心が織りなす仮面の軌跡(閃の軌跡×ペルソナ)   作:十束

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91話「無限の力」

 ランディ達から届けられた未来のARCUSを受け取った瞬間、ライは未知の感覚に襲われた。

 

 愚者のペルソナ使いが持つワイルドの能力は「絆」によって育まれていく。

 だが、このARCUSには、ライの知らない絆が刻み込められていたのだ。

 

 ゆっくりと引き延ばされていく時間。

 白く霞んでいく視界の中。

 ライは薄っすらとした人の影を幻視する。

 

 

『私はこのままで良いんでしょうか』──悩む女教皇の絆。

 

『知らない、知らないよ……こんな気持ち』──困惑する戦車の絆。

 

『…………』──黙する死神の絆。

 

『例えこの関係が一時的なものであっても、感謝させて貰うよ』──信念を秘めた節制の絆。

 

『もう、あの頃には戻れないんですよね』──悲しげな塔の絆。

 

『お互い損な性格ね……』──物思いにふける月の絆。

 

『僕らは、僕らの道を進めば良いんですね』──決意を新たにする太陽の絆。

 

『──……』──そして、形さえ掴めない審判の絆。

 

 

 影たちはライの身体に入り込み、やがて異変は収束する。

 

 色を戻した視界に映るのは雷と呪怨の2重奏。

 サンダーバードで雷を吸収しようとも、呪怨の津波によって前回の二の舞になってしまう。

 キーアの助力も間に合わない。

 

 だが、立ち向かうための力は、既にこの手元にあった。

 

「……合体」

 

 ライが手元に浮かべたのは、自身の力で行使できる最大のペルソナ達。

 これ以上のペルソナ合体は不可能だった。

 だが、未来の力を受け継いだ今のライならば、限界を超えた合体が可能となる。

 

 ライを中心に巻き起こる膨大な力の渦。

 余波だけで周囲の残骸が崩壊する中心にて、白と黒、2色の神体が顕現した。

 

「蹂躙しろ。──ゼウス!!」

 

 その名をゼウス。

 雷を纏わせる白き右半身で神の雷撃を受け止め、黒き左半身で呪怨の波を薙ぎ払う。

 たった1体で神の連撃を受けきった天空の主。ゼウスは次いで右腕を前方、神がいるオルキスタワー跡地の前にそびえ立つ建物へと掲げる。

 

 ──瞬間、音を置き去りにした雷撃が建物の中心を抉り取った。

 

 残されたのは直線に伸びる大穴と、地面に迸る雷撃の残滓。

 ゼウスが放った雷撃──真理の雷によって、神へと続く道が形成されたのだ。

 

(これが、未来の力……)

 

 今までだったらコントロールするどころか召喚する事すら難しい規模の力だ。

 体の奥底からあふれ出る力。狂いそうになる程の高揚感。

 手綱を一瞬でも手放せば、きっと力に飲み込まれてしまうだろう。

 

「……これが未来からの手土産って訳か。こいつはなるほど、けったいな力じゃねぇの」

 

 ゼウスを虚空に戻したライの元に、ARCUSを運んできたランディ達が歩み寄って来る。

 

「あの……ゼウス、だっけか。あのペルソナさえありゃ自称神ともやり合えそうか?」

「……いえ、残念ながら」

「む? 随分と後ろ向きな意見だな」

「今のは相性が良かっただけですので」

 

 ランディの問いかけに対し、正直な分析結果を答えるライ。

 ペルソナの基礎能力は大きく向上したが、本質は何も変わっていない。

 重要なのは相性だ。相性さえ完璧なら、最悪初期の力であろうと神の力を受ける事すら可能だろう。

 逆に強靭なペルソナを有していようと、相性が悪ければ神に耐性の隙を突かれ、やられてしまう。

 

 ……だからこそ、このARCUSは逆転の鍵となり得るのだ。

 

「キーア、1つ質問がある」

「え? なに?」

「キーアが持っているそれは、ペルソナ全書、で間違いないか?」

 

 ライが指差したのは、キーアが大事そうに抱えている青く分厚い本。

 それがベルベットルームで見たペルソナ全書と同じものなのか。

 そう問いかけるライの言葉を受け、キーアは大きな目を本へと向けた。

 

「うん。そうだけど……」

「良かった。──聞いてくれ。1つ、最高に頭の悪い策がある」

 

 ライの脳裏で組みあがる1つの方程式。

 かくして、反撃の狼煙はこの瞬間、上げられる事となった。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 ──ペルソナ合体に必要な要素は2つ。

 1つは合体を行うライ自身のキャパシティ。

 もう1つは合体を行う際に必要となる2種以上のペルソナだ。

 

 前者についてはもう制限はなくなったものと考えて良いだろう。

 ならば、重要なのは後者。それさえ解決すれば、ライ達は文字通り無限に近しい手札を持つ事となる。

 

「神の攻撃が来ます! 属性は炎と……風です!」

 

 ゼウスが空けた道を通り、ヌース=アレーテイアの元へと全力疾走するライ達。

 彼らの足を止めんと、書き換えられた理法により、天変地異の火炎と疾風が迫りくる。

 炎の空。蛇のようにうねり狂う大気。何度見ても慣れる事はない過剰火力を前に、ロイドは腕の中にいるキーアに声をかける。

 

「キーア!」

「うん! ライ、これを使って!!」

 

 キーアはペルソナ全書から2枚のカードを取り出し、ロイド達の上方──盾となる位置に駆け上がるライへと投げ放った。

 

 眼前に迫る脅威から目を逸らさずにキャッチするライ。

 その直後、ライはその2枚を魔方陣の上で重ね合わせる。

 

「合体。──現れろ、ソロネ!」

 

 作り出されたペルソナは、車輪と一体化した黒き天使、ソロネ。

 疾風と火炎、双方に完全な耐性を持つソロネは、その身をロイド達を守る盾となり、書き換えられた理を一身に受け止める。

 

 今までは2人のペルソナ使いでやっとの防衛を、ライ1人で行ったのだ。

 つまりそれは、今まで防衛に回っていたキーアが自由になる事を意味する。

 ペルソナ全書から新たに取り出した1枚のカード。

 キーアはそれを両手で包み込み、新たなペルソナを召喚した。

 

「貫いて! ──ホワイトライダー!」

 

 無数の目を持つ白馬に跨った死神が、神に向け大きな弓を構える。

 

 放たれるは白光の矢ゴッドアロー。

 爆炎と疾風の隙間を貫いた閃光は、理の書き換えでは間に合わない速度で神の元へと迫る。

 

『我らは記す。世界を運営する理法。それ即ち、只人が侵しえぬ聖域である事を』

 

 対する神は、理の書き換えとは異なる手に打って出た。

 本から切り離される数枚のページ。

 祝福の文言が書かれた巨大な紙片が折り重なり、ホワイトライダーの射撃を完全に受け止めた。

 

「防がれたの!?」

「いえ、あれはキーア達と同じです! 恐らく、あれらの紙片には祝福無効の耐性が付与されているのかと!」

 

 防御ではなく無効化。

 ヌース=アレーテイアはライ達と同じく、各属性に対する防御策を持っているらしい。

 

 ……上等だ。

 神が自ら同じステージに降りてきてくれたのなら好都合。

 どちらが先に耐性の壁を越えられるのか、勝負しようじゃないか。

 

「──合体。粉砕しろ、オオミツヌ!」

 

 ライは手持ちのペルソナを合成し、十数mもある巨大な武者像のペルソナ、オオミツヌを召喚する。

 オオミツヌは1歩、地面を踏み砕きながら前進し、大質量に物を言わせた拳を放つ。

 巨砲の1撃と見紛う剛腕。

 だが、その攻撃は神に当たる寸前、幾多の紙片に纏わりつかれ、無効化されてしまった。

 

『我らは分別する』

 

 次いで、神は2冊目の本を使役する。

 書き換えられた理は疾風。

 しかし、今回神は風を違う形で使い始めた。

 

 遠方、クロスベル市内から吹き上がる幾つもの風柱。

 何百もの人型の影を巻き込んだそれは、渦となってライ達の元へと迫りくる。

 

「屍の竜巻ってか!? バラエティ多いなこの自称神様は!!」

「トルネードならぬゾンビネードですか」

「2人とも、言ってる場合!?」

 

 エリィに叱られた様に、正直洒落にならない反撃手段だ。

 

 弾丸が如く飛来するゾンビの数々。

 属性で言うならば疾風と物理の合わせ技。

 本の1冊を防御に回さなければならなくなった今、手数を増やす形で来た訳だ。

 

 牙を開けたまま突撃してくるゾンビを必死で躱すロイド達。

 せっかく詰めた距離を空ける訳にはいかない。

 オオミツヌで壁を作るライの後方で、キーアが新たなる力を顕現させる。

 

「降魔! ……アリス、おねがい!!」

 

 正念場で彼女が召喚したのは、青い服を身に纏う金髪の少女だった。

 真っ白な肌をして、下手したらキーアよりも華奢なアリスは、見た目に反して恐ろしげな言葉を呟く。

 

 ──死んでくれる?

 

 ニタリとした笑みで人差し指を上げたその刹那。

 幾千ものトランプ兵が上空に現れ、竜巻の中にいるゾンビ達を槍で貫いていく。

 その様は正しく虐殺。

 一度は死した屍を自らの仲間にすべく、トランプ兵達は残虐の限りを尽くす。

 そうしてゾンビを含む竜巻は、単なる疾風の攻撃へとなり下がった。

 

「合体、クー・フーリン」

 

 単なる竜巻となった僅かな時間。

 その隙を突くべく、ライは槍を構えた白装甲の戦士、クー・フーリンを召喚した。

 達人としか形容できない程に鋭い槍の一撃が竜巻に穴を空ける。

 

 今がチャンスだ。

 狙いを定めるライの横で、キーアも全書を構えて立ち並ぶ。

 

「ライ、合わせて!」

「ああ」

「──行くよ! 降魔、スカアハ!!」

 

 キーアが降臨させたのは空中で正座する武闘派の魔女スカアハ。

 

 2体のペルソナはタイミングを合わせ、竜巻に空いた穴を飛翔する。

 立ちふさがるは数多のページ。

 各種の耐性を持つ紙片を前にして、戦士と魔女は臆する事なく戦いを挑む。

 

 ──合体魔法(ミックスレイド)、闇と番犬。

 ケルト神話において師弟であったスカアハとクー・フーリン。

 まるでその神話を再現するかの如く、息のあったコンビネーションで紙片を切り裂いていく。

 

 突撃の勢いを殺された代わりに紙片の障壁は突破した。

 その隙を見逃すライではない。

 

「まだだ!」

 

 舞踏会を開いていたクー・フーリン達の影で、ライはワイヤーを射出していた。

 フックが絡みついたのはクー・フーリンの槍だ。

 引き戻されるワイヤーの力。そして槍を振るうクー・フーリンの腕力によって、弾丸の様に射出されるライの身体。

 

 急速に縮まる神との距離。

 接敵まで数秒とないタイミングとなった瞬間。

 神が使っていた巨大な本が壁として立ちふさがる。

 

 この速度、衝突するだけでミンチは免れないだろう。

 しかし、ライは既にこの展開を予測していた。

 

「合体、ランダ!」

 

 飛翔しながらのペルソナ合体。

 生み出されたのは物理反射の力を持つ鬼女ランダ。

 不気味な仮面を顔に付けた彼女は、衝突のダメージを丸ごと反射。

 壁の様に巨大な本を弾き飛ばす。

 

「──更に、合体!!」

 

 ヌース=アレーテイアの眼前にて、更なる合体の儀式を施行するライ。

 キーアから預けられたもう1体のペルソナは皇帝バロン。

 それをランダと組み合わせ、破壊を司る至高神を顕現させる。

 

「力を示せ!! シヴァ!!!」

 

 白き神ヌース=アレーテイアと、紫の肌を持つ至高神シヴァ。

 奇しくも4本の腕を持つ2柱の神は、至近距離にて膨大な力を衝突させる。

 

 ──プララヤ。

 インド神話において全宇宙の消滅を意味する一撃を受け、ヌース=アレーテイアの身体に明らかな損傷を与えるのであった。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

『……我らは称賛する。ペルソナが持つ神話的文脈を重ね、合体魔法を成立させた事を。他者との共鳴。それ即ち個人の限界を超える1つの道筋なり』

 

 傷を受けた筈の神は、まるで何もなかったかの様に静かな言葉を紡ぎ始めた。

 神にとって自らの生死など大した問題ではないのだろう。

 それよりも、小さき子らが自らに届いた事を、心から称賛している。

 

『ならばそれに報い、神として最後の試練を与えよう』

 

 ……故に、神は残酷な言葉を宣言した。

 

(何、を……?)

 

 何やら不味い予感がする。

 急ぎ止めを刺そうとするライ。

 だが、それは致命的な程に遅かった。

 

「ライ! 足元っ!!」

 

 本の力を使っていないにも関わらず、ライの下方にある巨大な残骸が浮き上がっていた。

 

「なっ──!?」

 

 ライの身体は急上昇する残骸に巻き込まれる。

 自らの領域内に入っても天変地異は治まらない。

 神曰く《最後の試練》をその身に受けたライは、大小様々な破片に飲み込まれるのだった。

 

 

 ──

 ────

 

 

 気がつくとライは、高いビルの一室に座っていた。

 

(……ッ、これは)

 

 気を失っていた訳ではない。

 残骸に飲み込まれたと思ったら黒い煙に飲まれ、次の瞬間、部屋の中へと入り込んでいたのだ。

 

 ライは素早く視線を動かして情報を集める。

 宙を舞っているガラスの破片。それが重力に逆らう様にして移動。終いには窓の位置へと辿り着き、傷1つない窓ガラスの一部へと収まったのだ。

 その摩訶不思議な光景を目にしてライは理解する。

 

 時が急速に巻き戻っているのだと。

 崩壊後から崩壊前へ。

 故に残骸はオルキスタワーの壁へと戻り、巻き込まれたライはその内部へと取り込まれた。

 

(オルキスタワーが崩壊する前まで時間が戻ったのか。なら、次に起こる事は──!!)

 

 試練の意味を察したライは手足に力を入れて立ち上がろうとする。

 ここは崩壊する”寸前”のオルキスタワー。

 つまり、ここで時間の逆再生が止まったらどうなるか。

 

 答えはたった1つ。

 その推測に答え合わせをするが如く、ライのいる部屋は爆発とともに崩壊を始めるのだった。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 ──オルキスタワー前、広場。

 地上に残されたロイド達は、急速に修繕するオルキスタワーを驚きの目で見上げていた。

 急降下する浮遊感。周囲には後ろ向きで逃げ惑うクロスベル市民の影。

 過去2回経験した世界の時間が移り変わる現象。

 外にいるロイド達には、それがすぐに理解できた。

 

「まずい。早く彼を助け出さないと!」

 

 このままだとライはオルキスタワーの崩落に巻き込まれてしまう。

 助けに向かおうと足を踏み出すロイド。

 そんな彼の手を、キーアは両手を使って引きとどめる。

 

「……キーア?」

「大丈夫だよ、ロイド。ライはあんな試練じゃ、やられたりしないから」

 

 確信を持ってキーアは告げる。

 かつてのライはキーアの味方ではなかった。

 けれど彼は確かに、秩序の未来と混沌の未来へと辿り着かせた存在なのだ。

 ある意味、キーアはこの中で最もライの存在を理解していると言えるだろう。

 

 

 ──

 ────

 

 

 そう、ライはやられたりしない。

 彼の心の内には、クロスベルに行く前、交わした約束があるのだから。

 

《変わりに約束して。次は絶対死なないって》

《まあ、俺が言えた義理じゃないかも知れないけど、正直俺も同意見だな》

 

 フィーとリィン、2人の声が蘇ったその瞬間、ライは弾けるように走り出した。

 

 広々とした室内は既に大きく傾いている。

 降り注ぐ家具やガラス片をスライディングで回避。

 直後、折れた柱が迫る状況を視認したライは、傾いた壁へと退避。そのまま壁を駆け上がり、崩壊するタワーの外をひたすらに目指す。

 

「──ッッ!!」

 

 タワーの外まで、後、10m。

 

 脱出経路を目前にしたライの耳に届いたのは、無常なる神の宣告だった。

 

『我らは分別する』

 

 窓の外に見えるは表情を変えぬ男女の顔。

 ヌース=アレーテイアはライに向け、とどめの攻撃を行おうとした、その瞬間。

 神の書物に、突如として球体の魔方陣が出現した。

 

「捉えました! ロイドさん!!」

「ああ!!」

 

 それは導力杖を構えるティオが形成したものだ。

 導力エネルギーを収束させた爆弾のような魔方陣。

 それに向け、燃え盛る闘志(バーニングハート)を携えたロイドが突撃する。

 

 ──コンビクラフト、Ωストライク2。

 焔を纏うトンファーが陣に触れた瞬間、爆発的なエネルギーの奔流が発生。

 その力を借りたロイドの攻撃が、理を書き換えようとしていた神の行動を阻害した。

 

 これでライの脱出を阻む障害はなくなった。

 

 黒煙が渦巻く上空へと大きく跳び出すライ。

 近くの屋上には、別行動していたランディとエリィ、キーアの3名が見える。

 

「おい、こっちだ!」

 

 屋上の足に立つランディがライへと叫ぶ。

 彼の手に握られているのは縦に構えたハルバード。

 その意図を察したライは、即座にワイヤーをハルバードへと放つ。

 

 固定されるフック。

 ライの身体は、慣性に従って振り子のように上空を飛翔する。

 

「──エニグマ、駆動」

 

 同時に、エリィが駆動していた導力魔法がライへと放たれた。

 付与された魔法は、一時的に体をステルス状態にさせるホロウスフィア。

 ほぼ不可視の状態となったライは、そのまま神の眼前へと躍り出る。

 

 神からして見れば、迎撃は困難な状況だろう。

 取れる手は残されたページ無き本での無作為の攻撃。

 だが、その行動をキーアは許さない。

 

「いくよ、アルコーン!!」

 

 アルコーンから放たれた光の刃が神の本を吹き飛ばす。

 

 ──これで条件は全て整った。

 全ての妨害がなくなり、神の至近距離へと到達したライは、己が頭に召喚器を突きつける。

 

(これで、終わりだ)

 

 ライの心に、膨大な劫火が溢れ出す。

 これは未来に得た1つの可能性。

 いずれライ自身にも芽生えるかも知れない力。

 

 名を──。

 

「──スルト!!」

 

 ライの身体から出現したのは、炎の剣を持ち、黒い体となったヘイムダル。

 否、スルト。

 

 片手ごと燃やす剣を構えたそのペルソナは、神の頭に深々と突き立て、終末の炎(ラグナロク)で神を内側から焼き尽くす。

 

『──ァ──、──…………!!!!』

 

 崩壊し始めるヌース=アレーテイアの神体。

 かくして、神から与えられし試練を、ライ達6人は遂に成し遂げるのであった。

 

 

 

 

 




皇帝:ゼウス
耐性:電撃反射、祝福・呪怨無効、疾風弱点
スキル:真理の雷、奥義一閃、電撃ハイブースタ、ハイパーカウンタ、不屈の闘志
 ギリシャ神話における主神であり、宇宙や天候を司る天空神。混沌とした宇宙に秩序をもたらした神とも言われている。雷霆ケラウノスとアダマスの鎌を武器として有しており、秩序を乱す悪者に正義の鉄槌を下す。


正義:ソロネ
耐性:祝福反射、火炎・疾風無効、呪怨弱点
スキル:アギダイン、ハマオン、炎上率UP、火炎ハイブースタ
 座天使とも呼ばれる階級第3位の天使。物質的な体を持つ最上位の天使でもある。その名は車輪を意味し、唯一神の玉座を運ぶ役目を担っていると言われている。


戦車:ホワイトライダー
耐性:呪怨反射、火炎・祝福無効、氷結弱点
スキル:ゴッドアロー、マハンマオン、マハムドオン、精密射撃、マハスクカジャ
 ヨハネの黙示録に登場する4騎士の1つ。白馬に乗り、王冠を被った姿で1番目に現れるとされている。その手に持つ弓を用いて侵略し、世界の4分の1を支配する権限を持つ。


戦車:オオミツヌ
耐性:物理無効、疾風弱点
スキル:ゴッドハンド、攻撃の心得、不動心、リベリオン
 正式名称を淤美豆奴神(おみづぬのかみ)とする国引きの神。日本の各地に伝承を残すデイダラボッチとも同一視される。スサノオの子孫であり、山よりも巨大なその体を用いて、大地を引き寄せ島を作ったと言われている。


死神:アリス
耐性:呪怨反射、祝福弱点
スキル:死んでくれる? メギドラオン、コンセントレイト、ムド成功率UP、デクンダ
 英語圏では一般的な女性の名前。有名な存在としては不思議な国のアリスや鏡の国のアリスの主人公がいる。不思議な国のアリスでは、赤の女王率いるトランプ兵に追われる事となるが、この度召喚されたアリスはそれとはやや異なるものだ。とある異世界において、2人の悪魔に寵愛された少女の魂が影響している様だが、その詳細は誰も知らない。


星:クー・フーリン
耐性:疾風反射、祝福無効、物理耐性、電撃弱点
スキル:鬼神楽、死亡遊戯、マハタルカジャ、チャージ
 ケルト神話において代表的とも呼べる英雄。本来の名はセタンタだが、クランの番犬を殺してしまい、その代わりとなる事を誓ったためクー・フーリン(クランの猛犬)と呼ばれるようになった。ゲイボルグと呼ばれる槍を始め、いくつもの武具を持ち、影の国に住むスカアハの下で修業を行ったとされる。


女教皇:スカアハ
耐性:氷結反射、呪怨無効
スキル:マハガルダイン、死亡遊戯、攻撃の心得、コーチング
 ケルト神話の1つアルスター物語群に登場する武芸者。予言の力を持つ魔術師でありながら、多種多様の奥義を修めているとされる。なお、空中で正座している姿は、とある悪魔絵師が「武芸者なら正座しているだろう」という発想に基づくものである。


魔術師:ランダ
耐性:物理反射、火炎・呪怨無効、電撃・祝福弱点
スキル:電光石火、血祭り、エイガオン、ヘビーカウンタ
 インドネシアの島に伝わる魔女であり、奇怪な仮面を被った姿で表現される。悪を象徴する存在として、善なる象徴のバロンと終わりなき戦いを続けているらしい。その原点は、シヴァの破壊的側面を象徴する女神ドゥルガーとされている。


皇帝:バロン
耐性:祝福無効、物理・電撃耐性、疾風・呪怨弱点
スキル:ジオダイン、宣戦布告、電撃ガードキル、中気功
 インドネシアの島に伝わる聖獣。獅子の姿をしており、善なる側面としてランダと終わりなき戦いに身を投じる。その逸話から、あらゆる災害を防ぐ力を持つと信じられている。


審判:シヴァ
耐性:電撃反射、氷結・祝福・呪怨無効
スキル:プララヤ、ジオダイン、マハガルダイン、不屈の闘志、魔術の素養、エイガオン、電撃ガードキル、中気功
 ヒンドゥー教における主神の1つ。破壊と再生を司る神でありながら、芸術の神であるともされている。特に破壊神としての要素が強く、額にある第三の瞳から放たれる熱光線は、宇宙すら含めたあらゆるものを焼き尽くす。


死神:スルト
耐性:火炎・祝福無効、電撃弱点→電撃耐性
スキル:ラグナロク、ブレイブザッパー、火炎ブースタ、火炎ハイブースタ、攻撃の心得、電撃耐性、大気功、不屈の闘志
 北欧神話における終末である神々の黄昏(ラグナロク)において、最後に現れるとされる炎の巨人。その手に持つ炎の剣によって全てを焼き尽くし、世界樹ユグドラシルに支えられた9つの世界を海中に沈めると予言されている。


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