ガガガガ…ガガ
と正面装甲に弾丸が命中し、数秒後には巨人が爆発炎上する。荷電粒子のエネルギーが逆流し、内部のバッテリーに火が灯り超光熱での燃焼が行われるため、周囲の金属は気化しつつ機体を溶かしていく。
その姿を確認して次の目標へと攻撃を続行していく、ダガー部隊は1個の意思を持っているかのように見事に連携を行いつつ、敵を殲滅していく。
同じ様に赤いザクは後方より長距離狙撃を行っている敵に対して、カウンターを決め撃ちつつエネルギー切れを行って撤退を始めている同じ緑のザクを援護する。
この動きの速度は、連合の機体、ザフトの機体に変わりはないが残念ながらミネルバ所属の機体群は、エネルギー切れが目立っていた。
対してダガーを運用するドミニオン隊は、その機体に似合わず未だにエネルギーを消耗しているように見えず。明らかに内燃機関を搭載していることが解った。
赤いザク…ルナマリアはその光景を見ながら舌打ちをした。
「どうして連合がそんな技術持ってんのよ!」
彼女の目の前には堂々と
コレを報告するべきか、それとも見逃すべきか?そんな事を考えられる程の余裕は無いものの、胸中は複雑な心境であった。
遠くでは、デストロイを仕留め残敵処理を行っている別働隊…、シン達の姿が見える。
だが、勿論のことそちらもそちらで機体出力に明らかな違いが見て取れ、更にどういう事か?陽電子砲以上の火力をMSが運用すると言う信じられないものまで起きている。
そこまでは流石に分かりはしなかったが、このまま戦争をした場合プラントは連合に確実に負けるのでは?と言う感想が出る始末でもあった。
そもそも、デストロイも連合の機体であるしそれと同様に木偶の様に突っ立って迎撃を続ける者達もまた同じ様に、連合の機体であるのだからまるで隔絶した技術がそこにあった。
ルナマリアは別にナチュラルだとかそういったものに対する差別意識は持ってはいないが、無意識の中でナチュラルを見下す彼女もまた何処かにはいた。
だが、それが根底から崩れ去る時現実は突如として襲いかかってきていたのだ。
戦闘が終わった時、生き残っていた普通の人間の部隊が自分たちをさも英雄のように讃えようとも、彼女にとっては実に後味の悪いものばかりであった。
……
「
「寧ろ
それに、私達の機体じゃこれが限界なのよ。」
イライラとしながらも、実際の胸中を妹に投げ掛けるように問いかける。妹は戦闘に直接かかわるわけでは無いからこそ、きちんと教えなければと言う姉としての考えがそこにはあった。
モニターの先に映し出される生存者の数は、絶望的に少ないものであった。本来、ロゴス・ジブリール派の者達はMS数個師団をここ、ベースへと収納していたのだがそれも見る陰もなく尽くが例のアレに成り果てていた。
そんな中で、生存者と言える者達は精々多くても2個中隊。300人程の数が生き残っているだけでも、それは多い方であった。特に核の爆発に巻き込まれても生き残っているのだから、人のしぶとさは、ゴキブリ並みである。
それもコレも運が良かった、まるで
「これで誰もアレにと同じ様な奴等にならないなんて、信じられないわよ。第一、あんな丸見えの中見ないふりしてたって言ったほうがしっくり」
「ザフト赤服のルナマリア・ホーク、休憩時間は終わってんだからさっさとしなさいよっ!!」
姉妹揃ってミネルバの休憩室でそんな話をしていると、後ろから声をかけられる。
ルナマリアとしてはあまり嬉しくない相手だ、何より同年代尚且つナチュラルでありながらコーディネイター並の働きをするパイロットだ。
「はいはい、わかりました。」
「はいは、一回!そんなんじゃ、アスラン・ザラを寝取れないわよ?」
「はあ?誰がいつそんな事いいましたかぁ?」
ルナマリアは実際のところ、アスランを気にしていた。勿論、恋愛対象としても申し分無しと、思っていたのだが…このムカつく相手に言われると妙に否定したくなった。尤も、彼女の深層心理では全く別の人の顔があったのだが…それは本人にも理解されていない。
メイリンからしてみれば、姉がどうしてそんなにそんなにもこの人に当たりを強くするのか解らなかった。
そもそも、最初は警戒して次は無関心にしようとしていた相手が、今度はまるで最初から仲が悪かったですよと言わんばかりの姉の当たりの変わりように首を傾げていた。
「顔に書いてあるのよ、それよりもサッサと行く!!機種転換になるんでしょうが。」
「あっ……、ありがとうございます。」
今回の戦闘の結果、完全に無力化されたクレーター跡に連合とザフトの共同基地が設立されていく。
そんな最中、ミネルバには再び機体を受領する機会となっていた。そして、何とも奇妙な事にザフトの機体に連合から技術提供があるのだと言う…、それへの慣熟訓練だが奇妙過ぎた。
現場の人間としては納得の行かないことばかりであり、あまりにもトントン拍子に進んで行くことに、議長に対する疑念だけでなく、この世界そのものに対する不可解さは増す一方で、アルスターの娘が言う事を内心信じ始める者達がで始めていた。
それでもやらねばならないことは山積みで渋々と礼を言うと、ルナマリアはサッサと走り去っていく。
それを後ろに見ながら、その人はハァと溜息を吐いてメイリンの方へと向き直る。
「アンタのお姉ちゃん、本音と建前で生きてるんじゃない?もっと羽伸ばさせたほうが良いわよ?自分の感情に素直じゃないから。
特に…、あの朴念仁のアホ野郎をカガリから寝取ろうだなんて、今よりも遥かにストレートな人間にならなきゃ無理よ。」
「あ…、ええとそうなんですか?」
目の前の姉とはまた違った赤髪の少女は、そんな忠告をする。ただ、メイリンにもそんな事は分からないから、何とも答えようが無かった。
ただ、一つ引っかかったところがある。どうして、妹である自分ですら知らない事をこの人が知っているのか?
そもそも、ブリッジに上がる時もそうだ。
確かに艦内各所に誘導標識はあるものの、それでも彼女はそんなもの見ずに平然とそこに辿り着いた。
何より、恐ろしいのは自分よりも早く到着した事だろう。まるで迷いなく、勝手知ったるものであるかのように…。
『サイコメトリーって本当にあるのかな?』
内心そう思う、だが決して言葉には出さない。何故なら自分が、まるでオカルトが好きなんじゃないかと誤解されたくないからだ。
「なによ?人を超能力者みたいに…、そんな事よりも貴女にはやってほしい事があるのよ。特に、艦長命令もあるみたいだしね。」
「艦長命令…?」
そんな物は初耳だ。そう思った時、艦内放送が流れた。
「メイリン・ホーク至急艦長室へと出頭せよ。
繰り返す、メイリン・ホーク艦長室へと出頭せよ。」
ええ?と驚いた顔をしながら、再び彼女の方を向いた時既に彼女はその場を後にしていた…。
仕方なく、メイリンは艦長室へと歩みを進めた。
到着するとミネルバ艦長であるタリアがその場に座りながら、彼女を待っていた。
「ごめんなさいね、休憩中艦内放送なんかで呼び出しちゃって。」
「いえ大丈夫です。それよりも、艦長命令って何ですか?」
メイリンはそう聞いてしまった。勿論、話す内容等知りようもない、にも関わらずそんなものを聞いてしまったのだからタリアの顔は少し険しくなる。
「それは誰に聞いたのかしら?私は誰にも貴女に命令をするなんて言ってないのだけれど?」
「え?あっ!すいません、その…フレイ…さんに。」
その名を口にすると今度は頭を悩ましげに片手を当て暫くするとそれを下ろし、机の上で手を組みながら、真剣な眼差してメイリンを見据えた。
「まあ良いわ、貴女に命令…というかお願いがあるの。勿論、貴女には拒否権はあるし、何より大切なクルーと私が思っているからこそ貴女に決定権があると思っている。
率直に言えば、貴女にはミネルバを降りてドミニオンへと移って欲しいのよ。」
「……?は、え?どうしてですか!」
それはメイリンには想像もつかないことであった。
相手は穏健派とは言えブルーコスモスの艦艇である。MSパイロットで、格闘成績も優秀なレイならばともかく、コーディネイターとして並の運動神経しか持たない彼女にとって、それは死刑宣告にも等しい。
そもそも、彼女は
「さあ?私にも理由は分からないわ。ただ、派遣しろというのは上からの命令よ?」
「そんなぁ…。」
戦闘後徐々に薄れゆくM粒子の影響により、ジブラルタルとの通信が回復した事によって方向を済ますと、議長からの直々の命令が来たのだ。
議長の本音を言えば、自らの手元から爆弾を手放してしまおうと言うも画策である。
彼女がハッキングを行っていることは、議長の耳にも入ってしまった故に、これ以上腹を探られる事を嫌った故に。
若干涙を瞳に携えがら、艦長の同情を買おうと必死の抵抗を試みる。
「ま、悪い相手ではない筈よ?でなければ、私達は確実にドサクサに紛れて撃沈されていたでしょうから。」
やろうとすれば護衛の少ないミネルバだ、刺し違えてでもなんとかなる。
特に、騙す気があるのなら基地周辺に到着した時に既に手遅れというものだからだ。
そしてこれに、メイリンは拒否権と言うものは存在しなかった。
……
パシャパシャと言うフラッシュが焚かれる中、大西洋連邦大統領であるコープランドとデュランダルが硬く手を握り合う。
いつの間にやらちゃっかりと、閣僚の椅子に座っているアズラエルは、裏の人間と言うよりも表の人間としての広い顔を使って周囲を纏め上げ、神輿を担いだ。
これにより、正式に連合とプラントとの今時戦争の停戦となった訳であるが、戦いは未だ終わりを告げてはいなかった。
アズラエルの情報網によって導き出された、未だに残るロゴス、そして地上を離れ月面へと逃げ延びた筈の者達。彼等を打倒すべく、再び刃を手に戦場を宇宙へと変えての戦争が続くのだ。
これに際し、プラントとの公式の停戦となり連合と締結された条約を履行したと言うことで、オーブは再び独立した中立を宣言する。各国が各々の動きを始めようとしながらも、打倒ジブリールを合言葉に部隊の再編成が始まろうとしていた。
「オーブとしては、今回のこのジブリールに対して今時大戦の否を認めるとともに、各国に対する罪を償う為にも法廷への出頭を打診する!
従って先ずは、月面に存在するジブリールに従う者達に対して降伏勧告を行うのが望ましい!と提案する。」
プラントを交えた、国際的な会議が開かれる事と相成りたった一つの敵に対して、人類はやっと一致団結したと言えよう。
ただ、問題がなかった訳では無い。
現状、月面に存在する艦隊のうちその多くがジブリール派に属しており、過激な思想の持ち主達故に投降するとは考え難い。
そうなった場合、地球軍が持ち得る宇宙艦隊はL1に存在する僅かな部隊のみとなってしまうため、実質ザフト主導の戦闘をしなければならなかった。
連合には人員はいるが、それが乗る為の箱がなかった。
そこで諸手を挙げたのは、他でもないアズラエルであった。
「艦隊ならばありますよ?戦争の長期化を見据えて、用意しておきましたから…。勿論、お代は頂きますが格安にしておきますよ?」
それは南米で堂々と大胆に進められてきたプロジェクト。大き過ぎて寧ろ眉唾物だと言われていたもの。
アマゾンの地下空洞を利用した、巨大工場群の事であるが、そこには世界の数カ所に建造されたマスドライバーよりも遥かに多くの打ち上げ施設も存在した。
そして、月面で建造される1年間に相当する艦艇を遥かに上回る数が、この時地下に存在しそれはたった4ヶ月の間に建造された。
そして、プラントと連合双方の使節団は確かにこの時心を一つにしていた。
この
だが、彼等は知らない。彼が建設したそこには、元々遥かに巨大な施設が存在し、彼はただそれを再使用可能な段階まで、復元したに過ぎないのだということを。
誤字、感想、評価等よろしくお願いします。
戦闘描写が苦手なら、戦闘描写を書かなきゃいいんですね…。