ようこそ俺小路くんの無念を晴らす教室へ   作:おこむね

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♯034 『表面上だけの協力関係』

「あの~……どうかしたんですか?」

 

 何だかんだ緊急アラートが鳴ってから30分が経過し、オレたちが須藤たちの元に戻ってから少しした頃。篠原が話していた、1年生の4人グループがこの場にやって来た。

 声をかけてきたのは、原作通り1年生のグループだ。1年Aクラスの三井あゆみ、1年Bクラスの堂上美津子、1年Dクラスの巻田高茂――そして、1年Cクラスの椿桜子の4名。

 

 ここで、椿に会う――地味にこれが役に立ってくる。前にも少し言ったが、この事件を起こした理由の一つは、このイベントを起こすためでもあった。

 

 椿もオレに気付いたようで、とてとてこちらに歩いてくる。篠原の話を聞いていた池は警戒するように1年生である椿を睨みつけるが、顔を見てすぐに雪の妹だと思い出したようですぐにその警戒心も薄くなった。

 

「綾小路先輩、何かあったんですか?」

「ちょっとしたトラブルだ。生徒が斜面に足を取られてここまで落ちてきた」

 

 流石に驚いたようで、1年生たちが顔を見合わせている。

 

「私たち、この近くでキャンプしていたんです。そしたらアラートの音と、誰かの叫ぶような声が聞こえて来て……少し明るくなるのを待ってから、念のため状況を確認しようとここに足を運んだんです」

「オレたちも似たようなものだな」

「それで、怪我をされた人は大丈夫なんですか?」

「素人判断は出来ない。今は先生たちの到着を待っている所だ」

 

 そう言って、ここで教師たちが来るのを待つ。1年生が姿を見せてからさらに約30分が経った所で、ようやくBクラス担任の茶柱とDクラス担任の坂上が姿を見せた。

 その後ろには医療従事者と思われる服装の職員が3名おり、座り込んでいる小宮と意識を失ったまま動かない木下に近寄っていく。それを見ながら、オレは茶柱の方へ寄って行った。

 

「軽く見た所、小宮と木下の続行は難しそうだな……単なる事故か?」

「いや。篠原が犯人の影を見たと言っている。事件の可能性が高い」

 

 と、話していると、坂上が場を仕切りだし、「早速ですが、状況を聞かせて貰いましょうか」と声を上げる。

 しかし、篠原はまだ動揺から完全に回復しておらず、事件について詳しく話せるような状態ではないことは一目瞭然だった。

 

「坂上先生。自分が説明してもいいでしょうか。おそらく、一番この状況を上手く説明できるのは自分かと」

「……まぁ、いいでしょう。話してください」

 

 オレが手を挙げると、坂上は少し嫌そうな顔をした――この場には須藤もいるし、去年の冤罪事件での審議を思い出していい気分はしないのだろう。だが、今はそれどこではないと気を取り直してこちらに発言の許可を与えてくれた。

 

「事件が起きたのは、早朝5時頃。篠原たちのグループは、昨日まで2回連続で指定エリアに辿り着けなかったことで、今日は早朝から移動を開始したと言っていました。その際、篠原がトイレで離席、その間に小宮と木下がこの斜面の上からショートカットが出来ないか確認していると、何者かに背中を押されて斜面を転がり落ちたのだと思われます」

「……事故ではないと?」

「意識を取り戻した小宮には押された感覚はないようでしたが、2人が突き落とされるのを戻ってきた篠原が目撃しています。その後、篠原は犯人に見つかることを恐れてその場に隠れ、警告アラートの音に気付いた自分たちがこの場に集まって状況を確認しました」

「もし仮にこれが事件だとして、篠原さんは犯人の顔を見ていないのですか?」

「暗く、距離もあったことからシルエットしか見えなかったようです。ですが、仮に事故だったとして、篠原が嘘を付くメリットがありません。篠原自身が疑われないために嘘をつくにしても、わざわざ仲間を突き落としても自分が退学になるデメリットしかない以上、彼女が突き落としたと疑う人間はまずいないでしょう」

「……ですが、犯人の姿を確認できていない以上、現状ではこれはアクシデントによる負傷を誤魔化すための嘘、方便であると判断するしかない状態です」

「何のメリットもないのに、ですか?」

「綾小路。我々はここまで来るのに、小宮と木下のGPSを頼りに向かってきた。小宮の緊急アラートが鳴った時刻は午前4時56分24秒。その7秒後に木下のアラートが鳴っている。その時間に重なるように存在していたGPSの反応は篠原だけしかなかったんだ」

 

 坂上の言葉を補足するように、茶柱が事情を説明してくる。やはり原作通り、茶柱や坂上はもうある程度の情報を持った上でここまで来たようだ。

 

 また、“事故や事件が起きた際はクラスの担任が現場に駆け付ける”ということも、これで実際に確認することが出来た。

 小宮や木下には悪いが、この事件はアニメやゲームでいう重要イベントなので、こうして起きて貰って本当に助かっている。

 

「緊急アラートが鳴ってから小宮たちの元にいち早く辿り着いたのは、綾小路を始めとした七瀬、須藤、島崎のグループ。その後に、1年生4人のグループ。最後に我々となっている」

 

 まぁ、天沢は腕時計を壊して犯行に及んだはずなのでGPSに映るはずがない――が、ここは下手に追及しても意味がないので、素直に引きさがっておくことにする。

 

「そうですか……まぁ、その辺りのことを調べるのは先生たちにお任せします」

 

 原作と違い、オレが仕掛けた側である以上、下手に追及しない方がこちらとしても都合が良いので後を任せた。

 そのまま、改めて池に抱かれたまま泣きじゃくっている篠原の方へ歩いていく。傍にいる恵も心配そうな顔をしていた。

 

 当然だろう。小宮と木下のリタイアはまず間違いない。残された篠原一人で残り10日を乗り切るのはまず不可能と言って良よかった。

 

「もう駄目……私、もう駄目だ……一人じゃ、とてもじゃないけど……ッ!」

「大丈夫だ、一人じゃない」

 

 崩れ落ちる篠原にそう声をかける。流石のオレもやるだけやって放置はしない。先程も言ったが、アフターフォローも万全に考えてある。

 

「篠原、しばらくオレと一緒に行動してくれ。七瀬も一緒だから、男女二人きりになる心配はない。その上で、お前を別グループまで連れて行って大グループを組ませる」

「大、グループ……?」

「運のいいことに、今日から大グループを作るための課題が解禁される。男子1名、女子2名のお前のグループなら、男子が固まって組んでいるという状況でもない限り、別のグループと合流するのはそう難しくない。丁度、真澄やひよりがDクラスの西野と組んでいたし、合流させて貰えないか頼んでみよう」

 

 そう言うと、篠原もホッとした様子も見せる。真澄やひよりと特別仲がいいという訳ではないが、女子だけなら安心できるし、退学の可能性も低くなるとわかったのだろう。

 

「と、いう訳だ。池も、オレに篠原を預けるのは心配かもしれないが……」

「いや、俺はお前を信じてる。俺に出来ることがあったら何でも言ってくれ。協力する」

 

 信じてる――か。お前の彼女の処女を奪ってTレックス狂いにさせつつある奴にいうセリフではないんだが、どうやら池の中のオレへの好感度はなかなかに高いらしい。

 

「協力か……とりあえずは今までのように動いてくれればいい。ただ、出来るだけグループの最大上限を開放しておいてくれると有難い。当てが外れて、他のグループに篠原を任せる場合、状況や条件次第で、お前たちには別のグループと合流して貰う可能性もある」

「おっ、おう。任せとけ!」

「須藤、池たちを頼む。この中で一番冷静な判断が出来るのはお前だ」

「ああ、お前も頑張れよ」

 

 続けて、遠くでぼんやりこちらを見ていた1年生のグループに近づいていく。椿も、オレの姿に気付くと、一人だけこちらに向かって歩いてきた。

 

「変なことに巻き込んで悪かったな」

「ううん、結果的には良かったかも。下手に接触すると向こうに疑念を持たせるかもってことで、まだお姉ちゃんにも会えてなかったから」

 

 そう言って、椿が自分のトランシーバーのコードと思われる番号が書かれた紙を渡してくる。こちらも、オレと雪のトランシーバーのコードが書かれた紙を椿に渡した。

 

「もうしばらくしたら、八神くんと合流する予定。彼の信頼を得るために、例の試験に乗るフリをして綾小路先輩を襲わせる作戦を考えてるんだけど……」

 

 やはり、原作通りにオレを襲う事件を起こすつもりだったか。八神を油断させるためにも、仲間のフリをするならオレを襲う計画を立てるのが自然な流れだ。

 ならば、こちらもこれを利用して坂柳の目をオレから離させる。残りの龍園は宝泉に叩かせればいい。これで、面倒な二人の件もほぼ解決したと言って良いだろう。

 

「なら、本気でオレを倒すつもりで動いてくれ。そうでないと、八神は騙せない」

「オッケー。本当に先輩を退学にするくらいの部隊を送り込む」

「そこは、そこはかとなく手加減してくれ」

 

 椿も地味に優秀なので敵に回すと面倒くさいが、これも必要なことなので仕方がない。

 

 実際、これで椿を通じて、動きが不明だった八神の様子を確認できるようになった。

 この機を逃すと、オレと椿が連絡を取れなくなってしまうため、龍園たちの件を別にしても、やはりこの事件を起こす必要があった――天沢は本当にいい仕事をしたな。

 

 そのまま、トランシーバーのコードを交換し終えると、今度は篠原を遠巻きに見ている恵の傍に寄っていく。

 

「恵」

「清隆。篠原さん……大丈夫だよね?」

「ああ。昨日の時点で、真澄たちには会っている。ランダム指定で遠くに行っていなければ、合流するのはそう難しいことじゃないはずだ」

「心配だけど、私も自分のことで精一杯だから……篠原さんのことお願いね」

 

 任せろ――と、返事をしながら、恵と同じグループの島崎に近寄っていく。実は、恵のグループをここまで連れ回した真の目的はこの島崎を連れて来ることにあった。

 

 まさか島崎も、たいして話したことないオレが声をかけてくるとは思わなかったのか、こちらが近づいてくるのを見て少し驚いた様子を見せている。

 しかし、島崎にはまだ大切な仕事が残っていた。今回の事件のことについて坂柳に伝え――オレと龍園の間を取り持って貰うという重要な仕事がな。

 

「島崎、いきなりで悪いんだが、坂柳と連絡が取れるか?」

「あっ、うん……トランシーバーは持ってるけど」

「済まないが、連絡を取ってくれないか? 坂柳を通じて、小宮たちと同じクラスの龍園に事情を説明しておきたいんだ」

 

 と、頼むと、島崎は嫌な顔一つせずに坂柳に連絡を取ってくれた。まだ朝も早い時間だが、坂柳はすぐに島崎からの連絡に応え、オレと代わるように島崎へ命じている。

 

「坂柳か?」

『おはようございます、綾小路くん。何か事件があったようですね』

「ああ。Dクラスの小宮と木下が怪我をしてリタイアした。まだうちのクラスの篠原が残っているからグループとしては機能しているが、下位に落ちるのは時間の問題だ」

『それはそれは……2年生のグループが下位に落ちてしまえば、私たちが上位を取っても旨味が少なくなってしまいますね』

「オレは篠原を別グループに合流させるつもりだ。ついでに、他に下位に落ちそうな生徒がいれば助けるつもりでいる」

 

 このままいけば、原作通りに南雲や桐山、八神も、同じように下位に沈むメンバーを引き上げようと動くのは目に見えていた。

 

 そうなると、必然的に何も対策していない2年が割を食ってしまう。だが、下位に沈みそうなグループを救うには、うちや一之瀬のクラスだけでなく、坂柳や龍園の協力も必要だった。

 

『……2年全体で協力しろと?』

「あくまで、下位に沈みそうなメンバーを助けるだけだ。上位は今のまま争えばいい。お前だって、2年生が下位に沈むのは望むところじゃないだろう?」

『確かに、遅かれ早かれ他学年も同じ手を使って来るでしょうし、出遅れれば命取りになりかねませんね』

「納得してくれたなら結構だ。ついでに、今回のことと一緒に今の話を龍園に伝えて欲しい」

『……では、トランシーバーのコードを伝えるのでご自身で連絡を取ってください。私を間に挟むより、その方が確実でしょうし』

 

 仲介役をするのは御免だと言いたげだったので、こちらから直接話を付けられるように、龍園のトランシーバーのコードを教えて貰う。ついでに、坂柳自身のコードも教えてきたので、こちらのコードも伝えておいた。

 本当ならこちらから聞くつもりだったが、向こうから教えてくれるのであれば丁度いい。いずれ、坂柳とは何度か連絡を取ることになるだろうからな。

 

 話が終わると、島崎にトランシーバーを返した。

 

 続けて、自分のトランシーバーで龍園に連絡をつける。最悪、無視されるかも――と、思ったが、予想外にも龍園はすぐにこちらのコールに応答した。

 

『誰だ?』

「オレだ、龍園」

『綾小路……坂柳からコードを聞きやがったか。こんな朝っぱらから何の用だ?』

 

 小宮たちの事件が起きてから約1時間半。そろそろ普通の生徒も動き出す時間ではあるが、オレがわざわざ直接連絡してきたことから只事ではないと察したようで、真剣な声色でこちらに要件を確認してくる。

 

「端的に状況を説明する。小宮と木下がリタイアした」

『……何があった?』

「一時間くらい前、緊急アラートが鳴った。そこで小宮と木下が崖から落ちて気を失っていたんだ」

『事故か?』

「教師が言うには、周囲に不審な反応はなかったらしい。だが、グループの最後の一人であるうちのクラスの篠原は、何者かが二人を突き落としたと言っていた」

 

 そう聞くと、龍園は迷いなく篠原の言葉を信じたようで、『舐めた真似してくれるじゃねぇか……』と、口にした。

 

『で、その何者かはとっくにリタイアになったんだろうな?』

「今も言ったが、教師が言うには不審な反応はなかったらしい。小宮も木下も、襲われた自覚はない。学校側は、犯人扱いされてリタイアしたくないがために篠原がついた嘘という方向で処理するつもりらしい」

 

 だが、オレが犯人の存在を匂わせたことで、龍園もまた犯人が腕時計を壊して犯行に及んだ可能性には行きついたはずだ。

 また、その結果、今現在やつの駒である小宮や木下は退学の危機にある――これで、龍園の興味の矛先はオレから外れるだろう。

 

『……わざわざ俺に連絡を取ってきたんだ。篠原はお前のクラスメイトだし、退学させないプランがあると思って良いのか?』

「ああ。他の得点に余裕があるグループに合流させるつもりだ。そこで、お前にも頼みがある。もし、他に下位に落ちそうなグループがいた場合、同じように別グループに合流させて引き上げたい。この試験では、ABCD全てのクラスで協力して事に当たるんだ」

『確かに、それなら篠原は生き残る可能性はある……が、後者は上手く行くか? うちと一之瀬のクラスは水と油だ。納得するとは思えないし、坂柳が協力するメリットもない』

「坂柳も既に納得済みだ。後は、お前が協力してくれるだけでいい。それに全部協力しようって訳じゃない。あくまで下位に沈みそうなグループを救済するだけだ。上位グループの争いは継続するつもりだし、お前としても悪い提案ではないはずだ」

 

 龍園と坂柳の同意さえ取れれば、オレの指示でBクラスとCクラスは動かせる。多少のいざこざや内心で思う所はあるかもしれないが退学するよりはマシだろう。

 

『状況は変わりやがるからな。このことに気付けば、他の連中も動き出す』

「3年は既に似たような動きをするつもりなのか、徹底して南雲を妨害している。1年も、気付くのは時間の問題だろう」

『そうなると、痛い目を見るのは2年だけ……俺らだけ置いて行かれる訳にもいかねぇな』

「手を組む……ってことで良いんだな?」

『利害が一致してるんだ。その戦略を利用しない手はない。しっかし、あの坂柳が素直に受け入れるとはな……』

「あいつも、他学年にいいようにやられるのを受け入れるタイプじゃない。上位の争いが継続されるのであれば、一時的にでも協力するのを受け入れるさ」

 

 龍園も納得できたのか、『クク、そりゃそうだ』と笑っている。とりあえず、これで2年対他学年という構図は作れた。

 一応、上位の争いは継続と言っているが、少なくとも大々的に龍園や坂柳がオレを直接狙ってくるようなことはなくなったと言って良い。

 

 もしそうなれば、協力関係にヒビが入って2年が下位に入る可能性が上がる。この二人はそれが理解できないほど馬鹿じゃない。

 後は、不意を突いて宝泉を龍園に嗾ける。オレが関与しているとバレなければ問題はなにもない。坂柳についてはまだ少し不安はあるが、椿のおかげでその対応にも目処が立ちそうだった。

 

「さて……まずは雪だな」

 

 龍園との通信を終えると、状況を説明するためにまず雪に連絡を入れる。と、タイミング良く鈴音や帆波たちとも一緒に居るようだった。

 おそらく、今日から大グループが作れるようになるので合流しようとしていたのだろう。丁度いいので、今話した2年全体で下位に沈むグループを救済する策を説明していく。

 

 帆波は当然のように了承。また、雪や鈴音も問題ないということで、一緒にいる洋介や別行動中の桔梗を通じて、2年全体で協力することをクラス中に伝えて貰う。これで、とりあえず2年だけが下位に沈むということはなくなるはずだ。

 

 そのまま連絡を終了すると、篠原と七瀬が待っている場所に戻る。すると、七瀬が預けていた荷物をこちらに渡してきたので有難くそれを受け取った。

 

「悪いな。朝から大分体力を使わせたが……ついて来れるか?」

「ご心配なく。篠原さんのためにも、しっかりついていきます」

「篠原も、悪いな」

「う、ううん。私一人じゃ間違いなく退学になってたもん。助けて貰えるだけ有難いくらいだから……」

「悪いが、指定エリアはスルーして合流を急ぐ。下手に試験を続けながらでは合流できるものも出来ないからな」

「うん。大丈夫……ありがとう、綾小路くん」

 

 この事件を起こした犯人は実質オレなので、お礼を言われることなど全くないのだが、とりあえずはオレ、七瀬、篠原の三人で行動することになった。

 

 まだ朝も早い時間だが、トランシーバーで真澄たちに連絡を取る。しかし、運の悪いことに、昨日の最終エリアがF4だったということで、真澄たちはオレたちの今いるH4からかなり遠くに移動してしまっているようだった。

 

 原作知識から、次のオレの指定エリアはG3になるのがわかっている。G4は殆どが山道になっているので、F4に行くにはH3からG3を経由して回り道をしないといけない。

 偶然だが、オレの指定エリアが道すがらにあったのはラッキーだった。これでスルーせず自然に真澄たちと合流しながらエリアに入ることが出来る。真澄たちの次の指定エリアがどこになるかはわからないが、とりあえず真澄たちには事情を説明してG3辺りで合流しようと提案した。

 

 特に反対意見も出なかったので、早速移動を始める。事件から約2時間――そろそろ指定エリアも公開される時間だ。

 しかし、確認は歩きながらすることにした。出来るだけ早く真澄たちとは合流したい。篠原も精神的に疲れてはいるようだが、体力は残っているようなので問題なく歩くことが出来ていた。

 

 

 




 原作との変化点。

・恵たちが一緒に居る。
 原作と違って、島崎、福山も恵と一緒についてきている。

・椿と合流した。
 地味にアニメでカットされてしまったシーン。けど、うちは原作準拠なのでしっかりとイベントが発生している。ここで自然にトランシーバーのコード交換を行った。

・茶柱と坂上がきた。
 原作通り、事件が起きた際の対応の確認が取れた。

・坂柳&龍園に連絡を取った。
 島崎たちを連れてきたのはこのため。原作ではわざわざ本人たちがいる所まで赴くが、そこまでするのは面倒なのでトランシーバー越しに事情を説明した。これによって、2年対他学年の構図が自然と出来上がり、表向きは争いがなくなる。勿論、清隆は裏切る気満々。

・篠原を連れて動き出した。
 真澄のグループと合流予定。


 今話の登場人物一覧。


・綾小路清隆
 地味に今回の件は序盤の山場の一つ。この件がなくなると龍園と坂柳が普通に仕掛けてくるので、七瀬攻略を邪魔される危険があった。しかし、表向きだけでも協力関係になったことで、あの二人も迂闊に仕掛けられなくなり様子を見るようになっている。坂柳だけは当事者じゃないこともあってまだ怪しいが、椿をぶつけることで無理やり味方に引き入れる予定。

・七瀬翼
 清隆が現場を纏める姿を見て、凄い人だと改めて尊敬の念を抱いている。

・篠原さつき
 しばらく清隆と一緒に行動することになった。大丈夫かなぁ?

・軽井沢恵
 途中まで篠原を慰めていた。

・茶柱佐枝
 事件が起きたため現場に駆け付けた。清隆の事情を聞いて、これは人為的な事件だと察するも証拠がないので動けずにいる。

・椿桜子
 椿自身は、ここで清隆と会うなど想定もしていなかったので偶然の出会いに驚いている。

・坂柳有栖
 清隆の提案を聞いて、仕方なく協力関係になることを了承する。もし今回の件がなければ、途中で2年A&Dクラスの精鋭たちが清隆の妨害に動く予定だった。何とか出し抜けないかまだ考えている。

・龍園翔
 清隆の提案を聞いて、仕方なく協力関係になることを了承した。もし今回の件がなければ、勝負所で清隆に仕掛けるつもりだったが、小宮木下は失うには惜しい駒と判断して断念している。

・須藤健
 何だかんだで小宮のことをサポートしていた。

・池寛治
 もう誰にも渡さないと誓ったのに、よりにもよって一番渡していけない相手に彼女を渡した。お前、信頼する相手間違えてんよ。

・本堂遼太郎
 池や須藤と一緒に来ている。

・島崎&福山
 恵と一緒に来ている。実は、坂柳&龍園へのホットラインを繋ぐために来て貰った。

・小宮&木下
 今回の犠牲者枠。無事に退場した。

・坂上
 自分のクラスからリタイア者が出たことに内心ショックを受けている。


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