なんとなく、ミラのクレイトンって檜山 修之さんの声のイメージがあるんですよね。
そして今回の話は、ちょっと文字数多いですね。気分で書いていると一話完結でまとめるのにも、必要な文字数がまちまちです。
ジャジャジャーン ♪ ジャッジャッジャッジャーン♪
と、脳内で今のノリを音にして響かせ、テンションをさらに上げる我、トゥルである!
『不死刑場』で“波紋”(この作品では誤字にあらず)のフェルキンを倒し、ついでに“刑吏のチャリオット”を倒した我とリーシュさんの二人は、再び攻略をするために『狩猟の森』まで戻ってきていた。
一応、『不死刑場』で“小さな”グレネインから銀のタリスマンを大量に買い込んでいるから脳筋だが周囲の物に「擬態」することも可能になった。
リーシュさんと二人で99個ずつ持っているので、今度コンちゃんに会うときに使って驚かせてやろう♪
たぶん、持っていることを忘れて普通に「おいっす!」みたいなノリでのたくた登場することになるだろうけど。
そして我ら二人は『狩猟の森』のボス“スケルトンの王”を倒すべく攻略を開始しようと思っていたのだが……。
「なぁ、リーシュさん。我らは今何をしているのだろうか?」
「決まっていますわ。料理対決です!」
料理対決をしていた。
「へっへっへっ、このミラのクレイトン様を前にして余所見とはいい度胸じゃねぇか。
俺とテメェの料理対決は調理時間は6時間しかないんだ。
油断してる暇はねぇぜ!」
篝火の炎を使い、鍋を振りながら料理をまた一品追加してきたのは“ミラの”クレイトン。
ゲームでの設定は、“親切な”ペイトに騙されて『狩猟の森』の牢屋に閉じ込められていた快楽殺人鬼。
周回プレイをしていればペイト同様に出会って早々に殺されまくりの騎士だ。
まぁ、我は最後まで生かしておいてペイトと殺し合わせる方が面白いから好きだがな♪
そんな彼の閉じ込められていた牢屋には篝火があり、チェックポイントとして
そこからは、もう本当に何がどうなったのか、我が篝火での休憩時間を利用してトイレに行っている間にリーシュさんとクレイトンは口論を起こして料理対決となったわけだ。
本当にどうしてこうなったのだか。
「トゥルさん、トゥルさん!
クレイトンさんは自分のことを“天災”料理人と名乗っていたのです。
わたくしの愛しいトゥルさんよりも優れた男性なんて居ない事を証明するためにも、料理対決で勝利してくださいお願いします!」
「そういうことだ、トゥルとやら。
俺は天の道を往き、全てを司る男。
料理においても頂点を極めるのだ!」
そしてさらにもう一品完成させたクレイトン。
どうやら満漢全席でも作るようだ。
両手にそれぞれ鍋とフライパンを持ち、片足立ちの姿勢で、空いたもう片方の足で天を駆ける竜の如き派手な氷彫刻まで彫っている。
……たった一つしかない篝火を独り占めして。
「ハッハー! 篝火を俺が取った時点でこの勝負は決まったようなもんだぜ!
テメェも料理がしたければ他の篝火を探してくるんだなぁ、ヒャーッハッハッハッハッ♪」
「ぐぬぬ……」
しかし奴の言うとおり、我は呪術が使えないので火を使うことが出来ない。パーフェクト脳筋たる我は、時としてこのような苦悩も少なからずあるのだ。
たいまつに火をつけることは出来るが、どう考えても火力不足であり、篝火の持つエスト瓶のような回復効果を料理に付加できない以上、ただの火では勝ち目は無い。
我は打開策を見出せないまま、適当に持ち合わせの野菜を食べやすく切るだけで、調理方法はやはり思いつかない。
「トゥルさん、あなたは確かに呪術による炎を使えないかもしれませんし、篝火が使えない以上、焼く、煮る、蒸す、炒めるといった調理方法が普通ならば使えないように思われます。
しかし! 手はあるのです! 普通ではない方法ならば」
リーシュさんが取り出したのは偶像の聖鈴。奇跡の触媒だ。
それを見た我は頷く。
「「火が使えないなら雷で料理すればいい!」」
我は鍋を手に持ち、リーシュさんが雷を放つ。電熱調理だ!!
金属製の鍋は電気をよく通すが、そこは気合で耐える。雷晶石の指輪の装備も考えたが、指輪を付けた料理人の料理など、食べる人からすれば反吐が出るだろう。
我はそんなことはしない。裸の上半身から汗を迸らせながら、気合で雷に耐えながら鍋を暖めていく。
歴史上、電気ビリビリで倒された奴は居ないと言うしな。いかにリーシュさんの雷と言えど、我の気合を突破することは出来ん!
「ふんぬらばッ!」
鍋が十分に熱されたら卵を割りいれ、ある程度固まるとボールに戻す。そして次に野菜を炒め、ある程度しんなりしてきたらライスも投下。
このライスには炊く時に、油と各種秘伝の調味料を混ぜ入れているため炒めやすさ増し増しだ。
さらに先ほど炒めた卵も再度投入し、塩コショウで最後に味を調えれば完成。
うむ、流石は我のアイテムボックスだ。PS3経由でダクソ2の世界に来たため、『skyrim』のセーブデータと同機しているから野菜や肉も好きなだけ使える。
と、ここで調理時間は終了の合図を告げる。出来れば汁物を一品付けたかったが、それは粉末スープで代用するか。
「くっ……、まさか奇跡の力で料理を完成させるとはな!
だが、俺の作った品数、故郷ミラで磨いた料理のワザマエは殺人級の美味さだぞ!」
……? もしかして快楽殺人鬼と呼ばれるクレイトンって、ただ料理上手なだけの人なのか?
実際、クレイトンの料理は美しく、見ているだけで涎が滴るほどだ。
と、お互いの料理を見たところで、我はあることに思い至った。
料理対決をするのはいいが、審判は誰がするのか、と。
「ハッハー! 俺のように、あまりに料理上手過ぎて食べた人間を幸福の余韻で廃人にして国を傾けた天災料理人の料理だ!
審判をするのはこのエリアのボス“スケルトンの王”さ!」
「ドーモ、スケルトンの王その一です」
「ドーモ、スケルトンの王その二です」
「ドーモ、スケルトンの王その燦です」
ん? 三番目の王様だけ少し違うような。
我の疑問に気づいた王様たちはすぐに答えてくれた。
「三番目は“燦然と輝く太陽のように育て”という意味で名づけられたのです」
「ちなみに私達は三つ子の兄弟です」
「兄さんたちは生まれた順番で、長男と次男なので“一”と“二”になりました」
なるほど、適当な名づけ方だ。
さらに聞いてみると彼らの父親は太古のこの地を治めていた“墓王”ニトなのだとか。
知り合いの黄色い呪術師から頼まれて面倒を見ていた半竜の少女と結婚して出来たのがこの三人の王様。
生まれたときから骨だけだったらしく、おなかの中にいる時は三つ子だと思わなかったから三男の名前しか考えていなかったという。
……あのニト爺さん、ちゃっかり前作のその後で子作りしてるとか、老いてなお盛んとはこのことだな。
「トゥルさん、トゥルさん♪
わたくし達も子作りはどうですか? ほら、わたくしは敬虔な神の信徒なので処女ですが結婚するとなれば改宗するのも問題ないですし♪」
「いやいやいや、今は料理対決の最中だから。
そういうのは後にしてくれ。
というか結婚式も挙げていないのに婚前交渉など認められん!」
酒と女と金、この三つは危険極まりなく、特に女性関係は気をつけている。
コンちゃんなどは、現実世界では恋人を何人も侍らせているが我にはとても出来ない。
とりあえず、お互いに料理が出来たことだし、わいわいと楽しく食べるとするか。
審判こそ“スケルトンの王”たちだが、量が多いので我らも一緒になって食べる事が出来る。
「お、クレイトンの作ったハンバーグ美味いな♪」
「そうだろう? ミラでも有名なクレイトン流ハンバーグと言えばデミグラスソースやオーロラソースが一般的かもしれないが、なんかポン酢の気分だったからな。
今日は豆腐も混ぜた豆腐ハンバーグで和風おろしポン酢で仕上げてみたんだ。
ちなみに、ミラでは俺の名が付いた料理はか~な~り、多いぞ!」
「舌の上でシャッキリポンと、ハンバーグと大根おろしの美味しさが相乗効果ですわ♪
……ポン酢だけに(ボソッ)」
言うだけあってクレイトンの料理は美味かった。うん、美味い。
この料理に対して“スケルトンの王”たちの判定はと言えば……。
「ポン酢のポンってどういう意味か知ってる?」
「まぁ、それはおいといて普通に美味しい」
「10点満点で100点を付けよう」
とまぁ、こんな感じだった。
「ハッハー! これで俺の料理の腕前は理解できたんじゃねぇーのかぁー!?
ミラのクレイトン様に料理で勝てるだなんてちょっとでも考えていたのなら、それは大馬鹿者だぜ!」
「フッ、確かにこのハンバーグは美味い。
だが、世界じゃ~二番目だな。我の次だ」
我の言葉に敵意を隠そうともせずににらみ付けてくるクレイトン。
こいつにも料理人としての矜持なりあるのだろうが、我はそれすらも上回る最強の料理人なのだからな。
インド人は料理も上手いというという世界の常識を知らないのだろう。
「やぁやぁやぁ、遠からん者は音に聞け! 近くば寄って目にも見よ!
活目せよ! これが我の料理だ!」
皿に盛り付けた料理を全員のテーブルに配り終え、蓋を取る。
これこそ、我が作りし究極の一品! チャーハンだ!
おまけでクノールの粉末スープが付く。ライスのおかわりも自由なのである。
「半径6300キロのエメラルドスプラッシュ、これこそが我が究極のチャーハン!
さぁ、判定は!?」
パクリ
「レタスでエメラルドスプラッシュを再現したのはレベルが高い」
「うおォん! チャーハンをおかずにご飯を食う! ご飯とチャーハンの相性は実際凄い!」
「てか、それって普通にチャーハンライスじゃね? 10点満点で120点を付けてあげるよ」
各々が感想を言い合う“スケルトンの王”。そしてあまりの我のチャーハンの美味さに連中は爆発四散!
「待て待て待てぇー!
たかがチャーハンが、この俺の和風おろしハンバーグよりも上だとぉー!?」
「文句があるのならば食え、そして味わうがいい」
クレイトンは、審判が成仏したことでプライドを傷つけられたやりようのない怒りを隠そうともしていない。
だが、奴とて料理人。ならば、我の料理を食えば分かるはずだ。
「……うめぇ」
カツーンと、レンゲがクレイトンの手から滑り落ちて地面にぶつかる。
あまりの美味さに先ほどまでの怒声は何処へやら。しばらく恍惚とした表情を兜の下に浮かべていたが、その後は狂ったように食い始めた。
「トゥルさん、これは一体……?」
「ふふん、リーシュさん。これは環境を活かした料理だ。
奴は確かに腕の良い料理人なのだろうが、料理を食べる環境ということを意識していなかったのだよ」
我らが料理対決をしていたのは『狩猟の森』のボス部屋だ。
ここは洞窟になっており、さらに入り口前には滝が流れている。マイナスイオン発生しまくりで少し肌寒いくらいの涼やかな場所だ。
この場所で料理勝負をするのなら、誰だって温かい料理をハフハフ言いながら食べたいだろう? 我だってそうだ。
だからこその熱々のチャーハンだ!
おまけとしてクノールのカップスープまで付けたのだ。クノールのカップスープは実際美味い! チャーハンを食べる時はこのスープが欠かせないくらいに美味い!
やはりカップスープといえばクノールだな。
他のメーカーが不味いという訳ではないが、とにかく美味く、そしてなによりチャーハンとの相性が抜群に優れている!
この勝負、料理人としての腕だけなら我とクレイトンは互角だったかもしれないが、こういう気配りが出来てこそ料理人は初めて料理人となりえるのだ。
料理を作るだけが料理人じゃない。食べる側と作る側、両方の目線で最大限「食事を楽しむ」ことに重点を置かねば一人よがりの腕自慢になってしまう。
料理は小手先で競うものなどでは断じてない。
我の料理で奴が――この腕はいいが慢心した自信家が、料理の本質を思い出してくれれば良いのだが……。
「ふぅー……、ご馳走様でした」
クレイトン、完食。
皿はピカピカ、スープもライスもお代わりまでしている。
「どうよ、クレイトン。
食い終わって改めて聞くが、成仏した“スケルトンの王”の審判に異論はあるか?」
「……ねぇよ。完敗だ。
俺は料理人として一番大事なことを忘れていたようだな」
クレイトンはミラの国で料理を提供した客たちを、ほっぺたを落っことし殺しまくった(死んでいない)ことで多くの金持ちから勧誘合戦を受けて国を出奔した男。
それだけの料理の腕を自由に振るえる場所を探して遠い異国のこのドラングレイグに来たようだが、来た意味は見つかったようだな。
「礼を言わせてくれ。料理人トゥル。
俺はお前のおかげで大切なものを思い出した。
これから先、この地で協力が必要なことがあったら言ってくれ。
俺はお前の剣としてどんな敵でも倒してやるぜ!」
「ああ、我も仏教の教えを広めることが出来て良かったさ。
この先の旅路でも、お前の召還サインがあれば呼ばせてもらうさ」
こうして『狩猟の森』を攻略した我らはドラングレイグでの旅を続けるのだった。
はてさて、クレイトンがここまで心根の熱い男だったことで、ラスボスのデュナしゃんはどのようになっているのだろうか?
我の腕に自分の両手を絡ませるように張り付いてくるリーシュさんのぬくもりを感じつつ、次に目指すのは『溜まり谷』。
毒沼や毒霧、さらには毒壷に毒虫もいるが、リーシュさんがいれば毒対策は大丈夫だろう。
「……ところでリーシュさん。我の腕に、君のおっぱいが当たっているような気が?」
「当ててるんです♪」
むにゅむにゅ。腕を組んで楽しさ百倍、元気一千倍である♪
~後書き~
「燦」は「太陽」の「SUN」じゃきん。
……私の普段の話し言葉は瀬戸よりも備後寄りなので「じゃけん」とか「じゃけぇ」の方を使いますが、漫画『瀬戸の花嫁』は最高に面白い♪
ちなみにトゥルの声はニャンちゅうの声を演じる津久井 教生さんのイメージだったりします。
たまにセリフによっては一部、玄田 哲章さんで脳内再生されることもありますが、其の辺は読み手の好みでしょうね。実際どうでしょう?
インドといえばカレーですが、カレー以外も作れてこそ一流の料理人。
さて、クレイトンの今後の出番ですが……、本人が格好良く登場したとして、それが周りから見て格好良いかどうか……。それは見る人によるでしょうね。
アニポケで言うところの、サトシの序盤ゲットの鳥ポケモンみたいな扱いでしょうか。