図書室に向かうと、既にクラスメイトが何人か揃っていた。前々からオレが教えている千秋、佐藤、篠原、井の頭、小野寺の姿も見える。向こうも気が付いたようで、当たり前のようにこちらにやってきた。
千秋も本来であれば教える側だが、勉強は運動と違って、手を抜いていたとわかるとやっかみが酷い。もう少し時間をかけて少しずつ学力を披露していくつもりなのだろう。
部活動がある生徒用の夜の部は予想外に人が多く、いつもは10人程しかいないが今日は15人以上いる。仕方ないので、お馴染みとなった5人の他に、軽井沢や前園、森を加えた8人を担当することになった。
「えへへ、よろしくね。綾小路先生っ」
と、いう訳で、いざ勉強を始めていくと、佐藤はパートナーとなったからか、特にスキンシップが激しい。しかし、オレが佐藤に求めているのは体だけであり、恋人関係ではないのでスルーすることにした。
どうも佐藤は、オレが一之瀬と付き合っているのは外側だけだと知っているようで、これでもかというくらいに体を密着させてくる。Tレックスが首を上げそうになるが、流石に図書室で解放は出来ないのでここは我慢だ。
「綾小路くんっていつも落ち着いているよね。ちょっと大人びてる感じ。中学生の時はどんな子だったの?」
「今とそう変わらないさ。まぁ、こうして勉強を教えるようなことはなかったが」
結局、佐藤の目的がオレとの恋人関係になることならば、その思いが成就することはない。とはいえ、すっぱり諦めさせるよりも、いい夢を見させてやった方がいいだろう。
佐藤に夢を見させながらも、オレとの関係を作る――一見、難しいようにみえるが、オレだけではなく、フォローしてくれる人間がいれば決して不可能ではない。軽井沢と千秋に目線で合図をすると、わかっているとばかりに頷いた。
「……ねぇ、佐藤さん。知ってる?」
軽井沢が佐藤に耳打ちをする。内容は簡単だ。オレは女子に人気があるという半分嘘の情報を教え込むだけ――しかし、オレという存在に恋している佐藤からすればただ事ではない。
「えっ、ほんと!?」
「ほんとほんと。ねっ、松下さん」
「そうだよ。それに、ただ人気があるだけじゃないんだよ。体を使ってアピールしてる子だっているし」
「か、からっ!?」
オレの愛を求めて、体を使ってまでアピールしている子もいるという所まで話させる。実際に嘘ではない。雪などは、ずっとオレが真の愛に目覚めることを祈っているのだ。
「じゃ、じゃあ、綾小路くんって、経験豊富なの?」
ひそひそと話を続けているが、全部聞こえている――が、聞こえないふりをする。
「女の子から求めるくらいにはね」
「聞けば、椿さんや堀北さんもその一人だって話だよ。堀北さんが最近、柔らかくなったのも、綾小路くんを狙ってるからって話」
佐藤は学力こそ低いが察しは悪くないようで、そこまでしている相手がいるのに、普通にアピールしているだけの自分が相手にされる訳がないとわかったらしい。
軽井沢や千秋も、オレが佐藤を狙っているのは当然のように気付いているので、「今の時代、それくらい普通だからね」、「そうだよ。人気なんだから」と、佐藤たちの背中を後押ししていた。気が利くいい女たちである。
「でも、それって女たらしってことなんじゃない?」
黙って聞いていた前園がそうツッコミを入れて来た。しかし、軽井沢や千秋は、「自分から抱いてくれって迫って来た女の子を突っ返せる男子なんていないでしょ」、「お互いが満足しているなら、問題ないんじゃない」と返している。
集団真理というのは恐ろしいもので、グループ内でも発言権のある二人がそう言えば、一見おかしな話もそういうものかと思うものらしい。結局、オレへの悪評が表に出ることはなかった。
また、オレに愛されるには、まずは食べて貰うのが第一条件という意味不明な話も何だかんだ佐藤に信じさせている。
「わ、私も負けないように頑張らないと!」
別に負ける、負けないの話ではないのだが、この話を聞いても諦めないメンバーには見込みがあった。
実際、井の頭や小野寺、前園は自分には付いていけないと思ったようで途中でリタイアしているが、佐藤や篠原、森は少し乗り気になっている。
特に、佐藤は諦めないようで、真っ赤になりながらも「頑張る!」と声を出していた。是非頑張ってほしいものだが、そろそろ真面目に勉強するように注意する。
やる気を削いでしまうかもしれないが、勉強が大切であることもまた事実なのだ。
とはいえ、普段よりも人数が多く、代わりに教師役の雪や堀北がいないからか、平田も苦労しているように見える。1部を担当していた桔梗からも、池や山内が騒いで大変だったと連絡が来ていたし、やはり教師役が不足しているのは問題だな。
オレはともかく、向こうもこのままでは勉強にならないだろうし、原作通りにBクラスと合同で勉強会を開いて貰うか。一之瀬も、今回の試験ではうちのクラスとは戦わないし、勉強会の提案をしても嫌とは言わないはずだ――と、考えている内に勉強会は終わった。
さて、今日は誰を食べようか――と、考えながら帰りの準備を始めていると、軽井沢が「ご褒美が欲しいんですけど?」と訴えてきたので、今日のディナーは決まった。
また、少し前にしたはずの千秋も一緒のようで、仕方ないので二人仲良く可愛がってやることにする。こうして、乱入してくるメンバーはたまにいるので、オレも気にしないことにしているのだ。
豪華客船で食べた時はまだ不慣れな感じだった二人も、この約二か月で大分慣れたようで、オレに食べられるのは当然のことと認識するくらいにはなったらしい。
もう少ししたら、軽井沢も格上げするかもしれないな。今回の功績次第なので、佐藤が今後オレのセフレになれば名前で呼ぶようになるかもしれない。
と、考えながら、軽井沢を左手で、千秋を右手で愛しながら、どちらが先に果てるか選手権を繰り広げる。オレは右利きなので、必然的に右側が不利ということもあり、千秋が先に限界を迎えた。まぁ、千秋は前回も食べてたし、丁度いいだろう。
荒い息を吐いて倒れている千秋の両手をタオルで縛って放置する。オレはもう何もしていないのに、ビクンと体を浮かせていた。
が、今は放置だ。
勝者である軽井沢に、ご褒美を与えていく。どうやらまだ自分が勝った実感がなかったようだが、Tレックスの突撃を受けると声にならない声を上げていた。
◇◆
原作ではスルーされたオレの誕生日だが、何故か雪が知っていたことでセフレたちがお祝いしてくれることになった。金曜日だったこともあって、この夜からぶっ通しで全員を頂いていく。プレゼントは私――ではなく、ちゃんとあったが、体もちゃんと頂いた。
綾小路グループも問題なく稼働しており、長谷部もオレのコイバナに興味があるようで事ある毎に、誰かと付き合っているんじゃないか――と、探りを入れてくる。ここで妙に匂わせることはせず、いないとハッキリ伝えて長谷部の好感度を上げていった。
また、前回話に出て来た一之瀬だが、原作通りにうちと合同で勉強会を開いてくれるとのことで馬鹿たちも何とか抑え込める目途が立っている。
正直、原作でのペーパーシャッフルのメインは、桔梗と堀北の争いだが、この世界では女王様と下僕で決着がついていた。
表向きはともかくとして、堀北はもう桔梗に頭が上がらない力関係が出来ており、桔梗ももうオレを裏切ってまで龍園に付こうとは考えていない。つまり、特に問題がないのだ。
後は、龍園の提案をどうするかだが、その件についても前回でほぼ結論を出していた。
「よう。一週間経ったが、オレの提案を受け入れる気になったか?」
そんなこんなで、小テストが返却されてから一週間が経過すると、再び龍園が昼休みにDクラスへとやってきた。今回はアルベルトと石崎のみ連れており、金田や椎名の姿は見えない。
「うん。結論は出たよ」
「ほう、じゃあ聞かせてくれ。俺の提案を受け入れるかどうかをな」
「今回の提案は受けない。それがDクラスの総意よ、龍園くん」
桔梗と堀北が二人で龍園に立ち向かっていく。結局、PPの問題や後の学力の問題も踏まえて、今回の話は受けない方が得策だということでクラスは纏まっていた。
決定打となったのは、数日前に行ったBクラスとの合同勉強会で聞いた一之瀬の話だ。
「一之瀬さんから聞いたわ。あなた、体育祭では共同戦線を張ると言いながら裏ではBクラスの参加表を手に入れて裏切っていたそうね」
「とてもじゃないけど、そんな人の提案なんて受けられないよ」
Bクラスが今回Cクラスを狙うこととなったキッカケ――そして、悪評が立てば、自分たちも裏切られるのではないかと考え、まともな契約など出来なくなる。龍園は派手に暴れ過ぎた。
「あれはちゃんとした契約を結ばなかった一之瀬のミスだろう。契約をちゃんとすれば、裏切りはしようがない」
「だとしても、今回その手に乗っちゃうと、うちは後々厳しくなっちゃうから」
学力的な意味もそうだが、PP的にもそうだ。前にも言ったが、Aクラスと違って、うちは50000PPにいかないポイントをやりくりしている。この先250CPまで減るような事態になれば、それだけでDクラスのPPは0になるのと同義だ。
とてもじゃないが、契約など受けられない。
「そうかい。なら、契約は不成立だな。まぁ、こっちはいつでも声をかけてもらっても構わない。気が向いたら来な」
しかし、契約が未遂に終わっても、龍園は特に気にした様子もなく帰って行った。実際、PPは取り損ねたが、CPをマイナスにする必要がなくなったのでトントンと考えているのだろう。
いや、もしかしたら、もっと別の手を考えているのかもしれない――が、今はそれを気にしても仕方なかった。
「不気味ね。ああも、気にした様子もないと、こちらが間違った判断をしたように思えてしまう……」
「それもあいつの策だ。動揺を誘って、やっぱり――みたいな考えを狙っている。まぁ、オレはそれでもいいが、今回拒否したことで次はPPを値上げしてくるだろうな」
龍園の事だ。しれっと30000PPに値上げしてくるだろう。そうなれば、もう契約なんて問題ではなくなる――と、オレと堀北が話していると、佐藤たちが隠れてヒソヒソ話しているのが見えた。
おそらく、昨日の勉強会で堀北がオレに惚れているという話を聞いて様子を見ているのだろう。丁度いいので、ここいらで少し背中を後押ししてやる。
「キスしろ」
「えっ?」
「オレの頬にキスしろ。一瞬で良い」
「なっ! こ、こんな教室の中で!?」
「命令だ」
命令は拒否できない。堀北は真っ赤になって周囲を見渡すと、オレの頬にキスをした。
それを見て、佐藤が動揺の表情を見せる。また、このキスのおかげで、この間の話は本当だったと信じたようで、「ま、まけないもん」と呟いていた。声は聞こえないが、唇の動きを読めば何を言っているかはわかるものだ。
「な、なにがしたいのよ……」
「よくやったぞ」
真っ赤になって恥ずかしがっている堀北の肩を叩いて褒める。当の本人は理解できていないだろうが、これで火種を撒くことが出来た。
しかし、堀北も普段はキス以上のことを平然としている癖に、たかが頬にキスする程度で、何故そこまで恥ずかしがるのか理解できない。
まぁ、しかし、そそる表情ではあった。
今夜は堀北だな――と、心の中で予約を入れる。勿論、命令は絶対なので、堀北は断れなかった。夜になると、呼び出しに従って部屋へとやってくる。
その際、下着を履いて来ないことと、命令を出していた。船上試験でノーパンディスカッションを経験している堀北だが、流石に落ち着かないようで、二回目とはいえ焦った様子で部屋に来ている。
部屋の前に来ると急いでドアを開けようとした。
だが、鍵がかかっていてドアが開かない。焦っている堀北は、すぐに合鍵で急いで鍵を開けようとした。
しかし、チェーンがかかっており、部屋の中に入れない。「は、早く、誰か来てしまうわ」と、慌てる堀北を眺めるのはなかなか楽しい――が、エレベーターが動くのを見て、「バレちゃう。バレちゃうわ」と、子供のように慌て出したので、そろそろ部屋に入れることにした。
スリルは十分だったようで、荒い息を吐きながらもスカートの中は十分に準備が出来ている。
どうも、最近の堀北は、辱めれば辱めるだけいい反応を見せてくれる――が、これで終わりではない。
今回は軽井沢や千秋に手を回して、オレの部屋に佐藤を連れてくるように命令していた。おそらく、非常階段から堀北が焦って部屋に来たことも見ていただろう。
早速、堀北を食べていく。焦らした甲斐はあったようで、こいつも普段より声を出して悦んでいた。
そんな中、ガチャとゆっくり扉が開いていく。堀北はTレックスに夢中で、ドアの音に気付いていない。ゆっくりと、軽井沢と千秋に連れられた佐藤が部屋の中に入ってくる。
堀北の声は部屋中に響いており、そのせいで三人が入ってくる物音も上手く隠れていた。佐藤も隠れて中を覗いているが、当然オレからは全てが見えており、佐藤が顔を赤くしながらもこちらを見ているのもわかっている。
とはいえ、今は佐藤を気にしている場合ではなかった。普段よりも弾けている堀北だが、Tレックスの猛攻に限界を迎えそうになる――その瞬間、目で合図して、軽井沢と千秋に佐藤を部屋の中に押し込ませた。
いきなり、クラスメイトが自分たちの痴態を見ている姿が目に入る。おまけに、その中の一人はまだセフレでも何でもないただのクラスメイト――堀北は悲鳴のような声を上げながらTレックスの咆哮を受けた。
原作との変化点。
・勉強会に参会している。
それとなくアタックしてきた佐藤を唆した。
・龍園の提案を拒否した。
マイナスの要素の方が強いと判断して拒否している。その際に、堀北のファインプレーによって、佐藤をもっと唆すことが出来た。
・佐藤に堀北とのプレイを見せつけた。
見られた堀北と、見た佐藤、二人の驚きを堪能している。当然、そのまま佐藤も美味しく頂いた。
今話の登場人物一覧。
・綾小路清隆
講師として、手伝いをした。横道には逸れたが、最終的にはちゃんと勉強を教えている。堀北を上手く利用して、佐藤を美味しく頂くことにした。
・堀北鈴音
龍園を追い返した。その際に、夜の呼び出しを受け、ノーパンで来ることを命じられる。まさか佐藤に見られているとは思わず、見られながら限界を迎えた。
・櫛田桔梗
龍園を追い返した。原作ほど堀北を嫌ってはいないものの、自分よりは活躍してほしくないと思っている。
・軽井沢恵
佐藤を献上して、もっと立場を上げようと松下から提案を受けてその作戦に乗った。お礼として、自分の番に松下も招待している。
・松下千秋
清隆が勉強会に参加すると聞いて、軽井沢へ清隆に惚れている佐藤を献上してはどうかと提案。二人で上手くポイントを稼いでいる。
・佐藤麻耶
知らない間に、清隆への貢ぎ物にされていた。当然、この後はまぁまぁまぁまぁと、軽井沢や松下に背中を押されて美味しく頂かれている。
・篠原さつき
地味に清隆のTレックスに興味を持っている。池とは今の所、まだいい友達レベル。
・井の頭心
清隆に少し気があるが、流石に付いていけないと諦めた。
・小野寺かやの
清隆の話に興味はあったが、流石にそこまでは出来ないと諦めている。
・前園、森
前園は意外と真人間。森は意外とむっつり。
・平田洋介
清隆が女子の大半を受け持ってくれたおかげで、男子の勉強を見てあげることが出来ている┌(^o^┐)┐