バカ VS シリアス   作:ポチ&タマ

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 24日に投稿すると言ったな。あれは嘘だ。
 誤字報告、評価、感想、アンケートのご協力ありがとうございます!


第一章
バカの目覚め


 小鳥の囀りが鼓膜を優しく叩き、カーテンの隙間から伸びる日の光が顔を照らす。

 妙に重たい頭。寝過ぎて少し体が怠い。

 

 ──長い夢を、見ていた気がする。

 

 あらゆる願いが叶うと言われる願望機を巡る、魔術師たちの戦争。

 偶然“ビーフ2000”という黄金のネコ缶を入手した俺の元に、グレートキャッツビレッジという地下王国からナマモノがやって来たり。

 なんか聖杯戦争から陰気臭い臭いがプンプンするため、ナマモノと一緒に滅茶苦茶かき回してやろうと奔走したり。

 虫臭い爺や屍臭のする神父がいたから、とりあえず殺したら後輩ちゃんやツンデレちゃんに滅茶苦茶感謝されたり。

 敵陣営だけどお構いなしに突撃しては交流を深め、英雄たちと撮ったツーショット写真をメ〇カリに出品したり。

 そんなこんなで手に入れた聖杯がドス黒く濁っていたから、とりあえずファ◯リーズの原液に一晩浸けたら翌朝にはピッカピカになっていたりと。

 まあ、夢なんだけどネ。

 

 ──ところで……なんか俺の体、成長してね? 

 

 というか何で俺、病院のベッドで寝てんの? 

 やけに細い手足は明らかに六歳のものではない。体を起こすと胸が痛み、胸元から覗いてみるとサラシのようにぐるぐる巻きになっている。

 まるで中高生のような体なんだけど。えっ、もしかしてまだ夢の中だったりする? 

 

「──」

 

 不意に病室のドアが開いた。そういえば個室なんだねここ。

 スライドドアの向こうには、綺麗な花束を持ったお嬢さんの姿が。

 十六歳ほどだろうか。肩の高さまで伸びた緋色のセミロングに、可愛らしい蝶々結びの紺色リボン。

 琥珀色の目を大きく見開き、その目尻から透明の雫が滴り落ちた。

 何故か和服にエプロンという出立ちの謎の美少女は、目に涙を浮かべながら駆け寄って来ると、抱き締めてきたぁぁぁぁあああ!? 

 

「──志岐さんッ!」

 

 柔らかいい匂でも痛いっ! 

 様々な情報が五感を刺激し脳を圧迫する!

 頬に感じる柔らかなマシュマロ、これはCカップはありますパパ上! 

 そして鼻腔を擽る良い香り、鬼殺隊一の美女だったカナエさんも花のような香りを漂わせていたが、それとは違って柑橘系の匂いがしますパパ上! 

 でも無理に体を引き寄せられてるから胸が超痛いッスよパパ上! 

 そして、何よりも、この美少女は何処のどなたですかぁぁぁぁぁあああっ!? 

 

「兄さんっ!」

 

「志岐様っ!」

 

 血反吐を吐きそうだったためタップして離してもらうと、美少女がもう二人追加された。

 一人はこの謎の美少女と同じ容姿をした女の子。違う点はCカップの方は和服エプロンなのに対して、こちらは正統派のメイド姿だ。……なんでメイド? 

 

 もう一人の女の子もこれまた美少女だ。

 歳はこの子たちと同じティーンエイジャーのようで、流れるような長い黒髪に黒のヘアアクセを着けており、白地のシャツに黒の紐タイ、脛の高さまであるロングスカートという格好。

 どう見ても育ちの良さを感じさせるお嬢さんだ。メイドを控えさせているのなら、本当にお嬢様なのかもしれない。

 が、俺の知り合いにお嬢様なんて居ない。

 ていうか、七夜の森から出ることを許されたばかりな俺に、一族以外の知り合いなんている訳がなく。

 

「えっと……どちら様?」

 

『────えっ?』

 

 空気が死んだ。

 

 

 

 1

 

 

 

 愕然とした様子の美少女たちを気にしつつ、ナースコールをポチり。

 駆け付けたナースさんと主治医の先生に追いやられた美少女たちを気に掛けつつ、怒涛の検査を終えて。

「志岐、目が覚めたか!」といつになく感情的なパパ上と、「生きていてくれてありがとう、志岐……っ」と泣き崩れるママ上の応対にあたふたしつつ。

 主治医の先生の問診結果を聞いた七夜一家は、揃って口を開けた。

 

「志岐が、記憶喪失だと……?」

 

「俺が、記憶喪失だと……?」

 

 奇しくもパパ上とセリフが被ってしまったが、これが正直な気持ち。

 いや、だって記憶が欠如している自覚ねぇもん。不自然に途切れてるところというか、違和感がないし。

 何だったら、昨日の晩飯だって言えるぜ? 

 

「ちなみに志岐、昨日の晩御飯は?」

 

「ん? 叔父さんが獲ってきた猪で牡丹鍋」

 

「昨日はカレーよ」

 

 なん、だと……。

 ママ上の言葉に思わず絶句する。パパ上もだが、ママ上はこういう嘘や冗談は口にしないタイプだから、昨夜は間違いなくカレーだったのだろう。

 さらに追い討ちを掛けるかのようにパパ上が言う。

 

「先程、この病室に来ていた女子たちは志岐、お前の妹だそうだ」

 

「俺に妹!? パパ上いつ仕込んだんだ!?」

 

「父上と呼べ。下品なことを口にするな。それと、俺たちの子はお前だけだ」

 

「……??」

 

 いや、パパ上さっき自分で言ったやん。まさかここに来てジョークですか……? 

 殺戮マシーンとも揶揄されたパパ上に人間味が出てきて嬉しいけど、その冗談は笑えんです。

 

「実はね、志岐……」

 

 

 

 そうして教えられた真実。

 まさに存在しない記憶の話で、俺としてはそんなことがあったのかと他人事のように聞くしか出来ない訳で。

 でも、パパ上の声で再び入室してきた美少女たちの表情は、長年行方不明となっていた家族の無事が分かり今感動の再会を果たした的なそれで。

 俺に彼女たちと過ごした記憶がないことを改めて突き付けられた彼女たちは、まさにこの世の終わりを見たといった顔で。

 黒髪ロングの絶壁お嬢様こと遠野秋葉ちゃんは、ショックのあまり貧血で倒れてしまうほどだ。

 

 ──これは、まさか本当に……? どこかに『ドッキリ大成功!』のプラカードがあったりしない……? 

 

 痛む体を鞭打って病室内をくまなく見て回り、廊下に立て掛けてないかも確認し、ついでにメイドちゃんたちのスカートの中に入ってないか確認しようとしてママ上にぶっ叩かれ。

 真っ赤な顔でスカートの裾を握りしめてプルプルするメイドちゃんに土下座をかました俺は、ようやく悟った。

 

 ──俺、高校生になってるッ! 

 

 

 

 2

 

 

 

「ほへー、ここが秋葉ちゃんの家かぁ」

 

 大きな門構えと、その向こう側に見える豪邸を前にポケーっと口を開ける俺。

 あれから一ヶ月。無事、退院出来た俺は再び遠野の家に厄介になるため、遠野家にやって来た。

 

 

 

 事の発端はパパ上。

 俺が記憶喪失になったのは遠野に過失があるらしく、退院後は村に連れて帰ると口にした。

 固く断言する口調からその意思は強く、秋葉ちゃんたちも何かしら言おうとしたのだが結局何も言えずに口を閉ざす。

 俺が記憶喪失になった原因は、どうも大きな事故に巻き込まれたものらしい。胸に北◯の拳に出てくるような大きな傷痕があることから、即死一歩手前まで来ていたそうだ。

 それと遠野がどう関係しているのか分からないが、反論できない秋葉ちゃんを見るにどうやら正論のようで。

 苦々しい顔で、そしてどこか泣きそうな顔で俺を見つめてくる秋葉ちゃんに思わず口を開き掛けた時、ママ上から意外な言葉が。

 

「ですがお館様、志岐はこの三人に心を砕いていました。思い出の場所で過ごせば、志岐の記憶も戻るのでは」

 

「む……」

 

「志岐の体は大人になりつつありますが、この子の心はまだ子供のままです。肉体と心の解離が進む前に、記憶が戻る可能性が高い遠野で過ごすべきかと」

 

「……七夜で過ごすよりもか?」

 

「あら。毎日楽しそうに秋葉ちゃんたちとの出来事を報告していた姿をお忘れですか?」

 

「……むぅ」

 

 というやり取りがあり、渋々ママ上の案が可決され。

 深々と頭を下げる秋葉ちゃんたちに優しい眼差しを向けるママ上に、どの時代でも母は強しと感じたのだった。

 

 

 

 全自動の門を超えて手入れの行き届いた前庭を通り、玄関の呼び鈴らしきボタンを押すと、扉の向こうでパタパタと人が走る気配が。

 

「お帰りなさいませ、志岐様」

 

「お帰りなさいませ、志岐さま」

 

 扉が開かれると、恭しく頭を下げる翡翠ちゃんと満面の笑みを浮かべた琥珀ちゃんが出迎えてくれた。

 

「ただいま?」

 

 かつてこの家で家族同然に暮らしていたらしいからこの言葉が適切なんだろうが、記憶にないから滅茶苦茶違和感があるな。

 でも、俺の言葉に嬉しそうに微笑む二人を見ると、何も言えなくなるわ。

 

「もうすぐ秋葉様がご帰宅されますので、それまで居間でお寛ぎ下さい」

 

「ご案内しますね」

 

 扉を潜ると玄関ホールに躍り出たのだが、ホテルと見間違いそうなほど豪奢だ。

 訪れる人を圧倒する建築美。どことなく大正時代を彷彿とさせるモダンな内装。

 翡翠ちゃんは別の仕事があるのか、丁寧に頭を下げるとそそくさと去ってしまった。

 ゆったりとした所作で歩く琥珀ちゃんの後ろをついていく。

 

 居間もまた豪奢だ。ペルシャっぽい絨毯が敷かれており暖炉が暖かな火を灯している。

 幾らするのか想像もつかないアンティーク調のソファーに腰を下ろすと、こちらの体重を優しく受け止めた。

 慣れた手つきで紅茶を注いだ琥珀ちゃんからティーカップを受け取り、ちびちびと飲む。

 

「美味っ! 午◯の紅茶しか飲んだことないけど、本物の紅茶ってメッチャ美味いな」

 

「ふふっ、ありがとうございます」

 

 ニコニコと笑顔を浮かべる琥珀ちゃんの美貌で目に保養を与えつつ、きょろきょろと居間の中を見回してしまう。

 うーん、今までバリバリの日本家屋だったから、いきなり高グレードの洋館になると落ち着かないな。

 

「ふふ、借りてきた猫ちゃんみたいですね。お気持ちは分かりますが、どうぞ楽になさってくださいまし。此処は志岐さまの家なんですから」

 

「俺の家ねぇ……」

 

 良いのかい、本当に俺の家だと思っても。遊び回って高そうな壺とか壊しちゃうぞ?

 至るところに高級っぽい調度品が置いてあるから、うっかり壊してしまわないか心配だわ。

 

「秋葉様がご帰宅されるまで、そうですねぇ……恐らく十分ほど掛かりますから、それまで屋敷の中を見て回るのもよろしいかと」

 

「えっ、いいの? 勝手に色んな部屋を覗いちゃうぞ?」

 

 こんな洋館、探検しないわけがない! 

 ウキウキ気分で微塵の躊躇もなく全部屋踏破するぞ俺は!

 

「何を仰いますか。此処は志岐さまのお家なんですから、勝手も何も御座いません。あ、でも秋葉様のお部屋は出来ればご配慮頂けると」

 

「年頃の娘だもんね。じゃあ、秋葉ちゃんと琥珀ちゃんたちの部屋以外を見て回るよ」

 

 ところで、他のメイドさんや執事の人を見掛けないんですけど……?

 

「此処には秋葉様と翡翠ちゃん、そして私しか居ません。昔はもっといたのですが、秋葉様が御当主になられてから皆さんに暇を出しましたので」

 

 ……。

 

 なにその、火曜サスペンス劇場にありそうな設定!




 予定では7話更新でしたが、なんと14話に。これも応援して下さる皆さんのおかげダヨ!



0



 ――これは、いつか見た夢の果て。

 ――終わりなき、英雄(バカ)の物語。


「願いが何でも叶う願望機? あ、宗教の勧誘はお断りしてるんで……」


 ――集いし役者は十四名。

 ――セイバー、アーチャー、ランサー、キャスター、ライダー、アサシン、バーサーカー。

 ――サーヴァントと呼ばれし者たち。いずれも音に聞こえし歴戦の英雄/反英雄。


「ふむ。君も聖杯戦争に参加するのだね?」


「なんか流れでそうなりました。それはともかく死人が喋るなや」


「な、に――?」


 ――彼らと共に駆ける戦友は、神秘を扱いし魔術師たち。

 ――総勢十四名、七組から成るバトル・ロワイアル。


「俺、衛宮士郎って言うんだ。こっちはセイバー」


「こちらも名乗らねば無作法というもの。我が名は、七夜――」


「ところで少年、ネコ缶持ってにゃい? お主の体からは、黄金の比率を与えしゴールドネコ缶の匂いがするんだが。それはそうと、これは良い爪とぎですね」


「わ、私の剣を爪とぎ扱い……」


「ちょっと第一印象くらいバッチリ決めさせてよ! お前、今日の缶詰め一個な!」


「そんにゃ! 志岐はあちしに死ねと申すか!? おお、なんというネコ殺しもといキャットマーダー。もう怒ったにゃ! あちし、実家に帰らせて頂きます!」


「えっと、なんていうか、個性的なサーヴァント? だな」


「……シロウ、当世のネコは皆あのようなナマモノなのですか?」


 ――そこに現れる一組のイレギュラー。

 ――方や、直視の魔眼を持つ七夜の秘蔵。

 ――方や、ネコ王国グレートキャッツビレッジからやって来た、一匹のナマモノ。

 ――召喚されしクラスは、ムーンキャンサー(エクストラクラス)


「諦めよ桜。お主は間桐の人間。我が大望を叶えぬ限り、お主に自由は訪れん。ましてや小僧などと――」


「にゃ? そこにいるは士郎大好き娘。ははーん、さてはこの爺に弱みを握られて好き勝手されてたくちと見た。外道爺死すべし慈悲はにゃい。ってことで真祖ビーム!」


「ついでに直死でぶすっと。なんかこの街ってアンデッド多くね? そういうの引き付ける系の土地なん?」


「――なん、だ……体が、崩れ……儂、が……消え――」


「お、お爺様……? えっ、七夜先輩?」


 ――イレギュラーとイレギュラーが手を組んだ、この聖杯戦争。

 ――かくあれかしと定められた運命が、捻じ曲がる。


「こちらネコアルク。エコール本社に潜入した。なんか指示をくれ。コンバット越前」


『こちらコンバット越前。目標のおパンツ(ブツ)を入手した後、ただちに離脱せよ』


「あら? 何かしらこの……えっと、ネコ?」


「どうした凛……なっ! そ、ソイツは……!」


「にゃにゃにゃ。体はネコで出来ているー」


 ――その日、少年たちは。


「そういえばさ。聖杯手に入ったらどうすっか」


「ネコ、地獄へまっしぐら。キャットフードはウェルダンでお願いします。聖杯? とりあえず世界中のドッグフードをネコ缶に変えるかにゃ」


 ――割とどうでもいい運命と出会う。



 Fate/Fool Night ~バカとナマモノの聖杯戦争~

    2999年/12月31日 21:00放送




【ナマモノ(wiki参照)】

 主武装は研ぎ澄まされた爪、そしてビーム、あえてジェット。
 無限に仲間を呼び、目からビームを出し、ジェットで空を飛ぶ。
 戦闘力は出力30%のアルクェイドのおよそ半分。つまりサーヴァントの2倍の強さ。虚言癖あり。金持ちには全面降伏。

 メカヒスイの全てのスキャンを無効化し、質量が増大するなど様々な意味で論外。謎の推進剤によるジェット飛行、謎のエネルギーによる目から怪光線、無限増殖する細胞と、まさに未知の超生物といえる。
 彼女(?)はタイガとともに勝てる相手も負ける相手もいないという不思議キャラで、両者を戦わせるといわゆる千日手になる。なお、ちょっとナマモノ有利らしい。
 月姫、Fate、空の境界、DDDの不思議系の中でマジカルルビーに次いで強い。相当なダメージを負っても寝返りを打てば元通り。

 本当は月まで行ってから目標に向けて落下する超技があるが、ナマモノ自身も耐えられないことが問題。多段ロケットのように宇宙空間を飛ぶことができるが、止まり方はナマモノ自身も知らない。
 高度な知能を持っており、日夜世界を面白おかしくするために暗躍する。

どの程度、月姫について知っていますか?

  • 無印、リメイクともにプレイ済み
  • 無印のみプレイ済
  • リメイクのみプレイ済
  • 未プレイだけど設定・世界観は知ってる
  • まったく知らない
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