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九歳になりました! 琥珀ちゃんレイプ未遂事件から四年経った訳なのだが、中々激動の日々だったぜ。
幸いにも琥珀ちゃんのメンタルは無事なようで、俺が見た限りトラウマにはなっていないようだ。あのクソロリコンも監視の目が厳しいのか大人しくしているようだし。
あの事件を切っ掛けに琥珀ちゃんとの距離はぐっと縮まったと思う。
何故か俺の専属メイドになった琥珀ちゃんは、俺が遊びに来る度に嬉しそうに近づいてくるし、何か頼まれごとをされるのを心待ちにしているのが見て取れるくらいにはソワソワしてるし。
まるで雛のように後ろをちょこちょこついて来ては、ニコッと綺麗な微笑みを向けてくるものだから、もーたまらん!
俺のメイドが可愛過ぎるから、それまでは三日に一度のペースだったけど、ほぼ毎日通いつめたね。
秋葉ちゃんや四季はこれまで以上に勉強に精を出していて、俺が強引に遊びに誘わないといつまでも机に齧り付く始末だ。
そこは兄妹なんだなと感じながらも適度な休憩は大事だと毎回言いつつ、翡翠ちゃんと琥珀ちゃんも交えて遊びストレスを発散しせている。
そんな感じで、俺たちズッ友だぜ! と四人の関係を深めつつ過ごしていたある日。
四季に異変が起きた。
これまで何ともないように振る舞っていた四季は急に苦しみ出すと、いきなり秋葉ちゃんに襲い掛かったのだ。
まるで獣のように──いや、生者を見かけた途端アグレッシブに襲い掛かる凶悪ゾンビのように、異様に尖った爪で秋葉ちゃんを襲うものだから。
咄嗟に持っていたバット──それまで野球をして遊んでいた──でぶん殴った。
「何してんだバカっ!」
「へぶっ!? ──はっ!」
当然手加減はしていたけど、そこそこ痛そうな音を奏でて吹っ飛んだ四季。だがその甲斐あって正気に戻ったようだった。
なんだなんだ、ついに秋葉ちゃんの魅力にヤられてしまったか? だとしても無理矢理なのは紳士がすることじゃないぞ!
唐突過ぎたためか秋葉ちゃんも状況を飲み込めずポカンとしていたのは幸いだった。
訳がわからないといった顔でぶたれた頬を押さえながらポカンとする四季にお説教していると、使用人たちに監視されているクソロリコンがやって来て。
苦々しい顔で「四季、お前を当主から解任する。遠野家の当主は秋葉、お前だ」と一方的に告げてきて。
もうね、情報量が多過ぎて全員ポカンですよ。
その後、秋葉ちゃんから詳しい話を聞いたところ、遠野は魔の血が流れている混血の一族であるらしい。
混血というとあれだ。祖先が人外と交わった人たちのことで異能力を持っている場合が多いんだよな。必ずしも人に仇なす存在ではないが、中には人間に危害を加える輩もいて、そういう奴は俺たち退魔師の討伐対象になると前にパパ上から聞いた覚えがある。
秋葉ちゃんも自分たちが混血の一族であることを父親に教えてもらっていて、その力を無暗に使わないように言い渡されていたらしい。
当然、兄であり次期当主である四季にも同様の教育が行われていたのだが、四季は混血の力が覚醒してしまったとのこと。それが、あの時の豹変らしい。
「兄さん、その……今まで黙っていてごめんなさい……」
泣きそうな顔で「秋葉が怖いですか……?」なんて聞かれた時は反射的に抱きしめていた。
たとえ秋葉ちゃんが人間じゃなかったとしても、俺の可愛い妹分だ。ありのままの秋葉ちゃんを受け入れるぜ。
そう告げると、秋葉ちゃんは珍しく俺の胸に顔を埋めてわんわん泣いたっけ。
混血の力が覚醒することを【反転】というのだが、【反転】した者は例外なく殺さなければならない。
遠野の掟に従い四季を殺害しようとしたクソロリコンだが、逆に殺されてしまったらしい。
そこで四季も力尽き、彼の生殺与奪の権利を得た秋葉ちゃんなのだが、掟とはいえ実の兄を殺すことなど到底出来ず四季を地下牢に幽閉した。
七夜の方でもゴタゴタがありしばらく通えなかったのだが、一ヶ月ぶりに会いに行った時にそれらを教えて貰ったのだ。
七夜のゴタゴタ? まあ子供の俺にはあまり関係ないんだけど、何でも退魔家業を再開するんだと。
うちは数年前に家業から足を洗い、護衛業などを主に取り扱うようになったのだが、何年か前にあった一族襲撃事件の背景に退魔四家が絡んでいるとの情報を入手したらしい。
退魔四家ってのはあれだ、退魔を代表する一族で七夜、浅神、巫浄、両儀がこれに該当する。
同業者にも敵がいると分かった七夜は抑止力として独自に『七極』という組織を設立。すると弱小の退魔一族がこぞって傘下に名乗りを上げ始め、今も順調に勢力を拡大しているらしい。
この辺のゴタゴタでしばらくの間、外に出るのを禁じられていたという訳だ。
さて、話を戻して秋葉ちゃんたちのことだが。兄が反転した上に人を殺し、さらには急遽当主を務めなければならなくなった秋葉ちゃん。
使用人の人たちは大勢いるけど、頼れる身内がいなくなった秋葉ちゃんたちが心配になった俺は、友として──いや、兄貴分として彼女たちを見守るため居候させてもらうことに。
「もちろん歓迎します!」
「わー! 志岐ちゃんも一緒に暮らすの!? 楽しみだね琥珀ちゃん!」
「志岐くんと、一緒に……」
秋葉ちゃんや翡翠ちゃんは大喜びで歓迎してくれて、琥珀ちゃんは赤らんだ顔でボーッと宙を眺めていたが反対はしていないようだった。
だが、肝心のパパ上からは中々許可を貰えず。
ママ上も渋っていたが、週に二日帰宅することを条件に許してくれた。
そして問題のパパ上だが、これが存外難儀で。
どうも遠野一族は要警戒一族としてマークしているらしい。道理で最初の頃、遠野に通うのに難色を示していた訳だ。
俺に退く気がないことを知ったパパ上は「俺から一本取ることが出来たら認めよう」と言って木刀を渡してきた。
稽古で度々手合わせはしているが、本気のパパ上と打ち合ったことはない。
それから一時間、持てるすべての技術を駆使してパパ上と戦い、見事一本を勝ち取った訳だ。
いやー、本気のパパ上マジヤベェ。俺も九歳になり実力的には前世の自分を凌駕したのに、パパ上はその上をいく。
基本の炎、水、岩、風、雷の五属性だけならまだしも、それらの派生である花、蟲、音、霧、月の呼吸も初見で見切ってしまうのだから、うちのパパ上マジ超人だわ。
最終的に片腕を犠牲にしてパパ上の攻撃をわざと受け、カウンターで切り札を叩き付けたことで一本取ることに成功した。
俺の切り札──即ち異なる呼吸を同時に行うことでさらなる強化を図るというもの。正中線を軸に肺と気道、声帯を左右で使い分けるという荒業だ。
成功確率十パーセントな上に失敗しても体力を物凄く消費するため実用化には程遠いけど。
まぐれでも成功は成功。パパ上の反射神経を上回る速度で手首を打ち据えたのだ。
晴れて遠野家への居候が決まった俺は、ルンルン気分で荷造りを済ませ、幼馴染みの女の子たちからの行っちゃヤダー! 発言に鼻の下を伸ばしながら村を後にした。
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いやー、遠野家の暮らしは楽でいいわー。
実家も勿論好きだけど、テレビを初めとした娯楽が充実してるのは大きい。うちの家、子供向けの娯楽と言ったら囲碁や将棋、あとスゴロクくらいだぞ。
琥珀ちゃんが正式に俺のメイドとなり、何だかいつも以上に浮き足立っているのが分かる可愛い。
掃除や洗濯など身の回りの世話をしてくれるのだが、ちゃんとメイドさんしていて、大人に混ざって仕事をしてるのを見てホッコリ可愛い。
料理も和洋中は当然のように熟せてクオリティも高く、とても九歳が手掛けた料理とは思えない品々で。来年辺りには店を持つレベルに上達していることだろう。
無表情ながらも淡々と家事をこなし、時折ニコッと綺麗な微笑みを向けてくるとかもう最高!
いつまで居候するか決めてないけど、遠野家にいる間はずっと俺のメイドなんだよなぁ。
翡翠ちゃんは秋葉ちゃんの専属メイドなのだが、まさかのドジっ娘という驚愕の事実。
すごい自信あり気の顔でハタキを手にしたかと思えば、非常に手慣れた手付きで瓶や壺を叩き落とし、掃除機を掛けるだけで絨毯が裏返り、何故か椅子やテーブルが吹き飛ぶ。
何かしらの異能を使ってるんじゃないかと疑うほど滅茶苦茶な掃除っぷり。
料理を作ろうものならダークマター的な何かが誕生するという、絵に描いたような見事なドジっ娘属性を持っていたのだ……!
でも、失敗すると照れ隠しで笑う姿が可愛いから、お兄ちゃんは花丸を差し上げちゃいます!
秋葉ちゃんなのだが、これまで後見人であったクソロリコンが亡くなったため、その後釜に座ろうと名乗りを上げた分家筋の当主たちがいたのだが全員断り、誰の力も借りずに一人で当主としての責務を果たさんと頑張っている。
いつぞやの四季のように日々勉強勉強勉強。俺も何か力になれないか試したのだが、秋葉ちゃんの教材が難し過ぎて何も出来ませんでした……!
なによ『マルクスの資本論』って。大学の専攻で使う教科書と間違えてない?
クソほどの役にも立たない俺だが、秋葉ちゃん的には一緒に勉強というのは捗るようで、その日に覚えた内容を分かりやすく説明してもらうことで更に理解を深めているらしい。
その後、一日のノルマが終わると秋葉ちゃんは甘えん坊モードに移る。
抱きついて離れなかったり、ハグを要求したり、撫で撫でを催促して来たりとあらまあ可愛らしいの一言に尽きるね。おかげで俺も毎ターンNPフルチャージ状態だ。
それと、斎木業人という商人と知り合いになった。
業人さんは全身を黒い包帯で覆い、その上からカジュアルスーツを着込んだ変質者チックな格好をしているのだが、どうも肌が弱い為らしい。
出会った当初は何だか見下した感じで嫌な印象があったのだが、自分で態度を改め今では「志岐くん」と親し気に呼んでくれる。
商人のため珍しい物とか見せてくれるし、意外と紳士的な人だ。
他にも阿良句博士という遠野家お抱えの女医さんが居るんだが、一度会ったきりで姿を見ないんだよな。
その出会いも奇妙なもので、出会い頭でいきなり頭の中が真っ白になって、気付けば姿を眩ましていた。何が起きたのかサッパリだ。
一瞬とはいえ彼女の顔はハッキリと見たし、阿良句博士の存在は秋葉ちゃんも知っていたのだか、それ以降姿を見せていない。狐に抓まれた気分です。
そして、座敷牢に入れられた四季なのだが、何度か面会することが出来た。
彼の世話は翡翠ちゃんが行っており、その日の体調などを考慮してOKが出た時のみ面会を許されている。
四季は意外と落ち着いていた。
反転した当時のことは覚えているようだし、その後も精神が不安定になることもあるみたいだが、俺が面会する時の四季は、俺の良く知る気の良い弟分のそれで。
会話の節々で秋葉のことを心配しているのが伝わって来た。
いつか、また五人で遊ぼうと約束を交わし、鉄格子越しに拳を合わせた俺たちなのだが──。
──その約束は当分の間、果たせそうにない。
どの程度、月姫について知っていますか?
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無印、リメイクともにプレイ済み
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無印のみプレイ済
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リメイクのみプレイ済
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未プレイだけど設定・世界観は知ってる
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まったく知らない