正午になるとグループで昼食を取っていく。レストランはフードコート形式になっていたため、各々が好きなものを注文する形だった。
龍園と鬼頭の勝負は、どうやら龍園が制したようで二人とも怪我はそんなにしていないみたいだが、負けたことで鬼頭が若干不機嫌になっている。とはいえ、元が強面なのもあって、それで怖さが増す訳でもなく、鬼頭も誰かに当たるでもなく黙って食事をしていた。
そんな中、龍園が手早くハンバーガーを食べ終わると、「少しツラ貸せ綾小路」と声をかけてくる。当然のように包み紙のゴミやトレーを渡してきたが、オレはまだスープカレーを食べているんだが?
「オレはまだスープカレーを食べているんだが?」
大事なことなので、しっかり言葉にして伝える。
「さっさとしろ」
しかし、ゴミやトレーを引き取る気はないようで、龍園は先にフードコートの端に向かって歩いていってしまった。
既に食べ終わっている桔梗が、まだ食べているオレの代わりにゴミを代わりに片づけようとしてくれたが、それを見た網倉が「私も手伝う」と手を貸してくれる。
まだ桔梗のように阿吽の呼吸は難しくとも、少しずつクラスの為にもオレと仲良くなろうという意思を感じられた。これならば、そう時間をかけず食べることも可能だろう。
が、今はスープカレーを食べろということで、急いで残りを食べきると、「少し席を外す」と声をかけて龍園の後を追っていった。
原作では8億貯めるのを手伝えという話だったが、この世界でのオレは当然ながらそんな話を聞いてすらいない。そもそも龍園も原作と違って一度もリタイアしていないので、その辺りの流れも大きく変化してしまっていた。
なので、一体何の用だと首を傾げていると、フードコートの端っこで携帯を眺めている龍園を見つける。
「フッ……案の定坂柳の奴も、手下共を使って情報収集に励んでいるらしい」
こちらを一瞥もしていないが、オレが近くに来たのはわかったようでそう声をかけてきた。
おそらく見ている携帯に、オレの接近や坂柳についての報告も上がっているのだろう。坂柳の奴“も”――と口にした所から、うちのこともバレていると見て良さそうだ。
まぁ、自分からばらす真似はしないが。
「お互い様なんじゃないか? お前だって、クラスメイトに情報を集めさせているんだろう?」
実際、昨日のスキーでも、龍園はクラスメイトから直に報告を受けていた。まず間違いなく、オレや坂柳と同じく、情報収集に励んでいるはずだ。
「まぁな。この修学旅行は親睦の為にある訳じゃねぇ。頭を潰すために、まずは手足をもぎ取る所が重要だ。坂柳もお前も、それはわかっているんだろ?」
「何のことだかよくわからないな」
「クク、とぼけてんじゃねぇよ」
「そんなことよりも、オレを呼んだ要件を聞こうか。偵察合戦の報告をするためじゃないんだろ?」
「別にたいした話じゃねぇ。クリア条件が変更になった件についての文句を言おうと思っただけだ」
クリア条件? と、首を傾げそうになるが、すぐに思い出した。去年の12月の終業式でオレが口にした挑戦権のことだろう。
「お前は言ったな。一之瀬と坂柳を倒してから自分に挑戦しろと」
「ああ」
「去年の学年末試験で一之瀬は倒した。後は坂柳を倒せば、お前に挑戦する条件は整う……それで問題はないはずだな?」
「そうだな」
実際、去年はアルベルトを停学に追い込んだにもかかわらず勝ったからな。オレもあれをカウントしないとは言えない。残る挑戦権の条件は、坂柳を倒すことという龍園の考えは間違ってはいなかった。
と、思っていると、オレの携帯が震えたのでチラリと画面に視線を向ける。そこには、桔梗から『白石さんがそっちに向かってるよ』という短いチャットが送られてきていた。
おそらく龍園に呼びだされたオレのことを坂柳に報告して、様子を確かめるように指示を出されたのだろう。
勿論、オレから龍園にわざわざ伝えることはしない。これはあくまでクラス間の戦いの一部だ。しかし、龍園の方にも同じ連絡が来たようで、画面をチラ見してすぐに視線をこちらに戻してきた。聞かれていても別に問題はないと判断したらしい。
「オレは満場一致試験で、学年末試験で戦う相手のクラスとしてBクラスを指定した」
「知っている。お前ならAクラスを指定すると思っていたから意外な結果だった」
「もし、お前という存在を知らなければ、Aクラスを指定していただろうな。けど、俺の最終目標はあくまでもお前だ。当然、学年末試験までに坂柳のクラスを倒して挑戦権を得る予定だった」
そこまで聞いて、龍園の言いたいことを察する。
「成程、クリア条件が変わったとはそういう……オレのクラス移動で予定が変わった訳だ」
「そうだ。いくら後ろにお前がいるとはいえ、また学年末試験が去年のような形態だった場合、お前と直接対決することはほぼ叶わない。Bクラスにお前がいなければ戦う意味がないんだよ。桔梗や鈴音に実力がないとは言わないが、今のままなら相手にならねぇ」
事実、去年の学年末試験では、オレは帆波に事前に出来る指示こそ出したが、当日の采配については何も口出ししていない。それはやはり、クラスが違うからこその限界でもあった。
そして、今年の体育祭での動きを見て、オレや雪がいないBクラスは話にならないと判断したのだろう。とはいえ、あの龍園が意味のないイチャモンをつけてくるだけとは思えない。これはおそらく、来年以降への布石と見た。
「で、オレはどうすればいい?」
「今年の学年末試験で俺のクラスが勝ったら、来年のどこかで俺と戦え」
待っていたと言わんばかりに、龍園が本命の要件を告げてくる。文句ばかり言っても、それで何かを得られる訳ではない。やはり、望む要求を突き付けて来たか。
またこのタイミングで白石も到着したようで、隠れながらも興味深そうにこちらを見ている。おそらく、龍園も気づいているだろうが完全に無視する形だった。
「勝負の場を確約しろってことか?」
龍園が気にしないならオレが気にしても仕方ないので、敢えて白石のことには気づいていない体で話を進めていく。
「そうだ。その時点でお前がどのクラスに居ようと関係ない。俺のクラスと戦って貰う」
「もし仮に、オレがその時お前のクラスに居たら?」
「その時は戦えない代わりに、俺のために馬車馬のように働いて貰うつもりだ。お前が俺のクラスに来るってことは俺に下るって意味だからな。BクラスやCクラスのコネもフル活用してボロ雑巾にしてやる」
龍園としては、オレが同じクラスになることはほぼないと踏んでいるのだろう。実際、今の段階で、龍園クラスに移動するメリットは一つもない。
それならまだ帆波クラスを攻略して、坂柳クラスに移動した方がいいくらいだ。まぁ、坂柳がそれを受け入れてくれるかというと微妙な所ではあるが――
「戦うのは良いが、その前にお前が坂柳や鈴音たちに負けた場合は?」
「その場合は、最初から条件のやり直しだ。坂柳や鈴音たちを倒して、またお前に挑戦する。それだけの話だろ」
流石に、原作のように負けたら退学するとは言わないか。そもそも、今回の件で問題を起こしたのはオレ側であり、龍園はその補填を求めているに過ぎない。
なのに、負けたら退学というのは、いくらなんでもメリットデメリットが釣り合って無さ過ぎる。相手が退学するなら龍園も乗って来るだろうが、自分の敗北条件に退学を盛り込むほどのメリットがこの話にはないしな。
「少しお前に都合が良すぎる気もするが……確かに、クラス移動で予定を変更する結果になったと言われたらオレには何も言えないな」
これが何の約束もしていないのであれば、言いがかりだとも言えた。しかし、龍園にオレへ挑戦する権利として、他クラスに勝つように仕向けたのがオレである以上、その条件を変更させることになった件で文句を付けられたらその条件を受けざるを得ないだろう。
「条件を飲むんだな?」
「あくまで対等な条件での戦いならば受ける。当然だが、戦うのは特別試験の中であって、前のようにリアルファイトをする気はないがな」
「ケッ、物理的な殴り合いでお前に勝てる奴なんていねぇよ。あのゴリラだって倒したんだろうがお前は……」
どうやら、宝泉は無人島試験で、かつてオレと戦ったことを龍園にお漏らししたらしい。
「別に倒した訳じゃない。あれは痛み分けだ」
「そうかい……どの道、あいつと一対一で戦ってあの程度の怪我で屈服させられんなら、どの道リアルファイトなんか下策だ」
実際、龍園も去年、澪、アルベルト、石崎という手駒の中でも力のあるメンバーでオレを襲って返り討ちにあっている。
仮に、龍園自身を含め、そこに何人か追加した所で、オレに勝てないというのは身に染みてわかっているのだろう。それに、向こうがなりふり構わなくなったら、こちらもなりふり構わなくなる。その場合、もはや勝負の枠で事は収まらない。
結局、こうして特別試験での勝負で決着をつけるのがお互いにとっても一番丸かった。
「んじゃ、交渉成立でいいな?」
「ああ。どの道、Aクラスになるためには、他のクラス全員が敵なんだ。その障害が一つ増えただけで特に大きな問題はない」
「言ってくれるじゃねぇか。オレがその他大勢の一部だってか?」
「そうじゃないというのであれば、まずは坂柳に勝ってみせろ。先を見据えるのは悪いことじゃないが、舐めていると足元を掬われるぞ」
原作と違って、坂柳は少しずつ他人を信じることをし始めている。橋本を早々に切り捨てたこともそうだが、それがこの先の特別試験でどう影響するかは謎だ。
龍園も、舐めていると痛い目を見かねない。
「ハッ。あの女の頭が切れることはわかってる。だが、それだけだ。学年末試験の前にキッチリ俺が上だと認めさせてやる」
原作と違い、決定的な敗北を経験していないが故に自信に満ち溢れている――だが、オレの目から見て、今の成長しつつある坂柳と成長していない龍園では、どうしたって坂柳の方が実力が上に見えた。
そういう意味では、学年末試験でオレとの直接対決にならなかったことは、龍園にとっては幸運だったのかもしれない。
「先に戻ってな綾小路」
話は終わったとばかりに、龍園はトイレの方へと歩いて行った。連れションするつもりはないので、オレも自分のグループに戻っていく。
既に白石は戻ってきていたようで、私は何も知りませんと言わんばかりの顔で携帯を弄っていた。こちらの話を聞いていたかどうかは知らないが、バレた所で何も問題はない。何せ、オレと龍園がいつか戦う約束をしただけだからな。
「で、何の話だったんだ?」
「別にたいした話じゃない。オレがクラス移動したせいで、学年末試験でオレと戦えなくなったから他の試験で勝負しろってイチャモンをつけられただけだ」
啓誠が少し心配したように声をかけてきたので、こちらも素直に返す。白石も、まさかオレが本当のことを話すとは思わなかったのか、ピクリと僅かに反応を示した。
「……学年末試験で戦えなくなったのは清隆のせいじゃないだろうに」
「最終的にクラス移動を決めたのはオレだからな。仕方ない部分はある」
「それで、当の龍園はどうした?」
「トイレに寄ってから戻るらしい」
と、話していると、ここで白石が食事のトレーを片付けようとし始め、それに合わせて西野も自分のトレーを持ち上げた。
「私、トレーを片付けてきます」
「私も」
2人が食べていたのは一緒の店舗の料理だったこともあり、一緒にトレーを戻しに行く。
特別、仲が良くなったという感じではないが、それでも一緒に居て多少の会話をする程度の仲にはなったようで、ポツポツと世間話をしていた。
「それで、お前はその我儘を通したのか?」
話を聞いていたらしい鬼頭が珍しく会話に混ざって来る。ただ、オレを心配しているというよりは、龍園の行動が気に入らないという感じだ。
「条件付きでな」
「条件?」
「先にAクラスとBクラスを特別試験で倒すこと」
「それは……無理難題を吹っ掛けたものだ」
鬼頭としては割と面白い答えだったようで、笑みを浮かべている訳ではないが空気が少し和らいだ。坂柳を主君と仰いでいる鬼頭からすれば、龍園が坂柳に勝つとは思えないのだろう。
そのまましばらくして龍園がこちらに戻って来ると、鬼頭はこちらから視線を外して龍園に近づいていった。
「綾小路に無理難題を吹っ掛けられたようだな。貴様が、あいつと戦う可能性はゼロだ」
「あ? クク、心配すんな鬼頭。坂柳なんか通過点に過ぎねぇ。学年末試験の前にきっちり仕留めてやるから楽しみにしておけ」
「貴様にAクラスは倒せん」
「それはどうかな?」
オレの見立てでも、今の所は龍園の方が分が悪い。とはいえ、それは真正面からぶつかった場合であり、最終的な勝者がどちらかと言われると断言は出来なかった。
「そもそも、貴様を倒す程度、俺一人で十分だ」
「ほう? だったら、ここで決着をつけるか?」
昨日のトランプでは鬼頭が勝ち、今日のスキーでは龍園が勝っている。今の所、二人の勝負は1勝1敗ではあった。しかし、出来ればリアルファイトは遠慮してほしい所ではある。
「二人とも仲良くしてよ。さっきの危ない勝負のせいで、もう私たちのグループが危ないって結構な噂になってるんだから」
桔梗の注意を飛ばすと、鬼頭はその殺気を散らす。グループに迷惑をかけたくはないのだろう。
実際、周辺の一般客や他のグループのメンバーからも注目を浴びているし、あまり派手なことをすれば教師の耳に話が届くのも時間の問題と言って良かった。
龍園もここで問題を起こす気はないようで、鬼頭が矛を収めるとすぐに席に座っている。
「それにしても、西野さんたち遅くない?」
そう言えばそうだな――と、網倉の疑問の声を聴いて返事をしつつも、原作ではここで西野たちが他校の不良に絡まれるイベントがあったなと言うことを思い出す。
山村が白石に変わってはいるので、山村に気付かずぶつかられて問題が起こったというよりは、白石の色香に惑わされてナンパされているという方が有り得そうだ。
と、考えていると、桔梗が周辺を見渡しながら二人を探し始め、すぐにその姿を見つけてくれた。
「あ、いたいた。でも、なんか知らない男子たちに絡まれてるみたい」
そう言って桔梗が指さす先には、同じく修学旅行中っぽい他校の男子生徒5名に囲まれている西野と白石の姿が見える。
西野は終始険悪な感じで、白石はどこまでも困ったような表情を浮かべており、周囲の男子はそんなこと知らんとばかりにあの手この手で二人をナンパしていた。
「どうやら、かなり揉めているようだな。大事になる前に介入した方がいいんじゃないか?」
と、啓誠が少し慌てたような声を上げるのと同時に、龍園と鬼頭が席を立って動きだす。
ぶっちゃけ、止めても聞くような奴らじゃないことはわかっているので、二人が暴れている間にオレが西野と白石を救出することにする。
「あまり大勢で動いて問題になっても面倒だ。桔梗たちはここで待っていてくれ」
桔梗、網倉、啓誠の三人に、ここに残るように指示を出して、オレも龍園と鬼頭の後を追っていく。すると、徐々に向こうの会話も聞こえてきた。
「俺ら岐阜から修学旅行で来たんだけどよ、遊ぼうぜ。こんな所でスキーするより楽しい思いさせてやるからさ」
「はぁ? 冗談じゃない。誰があんたらと遊ぶかっての」
「いいじゃねぇか。学校同士の交流だって修学旅行の醍醐味だろ?」
「こっちは望んでないってわかんないかなぁ?」
「そっちのお姉ちゃんはどう? 俺らと遊ばない?」
「お誘いして頂いて申し訳ないのですが、グループ行動を義務付けられているので……」
「俺らとグループ行動すればいいじゃん」
西野は白石を守るように立っており、埒が明かないと思ったのか、男子の中の一人が西野の手を無理やり掴もうとする。
「気安く触んな!」
しかし、気が強い西野は強引にその腕を振り払った。払った所か、バチンとかなりの音がするくらいに西野の平手が男の頬にヒットする。
「ってぇな……」
下心全開だった男たちも、西野が手を出したことで態度を変えていく。こうなれば、無理やりにでも――と、言うような様子だが、その瞬間5人のうちの1人が盛大に吹き飛んだ。
驚いたような視線がこちらに集まる。
だが、蹴りを入れた当の龍園は、面白いイベントが始まったと言わんばかりに口元の笑みを隠しきれていなかった。
「な、なんだテメェ!?」
「それはこっちのセリフだボケ。俺の連れに何か用か? ピーピー小鳥みたいに女の前で鳴いてんじゃねぇよウザってぇ」
「なっ……殺すぞお前!」
「やれるもんならやってみな。丁度退屈してた所だ、こういう面白いイベントは大歓迎だぜ」
そして、龍園が暴れ出した。人数差は1対5だが、気にした様子はまるでない。
とはいえ、1対5だったのは最初だけであり、すぐに鬼頭も参戦の意志を見せた。あの二人なら2対5でもそこらの不良相手なら余裕で勝利できるだろう。
オレは今の内に驚いている西野と白石の手を引いて、騒ぎの現場から遠ざかっていく。
「あ、綾小路くん……助けに来てくれたんだ」
「助けに来たつもりだったが、良い所は二人に取られた」
「いえ。でも、本当に来てくれて助かりました」
流石の白石もホッとした様子を見せている。自分の容姿が優れていると客観的にわかってはいても、このような事態になるのは流石に予想外だったのだろう。
「おい、暴れるのは良いが、あまり派手にやり過ぎるなよ」
現場からある程度の距離を取ると、無駄だとはわかっているが一応忠告だけはしておく。
だが、流石の龍園や鬼頭も、このままこのフードコート内でこれ以上喧嘩をすれば問題になるということはわかっているようで、5人を連れて場所を変えようとし始めた。まぁ、オレの忠告で喧嘩をやめてくれるなら、そもそもこんなに苦労することはないか。
「正直、鬼頭くんが龍園の味方をするのって意外だった……」
「白石は鬼頭のクラスメイトだしな。ピンチに気付けば黙ってはいないだろう」
「鬼頭くんって意外と紳士なんですね……」
同じクラスでもそこまで親しくはないようで、鬼頭の意外な一面を見て白石も少し驚いた様子を見せる。
「喧嘩に合流するやつを紳士と称していいのかは少し疑問だけどな」
「ってか、大人呼ばなくていいの?」
「ああなった以上は止めると変なストレスを貯めさせるだけだ。なら、人目を避けて満足するまでやり合わせた方がいい。後々のオレたちのためにもな」
そんなこんなで2人を連れてグループに合流すると、それから10分程して龍園と鬼頭は倒した連中を連れて戻ってきた。
龍園はこれでもかというくらい悪い笑みを浮かべながら、ボコボコにされた5人に命じて、西野と白石の前で土下座させている。2人も、まさかここまでされるとは思っていなかったようで、少し慌てた様子ですぐに許しの声を出していた。
改めて、もう2度とオレたちの前に姿を見せないことを誓わせると、5人は逃げるようにこの場を去っていく。
それを見て、西野が「やりすぎよ」と龍園に声をかけるが、当の本人は気にした様子もなくニヤニヤしているだけだった。
白石も「鬼頭くん、助けてくれてありがとうございました」とお礼を言っているが、鬼頭は「気にするな」の一言を返すだけで、特別なことはしていないという雰囲気を出している。いや、他校の男子生徒5人を土下座させるというのは割と大きな問題だったけどな。
原作との変化点。
・龍園と話をした。
当然ながら、原作と内容は変わっている。龍園からすると、学年末試験での標的がいなくなった形なので、勝負できる場を確約させている。
・他校生との揉め事。
原作では存在感の薄い山村が他校の生徒にぶつかるが、このSSでは代わりにいる白石がナンパされている。西野も当然標的になっており、危うく酷い目に合う所だった。
今話の登場人物一覧。
・綾小路清隆
救出係として美味しい所を持っていった。少しずつではあるが、白石との距離も詰めている。
・櫛田桔梗
変わらない有能。
・西野武子
原作以上に他校生に敵意を振りまいている。西野は、兄弟がチンピラ上がりなのでこういうタイプには全く靡かない。
・網倉麻子
少しずつ桔梗からフォローの極意を盗もうとしている。
・白石飛鳥
ちゅっ、可愛くてごめん。モテ過ぎちゃってごめん。
・幸村輝彦
この1年でこういう揉め事にも慣れているので慌ててはいない。
・鬼頭隼人
スキーでは敗北した。これで1勝1敗、次で決着をつける。
・龍園翔
退屈な修学旅行に楽しいハプニングが起きて楽しんでいる。