敬愛を込めて先輩のことをシエルパイセンとそう呼ぶことにした俺は、その後百貨店に寄ってから帰宅。
玄関で待機していた翡翠ちゃんが恭しく頭を下げて来る。
「お帰りなさいませ、志岐様」
「ただいま。秋葉はもう帰ってるの?」
「はい。只今、居間にいらっしゃいます」
鞄をお持ちします、の言葉に素直に従う。
どうも翡翠ちゃんは何かしら俺の役に立ちたいと思っているようで、一度断った時なんかは残念そうな顔したくらいだ。
部屋で部屋着である小袖に着替えた俺は、百貨店で買ってきたある物を持ち出す。
居間では優雅にティーカップを傾けている妹分の姿と、そんな彼女の斜め後ろで待機している和服メイドさんの姿が。
「お帰りなさいませ、志岐さん」
「ただいま琥珀ちゃん」
朗らかな微笑みを向けてくれる琥珀ちゃんに笑みを返した俺は、秋葉の対面に座った。俺の帰りを待っていたのか、ティーカップが用意されていたからな。
自然と付いてきた翡翠ちゃんがティーポットから紅茶を注いでくれる。優雅で完璧な所作はメイド力の高さを伺わせる。
「どうぞ、志岐様」
「ありがとう」
今日はアッサムティーか。この屋敷でお世話になってからすっかり紅茶の味を覚えてしまった。
持ち上げていたティーカップをソーサラーの上に戻した秋葉ちゃんは、その切れ長の目でこちらを一瞥してくる。
「本日はお早いお帰りなんですね」
どこか棘のある声。昨日、一昨日のことをまだ根に持っているのだろうか。
「特に用事はないからね。それはそうと、秋葉はこの後何か予定でもある?」
「⋯⋯? 差し当たって本日の業務が残っていますが、まだ時間的に余裕はあります」
「おっ、そりゃ好都合。琥珀ちゃんと翡翠ちゃん、少し時間取れるかな?」
不思議そうな顔で小首を傾げる琥珀ちゃんたちだが、融通出来るようで大丈夫との返答があった。
それを聞いて大きく頷く俺。向かいに座っている秋葉ちゃんが胡乱な眼差しを向けてくる。
「一体なにを企んでいるんですか?」
「企むとは人聞きの悪い。ただ俺は、可愛い妹分たちともっと交流を深めたいだけさ⋯⋯ってことで、じゃーん!」
そう言って袖の下から取り出したのは、学校帰りに買ったとあるアイテム。
秋葉ちゃんの家にお邪魔になって三ヶ月ちょっと経つが、まだ双方の間に壁があるのを感じるからね。
本当は四人で遊べるゲームとかあれば良いんだけど、この家にテレビゲームはないし、ボードゲームも疎い。
そこで思いついたのが、今回の催しだ。
「トランプ、ですか」
そう、買ってきたのは新品のトランプ。封を開けて中身を取り出す俺に「トランプなら我が家にもありますが」と秋葉ちゃん。
チッチッチ。違うんだなぁ。
「これはマジック向けのトランプさ。滑りが良くて絵柄が分かりやすい特徴があるの。ほら、結構お洒落でしょ?」
二千円程度で購入したマジック向けのトランプ。裏側は全面黒塗りで、銀色のラインがアートチックに描かれている。
トランプの束を受け取った翡翠ちゃんは、やや感心した顔つきでカードを滑らせた。
「⋯⋯確かに、通常のトランプとは違い派手な印象があります」
「そういうこと。ちなみにトランプって大正時代にはもうあったんだぜ? これ豆知識」
そのため、前世では鍛錬の合間によくトランプで遊んでました。
「さて、今から秋葉たち三人に勝負を挑みます!」
「勝負? ババ抜きとかですか?」
「ババ抜き? フッ、奴は死んだよ」
カードの束を取り出したらケースをテーブルの脇に置く。
「ルールは簡単。これからマジックをするから、そのタネを見破れるかの勝負だ。見破れたら秋葉ちゃんたちの勝ち。出来なかったら負け」
「マジック? 兄さんマジックなんて出来るんですか?」
驚いた顔の秋葉ちゃん。
そうだろうそうだろう。普段刀ばかり振ってる鍛錬バカの俺が、まさかマジックが出来るなんて思わないだろう。
「こう見えて得意なんよ」
「何それ私知らない⋯⋯」
茫然とした面持ちの秋葉ちゃんがボソッと呟く。いや、そりゃ言ってないんだから知らないのは当然でしょうに。
ここに来て天然属性でも追加するつもりなのだろうか。しかし安易な属性追加は混乱を招くだけだぞ。
「志岐さんにそんな特技が⋯⋯!」
「私、知りませんでした⋯⋯」
「いやいや、何でみんなそう驚いてんの」
琥珀ちゃんと翡翠ちゃんも驚き過ぎだし。
ていうか、えっ? そこまで驚かれるほど意外なの俺って?
「あ、ちなみに勝った方は負けた人に何でも言う事聞いて貰える権利が与えられるから」
俺が勝ったあかつきには、全力でお兄ちゃんを遂行させてもらうぜ!
うら若き美少女たちとイチャイチャする未来を想像しながら、そんな王様ゲーム的なルールを説明した、その時だった。
『──ッ』
秋葉ちゃんたちの中に途轍もない緊張感が流れるのを肌で感じた。
「何でも言うことを聞いて貰える権利⋯⋯」
「志岐さんに、何でも⋯⋯」
「⋯⋯⋯⋯っ」
頬を赤らめながら恥ずかしそうにそっぽを向く秋葉ちゃんに、ボーッと宙を見上げて夢想する琥珀ちゃん。
翡翠ちゃんに至っては胸に手を当てて蹲ったんだけど! えっ、狭心症ですか!?
「ちょ、翡翠ちゃん大丈夫!?」
「だ、大丈夫です。少々幸せが押し寄せてきたと申しますか⋯⋯」
幸せな粉を吸った時のようなこと言わないで!?
「と、取り敢えず始めるよ」
俺の一言に姿勢を正す秋葉ちゃんたち。切り替え早いなオイ。
「志岐様、一つ質問してもよろしいでしょうか」
「ん? なに翡翠ちゃん」
「マジックの鑑賞はどこからでもよろしいですか?」
「うん、いいよ」
俺の言葉に一つ頷いた翡翠ちゃんは「では、この位置からお願いします」と今立っている場所──つまり、真横から鑑賞することにしたようだ。
それを聞いていた琥珀ちゃんの目が怪しく光る。
「ではでは、私は志岐様の後ろから拝見することにしましょう。手品師のお膝元を見る機会なんてそうそう御座いませんからね」
そう言うと琥珀ちゃんはテーブルを回り、俺の後ろを陣取った。
やっべ、これは流石に緊張するわ。いや、もちろん勝つ気満々だけど。
「でかしたわ貴女たち」
秋葉ちゃんチームが優位に傾き、ご当主様渾身のガッツポーズ。
やる気があるようでなによりだぜ……。
「全部で三回勝負な。勝ち点が多かった方の勝利ってことで。では、まずは小手調べ」
カードをテーブルの端に置いてサッと手を流すと、扇状に広げる。
リボン・スプレッドと呼ばれるテクニックで、マジックを嗜む人ならまず最初に覚える基本テクの一つだろう。
如何にも一流マジシャンっぽい技に、秋葉ちゃんたちから感嘆の声が上がる。
「どうよ、マジシャンっぽいでしょ」
端からウェーブのようにカードを裏返して元の束に戻した俺は、秋葉ちゃんたちに見えるようにカードを切りながら「好きなタイミングでストップって言って」と指示を出す。
「ストップ」
カードを切り始めてからすぐストップを掛ける秋葉ちゃん。裏側で切ろうとしていたカードを抜き取り、それをひっくり返す。
「ダイヤの五だね。三人ともこれを覚えておいてね」
三人がしっかりとカードを見たのを確認した俺はそれを再び裏側にしてカードの束に戻す。
「で、混ぜます。念入りに混ぜていきまーす」
滑らかなカードの手触りを堪能しながらシャッフルする。ちなみにショットガンシャッフルで痛めるカードはトレカだけだ。
入念に、丁寧に、されど計算し尽くした手捌きでカードを混ぜていく。
トランプに触れたのは今世では初めてだが、意外と思ったように捌けるな。
前世では何千、何万と練習を重ねてきたカード捌き。年に数回行われる催しでは、俺の華麗なカード捌きは鉄板ネタだったからな。誰かがふざけてトランプの呼吸とか言ったっけ?
もはや芸術の域に到達しているカード捌きに見惚れているのだろう。俺の手元から目が離せない秋葉ちゃんたち。
やがて十分に混ぜ終えたカードを、今度はテーブルの脇に置いたケースに仕舞う。
「はい、カードは全部箱の中に仕舞いました。蓋も閉じていて、見ての通りカードは何処にもありませんね?」
着物の裾を捲ったりしてカードを持っていないことを示す。三人が頷くのを見た俺は、テーブルに置いたトランプの箱を手に取った。
「だけど、あら不思議。カードの箱を放ると──」
そして、トランプが入ったケースを空中に放り、再びキャッチすると。
「──えっ?」
「あら⋯⋯」
「⋯⋯」
俺の手には、ダイヤの五のカードが握られていたのだった!
ケースの蓋はいつの間にか開いており、傍から見ると勝手に飛び出て俺の手に収まったように見えるだろう。
ちなみにこれはフラッシュエスケープという初心者向けの手品だ。
まずは小手調べということで簡単なマジックを披露したが。さて、秋葉ちゃんたちはタネを見破れたかな?
「⋯⋯見事な手品ですね、兄さん。悔しいですが、私には分かりませんでした。琥珀、翡翠。貴女たちはどう?」
「後ろで拝見していましたが、全然分からないですねぇ。本職の方にも劣らない腕前で驚きました」
「志岐様の手元を注意して見ていましたが、何一つ分かりませんでした。素晴らしいお手並みです」
本当に驚いたようで、パチパチと拍手を送ってくれる秋葉ちゃんたち。
賛辞の言葉を素直に受け取った俺は、再びケースからトランプの束を取り出しながら告げる。
「まずは俺の一勝なわけだが、これが見抜けないとなると次も俺の勝ちかな」
俺の言葉にハッとした様子の秋葉ちゃんは改めて表情を引き締めた。
「琥珀、翡翠。なんとしても見抜くわよ」
「もちろんです! 一瞬たりとも見逃しません!」
「承知しております。全力で見抜きます」
先ほどより少し身を乗り出して凝視してくる秋葉ちゃんたち。全身全霊で見抜こうとする意思が伝わってくるが、果たして。
「それじゃあ、第二ラウンドだ」
二回戦目に行ったのは、一度はテレビなどで見たことがあるアンビシャスカードと呼ばれるマジック。
デックの真ん中に入れたカードが指を鳴らすと一番上に移動しているという、シンプルながらインパクトのある定番の定番マジックだ。
最初に見せたフラッシュエスケープより見分けるのは難しいため、この勝負も俺の勝ちだなと思っていたのだが──。
「──見えました! 最初に引いたカードを山札の上に置くと見せかけて、その下に忍ばせましたね。その後、二枚同時に捲ることで、あたかもそれが最初のカードだと思わせたのです!」
真後ろ──というより、顔がくっつく程、肩越しに身を寄せた琥珀ちゃんの指摘により、タネがバレてしまったのだ。やはり真後ろはマジシャンにとって鬼門だと再確認させられた。
しかも琥珀ちゃんたち全集中の呼吸で集中力と動体視力を高め、力づくで見抜こうとしてやがる。
「でかしたわ琥珀!」
「私も分かりました。この位置からだと見やすいですね」
琥珀ちゃんに倣い、翡翠ちゃんもほぼ真横からガン見してくるし。マジシャンの天敵であるカメラが二台至近距離に置いてあるようなものだろこれ。
「ぬぅ……やるな二人とも」
「これで一対一ですね。さあ、次の勝負も勝つわよ二人とも」
『はい』
これは、俺も本腰を入れるべきだな。
俺も秋葉たちに対抗して岩の呼吸を使う。本当は反復動作を行いたいが、肝心の呪文が『イエス・ロリータ・ノータッチ・オッパイ・パイパイ・キモチー』だから口にできねぇ。
なので、呼吸を深めて意識的に行うマニュアル指向で、集中力を極限へ高める。
これから行うマジックは俺の手札の中で一番難しいやつだ。その分、華がありインパクトも大きい。
ただ、最後にこれを披露したのは前世でのお正月だ。数十年ものブランクがあるため、失敗する可能性が高い。
「──泣いても笑っても最後のマジックだ。参りますッ!」
意味のない無駄に美しいシャッフルを披露し気分を高めた俺は、無造作に混ぜたデックの中から四つのエースを抜き取る。これは普通に見ながら抜き取ります。出来ることならこれも格好よくマジックで抜き取っていきたいが、そこまでの腕前ではないので普通に抜きます。
「今回はこの四つのエースと、秋葉ちゃんたちが選んだ三枚のカードを使います。っていうことで、好きなカードを一枚ずつ選んでね」
「はい」
最初に抜き取った四枚のエースをテーブルの端に置き、広げたデックの中から好きなカードを選んでもらう。
「秋葉ちゃんはハートのクイーン、翡翠ちゃんはダイヤの七、琥珀ちゃんはスペードの八だね。それじゃあこの三枚のカードを抜き取って、今度は適当なカードを四枚抜き取ります。そうだね、じゃあ分かりやすくキングにしようか。四枚のキングを抜き取ります」
広げたデックの中から四つのキングを抜き取り、一旦デックはテーブルの上へ。
「今度は、このキングの間にそれぞれカードを差し込んでいきます。折角だから秋葉ちゃんたちに入れてもらおうか。それぞれの間に表向きで差し込んでいって」
「……分かりました」
マジマジと手品を観察していた秋葉ちゃんだが、この時点ではまだ仕掛けてないから何もないよ。
表裏交互に差し込んだ計七枚のカードの束。それを半分に分けたデックの片側の一番上に置く。
「そしたら、今度は最初に抜き取った四枚のエースを、残りの山札の真ん中辺りに入れておきます」
テーブルの脇に置いておいた四枚のエースを、残りのデックの真ん中に差し込む。
「さて、今こっちの山札の上は見ての通り、秋葉ちゃんたちが選んだカードが入ってます。キングの間に自分で入れたよね?」
「ええ」
「はい」
「……」
「だけどあら不思議。秋葉ちゃんたちが入れたはずのカードがないのよ」
山札の上から一枚ずつ捲ると、そこにあったのは四枚のキングのみ。間に挟んだ秋葉ちゃんたちのカードは消えているのだ。
「──えっ!」
「あらあら……」
「……!」
フッフッフ、今度は見破れなかったようだな。
そして、ここで失敗することが多い俺は、山場を越えて内心ホッとする。
「当然、残りの山札の中にも入ってません」
残りの山札も捲っていき、完全に消失していることを示したら「じゃあ、残り半分の山札を見ていきましょう」と分けておいたデックを手に取り、扇状にスプレッド。
すると、真ん中辺りに四枚のエースの間に挟まれたカードが出現した。
「おや、エースのカードの間に何故か三枚のカードが挟まっていますね」
「嘘……」
「もうお分かりですね? そう、このエースの間に挟まっているのは──」
三枚のカードをオープン。
予定調和の如くそこに在ったのは、秋葉ちゃんたちが選んだカードである。
ンンンンン! 決まった!
「さて、秋葉ちゃんたちはこのトリックが見破れたかな?」
『⋯⋯』
ドヤ顔でトランプをシャッフルする俺に、口元を可愛らしくへの字にする秋葉ちゃん。
翡翠ちゃんはいつものように無表情だが、纏っている空気が落ち込んだ時のそれであり。
琥珀ちゃんは困ったような顔で頬に手を当てている。
「──見事な手品です。正直、これほどの腕前を持っているとは思いませんでした」
私たちの負けですね。
悔しげな表情を見せながらも己の負けを認める秋葉ちゃんの姿に、遠野家当主としての器の大きさを感じたのであった。
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「何でも一つだけ言うことを聞く、という約束でしたね。とはいえ、分かっていると思いますが叶えられる範囲に限度はありますよ?」
「もちろん。流石に理不尽なことや無茶なお願いは言わないさ」
願い事を言う権利が与えられた俺に釘を刺す秋葉ちゃん。
当然、限度は弁えているし、そんな難しいお願いをするつもりはない。
新たに淹れ直した紅茶で一息つける秋葉ちゃんは、泰然とした姿勢で構える。
俺も翡翠ちゃんに紅茶をお願いすると、クラシカルなメイドさんは優雅にティーポットを傾けながらこんなことを聞いてきた。
「ところで志岐様。そのお願い事を叶えるお相手は秋葉様だけでしょうか?」
「うん。あー、そうだなぁ。最初は三人それぞれに頼もうと思ったけど、まあ秋葉が代表でも──」
「いえ、是非とも私と姉さんにも志岐様のお願い事を叶えるチャンスを」
「え、チャンスなのこれ?」
罰ゲームの勘違いでは?
話を聞いていた秋葉ちゃんは大きく頷き、側に立つ琥珀ちゃんに視線を向けた。
「そうですね、私からもお願いします。この娘たちにもチャンスを与えて上げて下さい。琥珀もそれで良いわよね」
「はい。是非ともお願い致します」
「えぇ⋯⋯いや、俺的には嬉しいけど」
恭しく頭を下げる双子のメイド姉妹に俺は訝しんだ。
もしかして。奉仕根性というやつか?
「それで、兄さんは何を望むのですか?」
本題に入る秋葉ちゃん。紅茶をぐぃっと飲み干した俺は、いつになく真剣な眼差しを向けて告げた。
「門限を無しにしてくれ」
「無理です。他には?」
⋯⋯。
いやいやいや!
「無茶な要求してないでしょ!? えっ、無茶なのこれって!?」
「叶えられる範囲でと言いました。その願いは範疇を超えているので却下です」
「ハードル高くね?」
外泊許可を求めたわけじゃのよ?
「門限は絶対です。いくら兄さんのお願いであろうと、こればかりは譲れません」
しかし、秋葉ちゃんは頑なな姿勢はブレイク出来そうにない。
仕方ない。あわよくばと思ったが、ここは当初の計画通りに進めるか。
「ならば、だ。一分間俺に抱っこされるか、門限を一時間延ばすか。どちらかを選びなさい」
「なっ──」
俺が示した究極の選択肢にさしもの秋葉ちゃんも動揺を隠せない。
そして、この提示は琥珀ちゃんたちにとっても余程意外だったのか、驚きの表情を浮かべている。
フッハハハハハハ! どうだ、この見事な誘導尋問! 尋問? まあ、そんな感じのやつは!
いくら兄妹仲が良いとはいえ、年頃の異性が抱き合うなんて話にならないだろう! ましてや秋葉ちゃんは花の女子高生、思春期真っ只中!
しかも秋葉ちゃんは日頃から遠野家当主として高い意思を抱いてる厳格な性格の持ち主。いわば、意識高い系女子かつお嬢様!
この二択を迫られたのなら、必然的に選ぶのは後者のみ!
これでアルクとの夜デートも満喫出来るな。嗚呼、自分の深謀遠慮が恐ろし過ぎる!
「──分かり、ました。大変不本意ではありますが、一分間の抱擁を甘んじて受けましょう」
「バカな、正気か!?」
頬を朱に染めながらも毅然とした態度を崩さず、冷静に誤った選択をした妹分に思わず立ち上がってしまう。
「ハグだぞ! ぎゅってするやつだぞ!? 匂いとか嗅いじゃうタイプだぞ俺は!?」
「嗅がないで下さいっ!」
バカな⋯⋯それでも前言を撤回しないだと⋯⋯っ。昨今の政治家は二転三転発言を覆す手の平ドリルだと言うのに⋯⋯!
そこまでして、門限を譲りたくないのかっ!
「──ならば、条件を追加だ! 一分間、俺の膝の上でハグをされるか。もしくは門限を伸ばすか! この二択で勝負だ!」
「〜〜っ! い、いいでしょう。兄さんの膝の上に座って抱擁されればいいのですね」
「馬鹿なぁぁぁぁぁッ!」
思わず頭を抱える俺に、さらなる追い打ちが掛かる。
「あの、志岐さん? 私と翡翠ちゃんも、秋葉様と同じものでお願いしたいのですが」
「ね、姉さんっ?」
俺は発狂した。
どの程度、月姫について知っていますか?
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無印、リメイクともにプレイ済み
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無印のみプレイ済
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リメイクのみプレイ済
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未プレイだけど設定・世界観は知ってる
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まったく知らない