スニーク・チキン・シーカーズ~唐揚げの為にダンジョン配信はじめました。寄り道メインで寝顔に絶景、ダン材ゴハン。攻略するかは鶏肉次第~   作:北乃ゆうひ/YU-Hi

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涼 と 人狼 と 生き残り

 

 

 大会は順調に進んでいき、今は3回戦も終盤だ。

 

「あー……ダッシュマン。さすがに敵を倒さないと先に進めへん状況には弱いんやねぇ」

 

 ディグの言葉に、パネラーたちはうなずく。

 

「これまで全部逃げてたしねー☆ その逃げスキルは評価するけど、こういう――閉じ込め系モンスター全部倒すまで帰れませんハウス……ネックだったかぁ」

「直前の分かれ道、逆側ならトラップだらけのルートだったんで、まだ目はありましたけどね。こっちを選んでしまった以上は厳しいでしょうねぇ」

 

 準決勝は、共通エリア→左右分岐→左右のギミックエリア→共通エリアというコースになっている。

 

 サラサやグレイの言う通り、片方は入ったら閉じ込められてモンスター全部倒すまで出られないモンスターハウス。

 もう片方は、トラップだらけエリアとなっている。

 

 そして、ダッシュマンはこれまで敵と戦わずに避け続けてきた弊害を、ここで味わっているようだ。

 

「でも大事な経験だと思います。本当にダッシュ一本で探索者やるにしても、こういう経験を死なずに出来るっていうのは大きいですよ」

 

 涼の言葉に、グレイもうなずく。

 

「油断すればこうなるし、なんの護身術もないままだと、生還率が著しく下がる。それを身をもって理解できると、ダッシュ一本で行く上での必要なコトを理解できるでしょうしね」

 

:涼ちゃんとグレイがすでにダッシュ一本前提で語ってる件について

:でもダッシュ一本で行くようにしか見えないし

 

「対する27番さんは、二回戦は不戦勝だったので、久々の試合ですね。

 他の人より成長する機会が少なかったせいか、とても初心者すぎる動きをしてくれています」

 

:津田とスタッフが嬉しそう

:人狼多いもんな

 

「あ、一番モニタの7番さんvs8番さんは、7番さんのゴールで決着ですね。

 10フィートネキこと7番さんはずっと怪しいけど、逮捕するほどではない感じで。8番さんはふつうにちょっとずつ成長してる初心者さんな組み合わせなので、波乱らしいモノはないようです」

 

:他が目立ってるせいで地味だったしな

:いやどっちもちゃんとがんばってるのは見てわかるんだけど

:アクの強い試合多すぎてがんばった7と8かわいそう

:トラップエリアでフィートネキの棒が光ってたな

:フィートネキの棒・・・閃いた!

:閃くな消灯しとけ

 

「第二モニタの格闘家ニキ。だいぶ動きがこなれてきてますね」

「でもまだまだ初心者すぎる枠からは抜けられてない感じかな?」

 

:格闘ニキはおいておくとしてさ

:相手の人さぁ

:いやぁさすがにそろそろ見逃せなくない?

 

「コメント欄ざわざわしてるけど月宮も同じくー☆」

「まぁそうですね。モンスターハウスに慌てないのは……黒に近いグレーから、黒確定で良い気もします」

 

:サラサちゃんと涼ちゃんも認めたか

 

「ずっと怪しい怪しい言っとったもんな。ようやく尻尾見せた言うコトでええんとちゃいます?」

「そうですね。モンスターハウス内での戦い方を加味して、自分も逮捕に一票入れます」

 

 グレイも逮捕に手を挙げたことで、25番の逮捕が確定した。

 これにより、32番の格闘家ニキが勝ち上がりだ。

 

:ついにグレーゾーン勢にメスが入りはじめた

:さすがにここまで来ると隠しきれないんだろうな

 

「おっと、ダッシュマンが苦戦している間に、対戦相手の27番さんがトラップエリアをそろそろ突破しそうですね」

 

:っていうか27番なんだこれ・・・

:その子最初からずっとそんな感じなんだよ

 

「あれ? コメント欄の様子が……」

 

 他のモニタを注目していたせいで、27番を注意深く見てなかったのだ。

 コメント欄の様子が気になったサラサが、その様子に目を(すが)める。

 

 トラップエリアのゴールである扉が見える位置。

 安堵したように27番はそこへ向かおうとして、何もないのにすっころんだ。

 

「あ」

 

 思わずサラサは声を漏らした。

 だが、次に発生した状況に、別の声を漏らすことになる。

 

 転んだ27番の手から持っていた戦闘用ナイフがすっぽ抜け、あらぬ方向へと飛んでいく。

 そして、床に落ちると――そこがちょうどトラップのスイッチだったのか、壁から野球ボールサイズの鉄球が飛び出してきた。

 

 だけど、あらぬ位置で発生した為、鉄球は当然のように27番に当たらない。

 

「なんてラッキーな」

 

 思わず苦笑するサラサ。

 立ち上がった27番は、すっぽ抜けたナイフを拾いに向かう。

 

 さすがに鉄球が飛んできたのは認識しているのか、恐る恐るだ。

 

「……あれ?」

 

 その時、サラサの目には妙な光景が映った。

 飛んできた鉄球の大半は、避けられた場合に反対側の壁に仕込まれた回収口に収まるように設計されているようなのだが――

 

:一個鉄球が回収されてない?

:あの鉄球ってどうなんの?

 

 ――偶然なのか不具合なのか、コメント欄の示す通り、回収されなかった鉄球は壁にぶつかると跳ね返って床を転がり出す。

 

 すると、転がった鉄球が何らかのトラップのスイッチに触れたのか、先ほど27番が転がってた場所辺りの地面から、エリア終端の扉の方へ向けて連続して熱い蒸気が噴き出していく。

 

:ナイフ拾わず真っ直ぐ歩いてたら喰らってたな

:なんて運のいい。。。

 

「あ。見えない壁が見える……」

 

 さらには、その蒸気のせいで、扉の前に張り巡らされていた透明な壁に水滴がついた。

 これによって、扉の前の透明な壁が作る通路は、正しく道が見える。

 

 そうして、27番はおっかなびっくり、透明な壁を抜けてトラップエリアのゴールとなる扉へと辿り着いた。

 

「な、なんぞこれー……」

 

 さすがのサラサも開いた口が塞がらない。

 

:ちなみにその子一回戦の時もそんな感じだった

:そんで二回戦は不戦勝で

:三回戦の相手ダッシュマンは苦手なモンスターハウスに捕まり自分はトラップをラッキー突破

:さすがに怖くない??

 

 なんであれ、27番はトラップエリアのあとの共通ルートも、なんとか突破してゴールへと辿り着いた。

 

「うーん……ダッシュマンがモンスターハウスでもたついているうちに27番さんがふつうにゴールなので、これは27番さん勝ち上がりでいいよね」

 

 色々と腑に落ちないが、サラサがそう宣言する。

 その様子を見ていなかった面々も、27番に問題がないならと賛成した。

 

「残った9番対12番なんですけど、これ……12番さんは初心者感あるんですけど、9番さん怪しさがどうにも……」

 

:グレイと涼が二人がかりでずっとモニタ見てるもんなw

:絶妙な怪しさなんだよ9番

 

「これ、9番さん先にゴールしちゃいましたけど、ちょっとみんなで最初からのリプレイみたいんですけど」

「涼ちゃんに賛成ですね」

 

 そんなわけで、涼がリクエストし、グレイもそれを望んだので、みんなでリプレイを見ることになった。

 

:本当に絶妙に怪しい

:初心者……いやでも、うーん……

 

「コレ素人意見なんやけど、たぶん分かってる人が崩しているように見えるな」

「そうなの?」

「なんや、格ゲーの接待プレイに近い感じの気配があらへん?」

「あ! 確かに!」

 

 ディグの言葉にグレイが手を打つ。

 

「あーあーあー! それ言われたら、気になってた場所が真っ黒に見えてきた」

 

 そう言ってグレイは、画面を示す。

 

「例えばここのジェルラビと戦ってる途中に落石を起こすスイッチを踏むところ。

 一見、自然なように見えるんですけど、明らかにジェルラビ誘導しつつ、自分もそっちへ移動しているように見えません?」

 

:あ、これ黒だ

:良く見るとチラチラと罠の位置確認してるやん!

 

「黒! 月宮的には真っ黒判定です! みんなどう?」

「ボクも異論はないですね。このシーンは間違いなく黒でいいと思います」

 

 サラサと涼も納得したところで、9番の逮捕は確定だ。

 

「これは人狼やね。なんで、12番さんが準決勝進出や!」

 

:危なかった

:高度な擬態できる人が三回戦に残ってるのがこえぇよw

:決勝が人狼vs人狼だったら爆笑する

:ともあれ準決勝も楽しみだ

 

 






【Idle Talk】
 軽い気持ちで始めた案件編ながら、トーナメント管理が死ぬほどしんどくて、作者は白目むきながらモニタ番号と参加者管理リストをにらめっこしながら書いてます・・・。

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