スニーク・チキン・シーカーズ~唐揚げの為にダンジョン配信はじめました。寄り道メインで寝顔に絶景、ダン材ゴハン。攻略するかは鶏肉次第~   作:北乃ゆうひ/YU-Hi

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涼 と マハル と 超人ランク

 

「おお……今回は中までお祭り仕様になってる」

「提灯がいっぱい飾ってありますわね」

 

:夏祭り感でてきたな

:これさぁ、マハルちゃんを指導する余裕ある?

 

「チキンたちの心配は分かりますが、現状は装飾以外にダンジョンの雰囲気や気配に違いはないので大丈夫だと思います」

 

:あんたほどの人がそう言うなら

:マハル様ちょっとビクビクしてる?

:涼ちんはソワソワしてるな

:涼ちんに関しては撮影したいの我慢してるだけだろw

:撮影?

:ダンジョンならではの変わった風景や綺麗な風景が好きなのよ涼ちゃん

 

「涼様みたいにそういう気配が分かるワケではないから普段と違うというコトが怖いんですわ!」

 

:わりとふつうの反応だ

:それはベテランでもそう

:涼ちんの余裕って一緒にいると安心できそうな感じはするよね笑

 

「気配に敏感になるスキルとかありますから、常に周囲を気にしてると手には入るかもしれませんよ?」

「涼様は普段どれだけ周囲を気にしておりますの……?」

「基本、ソロですからね。気にしてないとやってられません」

「…………そうですのね」

 

 一瞬、デスヨネーと言いかけたマハルは、その言葉を飲み込んで、別の言葉を吐き出した。

 

:え?でもマハル様はソロでやってたよね?

:結構ソロっぽい配信も見かけるけど

:本業探索者でもソロは少ないんだ 基本パーティ組むもんだよ

:ソロ配信っぽいコトしてる人でもカメラマン等の同行者がパーティメンバーなコトが多い

:大角ディアの配信などを知ってる人は思い出して欲しい

:本業探索も探索配信も全部ソロでできる涼ちんは例外

 

「ボクの場合、探索、索敵、戦闘、採取、解体など一通り自前で出来ます――というか出来るように鍛錬と勉強をしました」

「それでいくとわたくしはまったく修行が足りてませんねー」

「だからボクが呼ばれてコラボしてるじゃないですか。これからこれから」

「はい! よろしくお願いしますわ」

 

 そんなこんなで、涼とマハルはダンジョンを歩き出した。

 

「マハルさんはギルドの初心者向けの講習を受けたコトは?」

「もちろんありますわ。適正検査もして頂き、大型鈍器を使うコトにしましたので」

 

 そう言ってウォーハンマーをドンと見せつけるようにカメラに向ける。

 

:大型鈍器適正お嬢様(元スパイ)

:元スパイ設定なのに大型鈍器適正笑う

 

「しゃ~ら~っぷですわ! これはこれで振り回しているとストレス解消にぴったりですので!」

 

 ブンブンと振り回すマハルに、涼は微かに笑った。

 

「でも、ちゃんと適正武器を把握しているのは良いコトです」

 

:言われてるぞ赤たち

:なんかやらかした赤って人がチキンにはいるのか

:チキンというか配信に乱入してきたコンビ?

:もうあの件は反省しているので勘弁してください

:本人いるのかよ!

:まっとうな探索者になれよ~!

:なる為に今日の配信見に来ました

 

「まぁあの二人のコトは置いておくとしまして」

「本人がコメント欄におりますけれど?」

「でも今日はマハルさんに教える日なので」

 

 そう告げて、涼は一度足を止めた。

 

:涼ちん律儀

:律儀というか徹底しているだけかな

 

「もう一つ確認したいんですけど、超人化による成長の方向性って把握できてますか?

 基本自己申告って形になってますが、ギルドに提出する必要がありますけど」

「はい。ザックリと分かった範囲で提出しておりますわ」

 

:超人化の強化ランクももうちょっと分かりやすくなって欲しいよな

:感覚的なモノが強いからなぁアレ

:超人化の強化ランク?

:雑に説明するとゲームで言うステータスの成長度合い的なやつ

:ダンジョンの中で活動する時にどの能力がどのくらい強化されてるかってヤツでもある

 

「筋力がB、スタミナがB、魔力がB、敏捷、器用さはDですわ。

 あと武技(アーツ)はC、魔技(ブレス)がB、採取、索敵などはまだはかっておりませんわ」

 

:結構バランスタイプ?

:ちなみにAが一番上でEが一番下な 例外的にA以上もE未満も存在はしてるが

:物理アタッカー系のようでマナ関連強いな

:筋力Bで鈍器適正持っててブレス型なのか?

 

「魔技って何が出来ます?」

「えーっと、自分への中級バフがメインですわね。一応、自分以外の方へは初級の回復とバフが出来ます」

 

:バッファーというには対象が自分だけなのがなんとも

:器用貧乏型?

:タンクっぽくない?自己バフ型のタンク

:元スパイ設定なのに武器が鈍器で適性がタンクなのですねお嬢様

 

 コメント欄がマハルのステータスに関して盛り上がっていく中、少し思案していた涼が手を叩く。

 

「なるほど。ボクに近いんですね」

 

:え?

:タンクっぽいお嬢とアサシンっぽい涼ちんが同じ・・・?

:涼ちんと真逆じゃない?

:どこが!?

 

 首を傾げる気配が強まっているコメント欄に対して、涼は告げる。

 

「同じですよ。

 ボクは敏捷や器用さなどを生かして、自己バフで気配を消し、攻撃力を上げ、不意うちからの一撃必殺をする自己完結型です。

 一方でマハルさんは、腕力やスタミナを生かし、自己バフで耐久性を高め、攻撃力を上げ、相手の攻撃をしのぎながら、カウンターで敵を粉砕していく自己完結型です。

 パワーかスピードかの差はあれど、戦術的な基本スタイルは似ていますよね」

 

:似てる・・・のか

:まぁ自己完結の仕方はそうかもしれないが

:涼ちゃんほどの人がそう言うなら、、、?

 

「――と、言うワケでマハルさんのスタイルが分かったので、その強みを生かすような立ち回りを教えていこうかと思います。

 あと、余裕があれば採取や索敵の適性もはかりましょうか」

「よろしくお願いしますわ!

 ところで、涼様の超人化の適性をお伺いしても?」

 

:お、気になる

:よい質問だお嬢様!

 

「ボクですか? えーっと……。

 武器適正はナイフなどの短剣と、片手剣。それと格闘。

 基本ステータスが、筋力がD、スタミナがC、魔力B、敏捷A、器用さBで……それ以外は武技B、魔技C、採取C、索敵B……ってカンジですね。

 ただ、探索をそれなりにしてる間に感覚が少し変わってきているので、伸び方やランクがちょっと変化している可能性はあります」

 

:すごい強いイメージあったけど敏捷以外にAはないのか

:涼ちんの場合、素の身体能力が高いし色んな技の組み合わせ方が上手いってのがある

:状況限定必殺技を使うのに相手誘導して状況を作ったりするの上手いしな

:そうそう 涼は強いんじゃなくて(うま)いってタイプ

 

「巧いと言って貰えるのは嬉しいですね。真っ向勝負だとどうしてもパワー不足になりやすいので」

 

:ランクが同じだと同じくらいの強さってコトでいいの?

:全然違う あくまで成長速度の目安的なモノだよ

:レベル1のランクAと、レベル10のランクAを比べたらどうなるかって話だな

:超人化の場合はそこに素の身体能力の影響がでるからな

:素の身体能力に対して超人化はかけ算って感じだと勝手に思ってる

:かけ算はだいたいそんな気はする

 

「えーっと、コメント欄の有識者の方の意見を加味しますと……。

 同じレベル10ランクAでも、基本ヒキニートなわたくしと、元々身体能力が高い涼様を比べると、圧倒的に涼様が強い……的なコトでしょうか?」

 

:だいたいあってると思う

:一般人に憧れるヒキニートのお嬢様(元スパイ

:まぁ武器や戦術が違うから一概に比べられない面もあるけど

:涼ちゃんって素の身体能力もすごいんだ

:ただ真面目に探索しているとふつうに筋力とかつくよな

:↑分かる ひたすらモンスターと戦ってると超人化とか関係なく痩せる

 

 コメント欄の探索していると筋力がつくとか、痩せるなんて言葉に反応して、涼が補足するように告げる。

 

「まぁ超人化しているとはいえ、自分の身体を動かしてるワケですしね。

 加えてアーツなどのスキルを使えば、理想的な身体の動かし方みたいなのを身体が勝手にしてくれますから……そりゃあ身体は絞られて筋肉に変わっていきますよ」

 

 相撲体型などを目指しているワケでもないのなら、基本的にはみんなアスリートやら格闘家やらの体型のようになっていく。

 もちろん、使っている武器や立ち回りに応じて、身体の変化の仕方は異なるのだが。

 

「そうして素の身体能力が高まるから、超人化の恩恵もそこにかけ算されてより強くなる。

 だから探索しない日もジムとか行って筋トレしている探索者も多いんですよね」

 

:探索のお供にプロテインは間違った選択肢ではないようだ

:お嬢様がムキムキになっちゃうのはヤだなー

:ガチムチお嬢様とか新しいのでは?

:え?マハル様ガチムチ決定なの?

:だってウォーハンマーじゃん?

:元スパイでお嬢様にされた一般人に憧れるガチムチヒキニート女史

 

「ただでさえ盛られている設定をより盛るのやめてもらえませんかッ!?

 あとガチムチになる気はありませんわ! ガチムチにならないように鍛えますから!」

 

 コメントしているのが慣れたチキンと戸惑うマハライツという構図だったのだが、今は良い感じに混ざりだして来たようだ。

 

 そのことに涼は内心で安堵しつつ、ドローンへと顔を向ける。

 

「さて、雑談は一度ここで切り上げて、ちょっとモンスターのいるエリアへと向かいたいと思います。それにあわせて一度コメント欄を閉じますね」

 

:OK

:りょ

:ついにか

:まぁドローン側のコメント欄閉じるだけだから俺たちには関係ない

:読んで貰えないだけでコメントは出来るしな

:↑そういうコトか コメントも出来なくなるのかと

:見てないからむしろ余計なヤジを飛ばせるヤジ~

:ヤジはヤジでもダジャレしか言えないオヤジは帰ってもろて

:語尾がヤジはダジャレではないのでは?

:むしろオヤジを追い返そうとする奴こそがダジャレオヤジでは?

:追い出すのは勘弁して欲しいヤジ

:↑お前が始めた物語だろ!お前がシメろ!

:ヤジ~

 

 コメント欄で始まったコントはとりあえずスルーして、涼はドローンの頭頂部にあるボタンに触れてコメント欄を閉じる。

 

 それから、マハルへと向き直った。

 

「さてマハルさん。ちょっと真面目にお勉強しながら進みましょうか」

「はい! よろしくお願いしますわ!」

 

 そうして、前回の涼が歩いたルートとは別ルートを進みながら、モンスターのいるエリアへと踏み込んでいく。

 

 その道中で、道の歩き方や、周囲の様子の窺い方などもレクチャーしていった。

 合わせて、コメント欄とのやりとりをするタイミングなどの話もしておく。

 

 そうして時間を掛けて廊下をあるき、ついに広場エリアへとやってくる。

 

「おや?」

「あら?」

 

 新たなエリア、そこに居たのは――

 

「……ふんどしゴブリン?」

法被(はっぴ)ゴブリンとかお祭りゴブリンとか呼びませんか、せめて」

 

 ――法被にふんどし、ハチマキ付けて、右手にお祭り団扇を携えたゴブリンだった。

 

 




【Idle Talk】
 ふんどしゴブリン――分かりやすくて良いのに、と涼は思っている。
 あの姿のゴブリンの、どうしてよりによってふんどしをフューチャーするのか……とマハルとチキンとマハライツは思っている。
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