ようこそ俺小路くんの無念を晴らす教室へ   作:おこむね

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♯019 『勇気100% 劣情120%』

 放課後、須藤の無罪の証拠を集めるため、我々Dクラスは活動を開始することにした。

 

 顔が利く櫛田にBクラスへ。平田や軽井沢にAクラスに向かって貰い、審議相手であるCクラスへの訪問は保留にしている。

 オレと雪は、特別棟に行って現場を確認しようかと思ったのだが、放課後になると同時に、佐倉から相談があると声をかけられた。

 

 佐倉に配慮して、あまり人が居ない場所で話をしようということになり、オレの部屋へ連れて行く。

 これが1対1なら佐倉も緊張しただろうが、雪も一緒ということで、佐倉も特に嫌がる様子は見せていない。メンツこそ違うが、昨日の須藤と同じ状況だった。

 

「あ、あのね、私……実は特別棟にいたの」

 

 座ってお茶の準備をすると、早速とばかりに佐倉が話し出す。4月から上手いこと仲良くなったおかげか、そこまで緊張せずに話が出来ている。

 

「それって、須藤くんが冤罪を仕掛けられた時ってこと?」

「う、うん……信じられないかもしれないけど」

「信じるさ。その時のことを教えてくれるか?」

「う、うん。Cクラスの人たちが須藤くんを挑発してて。須藤くんは『お前らになんか付き合ってられるか』って言って帰って行ったの。そ、その後、なんか三人で喧嘩してた」

 

 やっと言えたと言わんばかりに、佐倉がホッとした表情を見せた。ずっと一人で抱え込んでいて苦しかったのだろう。

 

「ご、ごめんなさい、私……教室で手を上げられなくて」

「謝ることないよ。佐倉さんがそういう目立つ行動が苦手だって、私たちは知ってるんだから」

「そうだ。無理をすることはない。むしろ、よくこうして話してくれたな」

「二人は、友達だから……」

 

 佐倉から友達と言って貰えるくらいに信頼されている。それがわかり、思わず笑みを浮かべてしまう。順調に進んでいるな。

 

「わ、私、どうしたらいいと思う?」

「佐倉さんの好きにして良いんじゃないかな。無理に目撃者として名乗り出ることはないと思う。同じクラスの人間が目撃者として名乗り出ても、庇っていると思われて証人としては弱いからね。何か証拠があれば話は別だけど……」

「しょ、証拠……?」

「例えば、佐倉が聞いた話の音声とか、現場の写真とかだな。まぁ、特別棟は監視カメラもないみたいだから望み薄だが」

「しょ、証拠、ある……!」

 

 そう言って、佐倉が懐からカメラを出した。現場の写真を撮っているということだろう。

 

 中を見せて貰うと、可愛い佐倉の写真がたくさん入っていた。寮の部屋で撮ったものと思われるが、中には水着の姿もあってとても素晴らしい。思わず、Tレックスがこんにちわしそうだ――

 

「清隆、それじゃないよ」

 

 ――と、写真を見ていると、雪がムッとしたようにそう言ってくる。自分にはないボインに妬いているらしい。正直、もう少し見ていてもよかったのだが、仕方なく写真の日付を事件の日のものに変えていった。

 

「これか」

 

 すると、特別棟で自撮りをしている佐倉――いや、雫と、その陰で言い争う須藤とCクラスの面々が見える写真が出て来た。スライドすると、次にはアップになって、石崎が須藤に殴り掛かるシーンや、須藤が帰ろうとしているシーンが撮られている。

 

「石崎たちが互いを殴るシーンはないのか?」

「び、びっくりしちゃって撮れなかった……」

「でも、これだけでも十分な証拠じゃない? 須藤くんが帰ろうとしている時に、石崎くんたちは怪我をしていないんだし」

 

 確かに、これだけでも十分な証拠だ。しかし、これでは戻って来て須藤が殴り掛かったと言われれば否定はできない――が、今ここで言うべきことではないだろう。

 

「確かに、これがあれば物的証拠になり得るかもしれないな」

「な、なら……」

「だが、それでも写真は合成だと疑われる可能性もある。それに、お前に出来るか? 人前で、たいして仲良くない男子生徒である須藤の無罪をアピールすることが?」

「そ、それは……むり、かも」

「まぁ、それが普通だ。佐倉でなくても、人前に立つには勇気が必要だ。そして、それは今日いきなり持てと言われて持てるものではない」

 

 そう言うと、佐倉が縮こまってしまった。少し強く言いすぎたかもしれない。

 

「今日、須藤くん……凄かったよね。みんなの前で、頭を下げて謝ってた」

 

 少し慰めようか――と、思っていると、佐倉がオレを真っすぐ見つめて、そう言い始めた。

 

「私ね。別にみんなが嫌いで証言したくない訳じゃないの……ただ、怖くて、目立ちたくなくて、自信がなくて……でも、そんな自分が嫌で、それでも勇気が出なくて……」

 

 半分泣きそうになりながら、そう佐倉は訴えてくる。どうも、気持ちは助けたい方向を向いているが、どうにも踏み切れないようだ。

 

「最悪、写真だけ提出するという手段もある。勿論、証言がない以上、信憑性は多少下がるかもしれないが……」

「で、でも、じゃあ何で名乗り出ないんだって、責められないかな……?」

「それは……ないとは言い切れない」

「助けたいよ……でも怖いの。人前に立つのは、苦手だし。勇気が振り絞れない……」

 

 目に涙を貯めながら、佐倉が言葉を紡ぐ。「私も、須藤くんみたいに変わりたい」と。

 

 喧嘩ばかりして他人に迷惑をかけてクラスでも腫れもの扱いだった須藤が、今日クラスに受け入れられた。自分も、あんな風になりたいと――悲鳴のように叫ぶ。

 

「――なら、変わってみればいい」

 

 ――ならば、魔法をかけよう。

 

「えっ?」

 

 サッと佐倉のメガネを外す。度が入っていないので、伊達メガネだということはわかっている。

 

 眼鏡を外す――たったそれだけで、佐倉愛里ではなく、グラビアアイドルの雫がそこに現れた。

 

「うん、可愛いな」

「そうだね、可愛い」

 

 オレと雪が二人で褒めると、佐倉も「なななな、なにを」と、慌てふためいている。

 

「確か、雫だったっけか。流石はアイドルだけのことはあるな」

「ノーメイクでこれだもんね」

「うぇっ!? な、なななな、なんで知って!?」

「いや、実は最初から知っていたんだが、あまり目立ちたくないみたいだったから今までは黙っていたんだ。オレも男だからな、雑誌にも乗ったことのあるアイドルくらい知っている」

 

 正確には原作知識だが、そこまで素直に話す必要はないだろう。

 

「私は清隆に聞いて、ブログも見たよ」

「あ、あの、えと、えと、違うの。べ、別に、隠したかった訳じゃなくて、その――」

「言い出せなかっただけなのは知っている。別に責めるつもりはないし、アイドルだからと変な目で見るつもりもないから安心しろ」

 

 まぁ、変なことはするつもりだが――

 

「話を続けるぞ。人前に出るのが苦手だと言っていたお前が、過去にアイドルという目立つ仕事をしていた。それはおそらく、お前が自分を変えようと努力した結果なんじゃないのか?」

「そ、そんな格好いいものじゃないよ。ただ、私はこんな自分を隠したくて……」

「でも、他人にカメラで写真を撮られるというのは、人前に立つのと同じくらい覚悟がいることじゃない? 特にグラビア系のアイドルは際どい写真を撮ることもあるし、羞恥心を上手く隠して、あれだけの笑顔を作れるのは勇気があるからだよ」

「そ、それだって、カメラマンを女性にしてもらったり、関係者を少なくしてもらったり、感情を消してたから我慢できただけで……」

「だが、それでもお前にとって勇気がいる行動だったことに違いはない」

「そ、そうかな……? でも、結局は限界が来て、こうやって逃げちゃったんだよ……?」

「逃げることは悪いことじゃないよ。自分の身を守る歴とした手段なんだから」

 

 まずは褒める。認めることで自信を持たせる。そこから、弱い自分と決別させていく。

 

「お前はアイドルとしての自分を作った。それは、自分にないものをアイドルという職業が持っていたからじゃないか?」

 

 人前で明るく笑顔で、誰からも好かれる――そんな自分になりたいという願いが込められた存在。それこそが雫なのだろう。

 

 そもそも、弱い自分を隠すだけなら、アイドルになる必要はない。佐倉がアイドルに強い憧れを持っていたからこそ、佐倉は自分もそうなりたいと思った。そうでなければ、雫なんていう存在は生まれていない。

 

「お前はもう勇気を持っているんだ。後は踏み出せるかどうか。でも、佐倉に踏み出す自信がないのなら、もう一人に自信を借りるのもいいんじゃないか?」

「もう、一人……?」

「雫――佐倉さんのもう一つの姿」

「そうだ。仮面を被るんだ、演じると言い換えてもいい。自分に自信が持てないのなら、自信のあるアイドルとしての自分を演じてみろ」

 

 櫛田が櫛田桔梗というキャラクターを演じているように、佐倉も雫というキャラクターを演じることで、自分にない自信を手に入れる。勿論、それは言葉にするよりもずっと難しいことだろう。しかし、このまま燻っているよりもマシなはずだ。

 

「もう一度、雫として表に出てみろ佐倉。一人じゃ耐えられないかもしれない。けど、今はオレたちがいる。苦しかったらこうやって相談すればいいし、怖かったら一緒に居てやる」

「そうだよ。少しずつでも頑張ってみよ。佐倉さんは可愛いんだから」

 

 アイドルという姿に少し自信を分けて貰う。姿を変えるというのは、自分を変える大きなキッカケだ。

 

「で、でも……」

 

 しかし、これだけ後押ししても、佐倉は踏み切れないようで視線が右往左往していた。これでも駄目か。ならば、後はもう強硬手段しかないな。

 

 雪に目線で合図を送る。少し恥ずかしそうに頬を染めたが、こくりと頷いた。

 

「それでも、人前に出るのに勇気がないと言うのなら――それ以上に勇気のあることを経験してしまえばいい」

 

 オレがそう言うと、雪が佐倉を押し倒していく。「えっ、えっ」と、慌てる佐倉の口を、雪の口で封じ込めた。

 

 人前に出るのが恥ずかしい、怖い、自信がないというのなら、それを上回る勇気がいる行為をしてしまえばいい。佐倉も自分の魅力に気がつけば、自信も自ずと出てくるだろう――と、それらしいことを言ってはいるが、実際はもうオレが我慢できないだけだった。

 

 いや、待て。勿論、他にも言い分はある。

 

 いくら櫛田を懐柔したとはいえ、何かが起きて佐倉が退学になる可能性はゼロじゃない。神室と同じく期間限定品は早めに口にしないと、いつ食べられるかわからなくなる。まぁ、神室も佐倉も退学させる気はないので、もう期間限定品ではないのだが――

 

「んっ、んむ……ちゅ……んっ」

「んちゅっ……む…ふぅ…んっ……」

 

 美少女二人が舌を絡め合っている隙に、念のために誰も入ってこないように鍵をかけにいく。これで、セフレたち以外は入って来られないので、邪魔が入ることはなくなった。

 

 これが男であるオレ主導だったならば、佐倉も悲鳴を上げて出て行っただろう。しかし、同じ女子である雪主導ということで、佐倉も恥ずかしがってはいるが拒否するまではしていなかった。地味にそういうことに興味があったのかもしれない。

 

 意外とむっつりな佐倉は、雪を押し返せずにやりたい放題やられていく。また、程よく頭が蕩けて来た所で、オレも参戦し、佐倉の桜を咲かせてやる手伝いをした。

 

 二人がかりではなすすべもなく、佐倉も快感に身を任せていく。ここまで来ればもう佐倉も拒否はしないだろう。「いいか?」と、確認すると、佐倉はすぐに頷いた。

 

 オレのTレックスが火を噴く。

 

 思えば、流石のオレも三人で行為を行うのはこれが初めてだった。放っておかれて可哀想な雪も一緒に可愛がってやり、三人で愉しんでいく。

 

 これはこれで悪くないな。

 

 佐倉の極上の体を味わいつつ、雪の白い体を赤く染めていく。事が終わると、佐倉もオレたちと行為に及んだのを恥ずかしがってはいたが、少し前向きにものが考えられるようにはなったようで、原作のように審議に出ると言っていた。

 

 一回やるだけで自信がつくのなら何度でもしようということで、真っ赤になっていた佐倉を雪と一緒に再び押し倒していく。最終的には佐倉も振り切れたのか、「何か、もう悩んでたのが馬鹿らしくなってきたよ」と、笑みを浮かべていた。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・佐倉が自分から悩みを打ち明けてきた。
 原作よりも早く仲良くなったことで、佐倉が清隆と雪に相談してきた。予想外の展開ではあるが、これはこれで話が手っ取り早いので原作を省略している。

・雫について。
 いつもの独自解釈。気に入らなかったらごめん。

・佐倉を食べた。
 恥ずかしい、怖い、自信がない。なら、それを全て満たせる行為を経験してしまえばいい(暴論)ということで、いきなり雪が襲い掛かってきたが、同じ女の子同士ということで抵抗できなくなっている。最終的には清隆に頂かれた。

・佐倉が開き直った。
 いろいろ経験した結果、悩んでいるのが馬鹿らしくなった。勿論、全てが変わった訳ではないが、少し頑張ってみようという気になっている。



 今話の登場人物一覧


・綾小路清隆
 佐倉からの相談を受け、いろいろ説得していたが、最終的には実力行使することにした。いや、決して今がチャンスとか、この機を逃す手はない等とは考えていない。

・椿雪
 清隆と一緒に佐倉を説得していた。最終的には佐倉を押し倒す役を買って出ている。清隆に仕込まれた舌テクで、佐倉をノックアウトした。

・佐倉愛里
 須藤の件を相談しに来たら、いつの間にか雪と清隆に食べられてしまった。しかし、意外とむっつりな性格をしているのと、清隆や雪との関係を崩しなくないので、すぐに清隆のセフレになることを受け入れている。


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