トゥル・トゥル・ダクソ   作:ヨイヤサ・リングマスター

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 前書き:ゲームしていてコントローラーを床に置いたらうっかりLRボタンを押してしまってNPCを攻撃ってのはよくあると思います。今回はそんな感じで始まるお話。

 ボスやその後のイベントが薄いかもですね。
 それよりも前半部分を優先させたかったので♪

 


第16話:蜘蛛退治はしない。何故なら混沌信者だから!

 

 イカレた“彷徨い術師と信心者たち”を倒したわたちとルカたんの二人は現在、『輝石街ジェルドラ』を攻略中。

 

 そして、もっとも存在に気づきにくいNPCの一人をいま目の前にしているのん。

 

 絶対に怪しい“教戒師”。その名もクロムウェルの前に、ね。

 

 

「では教育してやろう。

 本当の教戒師の闘争というものを」

 

 

 そう言って〈渇望の鎌〉を振り下ろしてきたクロムウェル。

 

 こんなことになったのも、ルカたんがうっかりモーリオンブレードを床に置こうとしてこの人にぶつけちゃったことが原因だから、非はこちらにあるのだと思う。

 

 だからといって、いきなり斬りかかってくるというのも問題があるだろう。

 

「どうした人間(ヒューマン)? まだこちらの初手を避けただけだろう?

 それだけか? 避けただけなのか?」

 

 

 再度、大鎌を振り回してくるクロムウェル。この追撃もわたち達はバックステッポで回避。

 時折、投げナイフで隙を作らなければ完全に避けるのは難しいほどに鋭い一撃ね。

 

 脳筋としてスタミナもかなり高いわたちは、ルカたんの首根っこを掴んでさらなる攻撃を避けるべく華麗にジャンプ回避。パックステッポォ!

 

 

「くっ……、にしてもこいつ強いわねん!」

 

 しかし、ちょっと待って欲しい。

 少し気になったのだが、こいつが使っている〈渇望の鎌〉はこの世界のラスボスであるデュナシャンドラのソウルで出来た鎌なのでは?

 

 

「ん~? あぁ、この鎌ですか。

 これは昔ちょっと冒険していて、でかい骨女からパク……もとい借りてきたものです。

 死ぬまで借りるだけで、教戒師ですし盗んだ訳ではないのでご安心ください」

 

 

 そう言って再度、鎌を振り回してくるクロムウェル。今度もまた、回避していなければ首を切り落としていたであろう即死技。

 

 こいつは生まれながらの殺人鬼なのかもしれないわねん。

 そもそも前作のオズワルドからして“教戒師”そのものが信用ならないし。

 

 

「ナンでいきなり攻撃してくるの!?

 そりゃ、さっきのはルカたんが悪かったかもだけど、それだけでそんな命を刈り取る系の大きな武器で攻撃してくるほどじゃないはずだよ!」

 

「それだけ? 否、それゆえにだ。ぶち殺すぞ人間(ヒューマン)!!」

 

 

 沸点が低いのか、再度振り下ろされる鎌。今度は避けずにパリングダガーでパリィ。

 出来た隙に珍しく刃物系武器である右手に持った「王の短剣」で刺突。十分に人を殺せるだけの威力があるはずよん。

 

 わたちの「王の短剣」は確実に奴の心臓に突き刺さった。

 

 

「どうした? まだ心臓を貫かれただけだぞ? かかってこい!

 この“教戒師”クロムウェルにキサマらの人間性を見せてみろ!

 ハリー! ハリーハリー! ハリーハリーハリー!」

 

 ……な~の~に、何故かクロムウェルは死ななかった。

 胸から血を流して地面に突っ伏しはしたもの、それだけ。

 

 すぐに平然と起き上がって再び鎌を構える。……ダジャレじゃないわよ。「鎌を構える」ププッ♪

 

 

「コンちゃん! 今回の戦闘は私の失態によるもの。

 故に、コンちゃんの騎士(こいびと)として私に戦わせてください!」

 

「ほう、そこな娘は無礼を己の死で償う覚悟があるのか。

 素晴らしい、さすがは人間(ヒューマン)だ♪」

 

 

 振り抜かれる鎌を、ルカたんはモーリオンブレードで弾く。

 大きな武器同士ということで拮抗しているように見えるけども、純粋な筋力勝負だとクロムウェルの方が上ね。

 

 まるで吸血鬼なんじゃないかというほどの怪力で、お互いの武器がぶつかり合う度に体勢を崩すのはルカたんの方。

 

 そもそも彼女はどちらかといえば技量特化で大型武器よりも小回りの利く直剣や曲剣のような武器の方が相性がいいかもしれない。

 

 体力が徐々に削れてモーリオンブレードの特性が発動しているからこそ、ナンとかしのげているけど、これは不味い状況よ!

 

 わたちはアイテムボックスに手を入れ、彼女の名を叫ぶ。

 

 

「ルカたん! 新しい武器よ!!」

 

「はい!」

 

 

 手を出すな、という彼女の心意気を傷つけないためにも、わたちは戦闘に加わることは出来ない。

 だけど、恋人が傷つく様子を黙って見ていることも出来ない。

 

 だからこそ、わたちが彼女に投げ渡した武器はこの状況に活路を見出す武器であるべき!

 

 

「コンちゃんの手によって鍛えられ、コンちゃんの血中カラテを付呪(エンチャント)してもらった私の新たな相棒――エスパダ・ロペラ! 唸り切り裂き突き破り、その鋭き刃にて敵を討て!」

 

 

 そう、彼女に渡した新たなる相棒は刺剣。

 特殊モーションがある〈リカールの刺剣〉の方が良いかとも思ったけど、少し前に彼女自身に決めてもらったこの武器。

 

 名工リンドの一品であり、彼自身がドラングレイグへと持ち込んだと言われる希少なグラン鋼で出来た刺剣。

 

 それにわたちはプラス10まで強化し、付呪したわ。それはもう、可能な限り。

 というかゲームだったときは決して出来ないレベルで色々と付けたの。

 

 そうして出来た新たな武器、それが「エスパダ・ロペラ」。ルカたんのためだけに作ったわたちの自信作よ。

 

 

「体が軽い……、全身にコンちゃんの愛情が溢れてくるみたい。

 これなら勝てる!」

 

「ぐっ……、き、教戒師のこの私が……。負けるはずなど……」

 

 クロムウェルは勝負を焦った。

 

 そんな焦りから生じる攻撃など、幾ら自慢の筋力で振り回しても、決して折れず曲がらず刃こぼれしないルカたんの刺剣に通じない。

 

 ルカたんはエスパダ・ロペラを目にも映らぬ速さで繰り出し、クロムウェルの全身を串刺しにする。

 

 

「私の勝ちだ! クロムウェル」

 

 

 あまりの強さは美しさ感じさせる。そんな残心でルカたんは勝利を宣言しだ。

 それこそ、勝利に貪欲になって鎌を振り回していたクロムウェルがそれを拒めないほどに美しく。

 

 太陽よりも、月よりも、この世のあらゆる存在よりも輝いて周囲を照らす。

 

 

「ああ……、こすってもこすっても、三日月の形に落ちていく。

 母さん……私は暗月にはなれないんだね」

 

 

 ソウルを完全に霧散させ、クロムウェルは死体を残すことなく死んだ。

 

 思えばこいつも哀れな男なのかもね。

 やってくる人間の罪をソウルと引換に消していく、罪が消せるだなんて神様みたいなことを続けてきたんだから。

 

 穢れも濁りも淀みもしこりも、微塵に砕いて天地に還るといいわ。

 

 ……ちょっぴり、死後に「吸血鬼の遺灰」が手に入るかも、と思ったのは内緒♪

 

 

「ルカたん、先へ進みましょう。

 わたち達の旅の目的は、彼のような人ではなく、エリアを治めるボスの討滅。

 予想よりも時間かかっちゃったし、感傷に浸っている訳にはいかないわ」

 

「そうですね……。

 勝ったというのに嬉しく思えない戦いでした。

 願わくば、教戒師としての苦悩に精神を病んでいたクロムウェルの死後に幸のあらんことを……」

 

 そしてわたち達は先へと進む。

 

 ここのボスは巨大蜘蛛。その討伐のために……あれ?

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

「きゃぁぁぁぁぁぁ~~~♪

 ラブリ~プリチ~超愛しちゃいたいくらい可愛いぃぃぃ~~~♪」

 

 どんどんエリアを進み、道中の雑魚を適当にあしらいながらたどり着いたボス部屋にて、ボス“公のフレイディア”を前にわたちは興奮を禁じ得なかった。

 

「えっと、コンちゃんはこういうのが好みなの?」

 

「うん♪ だってわたちは大昔、“混沌の魔女”と呼ばれた呪術一家の末っ子だったんだもん♪(という設定)」

 

 

 そう、わたちは現実世界では身長2メートルオーバーの巨漢だけど、このダークソウル2をゲームとして遊んでいた時、前作の“混沌の娘”が好きすぎてキャラメイクの時に頑張って彼女の容姿を真似たのよ。

 

 残念ながら蜘蛛の下半身は真似できなかったけど、このロールプレイのために脳筋でありながら記憶力のステはかなり振っているんだから♪

 

 目の前の“公のフレイディア”も、わたちの外見に遠い昔の先祖から受け継がれたのであろう遺伝子の記憶が呼び覚まされたのか、「きゅーきゅー」鳴きながら擦り寄ってくるしさ。本当に可愛い♪

 

 

「ルカたん、悪いんだけどやっぱりわたちはこの子を殺すことは出来ないわ!」

 

「え? でもこの蜘蛛を倒さないと先へは進めないですよ?

 ほら、霧の壁とか」

 

「そこはほら、勇者的なバグを探す方法で♪」

 

 

 『ジェルドラ公の隠し部屋』へと繋がる霧の扉に体当たりを敢行し、ナンとか通れないか試す。

 

 ……うん、やっぱり無理か。じゃあ仕方がない。壁の方を壊そう。

 

 

「ちょ、コンちゃん!?」

 

 ルカたんの戸惑いは気にせず、鍛冶屋の金床を無理やり武器にしたような最高の脳筋武器「ゲルムの大槌」を両手に持つ二刀流で壁に叩きつける。何度も、何度も。

 

 百発の打撃で倒せぬ相手だからといって、一発の力に頼っては駄目。一千発の打撃を打ち込むの!

 

 先人の言葉からわたちは、両手に持ったゲルムの大槌を双剣めいて振り回す。鬼人化ッ!

 

 スタミナを大きく消費しながらも鬼神の如き力で叩きつける。

 

 そして、ついに、道は開かれる。

 

 

「ボスを倒さなくっても先に進むことは出来る!

 さぁ、ルカたん! このエリアの影のボスとも言える連中を倒そ♪」

 

「アッハイ」

 

 霧の壁の隣に開けた穴から奥へと進み、会話すら出来なくなっていた〈ジェルドラの民〉の背中にゲルムの大槌を叩きつけて爆発四散させ、その後の“首なしのヴァンガル”をも討伐。

 

 ヴァンガルさんの体って、頭がないのにどうやってわたち達を追ってくるのかしらねん。視覚と聴覚はないでしょうに、ソウル探知能力でもあるのかな?

 

 まぁ、ここに来るまでにヴァンガルさんの頭に会うのを忘れてたし、別にどうでもいっかな? ルカたんは男嫌いだし。

 

 

「それじゃ……エリア攻略を祝って、シよっか♪」

 

「はい、シましょう♪」

 

 

 エリアの最深部にあった篝火を点火し、その熱と明かりの中でわたち達は装備を全部外していく。

 

 服を脱ぎ、武器を手放し、いまここで第三者に襲われたら為すすべもなく負けそうな危険があるけど、我慢出来ない。

 

 ルカたんと一緒に、女の子同士で気持ちよくなりたいと心から願っている。

 

 だから、わたちは彼女にキスをする。

 

「ん、む、にゅむ……」

 

「はぁ、んぐ、はぁ……」

 

 

 ルカたんもわたちを求めて獣のように貪ってくる。

 

 濡れた唇。だけど濡れているのは唇だけじゃない。女の子の大切な場所も、すでに出来上がっている。

 

 軽く指でなぞると、ヌチっと淫靡な音と粘液の温もりを指先に感じる。

 

 

「それじゃ、いいよね?」

 

「はい、コンちゃんを感じさせてください♪」

 

 

 顔を離して場所を変え、ルカたんの女の子の部分に優しいキスをする。

 

 篝火の熱よりも熱い場所に、女の子が大切な人にしか近づけさせない聖域に、わたちはキスをする。

 

 そうして陽の光も届かない地下深くのこの部屋で、わたち達は愛を語らう。

 

 これはエリア攻略のお祝いなのだから♪

 




 クロムウェルってデュナしゃんの鎌が似合いそうですよね♪

 そしてそのために鎌をパクったということで予想出来るかもしれませんが、この作品のデュナしゃんはカリスマがありません。
 現在、最後まで楽しんでもらえる最終話を目指してちょこちょこ足したり削ったりの作業中。

 そういえばハーメルンの年齢制限の境界はこれくらいなら大丈夫なのですかね?

 個人的には百合描写があっさりし過ぎた気もするので、もう少しコンちゃん&ルカたんの描写を濃くしたくもありますが、それでR18行きはカッコ悪いですね。

 ちなみにトゥル&リーシュさんはそこまで描写を濃くする予定はなかったりします。
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