ようこそ俺小路くんの無念を晴らす教室へ   作:おこむね

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SIDE:07 『櫛田桔梗の悦び:堀北鈴音の堕落』

 SIDE:櫛田桔梗

 

 

 堀北を精神的に追い込むから協力してほしいと頼まれたのは、私が綾小路くんの奴隷になってすぐのことだった。

 

 勉強会も失敗して、クラスの事件も何も出来なくて、順調に上のクラスを目指す私たちをただ眺めることしかできない哀れな女――正直、気分は最高だった。

 

 けど、同時に不快でもある。

 

 あの女は私の秘密を知っていた。綾小路くんの推理によって、私が被害者という可能性も出てきたが、それでも私が過去にクラスを崩壊させたという事実は消えない。そして、あの女はそれを知ってしまっていた。

 

 息苦しい。仮に堀北が私の秘密を暴露しようと、私には何のダメージもないのはわかっている。しかし、秘密を知られているというだけで、喉元にナイフを突きつけられているような気分だ。

 

 その点、綾小路くんは違う。同じ秘密を知った人間なのに、彼の近くにいると楽しい。彼は私の全てを理解して肯定してくれる。彼に秘密を知られたことは、私にとってこの上ない幸運だった。

 

 でも、私を縛り付けて良いのは綾小路くんだけなのに、秘密を知っているというだけで、あの女は綾小路くんと同じ立ち位置にいる。それが気に食わなかった。

 

 そんな時だった。綾小路くんの命令で、堀北を無人島試験のリーダーにすることになったのだ。

 正直、綾小路くんがどうしてこの試験でリーダーが必要だと知っていたか、どうして堀北をリーダーにさせようとしているのかはわからない。

 

 けれど、私は彼の言う通りにした。それが全て正しいからだ。これまでも、彼の言葉に従ってきたおかげで、私はクラスのリーダーになって皆に尊敬されている。

 

 最初は、クラスのリーダーになるとやっかみを受けるし、私自身にリーダーとしての資質がないとわかっていたから、リーダーなどやりたくはなかった。でも、そんなものは立ち回り次第でどうとでもなると彼は教えてくれたのだ。

 少なくとも、堀北がリーダーになるよりは私がリーダーになった方がクラスはスムーズに動く。その自信をこの数か月で得ることが出来た。

 

 だからこそ、一時のリーダー権を渡した所でどうとでもない。仮に堀北がここで結果を出そうと、私の立場が崩れることはない――彼も、そう言ってくれた。

 

 おそらく、この件も堀北を絶望させるのに必要なのだろう。そうして、私は無人島試験を彼の指示通りに過ごした。特別何かはしていない。ただ、クラスを纏めて、一週間を過ごしただけ――しかし、Dクラスは1位となり、いつの間にか堀北が綾小路くんに従っていた。

 

 堀北の変化はすぐにわかった。ずっと、あいつを見てきたのだ。私にわからないはずがない。

 

 おそらくは抱いてもらったのだろう。堀北が彼を見る目が男を見る目に変わっている。あの堀北が屈したということは、精神的にかなりきついことをされたはずだ。そう考えればいい様――とも思ったが、あいつが私と同じ場所に来たと思うと虫唾が走った。

 

 思わず腹いせに、「綾小路くんって遊ぶんだ!?」と、割と酷い言葉をかけたら、その日の夜にお仕置きを受けた。いくら謝っても許してくれないくらいに、彼は私を責め立ててきた。

 

 そして、私は本音を打ち明けたのだ。堀北を退学にさせたい。あの女が一緒にいるのは耐えられない――と。

 

 しかし、綾小路くんは首を横に振った。私に配慮して、秘密をばらされるのが嫌なら黙っておくように命令するとも言ってくれたが、あいつが私の秘密を知っているというのが嫌なのだ。

 あいつの方が私より上にいる感じがして嫌だ――と、我儘を言うと、綾小路くんは、「なら、お前が上になればいい」と、まるで簡単なことのように解決策を出してきた。

 

 一瞬、何を言われているのかわからなかったが、気が付けば綾小路くんは堀北をこの部屋に呼び出していた。まだ私も裸のままだが、別に見られて困ることはない。しかし、呼び出された堀北は寝起きだったのか、私と綾小路くんを見て不快感を隠そうとしなかった。

 

「何の用? まさか、自分たちの情事を見せつけるために呼んだのかしら?」

 

 まるで、こちらを馬鹿にしたような言葉――けど、私が怒りを見せる前に、隣の綾小路くんが凄まじい殺気を堀北にぶつけた。

 

「寝起きだからと立場を忘れたか?」

 

 殺気をぶつけられ、その言葉を聞いた瞬間、堀北は素直に、「も、申し訳ございません。ご主人様」と頭を下げる。奴隷と主――明確な立場の違いを理解していないこいつが悪い。

 

「服を脱いでこっちにこい」

 

 続けての命令を受けて、堀北は一瞬私の方を見たが、素直に服を脱いでこちらに歩いてきた。胸は私の方が大きい。

 

「横になって手を挙げろ」

 

 私を立たせて、無人になったベッドに堀北を横たわらせる。そのまま、どこからか取り出した手錠で、堀北の腕をベッドに繋いだ。

 

「……何のおつもりでしょうか?」

「命令だ。ここから先、お前に反抗は許さない」

 

 そう言って、堀北の自由を奪うと、今度は大きなバ〇ブを取りだして私に渡してきた。

 

「ほら、櫛田。自由に遊べ。こいつは今、お前の玩具だ」

「えっと……遊べって言われても……」

 

 流石の私も理解が追い付かずに何をすればいいのかわからない。すると、綾小路くんは見本を見せるとばかりに、バ〇ブのスイッチを入れて堀北を責め出した。

 

 私に見られるのを恥ずかしがりながらも、堀北は綾小路くんの攻撃に体をくねらせている。声を漏らすまいと耐えているが、耐えられない姿を見ると、私も急に興奮してきた。これは一体――

 

「こんな感じだ。やってみろ」

 

 そう言うと、今度こそ私にバ〇ブを渡してきた。スイッチを入れて、堀北を責めていく。

 

 先程まで綾小路くんに責められていたからか、すぐに我慢できずに体を動かし始めた。しかし、「動くな」の命令でそれも出来なくなる。泣きそうになりながらもこちらを睨もうとする堀北を見て、私の中の何かが目覚めた――

 

 最初は「やめなさい。やめて」だったのが、段々と態度がしおらしくなっていき、「ごめんなさい、許してください」に変わる。涙を流しながら絶頂するのは最高に情けない姿だった。

 

 あの堀北が私に屈服している――気が付けば、私は笑みを浮かべていた。楽しい。いつもは堀北と一緒にいると、息苦しさを感じていたのに、それが一切なくなっている。

 

 こいつが叫び声を上げる度、情けない姿を見せ、許しを懇願する度に、私の中のストレスが魔法のように消えていく。

 

「はあっ! ああっ! 許してください、ごめんなさい、櫛田さんっ!」

「櫛田さん!? 桔梗様と呼べ、このメス豚が!!」

「桔梗様っ! 申し訳ありません、桔梗様っ! お許しくださいっ!!」

 

 綾小路くんが、私が上に立てばいいという言葉の意味を真に理解できた。このメス豚が、私を脅かすなんて有り得ない。こいつは私の玩具なんだ。私を楽しませるためにいる。退学なんてさせるものか。

 

 そのまま、堀北の独善的な性格や、気取っている部分が気に入らないと素直にぶつけた。

 

 言葉で責められながら、肉体的にも責められ、いつの間にか堀北の体は責められることが快感だと覚えたようで、今や言葉で責められるだけで快感を得られている。下半身は既に大洪水を起こしており、言葉で責められる度にダムが決壊していた。

 

「この変態が! あんたなんかと同じクラスだと思うと、反吐が出る!」

「はぅんっ! も、申し訳ござ、いま……」

「謝る前に改善しろ! もっと、ご主人様の役に立て! この役立たず!!」

「ああっ! 偉そうにしてすみません! 役に立たなくてすみません!」

 

 気が付けば、堀北は謝りながら気絶してしまっていた。私は、綾小路くんに抱かれた時はまた違った快感を得て、これ以上ない満足感を得られている。

 

 改めて、理解した。

 

 私は彼がいないと駄目だ。彼がいてくれるからこそ、私はこの学校で楽しく生きることが出来る。

 

 彼がいないと生きられないし、彼のためなら何でもできる――きっと、椿さんたちはもっと早くこの気持ちを得ていたのだろう。その証拠に、彼は初めて私のことを名前で呼んだ。

 

 彼が桔梗――と、私を呼ぶたびに、私の中が満たされるのがわかる。

 

椿さんが言っていた。綾小路くんは特別な事情がない限りは、女性を名前で呼ばない。名前で呼ぶのは、特別の証なのだと。

 

 そして、私もその特別になった。

 

 次の日、椿さん――いや、雪ちゃんはすぐに気が付いたようで、私のことを『桔梗ちゃん』と呼んでくれた。それだけで喜びが染み渡る。私は本当の友達をようやく手に入れられたんだと、心から理解した。

 

 

 

◇◆

 

 

 

 SIDE:堀北鈴音

 

 

 クラスメイトが私を頼ってくれるようになった。以前は、視界にすら入っておらず、声もかけられなかったのに、綾小路くんが手を回した瞬間、世界は一転してしまった。

 

 無人島試験での失態。あれを彼は魔法のように成功に変えてしまった。正直、リタイアする最後の方はよく覚えていないけど、私が自分から綾小路くんを求めた記憶だけはしっかり残っている。

 

 この私が他人に縋るなど有り得ないと思っていた。でも、同時に、所詮私はその程度の人間なんだって諦めの気持ちもあった。本当の私はこんなに弱くて、彼に縋るしか出来ない情けない人間なんだって。

 

 私は、兄さんのようになりたかった。

 

 兄さんのように、独りで何でも出来る強い人間になりたかった――けど、もう無理だ。私は兄さんのようにはなれない。

 ここ数ヶ月で、それを痛い程理解した。無人島試験もそうだ。もし、私だけだったら、Dクラスは壊滅的なダメージを受けて敗北していた。助かったのは綾小路くんが助けてくれたからだ。

 

 彼は言った。自分に従えば、Aクラスに行く協力をする――しかし、逆に従わなければ敵対すると。

 

 これだけの奇跡を見せられ、彼を敵に回すなど出来るはずがない。強がりでも、もう自分の力だけでAクラスに行く等とは言えなかった。それが奴隷契約だったとしても、私には受け入れるしか選択肢はない。

 

 茶柱先生に契約を見届けて貰うと、早速彼は私の体を求めてきた。驚いたのは、茶柱先生も一緒だったことだ。どうも、先生も私同様に、彼に従っている様子だった。

 

 先生がする行為をお手本に、私も彼に奉仕する。自分が男性とこんな関係になるなど、考えたこともなかった。私の世界には、いつも兄さんしかいなかったから。

 

 でも、今は綾小路くんという存在が深く刻まれている。男女の関係になったからだろうか、彼を受け入れる度にどんどんその存在が大きくなっていった。

 

 綾小路くんの奴隷になった次の日。眠っていると、私はまた呼び出しを受けた。

 

 最初は、眠気のあまりついいつもの調子で文句を言ってしまったが、それが誤りだったとすぐにわからされることになる。

 

 気が付けば、私は彼らの玩具にされており、身動きを取ることも許されずにされるがままになるしかなかった。

 

 最初は綾小路くん。続いて、櫛田さん。

 

 正直、櫛田さんとは昔のこともあってギクシャクしていたが、どうやら彼女も彼の駒の一人のようで、綾小路くんとそういう関係なのは間違いなかった。

 

 そんな彼女が、困惑した顔をしていたのは初めだけ――気が付くと、いつもの天使のような笑みは消え、悪魔のような笑顔で私を甚振ってくる。

 精神的にも肉体的にも屈服させられ、私は意味もなく謝罪を繰り返す以外に出来なかった。

 

 櫛田さん――いえ、桔梗様は、ずっと私のことが嫌いだったらしい。

 過去を知っていると言うこともそうだったようだが、何より私の独善的な性格や周りを見下した態度が気に入らないと、ストレートに気持ちをぶつけてきた。

 

 そういえば、前に彼女の手を借りてようやく成立させた勉強会を、私のせいで台無しにしたことがある。

 私はずっとそれを赤点組のせいにしていたが、こうして改めて考えると、私のせいだった。彼女が私を恨むのも当然のことだ。

 

 気が付けば、私は彼女に屈服していた。

 

 正気を取り戻した後も、不思議と彼女に逆らおうと思えない。私は彼女の下僕なのだと、あの一晩で完全に刷り込まれてしまっていた。

 

 そして、クラスで遊ぶから来いと命令を受ける。

 

 ご主人様からは、高圧的な態度を止めてクラスメイトと交流しろと言われたので、桔梗様のような態度を心掛けてクラスメイトたちと交流することにした。

 とはいえ、いきなり私が桔梗様のような言葉遣いをしても怪しまれるだけなのであくまで雰囲気を真似るだけにしている。

 

 それでも、前よりは話しやすくなったのか、女子の何人かとは良い雰囲気で話をすることが出来た。

 

 こうして改めて自分を見つめ直すと、今までの私は本当に酷い人間だったのだと思う。兄のようになろうと、自分を見失い、孤独でいることを孤高と勘違いする痛い女。

 人間一人で出来ることなど限りがあるというのを痛いほど理解した今では、それがいかに愚かなことだったのかよくわかる。桔梗様が私を罵るのも当然のことだ――と、昨日のことを思い出すと、恐怖と同時に下半身に違和感を覚えた。

 

 ――濡れている。

 

 自分はあんな行為を快感だと思ってしまうような変態だったのだと自覚すれば自覚するほど、私の体は馬鹿みたいに準備を進めてしまっていた。

 

 思わず、恐怖で体が震える。

 

 私はあんなに酷い目にあったのにどうして体は喜んでいるのだろう。楽しかった? あの地獄が? まさか、そんなはずがない――このままいけば何かが壊れる。不思議とそんな予感がした。少なくとも、もう桔梗様と一緒に呼ばれるのだけは嫌だ。

 

 しかし、不安とは別に疼きは止まらない。

 

 流石にまずいので、トイレに行くと言って少し抜け出す。とはいえ、自分からご主人様を求めるなんて恥ずかしい真似は出来なかった。この興奮を鎮めるには自分でどうにかするしかない。

 

 馬鹿みたいだ。こんな所で何をしているのだろう――と、涙を流しながら、私は人生で初めて、自分を慰めるために普段触らない場所に指を伸ばした。

 

 

 




 SIDE7は櫛田と堀北。

 櫛田は堀北との和解(?)と、清隆に対する思いの変化。ドSが目覚めてやりたい放題している。

 堀北は過去の自分についての自覚と、変態への一歩。ドMが目覚めて、責められると自然と悦ぶ体になってきている。


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