トゥル・トゥル・ダクソ   作:ヨイヤサ・リングマスター

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 今回のテーマ曲は、サブタイからして分かるかもしれませんが『霊知の太陽信仰』ですね。
 SUN値ピンチ!(誤字にあらず)なトゥル&リーシュのコンビは今回の敵をどう切り抜けるのか!?

 一番偉大な武器はなんだと思う? ……勇気だ! そんなお話です。

 ちなみに前々回のあらすじを語ると、トゥル達は『隠れ港』にて激戦の末に“流罪の執行者”を討伐したところからです。





第9話:霊は知る太陽信仰 奇跡vs呪術

 アズにゃんこと、ミラのアズラティエルという変態に絡まれて色々あり、その後、我とリーシュさんは当然の流れで水着に着替えて海に入りキャッキャウフフムーチョムーチョと遊んだ『隠れ港』。

 

 ここでの冒険も、エリアボスの“流罪の執行者”を討伐してサクッと終わり、次のエリアへと向かおうとしていた。

 

 いやぁ~、『隠れ港』のボスもなかなかに歯ごたえがあったな。

 

 戦闘描写が一切ないように感じられるかもしれないが、『skyrim』において暗殺ギルド【闇の一党】の一員としてアルゴニアンを暗殺しまくった我に死角など無し!

 

 背中合わせの二匹のトカゲ人間を倒した我とリーシュさんが今いるエリアとは……。

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

「……なぁ、リーシュさん。

 ちょっと聞くが、何で我はこの『狩猟の森』にいるんだ?」

 

 

 我とリーシュさんは、現在『狩猟の森』に居る。

 

 ナンでも、リーシュさんが持つ奇跡の力でしか動かせない仕掛けを作動することで来れる、という設定のこのエリア。

 

 ゲームの時はよく分からない仕掛けだったが、リーシュさんが見せてくれた奇跡の力の正体は六角クランクだった。

 

 まさか、ここまで見事なまでの六角クランクを「奇跡の力」と言い張る彼女には戸惑いを隠せないが、我はそもそも機械音痴だ。彼女に任せるべきだろう。

 

 

「フフッ、わたくしたちが『狩猟の森』ルートを進む理由は簡単なことですわ、トゥルさん♪

 『隠れ港』からの順当な進行ルートでは『忘却の牢』に行くのがセオリーかもしれませんが、何やら女の勘が行く事を拒んだのです。

 邪魔すべきではない、と」

 

「勘ならば仕方がない。

 しかし前にも話したが、我には旅の連れがいて、ソイツとは面白そうだからという理由で別行動しているが『忘却の牢』の先の、『罪人の塔』で待っているはずなのだが」

 

「勿論、わたくしもトゥルさんの友人が女性だからという理由で拒んでいる訳ではありませんわ。

 ただ……、そうですね。その友人さんにも連れが出来ており、その方と大変良好な関係を気づいていると、わたくしの勘が告げているのです

 ようするに馬に蹴られないように避けて行こうと言っているのです」

 

 

 ふむ、コンちゃんにも旅の仲間が出来たのか。

 

 しかしそうなると誰が仲間になったのやら。順路から言えば出会えるNPCはケイル、、ペイト、メレンティラ辺りだが、コンちゃんって中身は男だしな。

 

 しかしメレンティラさんは婆さんだし……、もしかしてコンちゃんってババ専!?

 

 

「トゥルさん。わたくしの女の勘で補足させてもらいますが、現在『罪人の塔』から感じられるトゥルさんの匂いが付着した女性の気配の側には、若く鍛え抜かれたしなやかな体躯を持った女性が側にいるようです」

 

「リーシュさんのソウル探知能力は凄いものだな。

 しかし鍛え抜かれたしなやかな体躯を持つ女性となると……」

 

「さらに、その女性は先ほどの変態野郎のアズラティエルによく似た気配です」

 

「なるほど、向こうがルカティエルさんに会っていたのか。

 どうせなら隠れ港に彼女が来てくれていればよかったのだが」

 

「トゥルさん。わたくしという女が側にいながら、友人ですらない女性を傍に置きたがるだなんて何を考えているのでしょう?

 返答次第ではわたくしの雷があなたの心臓(ハート)をハキュン、ドキュンっと物理的にぶっ放しちゃいますわ♪」

 

 

 顔は笑っていても心で怒っている。今のリーシュさんはそんな表情だ。

 

 ここは男として、フロム指数180万の明晰な頭脳と仏教徒らしい精神で乗り切って見せようではないか!

 

 

「我、リーシュさんを思う、故に我在り!

 この言葉を君に遅らせてもらおう」

 

「ふぁ♪ も、も~トゥルさんったら男らしさ満載なんですから♪」

 

「ムッハハハハハ! それが我だ!!」

 

 どうやら我の答えに満足してくれたようだ。

 

 それから順調に進む。いや、進むといってもほんの数分も経っていないのだが、そこに奴はいた。

 

 

「ぼ、僕の名前は、フェルキンって言うんだな。

 取引をしよう。なにが、ひ、必要だい?」

 

 ……そういえば『狩猟の森』ルートだと道中にコイツがいたな。

 

 正式名称は“破門”のフェルキン。闇に魅入られた呪術使いの陰鬱な男。

 

 コミュ障なのか、口調がしどろもどろで信用しにくいが、その闇への憧れは本物というのがゲームをプレイした時の我の感想だ。

 

 さて、こちらの世界ではどういったキャラなのか。

 

 

「ど、どうやら君の目に宿る知性から察するに、ぼ、僕のことを知っているんだな。

 そう、ぼ、僕は“波紋”のフェルキンって言うのね。

 偉大な父のように太陽の光に憧れ、あんな風にでっかく熱く、な、なりたいと思っている男なんだな」

 

 ……はい?

 

「あー、“破門”のフェルキンでは?」

 

「いいや違う。ぼ、僕は“波紋”のフェルキンだな。

 独自の呼吸法で太陽と同じエネルギーを体内に生成して若さと、た、太陽のでっかくて熱い力を宿した男だな」

 

「……そうか」

 

 

 ふむ、どうやらゲームの時の表記は誤りで、本来は太陽の大きさと熱さに憧れる芯の真っ直ぐな男だったようだ。

 

 まぁ、考えても仕方があるまい。元々がこういう奴だったと考えよう。

 

 

「それで取引と言ったが、何か商品でも扱っているのか?」

 

「太陽信仰に相応しく、き、奇跡『太陽の光の槍』なんかを扱っているんだな。

 ソ、ソウルさえ払ってくれるなら、い、幾らでも売ってやるんだな」

 

「しかし我は純粋なパーフェクト脳筋だからな。

 記憶力と信仰のステには一切振っていないし」

 

 

 チラリと隣のリーシュさんを見ると、フェルキンの口調の気持ち悪さに嫌悪感を隠すことなく顔をゆがめている。

 

 それはまぁ、仕方が無い事だろう。だがそれよりも、彼女は自分が取り扱っていない奇跡を売ってくるフェルキンに驚いたようでもあった。

 

 

「異議有り!

 奇跡『太陽の光の槍』は太陽信仰レベル3になった時、一人に一つもらえる限定奇跡。

 それを無限に売るだなんてありえませんわ!」

 

「ぼ、僕はバグ技を使って複数の多次元世界の自分自身と感覚を共有する能力があるんだな。

 だから、へ、平行世界の僕自身から受け取った奇跡を売って信仰(ソウル)を得ているんだな」

 

「嘘つきはみんなそう言うのです!

 それに神への『信仰』に『ソウル』というルビを振るだなんて、あなたはそれでも聖職者ですか!?」

 

「せ、聖職者じゃなくて太陽信仰者なんだな」

 

 ツッコミ所は多くあるが、リーシュさんは信仰=ソウルというのが嫌いなようだ。「お前が言うな」というメッセージが地面に沢山浮かんできたが、それは流そう。

 

 

「こうなったら、決戦のバトルフィールドで決着を付ける必要があるようですね」

 

「ぼ、僕は負けないんだな。

 太陽への信仰心で、お、お前なんか黒焦げサンマにしてやるんだな」

 

 

 そうして我はリーシュさんに墓守の腰布の裾を捕まれたまま、膝だけで飛び上がられ、決戦のバトルフィールドとやらに連れ込まれた。

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

「さ、さぁ、こここそが決戦のバトルフィールド!

 不死刑場なんだな!」

 

 

 フェルキンが説明する内容はゲームの時と特に変わることは無かった。

 

 このエリアはボスの“刑吏のチャリオット”が走り回るエリアだ。

 

 門を落として乗っている骸骨と戦車部分を吹き飛ばせば走るのを止めて攻撃しやすくなる。

 

 しかし今回、リーシュさんとフェルキンの二人はチャリオットが走ったままこの場所で対人戦を行おうというのだ。

 

 

「はぁ~!」

 

 最初に仕掛けたのはフェルキン。

 太陽信仰と言いつつ、やはり呪術を多用する戦闘スタイルであり、『炎の嵐』を展開。

 

 フィールド中に炎が広がり、地面には「CAUTION!!」のメッセージが浮かび上がる。

 

 しかし、リーシュさんは対人戦の経験も多いのか、見事に炎の隙間を縫うようにしてフェルキンへと接近し、手にした雷を叩き込む。

 

「イヤー!」しかし攻撃は外れた。

 

 フェルキンは『暗い木目の指輪』でも装備していたのだろう。

 

 リーシュさんが炎を避けて攻撃してくるのを予想していたらしく、見事なまでのバックステッポで呪術の発動中だというのに回避。

 

 しかもバク転の勢いのままサマーソルトキックをリーシュさんの顎先へ!

 

 リーシュさんはフェルキンの蹴りを喰らい……、

 

 

「トゥルさんは世界一ィィィ~!」

 

 

 ……喰らいそうになりながらも回避。

 

 我への思いを言葉にし、その勢いのままリーシュさんもバク転で回避。

 

 チャリオットが一周回って帰ってきたが、二人は壁の隙間に身を隠すこともせず、

 ただ通過する戦車の車輪側面に付いた棘を手刀で叩き折り、一歩も動くことなくノーダメージで切り抜ける。

 

 通り過ぎ様にチャリオットに乗っていた骸骨が「え? チート?」 とでも言いたげに見つめてきたが、戦っている二人は気づいていない。

 

 とりあえずこれで、チャリオットが来ても壁の隙間に隠れたり、ローリング回避をする必要がなくなったな。

 

 

「ホトバシル!」

 

 リーシュさんのシャウトと共に繰り出されたのは雷の槍でも神の怒りでもなく、単純な拳によるパンチ。

 

 至近距離から放たれたその右拳はフェルキンの胸にストレートに吸い込まれ、風穴を開ける。

 

 

「グワー!」

 

 フェルキンは血を吹きながらもリーシュさんの拳を掴む。そのままゼロ距離呪術を放とうと言うのか!?

 

 しかしリーシュさんの空いている左拳が今度はフェルキンの頭部に命中し、その頭は永遠にその体とおさらばした!

 

 

「あなたの敗因はたった一つ。たった一つのシンプルな応えです。

 ……あなたは私のトゥルさんに近寄った!」

 

 

 突き入れられた拳から雷の力を送り込んだからか、死体は爆発四散。

 

 ついでにフェルキンの飛び散った肉片が当たった警吏のチャリオットも感電して死亡。

 

 

「これにて一件落着です♪

 トゥルさん。わたくし達はずーっと一緒ですよ♪」

 

「アッハイ」

 

 

 こうして『不死刑場』を攻略した我ら二人の行く末はどうなることやら、それにしてもこの先どうなるんだろうな。

 

 

 

 

 




 天の道を往き、全てを司る男……そこまでの領域にいれば旅の料理係として同行するルートもあったかもしれない。
 フェルキンに後悔はない。リーシュさんの迸る雷に打ち抜かれ、偉大なる父のような太陽の輝きに一瞬でも近づけたのだから。

 それにしても、暗転したかのように場面がカットされる場合、ダクソだと「マヌスタイム」とでも言えばいいんでしょうかね。
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