変更点としましては、清隆が結果1に固執した場合という流れです。それに合わせて、優待者の法則なども既に竜グループのDクラスメンバーには話してあります。
今回は前回と逆で、切り良くディスカッションから話が始まりますので、少し短いかもしれません。ちなみに、前回同様にTレックスの出番はほぼないので、興味のない人は回れ右!
――二回目のディスカッションが始まった。
堀北を時間まで可愛がって竜グループに行くと、アナウンスが流れると同時に桔梗が早速とばかりに立ち上がる。
そのまま、各クラスの代表に、前回のディスカッションで確認した、全てのグループで結果1を目指すことについての答えを聞いていった。
一番最初に返事をしたのは龍園。意外なことに、特に反論はないようで桔梗の提案を全面的に受け入れると言っている。
下手な小細工をして微妙なCPを稼ぐよりも、桔梗の提案に乗ってPPを大量に集めた方がメリットが多いと判断したようだ。
続けて一之瀬も肯定を返してくる。上に行くチャンスを一つ失うが、代わりにこれ以降を戦う武器が手に入ると考えれば悪くないと思ったのだろう。
ただ、龍園の裏切りを警戒しているのか、これでもかというくらい契約は教師立会いの下で確認することを訴えている。
最後にAクラスだが、葛城は提案を拒否した。
どうやら、坂柳派と葛城派で意見が分かれたようで、纏まりそうもなかった所から、現状のだんまり策を推し進めることにしたらしい。
つまり、リーダーとしての無能を曝け出したということだ。これには龍園も大爆笑で、一之瀬すら苦笑いしている。
それはそうだろう。Dクラスですら出来たことが、エリートのAクラスに出来なかったのだから。
深掘りしてみると、坂柳派は結果1に賛成の意を示したが、葛城派が現状維持を訴えたようで真っ向から言い合いになったらしい。
無人島試験の結果で求心力の下がっている葛城ではクラスを纏められなかったのだろう。葛城の内心は定かではないが、元々自分が提案した作戦をそう簡単に撤回できなかったというのもありそうだ。
しかし、偶然ではあるが、葛城は正しい選択をしたな。
もし、仮に葛城が賛同して契約を結んでいたら、その時点でAクラスは壊滅していた。
桔梗が提案した契約――裏切りを行ったクラスは、所属する生徒全員が現在持っている全てのPPと試験で手に入れたPPを裏切った相手のクラスに譲渡する。その上で、この先学校から入手する全てのPPも、他の3クラスに割って譲渡する――これは、一見裏切りが出来ないように見えるが、実は穴が存在していた。
他クラスに裏切り者を作ることさえ出来れば、意図的に契約を破らせることが出来るのだ。
例えば、真澄を裏切らせて、兎グループだけ結果4で終らせ、その後に他のグループを結果1にして集めたPP2000万を使用して、真澄をDクラスに移動させる。
これで、真澄には一切のデメリットなしに、AクラスのPPを卒業まで0にすることが出来る――のだが、運良く躱されてしまった。
だが、拒否されることも考慮済みだ。
目線で桔梗に合図を送ると、「こうなった以上は仕方ないね」と言いながら、メールを送る仕草を見せる。
すると、それから一分もしないうちに、この場にいる――否、この試験に参加している全員の携帯に、学校からのメールが届いた。
『鼠グループの試験が終了いたしました。鼠グループの方は以後試験に参加する必要はありません。他の生徒の邪魔をしないよう気をつけて行動して下さい』
「は?」
――と、声を漏らしたのは誰だったか、それがわからないくらいにはグループ内に動揺が走った。
しかし、桔梗の直前の動きから、彼女の指示でこの結果が生まれたと想像するのはそう難しいことではない。
「……櫛田、何をした?」
声を上げたのは葛城だった。
冷静な奴にしては動揺が顔に出たままでいる。対する桔梗は何でもないような顔をしたまま、携帯電話を見せつけるようにヒラヒラさせた。
「鼠グループのメンバーに連絡して、Aクラスの優待者を指名して貰っただけだよ」
「馬鹿な。まだ初日だぞ? こんな短い時間で各グループの優待者が誰かなどわかるはずがない」
「葛城くんにはわからなくても、私にはわかる。実際、鼠グループはAクラスの生徒が優待者だって言うのはそっちの方が良く知ってるでしょ――で、どうする? 私は残りのグループも、出来れば結果1で終わらせたいと思っているんだけど……」
それは暗に、逆らえば他のグループも試験を終わらせるという脅しだ。勿論、ブラフの可能性はある――しかし、もし本当に櫛田が優待者を見つけていた場合、Aクラスの損害は計り知れない。
様子を見ていた一之瀬や龍園も、あまりの状況に表情を取り繕えていなかった。この場は完全に櫛田が支配したと言って良いだろう。
「それは脅しか?」
「そうだよ。だって、本来ならAクラスは敵なんだし、お互いにメリットを甘受しようといって拒否されるなら敵対するしかないでしょ?」
笑顔でそう話す櫛田に、おそらく葛城は恐怖を感じているはずだ。
実際、櫛田は優待者の法則など知らない。ただ、オレの命令で優待者を名指しで指名するように指示されているだけ――それでも、あれだけの威圧感を持つ強者を演じられれば呑まれても仕方なかった。
「乗らないでください葛城くん、ハッタリに決まっています。まだ優待者がわかってから一日経っていないんですよ。そんな短い時間で全てのグループの優待者を突き止められるはずがありません」
「鼠グループの優待者は、石田優介くん」
「なっ!?」
今試験が終了した優待者を名指しされて、Aクラスの的場が動揺した素振りを見せる。それだけで、桔梗の言葉が合っているという証明だった。
「何なら、他の鳥グループと猪グループの優待者も知りたいなら話してもいいけど……?」
「ま、待ってくださいっ!」
他にAクラスの優待者がいるグループを名指しされて、そこの優待者もバラすと言えば、もうそこからは転げ落ちるようにAクラスは慌て出す。
そんな中、ようやく落ち着いた龍園が、何やら考え込みながら桔梗に声をかけてきた。
「解せねぇな。もし、お前が本当に他のグループの優待者がわかっているなら、Dクラス以外全部指名してしまえば+450ものCPが手に入る……それをせずに2000万近いPPに固執する理由はなんだ?」
「単に恨みを買いたくないだけだよ。ここで仮にうちのクラスが全部のグループの優待者を当てて逃げ切ったとして、Aクラスを維持できるとは思えない。他の三クラスの集中狙いを受ければうちなんてすぐにまたDクラス落ちだからね」
それは前からずっと言っていることだ。だからこそ、今は軍資金を貯める必要がある。
今の指名により、一グループ分のマイナスは出てしまったが、それでもまだ1800~1900万程のプラスは出せるはずだ。
「ちなみに確認したいんだけど、BクラスもCクラスも、まだ私と一緒で全グループ結果1に納得してくれてるって考えていいんだよね?」
先程までとは同じ言葉でも状況が違う。
もし、ここで拒否すれば、今度は自分のクラスの優待者が狙われかねない。それがわからない一之瀬と龍園ではなかった。
「ああ。問題ない」
「そうだね、後はAクラス次第じゃないかな」
そう言って、視線をAクラスに戻す。
正確には、Aクラスリーダーの葛城にだ。的場はもう意気消沈したように座り込んでいる。それに、坂柳がいない今、グループを纏めることが出来るのはこの男だけだろう。
「じゃあ、葛城くん。明日のディスカッションまでに、もう一度Aクラスの意見を纏めておいてもらえるかな?」
「……もし、答えが何も変わらなかった場合は?」
櫛田は何も言わずに笑みを浮かべる。
それが答えだった。
「……わかった。俺が責任を持って説得する。Aクラスも、結果1にすることに同意しよう」
これ以上、クラスにマイナスを強いることは出来ないと判断したのだろう。葛城が独断で結果1にすることを受け入れた。後は契約を結んで裏切れなくするだけだ。
「ちょっと待てよ、桔梗」
しかし、ここで龍園が待ったをかけてくる。予想外のイレギュラーに、桔梗に軽い動揺が走った。
「どうしたの、龍園くん?」
「どうしたのじゃねぇ。俺たちは確かに結果1にすることには納得した。だが、Aクラスを説得するためとはいえ、お前は約束を破って他のグループの優待者を指名した――これは立派な契約違反じゃねぇのか?」
「……まだ契約はしてないはずだけど?」
「『裏切り者が出た時点で契約も何もなくなる』――そう言ったのはお前だぜ?」
言っていることは揚げ足取りに近いが、龍園の言葉も間違ってはいない。一之瀬も文句こそ言ってはいないが、脅されている状況に納得はしていないだろう。
「ならどうするの? Cクラスは結果1を目指すのを止めるの?」
「いいや、ただこのまま契約を結ぶのは、既に結果3を出しているお前らがあまりにも有利過ぎるってことさ」
「……正解しているって保証はないよ?」
「なら、そもそもこんな状況にはなっていないだろう。どんなに言い繕うとも、お前はオレたち全員を脅しているに等しい。そんな言い訳は通用しないんだよ」
これは半分言いがかりだ。龍園としては自分のプラスになる落としどころを探している。
だが、仮にここで桔梗が反発すれば、マイナスを覚悟でA、B、Cの全てのクラスが結託しかねなかった。龍園は上手く場の反感を利用して、流れを強引に掴もうとしている。
「で、龍園くんはどうしたいの?」
「簡単だ。ポイントの差をなくせばいい。互いのクラスの優待者を一人教え合い、交互に選択する。今、DクラスはAクラスを指名した。なら、AクラスはDクラスを指名、BクラスはCクラスを指名、CクラスはBクラスを指名すればCPのマイナスをなくした上で等しく50万PPが与えられる。これが平等ってもんだ」
確かにそうだが、それだと4グループ減って、残りのグループ数が8になってしまう。そうなれば結果1で手に入るPPは1300~1400万程まで下がり、そこから個人報酬の10万を引くと、Dクラスの貯金は1000万程しか残らない。簡単には呑めない提案だ。
オレの今の手持ちと合わせて2000万を超えさせるには、最低でも1100万以上のPPが欲しい。
「……駄目。それだと結果1で貰えるPPが減って、結果1を狙う意味がなくなっちゃう」
「なら、代案だ。お前の出した契約条件を白紙にした上で、A、B、Cクラスで新しい契約条件を作る。Dクラスはそれに無条件で賛同しろ」
契約条件の変更――おそらくはこれが龍園の本命だ。わざわざ契約に干渉してきたということは、この契約の穴に気づいたのだろう。
どちらにしろ、一度代案を突っぱねている以上、ここでの拒絶は敵対に等しい。敵対すれば、龍園はマイナス覚悟で牙を剥いてくる。桔梗が横目でこちらの様子を伺ってくるが、ここは頷きを返すしかなかった。
「一方的にうちがマイナスをくらうような条件は吞めないよ?」
「クク、そこまで馬鹿じゃねぇから安心しろ」
契約を悪用し、裏切り者を利用して意図的にPPをゼロにする策――オレはAクラスを狙うつもりだったが、これはやろうと思えばCクラスにも仕掛けることが出来る。
龍園としても、クラス内に時任のような反乱分子がいる以上、少しでもダメージを受ける可能性は排除したいのだろう。
「わかった。それでいいよ」
「なら、ここからは楽しい楽しい契約書作りだ。各クラスから一つずつ、条件を出して行け。まずは俺だ……そうだな、グループの結果が1以外になった場合、そのグループには罰を与える」
「罰って?」
「裏切り者が出て結果3になった場合、裏切り者が入手したPPを優待者のクラスに返し、入手したPPの10倍の額をさらに残りの3クラスに譲渡する。結果4になった場合も、裏切り者が入手するはずだったPPの10倍の額を残りの3クラスに譲渡する。こんな所か」
龍園が提案したのは、裏切り者が優待者を当てて50万PPを手に入れた場合、マイナスが出たクラスに奪ったポイントを返還した上で500万PPを渡し、他の2クラスにも500万PPずつ渡して、裏切ったクラスにマイナス1500万PPを強いるというもの。
また、裏切りを失敗した場合でも、裏切ろうとしたクラスは残りの3クラスに500万PPずつ、計1500万を渡すという契約だ。
これなら確かに、誰かが裏切って他のクラスを指名しても1クラス指名する度に、マイナス1500万PPかかる。
仮にCP50を手に入れたとしても、結果1で手に入るPPもほぼ少なくなり、もっと欲張ればマイナスは増えていくということか。確かに、これなら迂闊に裏切れない。
しかし、あの龍園が当たり前のように普通の契約をしてくるとは思えなかった。この契約には何か裏があるはずだ。
「……悪くないけど、これなら別に私の契約でもいいんじゃない?」
「お前のルールだと、他のクラスに裏切り者を作って裏切らせれば、敵のクラスのPPを意図的にゼロに出来るからな。これくらいが丁度いいのさ」
やはり、龍園はこちらの裏の策を読んでいたか。
逆に気づいていなかった葛城や一之瀬は、龍園がどうして契約条件を作り直すと言い出したのかを理解したようで、驚いた表情で桔梗を見ている。
「で、次はどっちだ? 好きに決めろ」
「なら、私から――試験の解答は最終日に定められた21時半から22時以内に行い、それ以外の時間に学校にメールを送ってはならない。裏切った場合、その生徒が所属するクラスは、他の3クラスに500万PPずつ支払うこと」
「問題ない」
龍園は即答した。うちに拒否権はないが、一之瀬が「どうかな?」と聞いてくる。こちらも特に問題ないので、桔梗には頷かせておく。
「じゃあ、最後は俺か……互いのクラスの優待者を公開し、確認し合うことを提案する。そうでなければ、グループで裏切り者が発生した場合に、どのクラスが裏切ったかが判別できないからな」
これはこちらだけが優待者を知っているという優位性を捨てるというデメリットが大きいが、ここでごねれば結果1にすることは出来ないだろう。今回は出来る限り、PPが欲しいのでここも頷いておく。
既に桔梗にはうちのクラスの最後の優待者が軽井沢であることはメールしてあるので、クラスの優待者は全員把握していた。
「クク、うちも問題ねぇ。むしろ、その条件が出なかったら追加してた所だ」
「確かに、先生も優待者や回答者の情報は公開しないって言ってたし、各グループの優待者が誰なのか把握できてないと、裏切りが起きた時に確認が出来ないもんね」
龍園や一之瀬も納得を見せている。うちに拒否権がない以上、頷くしかなかった。むしろ、ここで優待者の法則もバラしてしまった方がいいだろう。
「……どうせ、優待者をばらすなら、うちが調べた優待者の法則も教えておくね。優待者が選ばれる基準は、各グループの干支の動物と、グループ内の生徒をクラス関係なく名前順にした時に重なる人物なの。この。竜グループの場合、竜は干支だと五番目、グループ内の五番目は私――だから、このグループは私が優待者」
そう言って、櫛田は学校から送られてきたメールも見せた。また、各クラスも優待者を公開し、法則が間違っていないということも確認する。その上で、改めて契約を結んだ。
――契約。
・グループの結果が結果1以外だった場合、そのグループ内の裏切り者が所属するクラスに罰を与える。
・罰1――結果3だった場合、裏切り者が入手したPPを優待者のクラスに返し、入手したPPの10倍の額をさらに残りの3クラスに譲渡する。
・罰2――結果4だった場合、裏切り者が入手するはずだったPPの10倍の額を残りの3クラスに譲渡する。
・試験の解答は最終日に定められた21時半から22時以内に行い、それ以外の時間に学校にメールを送ってはならない。裏切った場合、その生徒が所属するクラスは、裏切って手に入れたPPを相手のクラスに返還し、その10倍の額を他の3クラスにも支払う。
・互いのクラスの優待者を公開し、確認し合う。法則の確認と共に、もし嘘をついた場合は、他の3クラスに500万PPを支払う。
――と、改めて契約内容を文面化したことで、ようやく龍園の狙いがわかった。しかし、間に合わない。今から桔梗にメールで指示を出しても、それを確認して反論するには時間が足りなさすぎる。
そうこうしている内に、第二回のディスカッションが終了した。同時に、この契約書を4クラスの代表と共に、各クラスの教師立会いの下で受理して貰いにいく。
その際、坂上以外の教師が酒臭いという事件があったが、これで契約は受理されてしまった。だが、この契約にもまた穴がある――龍園は間違いなく、そこを突いてプラスを得ようとしてくるだろう。
これならば、最初の龍園の提案を受け入れておくべきだったか――と、少し後悔したが、これは純粋に龍園の交渉が上手かったのと、オレが桔梗をラジコンにしているデメリットが出てしまった。
桔梗は確かに優秀だが、連絡手段が事前の指示やメールである以上、どうしても新しくオレの意思を伝えるのにラグが出る。今回のように時間がない場合、対応がどうしても後手になってしまうのだ。
結果として、それまでAクラスを圧倒して場を支配していた桔梗も、龍園というイレギュラーに対抗できずに場の支配権を奪われてしまっている。
そういう意味ではオレがこうして姿を隠していることにもデメリットがあった。いずれ、オレが前に出てクラスを率いる――と、いう状況も必要になってくるかもしれない。どちらにしろ、今回は後手に回させられたな。
と、考えながら部屋に戻ろうとすると、一之瀬がオレを待っていたようで、廊下で背中を預けるように立っていた。
一応、彼氏彼女ってことになっているし、別におかしなことでもない。「少し、話さない?」と言われたので、一之瀬をオレの個室に連れていく。
どうも、一之瀬は今回の桔梗の意見がオレの意見だとわかっていたようで、「綾小路くんは、この試験をどうしたいの?」と聞かれた。
まぁ、セフレ同士の付き合いもあって、普段の桔梗を知っている一之瀬からすれば、今回の桔梗はあまりに人が変わったように見えただろうし、裏にオレがいると推測できてもおかしくはない。
だが、とりあえず一之瀬も、オレという存在を表にばらすつもりはないようだ。
もし、そのつもりなら、わざわざ二人きりにならなくても、オレのことを言及すればいいだけだからな。
それをしなかった時点で、オレが進んで表に出たくないというのがわかっているはず――いや、そもそも桔梗を使っている時点で、オレが裏に居たいというのは察しが付くか。
口外しないというのなら、話しても問題はないだろう。一之瀬にも、オレが今回結果1を望んでいたことを説明する。そのために、Aクラスを脅して譲歩を引き出そうとしたが、そこを龍園に上手く利用されたことも話した。
一之瀬も龍園が契約の条件を変更したのは他にも何か理由があると察していたようで、オレの話を聞いて驚いている。
しかし、今回はもう受け入れるしかない。それに、今回の結果もマイナスばかりではなかった。これで各クラスのヘイトが龍園に向くことになるからな。
一之瀬としても、龍園の策に思う所はあるようだが、気づけなかった以上は文句も言えないと悔しそうにしている。
とはいえ、おそらく今回の試験でマイナスを受けるのはうちとAクラスだ。Bクラスはデメリットなしでメリットを甘受することが出来る。だからこそ、余計にこちらに罪悪感を覚えているのだろう。
居心地悪そうにする一之瀬が、「そ、そろそろ部屋に帰るね」と言い出したが、当然ながらこんな時間にオレの部屋に来て素直に帰れるはずもなかった。
一之瀬も察して逃げようとしたみたいだが、オレに捕まると「ほら、明日も試験があるしね! 体を休めないとね!」と、真っ赤になって言い訳をしている。
が、抱きしめてTレックスを押し付けてやると、言い訳の声も尻すぼみになった。もう逃げられないと悟ったようで、「せめて、少しは寝かせてね」と、お願いされる。
ならば、望み通り意識を失うほど激しく愛し合おうではないか――と、いうことで、何だかんだ期待していたらしく、内股をもじもじさせる一之瀬と唇を合わせながらTレックスを解放した。
本文の変更点。
・結果1にすることに固執して、Aクラスを脅した。
本文では諦めて結果3に移ったが、ここではPP欲しさに粘っている。途中までは順調だったが、最終的には龍園にしてやられた。
・リモコン問題の発生。
本文では上手く立ち回っていたが、やはり櫛田本人の能力自体が高くないため、知恵比べになると改めて指示を出す分、一歩遅くなる。今回は清隆が龍園の狙いに気づくのが遅れたこともあって、完全に後手に回った。
※もしもシリーズの続編。神室をAクラスから移動するためのPP欲しさに少し無理をした場合はこうなるというルートでした。次は♯40IFが後編になりますが、その間に起きる出来事の変化は皆様の脳内で上手く補完して頂くと助かります。