機動戦士ガンダム Red Fractal   作:丸亀導師

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戦闘描写の描き方が絶妙に下手なんだよなぁ


第40話

避難民達がその地下施設の中央大広場に到着すると、一人の少女がそこに立っていた。

赤い髪をしながら、凛々しく堂々とした立ち姿。その服装は何処となく古代ローマのトガのように見えなくもない。

決して難民には見えないが、この時の彼らにとってはそんな些細な事どうでも良かった。

驚きつつも声を掛ける。

 

「君もここに避難してきたのか?」

 

すると、ソレに対するは待っていたかのように口を開く。

 

「私は待っていました。ここに貴方方が来るのを、そしてもう少しで人が揃うでしょう。ソレまでここでまだ待つのです。」

 

何を言っているのか、ふざけているのか分からなかったが、この時の彼等にとってそんな事気にする程でもなかった。

 

「そうだね、じゃあ一緒に救助が来るのを待とう。」

 

そう思うようにした。同じ様に、避難してきて気が動転しているのだろうと、そう考える事にした。

にしては、余りにも落ち着いてはいるがソレは別に気にならない。

 

と、それから暫くすると天井の方から

 

ドドーン、ガリガリガリ

 

と何やら大きなものが地面に激突したような音が聞こえる。

ソレに心配しながらも、避難民達は肩を寄せ合いながら子供達を護るように、周囲を警戒していた。

 

ただ、ソレを見守る少女の顔は何処か微笑ましい物を観ているような、そんな風にも見えた。

 

「ここに向かってくるのですね?やっとお会い出来ます。あの方と…」

 

「ねぇ、お姉さんはここで何してたの?」

 

純粋に子供達に声をかけられた。

 

「私はただ、待っているのです。人々の帰りを、その使命を全うできるその時を…。」

 

そんな話をしている間に、避難民達が来た方角の高所に何やら光が幾つか動いている様に見える。

大人達と幾人かの子供達はソレに怯えたものの、ナチュラルの子供達はソレに対して帯びることもなく寧ろ喜んでいた。

 

 

 

マーチン・ダコスタは己の部下達とラクスと共に、下層へと降り立った。

そんな彼を待っていたのは、異様な光景と言わざるを得ない場所であった。

 

「街の下の街とか…悪い夢でも見ているみたいだな。」

 

誰かが私語を言う、本来であればソレを叱咤する立場であるはずの彼も、胸中は同じでありその光景に薄ら寒い物を感じていた。

そんな光景を尻目に、ラクスが手に持つその欠片に導かれるようにここへと足を踏み入れた。

 

正直に言えば、余りにも胡散臭い。宗教的な意味合いの強い物に、一度は彼女に対して頭を抱えたくなる事もあったが、その言葉を信じてここに来たことは間違っていなかったと、そう思える程度には経験としては良かったと、個人的に思っていた。

 

そんな彼を他所に、ラクスは手にしているソレがまだ自分達を導いている事を確信し、その導く先へと皆を連れて進んで行った。

暫くその通りに進んで行くと、見知らぬ人々がそこに集結していた。

 

「君達は、僕等を探しに来てくれたのか?」

 

代表である男が恐る恐ると言った具合で尋ねる。

ソレを聞いたラクスとその仲間は、彼等が外の状況をあまり理解できていないのだろう事が、分かってしまった。

だからこそ、嘘を付くと言う選択肢もそこにはあった。

 

「いいえ、私たちは貴方方を救助しに来たのではありません。コレの導かれるまま、ここに来たのです。」

 

ラクスがそう言うと、大人達は落胆の表情をする。申し訳ない気持ちもあるが、それでも今は急がなければならないと、そう思いながら彼女はその広場で一人の少女を見つけた…。

 

彼女は目を丸くして、その少女をマジマジと見つめる。

似ている、いやそっくりというレベルではない。もはや、全く本人と言っても良い。

 

「フレイ…様…?」

 

フレイ・アルスターがそこにいた。だが、同時に彼女がそこにいるのはおかしなことである。

彼女は今戦っているはずだ。

勝てないことを知っている、原因もその理由も何もかもを知っているにも関わらず、時間を稼ぐ為に戦っているのだ。

そんな彼女が、こんな場所にいるわけがなかった。

 

「貴女は…誰ですか?」

 

自然と口から出た言葉はソレであった。あまりにも分からない、どうしてそんな姿をしているのか、誰の了承を得てその姿をしているのか?久し振りに頭に血が登っている。

 

「お待ちしていました。ラクス・クラインさん。予言の通り、貴女はここに来た。私の子孫が、勘を頼りに貴女を私の元へと導くと。」

 

予言?何を言っているのか、人が未来を予知出来るなどと…あまりにも傲慢な事である。

 

「大丈夫です。皆さんも怯えなくても大丈夫ですよ?私は、今この時のために存在しているのですから。」

 

少女がそう口を開くと、

 

パンッ

 

という音が響く。

 

何気ない音であったが、その瞬間世界は全く別の景色へと移り変わり、そこでは映像が幾重も映し出されていた。

虚空の中にある映像には、様々なMSが存在し幾つもの争いの歴史が流れていく。

 

それを子供達は理解すること無く、ただ格好の良いものとして捉えている。

だが、大人である者達にとってその映像は惨たらしいものでしか無い。

 

避難民の人々にとってその光景はあまりにも生々しく、嗚咽を抑える者もいる。

 

(全て)を受け入れる覚悟がある者だけが、前に進み出てください。それ以外の人は、ここに留まりなさい。」

 

フレイの姿をした少女がそっくりな声色で言うのを、ラクスは意を決して前へと進み出る。

そして、彼女のその意思を汲み取ったのか少女とラクスだけが、その場から姿を消した。

残された人々は呆然としながらも、自分達が今何処にいるのかと辺りを見回す。

 

自分達がいつの間にやら建物の中にいる事に気が付くと、直ぐに出口へと駆ける。

構造は単純なもので、普通の建物のようであったが外観を見上げると、そこは半球ドームのような白い建物のある大きな空間であった。

 

「なんなんだよいったい…。」

 

誰もが状況に流され、把握することも出来ない。

ただ、ラクスだけがその場から忽然と姿を消しているという事実だけが、そこに残っていた。

 

 

……

 

青き天使は宇宙を駆ける。その姿は実に優美なものであったが、その実焦りが見えた。赤色灯が灯り、アラートが鳴り響く。

身体に鞭打つ様に機体を加速させ、宇宙を駆け抜ける。それを追うように、灰色の機体は苦も無く後方に着いてくる。

 

重苦しい負荷が肉体を締め付ける。呼吸も絶え絶えになりながら、キラはフットペダルを最大まで踏み込んでいる。

目の前には月の地表が見えている。

月の重力に身を任せながら更に加速し、一気にレバーを引くとフリーダムはその推進力のありったけを使用して、体勢を立て直す。

 

そのまま脚部から着地すると横っ跳びに回避する。

その瞬間真上からビームが降り、着地地点を正確に狙っていた。

そしてそこから誤差を修正するように、次々に着弾するビームの帯。

 

フリーダムは反撃に、お返しとばかりにバラエーナを展開、ライフルと共にたった一機に対して、フルバーストを放つ。

 

フリーダムが反撃をする間にを縫うように、敵は悠々と月面に着地した。

キラの機体は既に幾つかの部品が飛んでいる。

後部のバラエーナーに取り付けられていた幾つかのドラグーンは既に存在せず、機体の挙動を助ける為の羽もその幾つかは破損している。

 

対するシナンジュの姿はまるでフリーダムを相手にしていないかのように、ケロリとしていた。

かすり傷一つ無く、その一回り大きな躯体は威圧感強く仁王立ちしている。

 

攻撃も回避も最小限、だが彼にとってそんな事はどうでも良い。寧ろ聞きたいことがあるとすれば、癖のようなものが感じられている事だった。

 

「この既視感は…なんだ?」

 

自分の動きというものを意識をして客観的に見たことはあまりなく、その為にその動作一つ一つの癖が自分のそれと同じである等とは、キラは夢にも思っていない。

 

フリーダムとは別の場所、別の地点に着地したジャスティスはその機体の駆動を限界まで酷使していた。

戦闘者としての才能としてみれば、キラのそれよりも遥かにある彼にとって目の前の敵には腹を立てるには充分であった。

 

アスランに言わせれば、彼以上にキラと戦った事のある人間などこの世にはいないのだから。

 

射撃精度、反撃に対する反撃。避ける時の回避先から何から何まで、ソレはそっくりであった。

 

「こんな事が許されて良いのか!こんな、こんな事が!!」

 

アスランは、気が付いてしまった。その聡明な頭脳が導き出したのは、目の前のシナンジュと言う機体に搭乗しているものがキラのコピーである。と言うことに。

そもそも、キラと言う人間をコピーするとして、敵にはその様な時間など有る筈もないのだが、アスランは断言できてしまった。

 

それぞれがそれぞれの相手をしていながらも、その敵に対する認識はまるで違ったものである。

それがその勝敗に直接関与するのか?と言われればそうではないのだろうが、それでも認識の差から来る心の余裕は機体の被弾数として如実に現れる。

 

そもそも、機体反応速度はサイコフレームによるダイレクトな脳波の受信による、一切の遅延なき動作と量子通信によるバイオセンサーの速度は、どちらが速いのか…。

量子通信とて、通信速度は有限である。

無限に速度を上げるには、時間軸と言う絶対者が存在する。

 

サイコフレームはそれを実現してしまっていた。

そこから来るタイムラグは、実際に機体性能に反映された。

 

キラの癖を知って、その対策を行っているアスランとは違いキラは己自身との戦いに不慣れであった。

キラは分が悪い戦いを強いられている。特に機体の特性も災いしているのだからどうしようもない。

 

唯一戦闘経験だけが、彼を死から救う手立てを彼に示す。

そして、いざという時の度胸と言うものは、それこそ生きてきた環境によって醸造される。つまり、それこそがキラとコピーの違い。

 

白兵戦、それも至近での剣戟のみが打開策であった。

 

CPに支配されたコピー品には効率的な戦い方を行うという性質が有る。

確かにキラと言う人間の戦い方は、かなり効率的なところがあった。

だが、そんな中で合理を捨てるという選択肢を、コピーが可能かと言われれば育てられた環境が違ったか。

 

至近戦闘をコピーは嫌う、ソレは効率的ではないから。

 

キラもアスランも至近戦は得意であった。

 

 

 

 

それぞれの戦闘が月面で行われている中、月軌道上での戦闘も中盤を迎えていた。

フレイの先制攻撃がバンシィのIフィールドにより防がれた事によって、攻守の主導権争いが始まった。

 

この互いにサイコフレームを使用した機体である。

本来、サイコフレームはニュータイプの脳波を増幅し、それを機体にダイレクトに反映するものである。

それが、オールドタイプであるキラのコピー品を強化人間として、脳幹だけにしたとして機能を完全に発揮出来るかは未知数である。

 

対して純粋なNTであるフレイにとって、サイコフレームの起動は当たり前であり、寧ろそのアドバンテージから反応速度はサイコフレームの数に関わり概ね互角であった。

ただ、機体性能と言う部分では月と鼈程に溝を開けられている。

 

それでも戦えるのは、機体性能を発揮出来るか出来ないかの差でしか無い。

 

宇宙に浮かぶ塵、未だに浮かぶスペースデブリの中を掻い潜りながらそれぞれの機体が宇宙を駆ける。

一瞬の判断の遅れが生命取りとなる中で、デブリを巧みに使うフレイとそれを鋭角的に追うバンシィとでは、動きがまるで違った。

 

それでも、逆転の一手を引き出す為にデブリを蹴って己にかかるGを根性で耐えながら、フレイは機体を反転させサーベルを抜き放つとバンシィもサーベルを抜き、激突する。

 

バチバチバチ

 

とIフィールド同士の激突により、稲妻が宇宙を駆ける。

速度を相殺する為に互いにクルクルと機体を振り回す。

それが、止まっても尚互いにサーベルを敵に当てようと、押し合うのだ。

 

「どうして…なんで!そんな可哀想な物を作るの!!」

 

『ソレは君等とて同じ事、ならば同じ過ちを繰り返さぬようOTは殲滅するのが道理である。』

 

話す余裕等有るのか、それとも互いに話をしたいのか?だったら何故戦いを辞められないのか…。

ソレは、戦いを必要としないNTの在り方とはまるで違うものである。にも関わらず、ネオはOT殲滅を謳う。

 

その背中にMk3から切り離された腰部のスラスターが、意思を持つように飛ぶとバンシィにビームを撃つ…が、残念な事に一機はバンシィを狙うもののもう一機は、それを護るようにビームを相殺する。

 

ユニコーンタイプに対して無線式のサイコミュ兵器は無意味な代物、寧ろ奪われる可能性しか無い。

機体がその機能を奪われていないのが、奇跡のようなものだ。

 

奇跡のようなものであったが、ソレは当然ともいえる結果ではあった。

フレイは感じていた、彼女を支える暖かな父のその意思を。

 

 

 

3機がその様に戦いを進める中、コペルニクス内で戦闘を行っているシンは奇妙な敵の挙動に…いや、敵の動きのない動きに四苦八苦していた。

 

どんなにライフルを撃とうとも、目に見えないIフィールドによって阻まれる。

近づこうとすれば、一瞬で姿を消したと思えば遠方に姿を現す。

遊ばれている…そう思うには充分なものだった。

 

ソレに、周囲の機体は殆どが決められた場所から盾をガンとして突き立て、動こうともしない。

まるで幾つか有るシェルターを護るように…コレではどちらが侵略者であろうか?

 

「なんなんだよコイツ等!!」

 

戦いをしない敵に、戦いようのない戦いが彼を苦しめた。

 

 

アークエンジェル等の艦隊は、対空武装を潰されながらもコペルニクスにようやく到達するであろうと思われる場所まで近づいていたが、何かがそれを阻んだ。

幾ら進もうとしても、何かの力によって船体が前に進まなくなった。

 

まるで何かに掴まれたかのように、上にも下にも行くことが出来ない。

その間にも、MSには損害が出ている。

焦っても仕方がないと、そう思いながらもそんな光景にそれぞれが歯痒い思いをしていた。

 

 

ムウ等はそんな事になっているとは分からないまま、与えられた敵に足止めされていた。

シャッコーは従来の機体よりも小さく、被弾面積は少ない。それどころか全ての機体が大規模な攻撃能力を持たないが為に、その手にしたビームシールドを貫くことは出来ない。

 

ドラグーンでの攻撃も、その隙間を縫うように動き当たらない。全員が焦りもないが、翻弄されている事を実感していた。

 

 

 




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