まぁ、分かる人は分かるでしょうが、あのキャラが出ます。
男にとって海とは、水着の女の子がいる場所。それこそが唯一の存在価値と言っても過言ではないだろう。
実際、我は今、己の右手を恋人繋ぎで美しい女性と絡めている。この状況で場所が『隠れ港』という海ならば、泳ぐっきゃないだろう!
水着はないが、それっぽい衣装に着替えるだけでいいだろう。リーシュさんには砂魔女装備をプレゼントしてみた。
「そーれそれそれそーれ♪
さぁ、海へと飛び出そう♪」
「きゃー♪ トゥルさんったらもぉ~♪
そんなに引っ張ったらコケちゃいますって♪」
我が手を絡める相手とは勿論リーシュさんである。
聖女であり、ジョブは「祈祷戦士アンバサ」。そして何故か我に一目惚れして旅の仲間となっている女性だ。
こっちの世界ではネカマとして女の子デビューをした友人のコンちゃんに、「面白そうだから」という理由で二手に別れてソロ攻略を目指しておきながら、このような可愛らしい女性との縁が転がっているとは流石はドラングレイグ!
我は今、猛烈に感動している!! インドパワー全開!!
が、何処にでもお邪魔虫が出てくるわけだ。
「いいねいいね、二人とも~。
それじゃ、私も連れて行ってはもらえないだろうか?」
我らに声を掛けてきたのは『隠れ港』における最初の篝火そばに突ったっていた謎の男。
この、謎の仮面野郎に邪魔されなければ最高の気分だったんだがな。
というか避けて海辺まで出てきたのだから追ってくるなよ。リーシュさんが切れたら怖いぞ?
「申し訳ありませんが、トゥルさんはわたくしと一緒にこの先の隠れ港でキャッキャウフフをする予定なのです。
あなたのような得体の知れない仮面野郎に付いてこられても正直迷惑です」
ストレートな拒絶の意思を伝えるリーシュさんだが、この仮面野郎は黄金の鉄の塊ともいえる強靭な精神をしていた。
ようするに我らの嫌悪感を隠そうともしない視線に怯むことなく、こちらの仲間に加わりたがっているのだ。
「ふふん、嫌われたものだね。
それにしても、私が男だとよく見抜けたものだ。
ぶっちゃけ、仮面を付けているから気付かれないと思ったのだが」
「いやいや、あんたの鎧って明らかにサイズが合ってないだろ?
一般人なら誤魔化せるかもしれないが、我のように脳筋として筋肉信仰の男の目は誤魔化せんぞ」
仮面野郎――決して名を名乗ろうとしないのでそう呼ぶ――は、鎧を脱ぐとその下に着込んでいたピッチピチの女性用スクール水着を披露する。
股間にはもっこり。やはりこいつは男だな。男の娘とか、ンナ可愛らしいもんじゃない。すね毛モサモサの野郎だ。
「ん? あぁ、この水着は私の妹の物だ。
国を出る前、故郷の思い出の品として持って来たのさ。
妹もすでに大きく育ってしまったから着ることはないだろうし有効活用というものだな」
「それならサイズが合う年下の他の子に譲ってやったほうがよいのではないのか?」
「それは良いアイデアだな。私に妹以外のロリの知り合いが居ないという点に目を瞑れば。
まぁ、その妹にしてももう大人だから興味も失せたがな」
「……(これはマジモンの変態だな)」
「ト、トゥルさん、この人はヤバイです!
早くわたくしと一緒に逃げましょう。そうだ! 海へ逃げましょう!! そこに停泊している幽霊船みたいな船を強奪して!」
だが変態野郎は我らに付いてくるつもりだ。それこそがこの話の冒頭からの押し問答である。
「HAHAHA! ミラの男は押しが強い。
私はロリコンだが、見て楽しむだけなら成人(聖人)女性でも筋肉向き向きマッチョマンの変態でも一向に構わん!」
「アホか! 我らがお前のような変態に肌を晒すのが嫌なのだ!」
我は瞬時に装備を早着替えしていつもの墓守装備の足だけを装備した。
しかし上半身は見事なまでに筋肉を晒している。
変態野郎は、そんな程よく日に焼けた我の上半身を! 飾らないピンク色の鮮やかな乳首を! じっくりと見られてしまった。
あまりの熱視線に思わず両手で自分を抱くように隠す。それこそがこれから起こる騒動の引き金になるだなんて、この時の我は思いもしなかったのだ……。
「ちょっと、あなた……、なにトゥルさんの飾らないピンク色の鮮やかな乳首を勝手に見てるわけですか?
そのせいでトゥルさん、隠しちゃったじゃないですか。どう落とし前つけてくれるわけですか? アアンッ!?」
先ほどまで我の背後で変態野郎の変態性に怯えていたリーシュさん。
しかし彼女は常に我の裸の上半身の筋肉と乳首を見て楽しんでいたのだ。
それがこの変態野郎のせいで隠されたとなると、彼女にとっては世界の損失といっても過言ではないのだろう。
いや、女性にだったら我も幾らでも見せてあげるのだがな。
変態野郎も、リーシュさんのあまりの豹変振りに全身が震えている。
「おいィ? なんか言い訳とかあるわけですか?
わたくし、トゥルさんの全てに惚れているから、この人の乳首が一瞬でも隠れるのを許す訳にはいかないんですから」
「ひぅ、あぅ、へぐぅ……」
とても謎の仮面野郎は、騎士の国出身とは思えないほどに怯えているが、さもありなん。彼リーシュさんは実際怖い。
かつて聖女――古い言葉で「アンバサ」と呼ばれた者たちは、聖職者という言葉の響きからはとても想像も出来ない吐き気を催す邪悪な存在だった。
アンバサの力を用いて世界の裏側から操る半神的存在。それこそがアンバサだ。
そしてリーシュさんは聖女であり、アンバサ。つまり太古の昔にこの世界を支配していたアンバサたちへの遺伝子レベルの恐怖心が思い起こされるアンバサ・リアリティ・ショックに変態野郎は陥ってしまったのだ。
我も「信仰」のステに一切振っていない徹頭徹尾の脳筋だから本来ならば震えが止まらなくなっているのだろうが、スカイリムにおいては「隠密」Perkを多く取得していたために平気だ。
そもそも我に対する殺意などではないからな。
「俳句を詠みますか? わたくし、刃物を持っていないので。
わたくしの殺し方は、相手が死ぬまで雷を打ち込み続けるしか出来ないので、自刃することをお勧めします」
あれ? もしかしてリーシュさん、本気でこいつを殺す気なのだろうか?
「いやいやいや、リーシュさん。殺すことはないんじゃないか?」
「まぁ、トゥルさんはこの方を庇うのですか?
わたくしと貴方様の愛に溢れる時間を奪い、あまつさえトゥルさんの飾らない鮮やかなピンク色の乳首を隠させた極悪非道な男です。
これを生かしておくなんてトンでもない! まったく、ナンて汚らわしいゴミでしょう」
我の説得も無駄に終わり、恐怖に震える変態野郎は勢いよく走り出した。逃走したのだ。
「待ちなさい!」
リーシュさんも追うが、待てといわれて待つ奴はいない。
少し走った先で『隠れ港』の船へと続く桟橋が見えてきたが、変態野郎は迷うことなく海に飛び込んだ。
暗い闇夜の海の中へと飛び込んだのだ。
「まぁ♪ わたくしが雷を自在に操る祈祷戦士アンバサだと知って海に?
塩分たっぷり、不純物たっぷりの電気を通しやすい塩水の海に?
これは期待に応えてあげましょう♪」
そういうとリーシュさんは両手に奇跡『雷の槍』を構えて海へと投擲。なんというアンバサ記憶力!
しかも両手の二回だけではない。その数、ナンと一千発!!
「トゥルさん。これはわたくしの先生からの教えです。
先生いわく、“一発の雷の槍で倒せる相手だからといって、一発の投擲で慢心してはならぬ。一千発の雷の槍を投げるのだ”と言っておられました。
わたくし、生まれつき記憶力に優れているので雷の槍でしたら一万発放っても問題ありませんの♪」
「ようはオーバーキルってことだな。
我もパンチングマシンで100とか普通に出すし、そういうものなのだろう」
驚きはしたものの、彼女の先生の考えというのは当然のものだろう。
次から次へと投げ続け、隠れ港から見渡せる範囲の海には魚の死体がぷかぷかと浮かぶが、変態野郎の死体は浮かんでこなかった。
その代わり、奴が着ていたピッチピチのスクール水着だけが浮かんできた。
「ん? トゥルさん。何か水着に書かれているようですね」
「どれどれ? ……“私の名前はアズラティエル。次に会ったときはアズにゃんと呼んで欲しいにゃん”。
……ふん、なるほどね」
リーシュさんの雷の槍では奴を仕留め切れなかったということか。
電気ビリビリで敵を倒せた奴は歴史上存在しない。その言葉を胸に秘め、我らは先へと進むのだった。
「そんなことよりもトゥルさん。
わたくしの水着、どうですか?
砂魔女の装備って水着みたいですよね♪」
「ワァ~オ、チワ~ワ♪
素敵だよ、リーシュさん」
弾けんばかりの魅力的な弾力溢れるおっぱいと、腰周りから太ももにかけての太すぎず、しかしムッチリ感溢れる彼女の美貌が砂魔女装備によって際立っている。しかも! 海ということでスカート部分を取り外している!!
つまり太ももとパンツの食い込みが丸見えなのだ♪
ふふん、お邪魔虫も撃退したことだし、エリア攻略は我らも水着で海水浴を楽しんでからで良いだろう。
リーシュさんは、つまりまったくそれで良いのだから。砂魔女万歳!
ゲームならばルカたんは瞬間移動であっちこっちに点在出来ますが、この作品のルカたんはコンちゃんとコンビを組みましたからね。
なので『隠れ港』の仮面野郎はアズにゃんこと、アズラティエルの配役ってな感じです。
やっぱりねぇ~、どうしても別のあずにゃんが有名過ぎて、原作にセリフが一切ないことも相まってアズラティエルもネタキャラになってしまうのですよ。
それにしても、次にこいつが登場するのは最終話の予定なのですが、その最終話付近の話を書いていると段々とこいつ要らない気もしてくるんですよねw
もしかしたら、この話が彼を見た最期になるのかもしれない……。