ようこそ俺小路くんの無念を晴らす教室へ   作:おこむね

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【2年生編】原作3~4巻:無人島サバイバル試験終了まで。
♯028 『真夏のキャットファイト』


 7月16日(金)――一学期の終わりを告げる終業式が行われると同時に、グループ作りも一旦の終了となった。これ以降にグループを組む場合は、試験開始を待つしかない。

 ここから土日を挟んだ19日(月)の今日、オレたちはいざ無人島へと向かう訳だが、その前に最終確認があるということで、各自荷物を持っていつものようにクラスへと登校し、担任の教師が来るのを待たされることになっていた。

 

 席に着いて前を見ると、黒板代わりの大型モニターには、忘れ物がないかどうかのチェックシートが表示されている。無人島試験とバカンスを含めば、約3週間は船の上で過ごすことになる以上、忘れ物は致命的なミスとなるだろう。

 とはいえ、大きく用意すべきものなど着替えを始めとした生活用品くらいのもので、他に必要なアイテムは去年同様に茶柱や星之宮を経由して船に運ばれる予定だ。

 

 当然の如く、今回も個室をレンタルする。今年は星之宮が全額負担を約束してくれたため、何の憂いもなく個室を利用することが出来ることになっていた。

 

 その後、茶柱がクラスに顔を出し、体調確認や荷物チェックを終わらせると、グラウンドに集合してバスに乗っていく。

 そのまま数時間後には船の上へと移動となる訳だが、その前にバスの中では試験後に夜の順番を決めるババ抜きがセフレたちの間で行われることになった。

 

 雪、真澄、桔梗、愛里、鈴音、千秋、恵、ひより、佐藤、波瑠加――参加者はこの10人。

 

 茶柱は口を開いて何かを言おうとしていたが、あまりのやる気を見て不参加を口にするだけになっている。篠原は流石に池がいるので自重していた。

 みーちゃんや井の頭、小野寺はまだ深い関係ではないと言うこともあり、そこまで開放的にはなれないのか、勝負の存在自体は認知しているようだが参加は見送っている。

 

 とはいえ、実はこの勝負にあまり意味はない。

 

 と、言うのも、星之宮からの情報で今年の船内での行動には夜間の外出制限がかかると事前にオレにだけ伝えられていたのだ。

 茶柱も口に出しかけていたようだし、いずれ全員が聞くことになるだろうが、当然ながら夜の順番を決めても夜間に外出が禁止されては部屋に来ようがない。

 

 なら、早く伝えてやれ――という話だが、ババ抜きという単純な競技にも、ここまで熱が入ってしまっては、場を冷やすのは逆に空気が読めない奴ではないだろうか?

 それに豪華客船で夜を共に過ごすのは無理だとしても、学校に帰ってから結果を反映してやればいいだけの話だしな。楽しそうにしているのを邪魔するのは少し気が引けた。

 

 改めて、あからさまに燃えているのは、雪、桔梗、千秋、恵、佐藤の5人。冷静ぶって負ける気なしなのが真澄、鈴音、ひより、波瑠加の4人で、愛里だけは自分の番が来るなら順番には拘らないというリラックスした状態だ。

 

 そんな無欲さが幸運の神に気に入られたのか、愛里は一度もジョーカーを掴まないまま、1位抜けを決めていた。

 続けて、愛里の隣に座っていた波瑠加が2位で、雪が3位と順々に勝負は進み、最終的には真澄と恵が最下位決定戦を繰り広げている。

 

 お互いにジョーカーをトレードし続けているのは、わざとなのではないかと思うくらいに互角の状況が続き、最後は恵が見事に勝ち抜け真澄が最下位となった。

 

 表向きはたいしたことじゃないと、澄ました表情を浮かべている真澄だが、その実悔しがっているであろうことは容易に想像がつく。

 雪も、「悔しい? ねぇ、悔しい真澄ちゃん?」と、3位の余裕を見せつけており、「うるさい」と頭を叩かれていた。「真澄ちゃんがぶったー!」、「あんたがうざいからでしょ!」と、キャットファイトが始まりかけたが、茶柱の「うるさいぞ、静かにしろ」の一言で渋々鎮火している。

 

 道中、そんな熱い戦いが繰り広げられながらも、午前10時になる頃には港に着き、豪華客船サン・ヴィーナス号に搭乗していく。

 軽い説明を受けた後は自由行動となり、各自が部屋に荷物を置きに行くが、当然ながらオレだけはここでPPを支払って別室に移動する。

 

 この後、午前11時から昼食会場がオープンし、1年生から順番に昼食を取っていくことになっていた。人数の都合から、2年生、3年生は時間がズレており、2年は12時から、3年生は13時から昼食となる。

 そして、12時半から1年生は特別試験の説明会。2年生は13時半から、3年生は14時半からということで、昼食まで少し時間が余っていた。

 

 せっかく順番を決めたのだからそれに従おうということで、愛里にオレの部屋番号を伝えて呼び出していく。

 何故か、波瑠加も一緒に居る(「あいりんが迷うといけないから、道案内してきた」と言い張っている)が、去年と同じで部屋はかなりの広さを誇っているので二人が一緒でも特に問題はなかった。波瑠加も、愛里に続く2位だったしな。

 

 そのまま、12時までの短い時間だが、愛里や波瑠加と個室を満喫していく。ベッドも去年に負けず劣らずふかふかで心地よく、途中で愛里が眠気に負けて落ちるくらいには最高の部屋と言って良かった。

 愛里が眠ってからは、波瑠加がTレックスを独占しており、海の上ということで開放的な気分になったのか、珍しく大胆にこちらを責め立ててくる――が、最終的にはTレックスの咆哮の前に沈んでいた。

 

 そんなこんなで12時になる頃にはシャワーも浴びて、豪華な料理に舌鼓を打っていく。

 

 それから食休みを挟んで前回は楽しめなかった船の上からの景色を楽しんでいると、1年生の説明会が終わり、2年生が説明会の会場である映画館へと移動していった。

 

 特に決められた席はなく、各自自由に座っていいということだったので、後方の適当に空いている席に腰かける。

 途中で合流した雪も当然のようにオレの隣に座ると、オレの反対側には龍園クラスの澪が腰を降ろした。珍しいな――と、思っていると、そんなオレの内心を読んだかのように、「何よ?」と、こちらに声をかけてくる。

 

「いや……そういえば、坂柳と同じグループになったんだな」

「龍園の奴が勝手に私とアルベルトを売ったのよ。私の意見はガン無視でね!」

 

 原作では一人で無人島試験に参加していたこともあって、どうやらこのグループ作りは澪の意にそぐわなかったらしい。納得できないとばかりに憤りを見せており、それを見てオレの隣の雪が顔を出して澪を宥めている。

 

「まぁまぁ、澪ちゃん。落ち着いて落ち着いて」

「女子で能力の高い生徒は意外と多くない。そういう意味で、お前は坂柳に目を付けられたんだろう。評価された証だ」

「にしたって、一言くらいあってもいいでしょ」

「あの龍園にそういうデリカシーを期待するのはやめておけ。それよりも坂柳とは上手くやれそうか?」

「まぁ、普段は敵でも今回は味方だし、少なくとも反抗する気はないよ。どんなグループであれ、組んだ以上は1位を目指す。ただ……集団行動って、あまり性に合わないのよね」

 

 と、愚痴をこぼしていると、澪の隣に2年Aクラスの鬼頭がどかっと腰深く席についた。

 

 別に何かを言ってくる訳ではないが、澪としては監視されているような気分なのか、「別に何も言やしないわよ」と、面倒くさそうに呟いている。

 

「で、そういうあんたは一人みたいだけど?」

「ちょっと事情があってな。だが、最後まで一人でいるつもりはないから、最終的にはどこかのグループに合流するつもりだ」

「雪は『増員』持ってんだっけ……ってことは、堀北、一之瀬グループ辺りと合流するって感じ?」

「さてな。ご想像にお任せって感じだ」

 

 澪がこちらに探りを入れてくるのを適当にやり過ごしていると、そろそろルール説明が始まるのか、前方が騒がしくなってきた。

 

 どうやら、去年同様に、説明を担当するのは2年Aクラスの真嶋のようで、スクリーン前に立つと、マイクを口元に移動させていく。澪も気づいたようで、自然とこちらの会話は終わり、これから始まる説明に意識を集中させていった。

 

「ではこれより、特別試験のルール説明を始める。試験会場である無人島に滞在する期間は明日から約2週間。昨年の無人島試験同様、自分たちで自由に生活を行って貰うことが基本になる。また、試験期間中に続行不能な怪我や体調不良に陥る、もしくは重大なルール違反を犯した場合は、容赦なく強制リタイアという形となるので注意するように」

 

 約2週間のサバイバル――去年1週間だけでもかなりの消耗があったのに、今回の試験では期間がその倍だ。軽く説明しているが、それだけでも難易度の高さが伺える。

 

「続けて、重要となる試験内容についてだが、各グループには順位を決めるための『得点』を集める戦いを行って貰う」

 

 真嶋がそう口にすると同時に、映画内の巨大スクリーンに映写機から光が当てられ、詳しい試験のルール一覧が表示された。自然と、2年生全体がスクリーンに意識を集中させる。

 

 

【無人島特別試験概要】

・全グループで約2週間、得点を集め競い合うサバイバル試験を行う。

 

・期間中、リタイアによりグループ全員が離脱した場合は、その時点でグループは失格となる(集めた得点は全て無効となり、その時点で順位が確定する)。

 

 

 と、いう単純なルールの下に、無人島の全体図が表示されているのが目に入ってくる。縦横に格子状の線が入っており、細かくマスが別れていた。

 

「得点の集め方は2通り存在する。1つは、今スクリーンに映っている全部で100に分けられた無人島の特定のマス内に、一定時間ごとに向かうように指示が出される『基本移動』から得点を得る方法だ」

 

 そう言われても、基本移動とは何ぞや? と、いうことで、大半の生徒が首を傾げている。当然、真嶋もそれで伝わると思っていないようで、すぐに説明を補足してきた。

 

「例えば、スタート地点は港があるD9エリアになるが、移動先としてC8エリアが指定されたとする。その指定エリアに辿り着くのが早かったグループには『着順報酬』として、1位のグループに10点。2位のグループに5点。3位のグループに3点が与えられる。さらに、指定時間内に辿り着いた者には、『到着ボーナス』として1点が与えられる」

 

 つまり、無人島内の指定された場所に早く着いた順に高得点を与えるというルール。『到着ボーナス』で最低限1点は保証されているが、勝つためにはどうしても『着順報酬』を狙うべく、スピードや体力が重要になってくる。

 

 しかし、ただでさえ慣れない無人島で2週間も生活しなければいけないのに、それにプラスして体力を消耗させるシステムである以上、途中で何が起こるかはわからない。それこそ、障害物で怪我をする危険や、体力を消耗しすぎてリタイアという線も十分あり得た。

 

「なかなかしんどそうな試験だね……」

 

 雪も、試験の難易度を察してそう呟いている。グループ全員がリタイアした時点で失格である以上、無理をしても良いことはない。しかし、のんびりしていても下位に沈む可能性があるので、精神的にもこちらを追い込んでくる試験となっていた。

 

「グループを組んだのは正解だったってことね……」

 

 澪も、認めるのは癪と言わんばかりの表情で、強引に自分のグループを決めた龍園を認めるような声を上げる。実際、デメリットよりもグループを組むメリットの方が多いのは間違いない。

 

 ちなみに、到着ボーナスは1人辺り1点与えられるため、この点でもグループを組んでいた方が有利だ。

 仮に3人グループが1位を取った場合、着順報酬の10点に加え、到着ボーナスとして3点、合計13点が与えられる。もし1人だった場合は、最大で11点しか取れない。人数の差はどうしてもアドバンテージとして大きくなってくる。

 

「基本移動における移動先エリアの告知は、試験の初日と最終日は3回だが、それ以外の12日間は日に4回。ゴール時間は『午前7時から午前9時』、『午前9時から午前11時』、2時間の休憩を挟んだ後、『午後1時から午後3時』、『午後3時から午後5時』までの間となる」

 

 1日の移動回数は基本的に4回で、各エリアへの移動は2時間以内に行わないといけないということだった。午後5時までなのは、暗い時間帯の移動は危険が伴うためだろう。

 

「気を付けないといけないのは、指定エリアへの移動を3回連続でスルーしてしまうと、グループ毎に1点減点してしまう点だ。4回連続なら2点、5回連続なら3点と、スルー回数を重ねる毎にペナルティも重くなる。ただし、1度でもスルーを止めれば、累積値はリセットされ、再び3連続でスルーをしない限り得点の減少はされない」

 

 無理をして体力を使い果たし動けなくなった場合は、悲惨な目に合うと言うことだった。

 仮に勢いよくスタートダッシュを切っても、動けなくなったマイナスで全て帳消しでは意味がない。体力配分はしっかり考える必要がある。

 

「このスルーに関してだが、エリア内にグループの『誰か』が辿り着いた時点でセーフとなる。つまり、グループ全員が必ずしもエリアに辿り着く必要はないということだ」

 

 つまり、仮に体力に劣るメンバーをグループに抱えていても、他に体力のあるメンバーがいるのなら、マイナスを回避できるということだった。

 得点を大きく稼ぐことは出来ないが、リタイアの危険は大きく減る。こういう点でも、どうしても個人や人数が少ないグループの方が不利になってしまう。

 

「しかし、2つ注意事項がある。1つ、得られる到着ボーナスは、指定エリアに辿り着いた人間にしか与えられないということ。2つ、1位から3位に与えられる着順報酬については、リタイア者の出ていないグループかつ、グループの全員が指定エリアに到着している場合にのみ発生するということだ」

 

 妥当なルールだった。もし一人でも報酬が貰える場合、各自がバラバラになって新しい指定エリアで待ち構えたり、体力に自信のある一人を先行させて指定エリアの着順報酬だけを狙ったりするという方法が取れて、人数の多いグループがやりたい放題出来てしまう。

 

 全員が到着した時点で記録が残るのであれば、まだ人数が少ないグループにも勝ち目はあった――まぁ、それでもやはりグループは大きい方が有利なのは間違いないが。

 

「指定エリアには一定の法則があり、1日4回の内、3回は最後に指定されたエリアを中心に前後左右2マス以内、斜め1マス以内に再指定される。残りの1回だけは例外となり、どの地点にエリアが設置されるかわからない。ただし、ランダム指定は連続では起こらず、1日の最後である4回目の後、次の日の1回目と続くというケースはないようになっている」

 

 基本的にエリアがどこになるかは推測できるが、1日に1回だけ、それこそ2時間ではたどり着けないようなエリアを指定される場合もあると言うことだった。

 勿論、B1やC1、F10やG10のようにあからさまに海の上という場所は選ばれないが、それでも北端から南端、東端から西端へ――など、移動が難しいパターンは十分に有り得る。

 

 一番厄介なのは、ギリギリで間に合いそうな地点をエリアにされたパターンだった。時間的に間に合うと思った結果、間に合わずにスタミナだけ奪われるなどという結果になれば、それ以降のエリア移動にも影響は出てくる。

 仮に、それがキッカケで3回スルーのデメリットに抵触するようなことがあれば、体力より先に精神的に折れてしまう可能性だってあった。

 

「また、立て続けに同じエリアが指定されることはないが、D2が指定され、次にD3、その次に再びD2が指定されるというケースは起こりうる。さらに、指定エリアが発表された段階でそのエリアに足を踏み入れていた場合は、到着ボーナスは得ることが出来るが、着順報酬は手に入らないので注意するように」

 

 既にいた場合は順番も何もないため、着順を決められないと言うことだろう。下手に移動しまくるというのもリスクがあるということだ。

 だが、俺の記憶が正しければ、今の段階では特に原作と大きく変わっている部分はなかった。これならば、特に問題なく試験を超えることが出来るだろう。

 

「以上が1つ目の得点を得るための方法である『基本移動』だ。改めて、概要をスクリーンに表示しておく」

 

 

【基本移動のルール概要】

・日に4回指定エリアが告知される(初日と最終日は3回でランダム指定は無し)。ゴール時間は、午前7時から午前9時、午前9時から午前11時、午後1時から午後3時、午後3時から午後5時。

 

・指定エリアには法則があり、1日3回は前後左右2マス斜め1マスの範囲内に限定される。1日1回はランダムにエリアが指定され、どの地点が指定エリアになるかはわからない(ランダム指定が連続で起こることはない)。

 

・指定エリア内に辿り着いたグループ順に1位10点、2位5点、3位3点を得る。※着順報酬はグループ内の全員が指定エリアに辿り着いた時点での記録が参照される。

 

・各時間内に指定エリアに辿り着くと、到着ボーナスとして1点が与えられる。

 

・指定エリア告知の段階で既に到着していた場合、到着ボーナスは発生するが、着順報酬は無効となる。

 

・3回連続で指定エリア到着をスルーするとペナルティ。回数に応じて得点が引かれる(ただし、1度でもスルーを止めると、累積値はリセットされる)。

 

 

 改めて、去年の無人島試験とは全く別物になっていた。しかし、今の段階ではただ単に指定エリアへ向かってかけっこをするだけで、運動能力以外の要因が全く機能していない。

 

 重要になってくるのは、もう一つの得点方法だ。

 

「では、次にもう一つの得点を得る方法を説明する。当然だが、試験中は全グループが同じエリアを目指す訳ではない。各グループには『テーブル』と呼ばれるものがランダムに決められており、全部で12通りのパターンが存在する。テーブル毎に指定されるエリアは異なっていて、Aテーブルの生徒はD10、Bテーブルの生徒はF8等、バラバラに移動することになる」

 

 テーブル毎にバラバラに移動するということだが、途中でバッティングするようなことも当然あるだろう。

 基本的には同じテーブル同士で競い合うことになるが、Aテーブルの次のエリアがDテーブルと被る――という場合だってある。状況によっては別テーブルのグループと戦うこともあるということだ。

 

「そして、無人島の至る所には『課題』が設置されている。その課題をこなすことで、お前たちは追加で得点を得ることが出来るようになっている。課題は午前7時から午後5時まで、随時各所で行われることになっており、全100か所に分けられたエリアだが、同じエリア内に複数の課題が出ることもある。まずはスクリーンを見て貰おう」

 

 真嶋の言葉に連動してスクリーンに課題の例が表示される。C3のエリア内、その一か所に赤い点が表示された。

 

「後に配るタブレットで、この情報は確認できるようになっている。この赤い点に課題が設置されており、この課題の有無を示す赤い点は、いつ出現するか、どこに出現するか、どんな課題であるかは生徒から予測が出来ない。出現して初めて知ることが出来る」

 

 そう言って、例題を拡大していく――

 

 

 課題・『数学テスト』 分類・学力

 参加条件・課題出現から60分以内のエントリー

 参加人数・1人(グループ内からは1人のみエントリー可能)、10人が登録した時点で締め切り

 勝利条件・規定時間内に集まった生徒たちで点数を競う(テスト内容は学年ごとに異なるが難易度は同程度に調整される)

 報酬・1位5点、2位3点、3位1点、さらに入賞者には1日分の食料が与えられる

 

 課題・『砲丸投げ』 分類・身体能力

 参加条件・課題出現から30分以内のエントリー

 参加人数・3人グループ以上(4人以上のグループであれば、内3人のエントリーで参加可能)、全6グループが登録した時点で締め切り

 勝利条件・3人の合計飛距離で競う

 報酬・1位10点、2位5点、3位3点、参加賞として全グループは景品を1つ選択可能

 

 課題・『釣り』 分類・その他

 参加条件・課題出現から120分以内のエントリー

 参加人数・2人グループ以上(3人以上のグループであれば、内2人のエントリーで参加可能)、全8グループが登録した時点で締め切り

 勝利条件・1時間以内に一番サイズの大きな魚を釣った生徒の勝利

 報酬・1位15点

 

 

 学力・身体能力・それ以外の要素というのはこれを差しており、分類は学力4割、身体能力3割、その他3割で構成されていた。

 その他については、本当に多岐に渡り、原作では確かアニメやゲームの知識が必要なものもあった記憶がある。また、同じ課題が複数回行われることもあり、場合によっては学力に自信がない生徒でも高得点は十分に狙えるようになっていた。

 

「タブレット上では、どの地点に課題があるかを始め、今スクリーンに表示されている参加条件などの情報は全て閲覧可能だ。しかし、課題の実施が終了した段階で、タブレット上からその課題の情報が消えることになっているので注意するように」

 

 課題実施中は情報が表示されるため、頑張って目的地に着いたはいいが、既に人数が揃って参加できませんでした――ということも十分に有り得る訳だ。

 

「4日目から、この課題の中に『グループ人数の最大数を開放』するものが行われる。1位を取れば、最大上限3人の開放となり、2位は2人、3位は1人開放される。また、最大上限を6人まで開放したグループは以後、この課題に挑戦することは不可能となる。そして、合流が発生した場合は、双方の得点を平均化してリスタートとなるのでそこにも注意しろ」

 

 これが重要なポイントの一つ。出来れば、鈴音たちには早々に最大人数を開放して雪や洋介たちと合流して貰いたい。合流時に得点が平均化されるのであれば、まだ得点差がそこまで大きく開かない序盤こそが一番合流に相応しいタイミングと言って良いだろう。

 

 何より、最大上限が3人である都合上、単独のグループが最大人数を開放する場合は、最低でも1位と2位を1回ずつ取る必要がある。雪が一人で最大人数を開放するよりも、鈴音たちや洋介たちのグループが最大人数を開放した方が時間的なロスも少なくて済む。

 

「グループ人数の最大上限を開放する課題はそう多く用意されていない。この権利を得られるグループは、全体を通しても2割から3割程度に留まるだろう。以上の2つの方法で得点を集め、総合順位を学年で競って貰うのが今回の特別試験だ」

 

 改めて、スクリーン上に今説明された概要の一覧が表示される。

 

 

【課題に関する概要】

・課題は午前7時から随時出現し、午後5時で終了する(試験初日は午前10時から出現し、最終日は午後3時で終了する)。

 

・課題は3種類に分類されており、同じ内容のものも何度か出題される(学力4割、身体能力3割、その他3割)。

 

・課題出現時間は予測できない。実施状況を知るには現地に足を運ぶ必要がある。

 

・上位入賞者は得点や食料、グループ人数の最大上限を上げる報酬などが与えられる。

 

 

「単純に、グループを大きくした方が有利っぽいね。やっぱり、『増員』は大きな鍵になりそう……」

 

 と、今現在『増員』のカードを保有している雪が、試験の説明を受けてそう呟いた。

 

 確かに、基本移動で得点を稼ぐにしても、課題を有利にこなすとしても、やはり人数がいるにこしたことはない。そう言う意味では、雪の言う通り『増員』のカードは戦局を左右するポテンシャルを持っている。

 

 人数が純粋にメリットになる以上、もしオレにいろいろな策がなければ普通にグループを作って動いていただろう。しかし、月城の件を始め、七瀬のイベントなどをこなす都合上、どうしても個人で動かざるを得ない。

 まぁ、もし高円寺にやる気があって、オレの望んでいる通りに動いてくれるというのであれば最初からグループを組んで動いた未来もあったかもしれないが、残念ながら世の中そう簡単に思い通りになれば苦労はなかった。

 

 とはいえ、今回のオレは別に上位3組に入る必要はなく、あくまでも月城の思惑を乗り越えた上で、南雲や八神に負けなければ問題はない。勝つための策は既に考えており、後はイレギュラーが起きないことを祈るだけだった。

 

 

 




 原作との変化点。

・バスの中で楽しくキャットファイトした。
 あまり意味のない戦いだと思っていたが、時間を上手く使って愛里がしっかり勝者の権利を行使している。

・無人島ルール。
 これまでと同じく、特別試験のルールに変更はなし。原作と違うのは、状況のみ。

・無人島での目的。
 第一目的は七瀬の攻略、第二目的は西野の攻略、第三目的は月城の対処、第四目的が南雲、八神の対処と、地味に忙しい。



 今話の登場人物一覧。


・綾小路清隆
 しばらく禁欲生活を余儀なくされるため、事前にハッスルした。

・椿雪
 清隆のために1位を狙っている。無人島試験のルールを聞いて、最適解を模索中。

・堀北鈴音
 地味に集団でトランプをしたのが初めて。ちょっと楽しいと思っていた。

・櫛田桔梗
 グループ作りでかなり疲弊している。期間内にグループが決まったのは、桔梗のおかげであり、そこは坂柳や龍園も理解している。

・佐倉愛里
 無欲の勝利。勝利後は貪欲に動いている。

・長谷部波瑠加
 愛里のおこぼれに預かる形で楽しんだ。無人島試験では愛里を守ろうと気合が入っている。

・軽井沢恵
 原作と違って彼女ではないので出番が大きくカットされている。

・松下千秋
 原作と違ってメインチーム入りしているので能力に大きく期待されている。

・佐藤摩耶
 トランプ楽しかったー! 試験頑張る!

・神室真澄
 地味に負けたのを根に持っている。

・椎名ひより
 無人島試験は体力が必要なので地味に不安を感じている。

・茶柱佐枝
 清隆からの確定された結果がなくなって少し不安がっている。逆にそれを見て、星之宮はメシウマ状態。

・鬼頭隼
 当初一人の予定だったが、原作と違って森下・山村とグループを組んでいる。


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