走り方の基本をレクチャーし終えた次の日。体育の授業ではローテーションで競技の練習をすることにしたが、今日は丁度綱引き用の縄が借りられたので、急遽綱引きの練習に変えることになった。
須藤は、無人島試験時の池のように、クラスメイトたちに軽いアドバイスをしている。桔梗が綱引きのコツを説明すると、それを実践するように見せてやり方を伝えていた。
「無駄に力み過ぎなんだよ。櫛田も言ってたろ、綱引きは腕の力でやるんじゃなくて体全体の力をかけるんだ」
今回、レクチャーした綱引きのコツは主に姿勢や体重移動だ。綱引きはただ縄を引っ張るという競技ではない。
基本的に、縄を掴む手は両手をピッタリつけて、縄を脇に挟み込む。その上で体は真っすぐ前を向けて、足を八の字のガニ股にし、後ろに倒れるのがコツだ。腕で引く力には限界があるので、体重をかけることで何倍の力を出す訳だな。
後は並び順だ。最初に身長の高いやつ、真ん中に低いやつ、後ろに高いやつを配置すると、弓なりになって上手く力が通るらしいので試してみることにしている。
「ほれ、向こうから引いてみ」
そう言って須藤は、池、山内、博士、幸村と四人で引くように指示していた。流石に四対一なら勝てると気合を入れる四人だが、須藤は桔梗の教えた動きで四人を完封していく。
まさか四人がかりで負けると思わなかったのか、地面に倒れながら、池や山内が「「ゴリラだー!!」」と叫んでいた。
「誰がゴリラだ。お前らがちゃんと体重乗っけてねぇだけだよ」
「わっかんねー……なぁ、須藤。もっとコツみたいなの教えてくれよ」
「パワーも重要だけどな。こういうのは腰を使うんだ。そのまま真後ろに倒れるようにしてみろ。ほれ、ガキが玩具欲しい時に親の腕を引っ張るような感じだよ」
「あぁ……」
「そういうことか……」
例えとしては完璧だったようで、池や山内も納得したような声を上げている。
続けて、もう一度勝負を挑むと、今度は二人がかりにも関わらず先程よりも拮抗していた。とはいえ、須藤のパワーに勝てるはずがなく、再び地面に倒されて「「ゴリラー!!」」と叫んでいる。
「だから、誰がゴリラだ、コラァ!」
そう言って須藤もじゃれ合いに入っていく。一方、その頃、オレは女子の綱引きのレクチャーをしていた。
試しに10対10に分かれてコツを説明していたのだが問題なく出来ている。むしろ、男子よりも強いかもしれない。
「男子と違って、女子は呑み込みが早いな。体重のかけ方が上手い」
実際、女子は男子よりも物覚えが良いので、理想的な綱引きの仕方が出来ていた。
「もし、脇に挟んだ縄が痛かったら、綱引きの時だけジャージを着てもいいかもしれないな」
脇を気にする素振りを見せる女子が何名かいたので、そうアドバイスした。緩衝材の時もそうだが、有効なアイテムは使って行かないと損だ。
「綾小路くん、掛け声とかはどうしようか?」
「そうだな、普通にオーエスでもいいが……もし工夫するなら、いち、に、さん、かな。いちで右足を、にで左足を後ろに下げ、さんで再び体重をかけるという感じで、掛け声で動きを統一すると動きに無駄が無くなって力を入れやすくなる」
桔梗の質問に応えながら、掛け声の重要性も説いていく。声を出すのは力も入れやすくなるし、タイミングを取るというのは意外と馬鹿に出来ない。
と、話しながら、試しに男子対女子で、綱引きをしてみることにした。
とはいえ、普通にやっても女子が不利なので、男子側はオレと須藤が参加せず、須藤は女子側の一番後ろに参加させている。オレは審判だ。
男子は平田が指揮を執って、背の高い男子を前と後ろに分け、低い男子を真ん中で挟む体制を取っている。
対する女子は後ろに須藤がいるハンデを有効利用するつもりのようで、背の高い女子から背の低い女子の順に並んでいた。本来、後ろに背の低い人間を置くのはバランスが悪いのだが、今は須藤が最後尾にいるのでカバーできると踏んだのだろう。
本番では使えない作戦だが、そもそも本番で男子対女子などない。女子は本気で勝ちに行くつもりのようだな。
「じゃあ、行くぞ」
スタートの合図代わりに手を叩くと、お互いに綱を引き始めた。男子は特に掛け声を決めていないのか、各々気合を入れて引っ張っている。
逆に、女子側は今さっき決めた、「いち、に、さん」という掛け声を使っていた。須藤も桔梗から聞いているようで、女子に合わせて力を加えている。
ぶっちゃけ、須藤抜きでも女子が勝てそうな空気だが、男子のパワーも女子の一体感の前では通用しなかったようで、一気に綱が女子の方へと引き寄せられていた。
「そこまで」
と、再び手を叩くと、全員の力が抜ける。誰がどう見ても女子の勝ちであり、男子は何とも言えない表情を浮かべていた。
「男子も掛け声をしよう。女子と同じく、いち、に、さんで、いちで右足を、にで左足を後ろに戻し、さんで再び体重をかけてるんだ。須藤の力も大きかったが、主に力が分散していなかったことが女子の勝因だからな」
と、男子側にアドバイスをし、須藤にも「少し手を抜け。次は男子側に勝たせないとやる気がなくなる」と耳打ちすると、もう一度綱引きを再開することにした。
須藤も、自分が全力で参加すると、女子側が有利になり過ぎるとわかったようで、「おう、わかった」と、小声で答えている。次は、ある程度手を抜いてくれるだろう。
そうして、二回戦目がスタートした。
流石に女子程の一体感はないが、男子側も声を出すことで先程よりも力が出ている。体格の差で女子が不利な以上、男子が連携し始めれば女子が負けそうになるのは当然なのだが、須藤が頑張っているので結構拮抗していた。
しかし、須藤も程々で手を抜いたのか、男子の勢いにわざと負けるように「やーらーれーたー」と棒読みな声を出している。演技が下手すぎるが、須藤が最後まで本気だったら、また女子が勝っていたかもしれないので良しとしよう。
「よーし、今度こそリベンジ出来たぜ!」
「掛け声って意外と大事なんだな」
勝った男子からようやく声が出て来た。
女子側は一度勝てた上、今もほぼ拮抗していたことから、十分な成果を得たと思ったのか、「私たちって強くない?」、「本番も楽勝かも」と声が上がっている。半分は須藤のおかげでもあるが、自信をつけることにマイナスはないのでそのまま放置しておくことにした。
「ありがと、須藤くん。さっき勝てたのは須藤くんのおかげだよっ」
とはいえ、功労者を放置しても士気が下がるので、空気を読んだ桔梗が声をかけにいく。
「そうか? あんがとよ。でも、女子はマジ強いぜ。ぶっちゃけ、男子と交換して欲しいくらいだ」
須藤もしっかり女子を褒めていた。しかし、半分は本音なのか、不甲斐ない男子に何とも言えない顔をしている。
「男子ももっと力が合わされば強くなるよ。それに須藤くんや綾小路くんがいるんだし!」
「そうだといいけどな」
「珍しく謙遜しているのね。今の綱引きでも、あなたの功績が大きいのは誰が見ても明らかだわ。その力が男子に加わるのだから、強くなるのは間違いないでしょう」
桔梗、堀北のダブルよいしょを受けて、須藤も「おう、頑張るぜ」と喜びの声を出していた。ようやく堀北と須藤も、普通に話が出来るようになったらしい。
「あなたは櫛田さんや平田くんのような指導者タイプではなく、自分の結果で他人を引っ張っていくタイプよ。あなたが結果を出せば出すほど、クラスは鼓舞されていく。だから、がむしゃらに頑張りなさい。それが自ずと、クラスのためになるわ」
「堀北……」
「とはいえ、下手に調子に乗ると、後で手痛いしっぺ返しを食らうかもしれないから注意すること」
半分は自分に言い聞かせるようにそう言うと、堀北は再び練習に戻っていく。須藤は堀北に認められてテンションが上がったのか、改めて気合が入っていた。惚れたか?
「堀北さんに良い所持っていかれちゃった」
と、その様子を見ていると、桔梗が苦笑いを浮かべてこちらに歩いてくる。笑顔を浮かべてはいるが、内心で「あの女、良い所全部持って行きやがって」と言っているのが伝わってきた。今度のSMの日が楽しみだな。
「フォロー、ご苦労さん。お前が進んで手の届かない所に行ってくれるので助かっている」
「それはいいんだけどね」
と、言って小声で櫛田が話を続ける。
「南雲先輩の噂は徐々に流してるよ。実際、上級生の間では結構有名みたいで、あんまりいい顔してない先輩もいた」
「良い調子だな」
「でも、一之瀬さんも言ってたけど、やっぱり二年生は完全に南雲先輩派閥だよ。票を奪うのはほぼ無理だと思った方がいいね」
「ああ、二年生は最初から計算に入れてない。重要なのは三年だ」
一年については、龍園との取引が終了したし、後は坂柳に票を貰いに行くだけだからな。
「でも、どうするの? 南雲先輩がPPに物を言わせて票を買うようなことをしたら手も足も出ないよ」
「それを防ぐために、南雲の噂を流して貰っているんだ。あくどい噂のする後輩からの誘いなんて簡単には受けようとは思わないだろ?」
「けど、それも時間稼ぎにしかならないんじゃない?」
「そうでもない。この噂は必ずオレたちに勝機を与えてくれる。後は機が熟すのを待つだけでいい」
最初から本気で仕掛けられたら、事前準備の出来ていないこちらの負けだったが、南雲は何だかんだ油断している。だから急いでは動いて来ない――そこが付け入る隙だ。
「策はある。ただ、これは、雪という存在が如何に評価されているかにかかっている」
「一か八か、ってこと?」
「そうだな。そもそも一年には圧倒的に時間がない。6月から生徒会に入って数か月、準備期間としては微妙な所だ」
とはいえ、これは普通の生徒会のような人気投票ではない。契約で票のやり取りをする以上、南雲と雪、どちらが先に生徒の票を確約できるかの勝負になる。
だからこそ、南雲も膨大なPPを使って票を買ってくるだろう。しかし、南雲はまだ投票というシステムの穴に気が付いていない。だからこそ通じる――一度限りの反則がこちらには残されていた。
◇◆
Cクラスの真鍋たち4人の躾について、今回からは個別で呼び出すことにした。流石に毎回4人同時で全てをこなすのは難しいし、その度に雪を毎回呼び出すのも気が引ける。
これはあくまでお遊びであって、別に失敗しても問題ないのだ。ゆっくりとやりたいように遊べばいい――と、いうことで、前回の着順に呼び出しをかけていく。今回は特別棟ではなく、オレの部屋と言うことでやりたい放題するつもりだった。
今回呼び出すのは、一着だった諸藤と二着だった藪だ。明日は三位同着の山下と真鍋を呼び出して個別に仕込んでいく。基本的には、一人頭1時間くらいの短い時間で、いろいろ体に叩きこむつもりだ。
マ○ターベーション選手権で一番の成績を叩き出した諸藤は、内気な性格で力押しに弱い。だからこそ、敢えて無理やりにはせず、優しく快感で頭を蕩かすように体を撫で上げてやっている。
物足りなさで腰が前後にへこへこ振られているが、Tレックスの登場はお預けにした。そのうち、自分から求める変態に仕上げるつもりでいる。
二番だった藪は、どうも見られていることに興奮するタイプのようなので、服を一枚一枚ゆっくりと脱がせて、オレが見ていることを意識させながら言葉責めで仕上げている。
手を触れてすらいないのにショーツに染みが出来ている辺り、こいつはなかなか才能があった。いずれは、男子に性的な目を向けられただけで感じる変態にするつもりでいる。
諸藤と藪で確かな手応えを感じたので、この調子で残り二人も躾けていくことにした。
同着だった真鍋と山下だが、まずは山下から呼び出している。こいつは羞恥心を刺激すると興奮するタイプなので、基本的には藪と同じで服を一枚一枚ゆっくりと脱がせて、羞恥心を煽りながら焦らすように虐めてやった。
途中、敢えて下着姿で放置すると、何もしていないのに瞳が潤んでいる。いずれは、恥ずかしいと感じるだけで濡らす変態に仕上げてやろう。
最後に真鍋だが、どうもこいつは他三人と違って意外とピュアなのか、あまりこういうことに対する経験がないようだった。
前回も、何だかんだ最後まで残っていたし、ずっと見ていたが他の三人と比べても特別何か光るものがあるという感じでもない。
なので、こいつは敢えて他三人とは方向性を変えて、ご奉仕を仕込むことにしている。
体を開発するのは変わらないが、真鍋だけはTレックスにご登場願って、無理やり奉仕させながら、アロサウルスくんで強制的に快感を教え込んでいく。
Tレックスのお世話をするのが気持ちのいいことなのだと教え込んで、最終的には棒アイスやバナナを咥えただけで準備が出来る変態に仕上げてやることにした。
当然、呼び出す回数が増えるだけ動画も増えて、4人はオレに逆らえなくなっていく。実際、今回の躾の際も、拒否しようとした瞬間、前回の動画を流してやると4人は喜んでオレの指示に従った。
だが、バラバラにしたことで、4人の反応も前回と大きく変わっている。諸藤は反抗することなくされるがままになっているし、藪は妙な期待感を覚えているのか、服を脱ぐたびに興奮していた。
山下は恥を感じれば感じるほど洪水を起こして泣きながら悦ぶという状況で、真鍋に至ってはこちらを射殺さんばかりの眼光でずっとTレックスに奉仕している。
四人が四人とも、全く違う反応を見せてくれるので、こちらも飽きもせずに楽しむことが出来ていた。
体育祭の期間を上手く使ってもっと仕込んでいこうと、決意を新たにする。特に真鍋は、完全に屈服するまで時間がかかりそうなのでかなり遊べそうだ。
原作との変化点。
・綱引きのレクチャーをした。
地味にコツを知っているやつと知らないやつじゃ勝負にならないので、勝ちは決まったようなもの。実際、リアルでも力の劣る女子が男子を制した結果も出ている。
・須藤が清隆のやり方を少しずつ学んでいる。
綱引きを通じて、力づくだけではなく、上手く相手を乗せてやる気を出させることを学んだ。
・生徒会総選挙の仕込みが進んでいる。
今は種を撒くターン。櫛田や一之瀬を通じて、南雲の動きを探っている。が、今の所はまだ動いた形跡はない。
・調教が続いている。
とはいえ、四人同時は大変すぎるので、これからは個別でしていくことにした。そのため、真鍋という支柱をなくした諸藤と山下はかなり簡単に堕ちている。藪も最初は抵抗していたがすぐに屈し、最後まで眼光を保っているのは真鍋だけだった。
今話の登場人物一覧。
・綾小路清隆
綱引きを通じて、いろいろとクラスをコントロールしている。Cクラスの調教では、各自の資質に合わせたものをチョイスして試している。とはいえ、基本的には俺小路くんの記憶にあるAVの知識なのでどうなるかは不明。
・堀北鈴音
須藤との仲が回復した。自分なりの言葉で、クラスをけん引しようとしている須藤を鼓舞している。
・櫛田桔梗
堀北に良い所を持って行かれて少しおこ。裏では生徒会総選挙のために奔走している。表ではクラスのまとめ役でとても大変。
・真鍋志保
Tレックスへの奉仕を叩きこまれている。嚙み切ってやろうかとも思ったが、歯が当たっただけでもかなりひどい目に合わされたので、素直に命令に従っている。それでも睨みつける目は光を失っていない。
・藪菜々美
最初は気丈に振舞っていたが、服を脱いだら一変した。巧みな言葉責めで屈するという恥を晒し、以後は素直に言うことを聞いている。
・山下沙希
一人だと心細いようで、命令に素直に従った。羞恥心を煽る方法は、櫛田&堀北の関係で死ぬほど勉強しているため、効率よく責められている。
・諸藤リカ
気が弱いタイプは優しくすると抜け出せなくなるため、ドロドロに溶かして抜け出せなくさせている。肉体的には一番屈しており、やろうと思えば本番も楽にできるが、今回は趣旨が違うので清隆も我慢している。
・須藤健
自分が男子の敵になることで、いろいろ見えてきた。堀北は力でけん引しろと言ってくれたが、その力も使い方ひとつで変化することを理解しつつある。