち

 

「……もしかしなくても、マザーグース?」

「正解!」

「七面鳥ってアッサリ味のイメージあるけど、マザーグースのセセリはしっかりした味があるね。鶏に似てるけど、鶏とは違う……ちゃんと七面鳥の旨味って感じ」

「わかる。噛めば噛むほど旨味が溢れてくるのに、脂は少なめなのも七面鳥って感じがするよね」

「うん。セセリなのに脂が少ないなとは思ったんだ」

「それでも七面鳥にしてはあるよね。噛めば噛むほど美味しい脂がじわ~って出てくるのすごいいい」

 

:しかし涼ちゃんも味や風味に詳しいな

:そうなんだよな単に美味しいだけじゃなくてそもそも肉の味に詳しいんだよ

:鶏肉ジャンキーだけあって味比べとかしてるんだろうな

 

「ん~~! 心愛ちゃん、これ好きかも! 美味しい~~!」

「うむ。良い味だ。塩加減も絶妙でな。日本酒が欲しくなるが……スタッフ方、あるかね? ない? そもそも酒がダメ? 残念だ……」

「確かに酒が欲しくなる味だが……ディアちゃん! このネギって、もしかしなくてもネギ魔導から取ってきた?」

「鳴鐘さん正解!」

 

:ネギ魔法製のネギだったか

:ネギ魔法製ネギ???

:ネギ魔導ってモンスターが使ってくる攻撃魔法の影響で生えるネギ

:食べれるのそれ?

:食べてるじゃねーか

:見てみろみんなうまそーに喰ってるだろ?

:ディアーズキッチンって初めてみたけどこれって良くあるの?

:料理配信の時のいつもの光景だが?

:過去のアーカイヴを見てみるといい 楽しいぞ

 

「……………………ええいッ、ままよ!」

 

:そんな覚悟必要かねラゴウ氏

:いや必要だろ

:初見でモンスター肉はためらうだろ

:むしろ初見に平気で食いついた涼ちゃんがおかしい

:鶏モンスターなら仕方ないね

:そうだな 鶏モンスターなら仕方ない

:涼ちゃんねるも涼ちゃんねるでどういう飼い慣らされ方してんだ・・・?

 

「……ふつうに旨いな。いやふだん食べるセセリと比べても格段に旨いな??」

 

:ラゴウ氏の戸惑い顔よ

:ビビって食べたら旨かったらああいう顔もするか

 

「このネギも旨いな? どこのネギだ?」

「良轟殿聞いていなかったかな? ネギ魔導というモンスターが魔法を使った際に生えてくるネギだぞうだぞ」

「……ネギが魔法を使うと生えるネギ??」

 

 まるで宇宙をバックに目を見開く猫のような顔で、良轟は首を傾げた。

 

:まぁふつうは意味わからんよね

:良轟はある意味で一般人だからな

:政治家だろ

:超人でもなければ探索に関わってない一般人ってコトだよ

:超人だろうが探索関係者だろうがディアーズキッチンは???ってなるだろ

:チキンと美食家はだいぶチャンネルに飼い慣らされてる自覚しろよ?

:ところでディアちゃんや涼ちんもロケットランチャー使わない?

:ピストル大名はちょっと黙っててくれ

 

「……鶏肉や。ああ鶏肉や。鶏肉や……」

「涼ちゃん、涙を滲ませながら焼き鳥をしみじみ噛みしめてる……」

 

 何はともあれ、ようやく涼が復活したようである。

 

 




【Idle Talk】
 心愛は、コラボ配信の時には鶏肉食べてもOKというのを香には伝えていた。
 それを聞いた香は、当然のように涼には完全に黙っていた。
 よもや二人ともここまで涼が、壊れるとは思っていなかったのだが……。

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