メアリー・スーin帝国   作:あぬぐとーる 明う暗う

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「計画」

統一歴1925年1月 ー帝国首都ベルンー

 

 ターニャと彼女が率いる第203航空魔導大隊はレガドニア協商連合と対峙する北方戦線から舞い戻ってきた

 北方戦線を片付けるためのオース・フィヨルド攻略作戦は無事達成、レガドニア協商軍の補給路は絶たれ軍の維持ができなくなった事で帝国軍が首都を含む全域を占領 協商は完全に帝国の支配下と成った

 

 これにて帝国軍は北方戦線から開放されいよいよ共和国とのライン戦線に集中できるようになる

 

 またオース・フィヨルド攻略の後も協商連合艦隊との戦闘に駆り出されたターニャにとっては久しぶりの文明を享受する休息の時間である

 

 そして今、ターニャは何故か貴重な休息時間を眼前の狂信者との会話に費やしている

 

「デグレチャフ少佐殿、203航空魔導大隊の北方戦線でのご活躍、私のいるライン戦線にも届いてきていますよ

何でも獅子奮迅のご活躍だったとか」

 

「メアリー・スー」この狂信者の化物は第203航空魔導大隊に所属するターニャの部下である

しかし参謀本部から与えられた戦域支配級魔道士の称号が示す通りメアリーの単体としての戦闘力は帝国どころかこの世界でぶっちぎりの最強である

その打撃力・衝撃力は戦略兵器に片足を突っ込んでいるんじゃないかとターニャをして思わせるほどである

 そのためメアリーは司令部から203大隊の編成から外され別の部隊の支援に使われることがまま在った

 今回のオースフィヨルド攻略作戦でも第203航空魔導大隊が抜ける穴を埋め合わせるためにメアリー・スーがライン戦線の魔導部隊の支援に回された

 

 しかしメアリー本人は北方戦線で暴れたかったらしく不服そうにしている

それにしても自ら進んで最前線の戦場に行きたいとは自分の部下ながらターニャに取っては全く理解できない思考回路である

 

 「それで要件は何だ?私の休日は有限なんだ、手短にしてくれ」

ターニャははっきり言ってさっさと会話を切り上げたかった、今すぐ自分の部屋に帰ってゆっくりコーヒーを楽しもうと思っていたところなのだ

幸いなことにここは駐屯地の食堂であるためそれほど自室から離れてはいなかった

 

 「そうですデグレチャフ少佐、今日お伺いした理由は九五式演算宝珠のことについてです」

「あのポンコツ宝珠の事か?」

 

 エレニウム九五式… 一際強力な性能を持つ兵装ではあるがターニャからすればろくな思い出がない上に強制的に神への祈りを捧げるという呪いのアイテムでしかない、できれば使いたくない装備である

 

 「はい、この世界で少佐殿と私しか持っていない神器とも言うべき力を持つあの宝珠…

少佐殿と同じく私も九五式は戦力秘匿のためほとんど使用しておりませんが

どうやらライン戦線全体で我々帝国軍は大規模作戦の準備を進めているようです」

 

「半年以内に共和国は滅びます、そして協商と共和国が帝国に吸収されれば間違いなく

連合王国も連邦も合衆国も帝国を滅ぼすために動き出すでしょう

 

「我々は今後帝国の矛として世界との戦いが待っています

 その時九五式を出し惜しみをして死んだら元も子もありません、先週教会で少佐殿が気兼ねなく九五式を使えるように主に祈っていたところどうやら主は私の願いを聞き届けてくれたようです」

 

「少佐殿の九五式はもう強制的な信仰心は植え付けません、祈りの言葉を唱えるだけで使えるはずです

ぜひぜひお役立て下さい」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ターニャは自室でコーヒーを飲みながら先ほどメアリーから言われた事を思い出していた

なぜ九五式の精神汚染について知っているのか?

主とは存在Xのことだろうか?

そもそも精神汚染がなかろうと、存在Xを称えること自体がターニャにとっては自由主義と合理主義を愛する文明人としてのプライドに障るのだからこれまで通り九五式は最終手段として活用するつもりだ

 

「それにしても…」

 

 ターニャは初めて会った時からメアリー・スーが苦手だった

食欲、性欲、物欲、国家やら富やら名声やら愛国心だとか自己実現欲求だとか自己顕示欲だとか人間の行動原理なぞたいていはそんな分かりやすい純粋な原始的欲求に基づいているものだ

だがメアリー・スーは違う

彼女は帝国、祖国を愛しているようだがその本質は愛国心などではない、帝国という神の力を執行するに足る軍事力、帝国という戦争機械を愛しているのだ

なにか嫌な予感がした、戦火が世界を覆い信仰心が世界中で復活するまでメアリー・スーはこの戦争機械を使い潰すつもりなのではないか?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「~♪」

賛美歌の鼻歌を歌いながらその美しい「天使」は人気のない教会を歩いていた

 

彼女は神への信仰心を復活させるためなら平気で国家や社会を滅ぼすために行動できる

最も聖書に書かれた神の記述に近い存在がメアリー・スーという人間だった

 

「~♪」

帝国とその軍事機構は大切な、とても大切な道具だ

聖書で神に滅ぼされたソドムとゴモラの街のように帝国という道具を使って合衆国、連合王国、連邦を破壊し叩きのめし、世界中を戦火と苦しみと絶望で覆い尽くし莫大な信仰を生み出す

それを達成するためならば彼女はどんな努力も惜しまない

 

 

 

 

 

 

 

 




すみません寝不足で書いたので後で加筆修正するかもしれません
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