♯054 『ペーパーシャッフル』
生徒会総選挙が終了し、雪が正式に生徒会長になると、中間試験の時期がやってきた。
一学期で散々痛い目を見たおかげで、Dクラスも勉強一色――三馬鹿ですら、雪や桔梗の手を借りてしっかり勉強をしている。特に、今回須藤は体育祭で取った入賞のテストの点数にプラスをするボーナスがあるからか、かなり余裕を感じられた。
「席に着け――と、いう前に着いているか。事前準備はしっかり出来ているようだな」
そんなこんなで、中間試験が終わってからしばらくして、テストの結果発表の日がやってくると、半年前とは見違えたと言わんばかりに茶柱も笑みを浮かべる。
これが本来、学生として当たり前の姿ではあるが、あのDクラスがここまで来られるとは、五月までの姿を見れば誰も想像できなかっただろう。
「揃いも揃って真剣な顔つきだ。私は、お前たちを甘く見過ぎていたようだな」
「へへっ、俺たちもやれば出来るってことですよ、せんせー」
「それより、早く中間テストの結果発表してくださいよ」
池や山内が軽口を叩いているが、テストの結果が気になるのか、表情は真面目なままだ。それを見て、茶柱もニヤリと笑みを浮かべた。
「いいだろう。今まで言ってきた通り、中間、期末テストで赤点を取れば即退学。それは何も変わらない。だが、お前たちはついこの間まで、気構えすら出来ていなかった。成長した姿を見られたことは嬉しく思う」
しかし――と、言葉を続けていく。
「結果は結果。赤点を取った場合は覚悟を決めて貰うぞ。では、これから中間テストの結果を貼り出す。自分の名前と点数を間違えないように確認しろ」
もう中間も期末も一度ずつ行っているが、やはりテストの結果を貼り出されるのは緊張するようで、池が「やっぱ、テストの点数は全部見られるのかぁ」と嫌そうな顔をしていた。
「全教科平均して、合格点は42点以上が目安と思っておいて結構だ。それ未満の点数を取った者は必然的に退学処分になるだろう。また、今から発表する点数には、体育祭の結果も反映されている」
先程言った通り、今回のテストは体育祭でのプラスが加点されるということだ。また、ワースト10人には誰も入らなかったので、原作の外村のようにマイナスを受ける生徒はいない。
「活躍した者の中には、結果として100点を超えた者もいるが、等しく満点扱いだ」
そう言いながら、茶柱がゆっくりと試験結果を貼り出していく。流石に退学がかかっているということで、三馬鹿を始めとした成績下位者は緊張した面持ちで結果を見つめていた。
「げぇっ! マジかよ!?」
結果は点数が悪かった順に表示されていく。
これまでの中間、期末テストでは須藤が最下位を不動のものにしていたが、今回の最下位は山内春樹。続いて池寛治。さらにそこから井の頭、佐藤と原作通りの順番が続くが、ワースト10にならなかったことで、博士は原作よりも少し順位が上がっていた。
「あっぶなっ! 俺が最下位とか嘘だろ!」
山内は原作通りの結果だったようで、英語は43点とギリギリだ。この世界では、佐倉と須藤が勉強を頑張っているので平均点が上がってしまったのだろう。下手をすれば、クラス内投票の前に山内は退学する所だった。
実際、一学期では最下位だった須藤は、体育祭の貯金があるとはいえ、平均点にして60点を超えており、苦手な英語も59点とクラスでもそこそこの数値を叩き出している。原作よりも結果がいいのは、捻挫をして部活が休みになったことで、勉強に集中できたというのも大きい。
「どうだ! 一気に自己記録大幅更新だぜ!」
「立つな、須藤」
興奮して杖を持たずに立ち上がった須藤だが、一喝するとすぐに席に座った。
「その程度の点数で騒ぐな。お前の場合は体育祭の特典もあったし、他の人より結果が出て当然だ。その喜びは、自分の力だけで結果を出した時まで取っておけ」
「ぐっ、まぁ、そうだな。俺は点数貰ってんもんな……」
しかし、それでも須藤が頑張っているのは事実だ。佐倉も何だかんだ平均70点以上をキープしているし、大分勉強が出来るようになってきた。ちなみにオレや雪は当然満点だ。
「しかし、あの須藤が平均60点を取るとは……これが本当の怪我の功名だな」
「確かに、勉強会の効果は大きいでしょうね。けれど、今回は他にも要因があるわ。中間テストそのものが今までに比べて比較的簡単な問題で構成されていたようだし」
オレが少し感心するような声を出すと、堀北がそう補足してきた。実際、今回の中間試験は今までと比べて難易度がかなり低かったと言っていいだろう。
「今回の中間テストによる退学者は見ての通りゼロだ。無難に試験を乗り越えたな」
「おうおう、来月のプライベートポイントも楽しみにしてるぜ先生」
調子に乗っているのか、敬語が取れていた。「敬語」と注意すると、「楽しみにしてるっす」と、三下のような口調になっている。しかし、今回は成績も悪くなかったということで、茶柱も須藤の態度を寛大に受け止めていた。
「そうだな。体育祭も見事だった。11月のプライベートポイントはある程度期待していいだろう。それにしても、私がこの学校に着任してからの三年間、この時期までに退学者が出なかったことは一度もなかった。本当によくやったな」
茶柱が柔らかい笑みを浮かべて、クラスの生徒をそう褒める。今までが今までだったため、普段から褒められなかった反動で、殆どの生徒がテレ臭そうにしていた。
しかし、褒めて終了とはいかない。
ここからが本番と言わんばかりに、茶柱が机と机の間を抜けながらゆっくりと歩いていく。そのまま、普段活発に意見を口にする池の隣で茶柱は足を止めた。
「無事に一つの試験を乗り越えた訳だが、改めてこの学校はどうだ? 意見が聞きたい」
「そりゃ……いい学校ですよ。上手くいけばお小遣いもたくさん貰えるし。飯はどこだって美味いし、部屋も綺麗だし、女の子は可愛いし」
実際、PPとして与えられているせいか価値観が崩れがちだが、高校生がバイトもせずにひと月5万円近くのお小遣いを貰えているという状況は異常だ。4月の時のように、余程馬鹿みたいに散在しなければ十分に生活できる環境が整っている。
「あの……俺、なんか間違ったこと言いました?」
「いや。生徒にしてみれば間違いなく素晴らしい環境だろう。教師の私から見ても、この学校はあまりに恵まれすぎている。常識では考えられない好待遇と言っていい」
そう言って再び茶柱が歩きだす。続けてクラスでもリーダー格の一人、平田の隣に止まった。
「平田、この学校には慣れたか?」
「はい。友達もたくさん出来ましたし、充実した学校生活を送れています」
「一度のミスで退学になるかもしれないリスクを背負っているのに不安は感じないか?」
「ないと言えば嘘になります。ですが、その都度、全員で乗り越えていきたいと思っています」
平田がオレに信頼の視線を向けてくる。それを見て、最後に茶柱がオレの隣にやってきた。
「綾小路、お前はこのクラスをどう思う?」
「まだまだクラスとしては未熟でしょう。体育祭は運よく乗り越えましたが、学力に至っては他のどのクラスよりも劣っています。ですが、将来性という意味では、このクラスを超える場所はないと思いますよ」
「今、このクラスは歴代でもかなりの高みまで来られている。それは間違いなく、お前の功績も大きい。この先、クラスの率いる人間の一人であるお前への期待は否応なく高いものとなるだろう。そのプレッシャーはどうだ?」
「その程度のプレッシャーに呑まれるなら、オレはここに居ませんよ」
オレへの期待が大きいのはクラスではなく、茶柱本人だろう。何だかんだ、Cクラスを射程圏内にしている。体を売った甲斐はあるはずだ。
「流石だな」
そう笑みを浮かべると、茶柱は壇上に戻って行った。
「さて、お前たちもわかっていると思うが、来週から二学期の期末テスト期間に入る。それに向けて――8科目の問題が出題される小テストを実施することになった」
今中間テストが終わったばかりで、またすぐ期末――どうしても二学期はテストの間隔が短くなりがちだが、それでもテストの連続はテンションが下がる。特にDクラスは、やはり能力は足りていないので、茶柱の言葉を聞いて全員がげんなりしていた。
「小テストについてだが、まず第一に、全100問の100点満点となっている。その内容は中学三年生レベルのもので、一学期の小テスト同様に成績には一切影響しない。あくまで現状の実力を見定めるためのものだ」
ピクリと、堀北が反応する。
この小テストも、一学期の中間テスト同様にこれから行われる期末テストのヒントになると予想したのだろう。茶柱がその疑問に答えるように言葉を続けていく。
「だが、勿論小テストの結果が無意味ではないことを先に伝えておく。何故なら、この小テストの結果が次の期末試験に大きく影響を及ぼすからだ」
「その影響とはなんですか、先生?」
いつも通り、平田が率先して疑問を口にした。全員が嫌そうな顔をしてはいるが、こういう状況には慣れて来たのか、そこまで慌てた様子は見せていない。
「次回行われる小テストだが、その結果を基に、『クラスの内の誰かと二人一組のペア』を作って貰うことが決まっている。そして、そのペアは一蓮托生で期末試験に挑むことになる」
聞けば、今回の期末試験で行う試験科目は8科目で、各100点満点。各科目50問の全400問で、全科目に最低ボーダーの60点が設けられており、60点未満の科目が一つでもあれば退学となる。
この60点はペア2人の点数の合計点のことを指し、どちらかが0点でも相方が60点を取ればセーフ――と、少し難しい説明だが、今の所はクラスメイトたちも何とか理解が追い付いているようで、意味深な表情で頷いていた。
「そして、今回新たに追加される退学基準は、総合点においても赤点の有無を判断されるということだ。仮に8科目全てが60点以上であっても、ボーダーを下回れば不合格になる」
「それに関しても、ペアの総合点ということでしょうか?」
「その通りだ。総合点はペアの合計で定められる。求められるボーダーはまだ不明確だが、例年の必要総合得点は700点前後となっている」
700点ということは、二人合わせて一科目辺り平均して44点前後を取らなくて行けないということだ。Dクラスだと成績上位者以外は結構厳しいかもしれない。
「期末試験は一日四科目の二日間に分けて行われる。それぞれの科目の順番は追って通達するが、万が一体調不良などで欠席する場合は、学校側が欠席の正当性を問い、それが休むに該当しない理由であった場合、欠席したテストは全て0点扱いとなるので注意するように」
つまり、体育祭の高円寺のようなことをすれば、一発でアウトということだ。流石の高円寺も退学は出来ないので、この試験は真面目に取り組んでくれるだろう。
「また、例年この特別試験……通称ペーパーシャッフルでは一組か二組の退学者を出している。そしてその脱落の大半はDクラスの生徒だ。決して油断はしないようにな」
堀北が何とも言えない表情を浮かべている。ペーパーシャッフルという単語、例年Dクラスで一人か二人の退学者が出る――ヒントが増えてきた。
「本番中のペナルティについてだが、毎度のことながらカンニングは禁止だ。行ったものは即失格とみなし、パートナー共々退学して貰う。また、肝心のペアの決定方法については小テストの結果の後、伝えることになっている」
その言葉を聞いた瞬間、堀北がペンを握った。原作通りではあるが、一心不乱に貼り出されていた紙をメモしている。
「それからもう一つ、期末試験では別の側面からも課題に挑んでもらうことになる。まず、期末テストで出題される問題はお前たち自身に考えて貰い作成してもらう。そして、その問題は所属するクラス以外の三つのクラスの一つへと割り当てられる」
「割り当てられる……ですか?」
「つまり、他のクラスに対して『攻撃』を仕掛けるということだ。迎え撃つクラスは『防衛』する形となる。自分たちのクラスの総合点と、相手のクラスの総合点を比べ、勝ったクラスが負けたクラスから50ポイントのクラスポイントを得ることになる」
「待ってください。組み合わせによってはポイントに開きが出る可能性がありませんか?」
平田の言う通り、例えばAクラスがBクラスを攻め、DクラスがAクラスを攻めるとしよう。仮にAクラスが攻撃に成功したと仮定し、防衛にも成功したとすれば合計100CPを得る。
しかし、逆に攻撃に成功し、防衛に失敗した場合はプラマイゼロ。その逆の攻撃に失敗したが防衛には成功した場合もプラマイはゼロ。全てに負けた場合はマイナス100CPで、体育祭同様にあまり旨味がない特別試験となっていた。
「直接対決になった場合は、クラスポイントは一度で100ポイント変動することになっている。滅多にないことだが、総合点が同じだった場合には引き分けとなり、ポイントの変動は行われない」
「僕たちが問題を考え、他のクラスに出題する……ですが、生徒が答えられないような問題を作れば、相当難易度の高いテストになってしまうと思いますが?」
「当然、生徒たちだけに任せたらそうなるだろう。そのため、作り上げた問題は、私たち教師がチェックする。指導領域を超えていたり、出題内容から回答できない問題があったりする場合はその都度修正して貰うことになるだろう。そうしてチェックを繰り返して問題文とその回答を作成することで、今危惧しているような事態を回避していく」
普通に問題を400問作ると大変だが、勝つためにはギリギリ難しい問題を作らなくてならない。難易度調整も難しいが、そこはどうにでもなるだろう。
「万が一、問題文と解答が完成しなかった場合は救済措置も残している。期限終了後、予め学校側が作っている問題に全て差し替えられることになるが、当然学校が用意しているテストは難易度が低めになると思った方がいい」
「僕たちが挑む期末テストも、当然他のクラスが考えた問題になるということですよね?」
「その通りだ。気になるであろう所は、肝心の相手クラスがどこなのか――だが、それに関しては単純明快だ。希望するクラスを生徒側が一つ指名し、私が上に報告する。その際に、他のクラスと希望が被っていなければ確定。被っていた場合は、代表者を呼び出してくじびきで決める。どのクラスを指名するかは来週行う小テストの前日に聞き取る」
こうして改めて聞くとペーパーシャッフルは複雑な試験となっていた。原作なら、堀北クラス対龍園クラス、一之瀬クラス対坂柳クラスとなるが、ここではどうなることやら。
「以上が小テスト、期末テストの事前説明になる。後はお前たちで考えることだ。いい結果を期待している」
そう締めくくると、今日の授業は全て終了になった。茶柱が教室から出ていくと、桔梗が立ち上がり、「作戦会議しようか」と声を出している。
しかし、雪は生徒会の仕事があるらしく作戦会議を辞退しており、雪の生徒会長赴任と同時に生徒会入りした堀北もまた、一緒に教室から出ていった。まだ雪たちも生徒会の基盤が出来ていない以上、今はクラスのことに割ける余裕はないのだろう。
桔梗の席に行くと、既に平田と桔梗、その部下として軽井沢、千秋が揃っており、オレが来たことで本格的に会議を始める流れとなる。
「今回の試験、どう思う?」
桔梗がざっくりとそう問いかけて来た。とはいえ、今回の試験で出来ることはそう多くない。
基本的には茶柱の言う通りであり、各科目の赤点ラインは低めだが、他クラスに勝とうとすれば必要総合点はそれなりに高くなってくる。
その上、他クラスが問題を作成するということは、自ずと通常よりも難易度が上がるということだ。ペアというシステム上、組み合わせ次第では退学者が出かねない。
結局は、ペアの組み合わせの総則を見抜いて、勉強を頑張る――これ以外になかった。
「問題はペアの組み合わせがどう決まるか、じゃない? それによって、やるべきこと、やらなくてもいいことがハッキリしてくるし」
千秋がそう意見を出した。今回の試験の本質を見抜いた、いい意見だと言っていいだろう。
茶柱は、ペアの決定方法は小テストの結果が出た後に伝えると言っていた。あれは、ペア決めのヒントが小テストにあるという示唆だ。
単純に生徒の学力を見るだけなら、直前に中間試験を行っているし、そもそも結果が成績に反映されないテストをする意味などない。つまり、小テストには何か別の意図があるという証拠だった。
その上で、例年退学者はDクラスから1組、2組しか出ない点を考えても、仮に法則を見抜けなかったとしても壊滅的な結果にはならないと考えていい。
もし、仮にテストの結果が近い者同士が組むという法則性であれば、見抜いても見抜かなかったとしても、10名近い退学者が出るだろう。例年1組、2組というのは逆に少なすぎる。
つまり、ペアの組み合わせは必然的に、バランスの取れた組み合わせになるように出来ているってことだ。
このことから、ペアの法則は『高得点を得た者と低得点を得た者がペアを組む』というものと推測できる。仮に、オレが0点、雪が100点であれば、オレと雪がペアになるだろう。
だからこそ、例年退学者は1組、2組なのだ。点数が低い生徒は高い生徒と組めるが、中央に寄るほど同じレベルの生徒と組む危険がある。つまり、60点やボーダーを超えられずに退学の危険度が上がるのだろう。
と、まぁ、語ってみたものの、原作知識があるので、当然オレは最初から全てがわかっていた――問題はここからだ。
法則がわかったのは良いとして、次はどのクラスを攻撃するか――うちのクラスの学力じゃ、AやBは逆立ちしても勝てない。必然的に標的はCクラスとなる。
それはCクラスも同じであり、向こうもAやBに勝てない以上、必然的にこちらを狙い撃ちしてくるはずだ。
後はAとB次第ではあるが、少し前に坂柳に意地悪して、おしがま選手権に無理矢理参加させたので、腹いせにDクラスを狙ってくる可能性は十分にあった。
もし、Aクラスがこちらを攻撃して来れば、うちの敗北はほぼ決定的だ。一時の好奇心で、虎の尾を踏む所か、尻尾の上でダンスを踊ったのは失敗だったかもしれない――が、楽しかったので後悔はしていない。
とりあえず、いろいろ話し合ったが、結局うちが龍園のCクラスを狙うという結論は変わらなかった。
また、ペア決めに関しても、原作通りクラスの上から数えて成績最上位の生徒10人には85点以上、逆に最下位の10人は0点を取ってペアを組ませることで退学の危険性を減らし、残りの20人も上位10人は80点、下位10には1点を取って貰って、なるべく理想的なペアを組めるようにするのが決定している。
高円寺も退学の危険がある以上、しっかりとやるだろう。あいつは退学だけは出来ないと原作でも言っていたからな。1%でも退学の危険があるのなら点数を取るはずだ。
と、いう訳で、後は一週間後の小テストを待つだけとなり、オレは何もしなくても満点を取れるので特に勉強をする必要もない。
それは手を抜いている千秋も同じだろう。今回は上手いこと合いの手を入れて場をサポートしていた報酬として、今夜はちょっと可愛がってやることにした。
と、いう訳で、千秋をオレの部屋に呼び出す。前にも少し言ったが、夏休みの間に少しわかったことがあった。
初めてが手錠を付けた緊縛プレイだったからか、千秋は縛られると興奮するようになってしまったらしく、ちょっと動けなくするだけで大喜びするようになったのだ。
また、船から回収した夜のアイテムたちもオレの部屋に移住してきており、今度はこれを使って坂柳を虐めるつもり――と、女を相手している時に、他の相手の事を考えるのは失礼だな。
今は千秋だけを愛そう。
正直、今回はタオルで手を縛っているだけなので、力づくで解くことも出来るはずだが、千秋は「動けないっ、動けないの」と悦びの声を上げる。
前座として、アロサウルスくんがその頭で松下を悦ばせており、その刺激で腰を浮かせるように限界を迎えるのを確認すると、本命のTレックスにご登場願った。
原作との変化点。
・雪が生徒会長になったことにより、堀北も生徒会入りし、クラスのことは櫛田に全面的に任せている。
よって、原作と違ってほぼ空気が確定している。代わりに、松下が堀北ポジションとして活躍しだした。
・須藤が怪我で部活を休みにしている分、中間テストの結果が良かった。
喜びすぎて両足で立ったため、すぐにおすわりを命じられている。
・松下が上手く会議をサポートした。
そのご褒美にTレックスで美味しく食べてあげている。
今話の登場人物一覧。
・綾小路清隆。
須藤に勉強を教えつつ、クラスの平均点を底上げさせた。今の所、ペーパーシャッフルでどう動くかは考えていない。
・椿雪
生徒会としてまだ基盤が出来ていないので忙しくしている。清隆と一緒に居られる時間が少なくなっているのが不満。ちなみに、南雲を副会長にしてこれでもかと雑用を押し付けている。
・堀北鈴音
新生徒会入り。一之瀬と共に雪を支えているが、実は生徒会入りさせた真の理由が、来年度の生徒会長にするためなのは、ここだけの秘密。
・櫛田桔梗
いつものようにクラスを纏めている。松下が上手くサポートしているため、会議はスムーズに進んだ。
・軽井沢恵
櫛田と共にクラスを動かして意見を操作している。ただ、不満解消のために、時には憎まれ役になることもあり、上手く櫛田とクラスを綱引きしている。
・松下千秋
堀北が抜けたことで、そのポジションに収まった。注意すべき点などをそれとなく伝えて、クラスを上手くサポートしている。
・茶柱佐枝
あのDクラスが見違えた成長をしていることで、少し感動している。また、改めて自分も教師らしくなったと自画自賛もしている。
・平田洋介
もはや、自然に清隆の席に寄ってきた。困ったことがあれば頼りにする気満々┌(^o^┐)┐
・須藤健
中間テストでも結果を出して調子に乗っているが、ちゃんとご主人様の命令には従っている。