月末のテストから数日後。5月に入り、振り込まれているはずのPPを確認すると8000PPとなっていた。
クラスポイントに換算すると80CP。ひと月で10万はほぼ消し飛んだな。予想以上のダメージに思わずため息をついてしまった。
警告をしていたおかげで0よりはマシになったようだが、それでも80CPは低すぎる。オレの予定では200前後は残るはずだったのだが、世の中上手くは行かないな。
雪も、8000PPという数値から当然のように事態は把握しているようで難しい顔をしている。しかし、オレがいればいいやという結論になったのか、すぐにいつもの笑みを浮かべた。
そのまま学校に行くと、振り込まれたポイントが10万ポイントより少なかったことに教室内がざわついているようだったが、始業チャイムが鳴ると皆席に着いている。それから程なくしてポスターの筒のようなものを持った茶柱が教室に入って来た。
原作では池がやじを飛ばすが、どうやらポイントが減ったことが自分達のせいかもしれないと思っているようで、今は軽口を飛ばす余裕もないらしい。まぁ、自業自得だな。
「これより朝のホームルームを始める――が、その前に何か質問はあるか?」
「先生、今朝振り込まれたポイントが随分少なかったんですが、これって何かの間違い……ではないですよね?」
代表して、平田がそう質問するが、事前にオレと一緒に何度も評価が下がる可能性があると注意を促していたので、ポイントが少ない理由を察しているようだった。
また、それは平田だけではないようで、茶柱は説明が省けたとばかりに、早速本題へと入って行く。
「心当たりがあるような顔だな。前に説明した通り、ポイントは毎月振り込まれる。今回も問題なく振り込まれたはずだ」
「額が少ないのは、学校側のミスではない、ということですか」
「そうだ、平田。お前もわかっているのだろう?」
「……授業態度でポイントが減少したということですね」
「そうだ。この学校は生徒を実力で測る。つまり、クラスの成績がポイントに反映される。遅刻や授業態度、生活態度なども評価の対象だ。この結果、お前たちのポイントは10万から大きく減った。それだけのことだな」
原作では「お前らは本当に愚かな生徒だな」と、心底こちらを馬鹿にしてくる茶柱だが、流石にマイナス要素に気付いている分、そこは評価してくれているらしい。
「このクラスは運が良かったはずだったんだがな。平田や綾小路が早い段階で違和感に気付いたおかげで傷口は軽く済むはずだった。だが、お前たちはその忠告をまともに受け取らずに、遅刻欠席はし放題、授業中の態度も改善されず、結果はこのザマ……中には改善していた者もいたが、連帯責任だ。受け入れろ」
「……茶柱先生。僕らはそんな話、説明を受けた覚えはありません。振り込まれるポイントが減るという話を教えて貰えれば、皆遅刻や私語なんかしなかったはずです」
「それは不思議な話だな平田。確かに、私は振り込まれるポイントがどういうルールで決められているかは言わなかった。しかし、お前らは学校に遅刻するな、授業中にお喋りをするなと、小学校、中学校で教わって来なかったのか?」
「それは……」
「説明する必要すらないはずだ。義務教育の9年間、お前らは嫌と言うほど聞かされただろう? 通らんよ、そんな理屈は。実際、言わなくても行動した人間だっていた。全員が当たり前のことを当たり前にすれば、もう少しポイントは増えただろう。全部、お前らの自己責任だ」
完全に言い負かされ、悔しそうにする平田。
まぁ、そんなに落ち込むこともないだろう。堀北など予想通りとばかりに堂々としているぞ――とはいえ、オレや雪の事前情報で推測できていたというのも大きいだろう。
しかし、理解するのと納得するのは別だ。内心では認められないと思っているに違いない。
「高校一年に上がったばかりのお前らが、何の制約もなく毎月10万もの大金を使わせてもらえると本気で思っていたのか? ありえないだろ、常識で考えて。綾小路や平田もポイントが減る可能性を訴えていたはずだ。何故、信じようとしなかった?」
証拠がない。有り得ない――自分達の都合のいいものしか見ようとしなかったからこその結果だが、何も言えないようで心当たりのあるクラスメイトたちは口を閉じている。
「では、せめてポイント増減の詳細を教えてください!」
「それは出来ない決まりになっている。詳しい内容を教えてしまえば、お前たちはそれさえ守ればいいと考えるだろうからな。自分でしてはいけないことを理解し、学べ。難しいことはない。当然のことをしていればそう簡単にポイントは減らない」
逆に今回のようなことを繰り返せば、ギリギリ残った8000PPも0になるということだった。
「無駄話が過ぎたな。そろそろ時間がないので本題へ移るぞ」
手にしていた筒から白い厚手の紙を取り出して広げていく。中にはAクラスからDクラスまでのポイント表が書いてあり、それを黒板に磁石で貼り付けていた。
原作通り、Aクラスが940、Bクラスが650、Cクラスが490、Dクラスが80。綺麗な横並びになっている。まぁ、0じゃないだけまだマシだろう。
「これは、やはり各クラスの成績……と、いうことね」
堀北がそう声を上げる。その通りだ。
「言っておくが、この一か月、全てのクラスが同じルールで採点されている。不正は一切していない。にも拘わらず、ポイントでこういう差が付いた。どういうことだかわかるか?」
「何故……ここまでクラスのポイントに差があるんですか?」
平田もクラス間で綺麗に並んだポイントを見て評価の謎に何となく気付いたのだろう。そう疑問の声を上げた。
「段々理解してきたか? お前たちが、何故Dクラスに選ばれたのか。この学校では、優秀な生徒順にクラスが分けられるようになっている。最も優秀な生徒はAクラスへ。駄目な生徒はDクラスへ。まぁ、大手集団塾でもよくある制度だな。つまりここDクラスは落ちこぼれの不良品が集まる最後の砦ということだ」
流石の堀北も顔が若干強張っている。事前に可能性を示唆されていたとはいえ、やはり精神的に受け入れられない物があるのだろう。
自分が優秀だと認識している分、不良品と言われるなど認められない――こいつの内心は透けて見える。
「まぁ、歴代でもDクラスは大体こんなものだ。お前たちだけが例外という訳じゃない。このポイントは卒業までずっと継続するが、寮の部屋はタダで使用できるし、食事にも無料のモノがある。死にはしないから安心しろ」
「……つまり、これから俺たちは他の連中に馬鹿にされるってことかよ」
そう言って、ガンと須藤が机を蹴る。そういう行為が減点対象だとまだわかっていないようだ。
「なんだ、お前にも気にする体面があったんだな、須藤。だったら、態度を改めて頑張って上のクラスに上がれるようにするんだな」
「あ?」
「クラスのポイントは何も毎月の金と連携しているだけじゃない。このポイントの数値そのものが、クラスのランクに反映されるんだ。つまり、もしお前たちが491ポイント以上有していたら、お前たちがCクラスに昇格していたということだな」
そして、そのポイントは生活態度や授業態度で変動する。それを確認すると、堀北がゆっくりと手を挙げた。
「……先生、もし綾小路くんや平田くんの言うことを全員が信じて行動に移していたら、大体どれくらいポイントが残りましたか?」
「綾小路と平田が注意したのは3日か4日目だったな……まぁあの時点から全員が注意できたのなら、少なくとも97000は固かっただろう。詳しい計算次第ではもう少し上がるかもしれんが、大体クラスポイントにして970、今のAクラスが940だから文句なくAクラスだったな」
結局はたらればの話だ。出来なかったのだから言っても仕方ない――が、それでも納得は出来ないようで、真面目に勉強を受けていたクラスメイトたちが須藤を始めとした三馬鹿や、特に騒いでいたクラスメイトを強く睨みつける。
もし、オレや平田の忠告にちゃんと従っていれば、もっとポイントが貰えていたと思ったのだろう。
「いろいろ言いたいことはあるだろうがもう少し待て。もう一つ、お前達に伝えなければならない残念なお知らせがある」
そう言いながら、茶柱がもう一枚紙を追加で黒板に貼りだした。
先日行った小テストの結果だ。クラスメイトの名前が順番に並んでいるが、一番上が最低得点を取った生徒、一番下が最高得点を取った生徒となっている。一番下には100の数字と共に綾小路清隆という名が書いてあり、二番目には100と共に椿雪。オレと雪のワンツーフィニッシュだな。
「これは、先日やった小テストの結果だ。揃いも揃って粒揃いで先生は嬉しいぞ。中学で一体何を勉強してきたんだ? お前らは」
しかし、原作で見てわかってはいたが本当に馬鹿が多い。中学生でも出来るような簡単な試験だったのに、一部の上位を除き、殆どが60点前後しか取れていなかった。
「良かったな。これが本番だったら7人は入学早々に退学になっていた所だ」
「た、退学? どういうことですかっ?」
「この学校では中間テスト、期末テストで一教科でも赤点を取ったら退学になることが決まっている。今回のテストで言えば、32点未満の生徒は全員対象ということになる」
「は、はああああああ!?」
「ふっざけんなよ佐枝ちゃん先生! 退学とか冗談じゃねぇよ!」
「私に言われても困る。学校のルールだ、腹をくくれ」
「ティーチャーが言うように、このクラスには愚か者が多いようだねぇ」
爪を研ぎながら、足を机に乗せたままの高円寺がそうあざ笑う。しかし、デスクのサイズが高円寺にあっていないせいか、随分と安っぽく見えるな。
「何だと高円寺! どうせお前だって赤点組だろうが!」
「フッ。どこに目を付けているのかね。良く見たまえ」
「あ、あれ? 高円寺の名前がねぇぞ……あれ?」
「し、下だ、池。高円寺の奴、90点取ってやがる」
「ぜ、絶対須藤と同じ馬鹿キャラだと思ってたのに……!」
「それにしても、綾小路ボーイ。まさか、水泳だけでなく、勉学でもこの私の上を行くとは、やはり君は面白いよ」
「「って、綾小路満点かよ!?」」
「やべぇこいつ、勉強も運動も出来てイケメンの超人だ!」
「くっそ、彼女持ちの癖に優秀とか最低な奴だな!」
最低なのは、クラスポイントを下げたお前らの方だろう。それに、雪はオレの忠実な駒でありセフレだが彼女ではない。おそらく、オレに本気で愛せる人間などこの先には現れないだろうしな。
「それから、もう一つ付け加えておこう。国の管理下にあるこの学校は高い進学率と就職率を誇っているが、将来の望みを叶えて貰いたければAクラスに上がるしかない。それ以外の生徒には何一つとして保証することはないだろう」
「そ、そんな……聞いてないですよそんな話! 滅茶苦茶だ!」
同率三位の高円寺に並ぶメガネをかけた幸村という生徒がそう声を上げる。彼にしてみれば、勉強が出来る自分がこんな下位クラスにいるのはおかしいと考えているのだろう。堀北の同類だ。
「滅茶苦茶ではないだろう幸村。お前らのような低レベルな人間がどこにでも進学、就職できる程、世の中は甘く出来ていないということだ」
「俺は、小テストでも90点を取りました! 入試の結果だって、上位のはずです!」
「テストの点数だけで人間の優劣は決まるのか? 確かに勉強が出来ることは一つのステータスだろう。しかし、この学校は本当の意味で優秀な人間を生み出すことを目的としている学校だ。総合力で劣っている部分があれば、それはマイナスの評価となる。幸村、運動は出来るのか? 他者とのコミュニケーションは取れているか? 勉学だけが出来ても、この学校では優秀とは言われない。そこを自覚しろ」
「で、でも、だからって、なんで俺がDクラスに……」
「みっともないねぇ。男が慌てふためいて。これほど惨めなものはない」
「……お前もあの成績でDクラスだったことに不服はないのか、高円寺」
「不服? 何故不服に思う必要があるのか、私には理解できないねぇ」
「俺たちは学校からレベルの低い落ちこぼれだと認定されたんだぞ! その上、進学や就職の保証もないって言われたんだ、当たり前だろ!!」
「ふっ、実にナンセンス。これこそ愚の骨頂と言わざるを得ない」
そう言って、高円寺がこちらに視線を向けて来た。どうやら、随分オレを意識してくれているらしい。
「学校側は、私のポテンシャルを測りきれなかっただけのこと。私は誰より自分のことを評価し、尊敬し、尊重し、偉大なる人間だと自負している。学校が私にどんな判定を下そうとも、私にとっては何の意味もなさないということだよ。仮に退学にするなら勝手にすると良い。後で泣きついて来るのは、100%学校側なのだからね」
と、高円寺がポーズを決めると、雪が「高円寺くんには高円寺コンツェルンがあるから、無理に学校に進学や就職を斡旋してもらう必要もないんだよね」とよいしょしてやっている。
「その通りだ、スノーガール。君もなかなかの能力の持ち主と見た。どうだね、将来、私の両腕として、綾小路ボーイと一緒に高円寺コンツェルンで働いてみる気はないかね?」
「わぁ、清隆! 誘われちゃったよ」
「それも悪くないかもな」
実際、ホワイトルームの指導者やら政治家やらには欠片も興味がない。高円寺がオレとセフレたちの関係を許してくれるのであれば、奴の下に付く選択肢は有り寄りの有りだ。
と、オレと雪が高円寺の勧誘を受けていると、幸村ももう反撃の言葉もないようでそのまま席に座っている。
「以上でホームルームを終了する。どうやら、浮かれた気分は払拭されたようだな。中間テストまで後三週間、まぁじっくり熟考し、退学を回避してくれ。お前らが赤点を取らずに乗り切れる方法はあると確信している。出来ることなら、実力者に相応しい振る舞いをもって挑んでくれ」
そう言い終わると、チャイムが鳴ると同時に、茶柱は教室から出て行った。
俺の記憶に残る原作知識だと、この言葉も中間テストを乗り越えるヒントではあるのだが、今はショックが大きいようで、クラス全体が意気消沈している。
しかし、すぐにこれからどうするかの話になり、段々とクラスの攻撃の矛先が三馬鹿を始めとして不真面目だった生徒たちに向いていく。
もし、これが原作のように0だったなら、もはやそれも出来なかっただろうが、下手にポイントが残った分、何故これしか残らなかったんだという恨みが生まれていた。
「あんたたちのせいでクラスポイントが下がったじゃない、どうしてくれるのよ!」
「そうだ! 綾小路や平田がせっかく注意してくれたのに!」
「先生の言うとおりなら、私達もっと上のクラスだったかもしれないのよ!」
「授業中も騒いだり寝たり、他の人に迷惑かけるんじゃねぇよ!」
幸村もポイントよりも、Dクラスに配属されたことに文句を言いたいようだが、クラスの怒りが別に向きすぎていてそれ所ではないようだ。
また、クラス中から批判を浴びている不真面目組を見て、平田が何とか仲裁しようと奮闘しているが、皆の文句は止まることを知らない。多分、オレが声を上げても同じだろう。
「落ち着いてみんな! いろいろ言いたいことがあるのはわかるけど、もう終わったことを怒っても何も始まらないよ! それにまだ入学して一か月だよ? これからみんなで頑張っていけばいいじゃない!」
「櫛田さんの言うとおりだ。混乱する気持ちはわかるが一旦落ち着こう!」
櫛田の熱い訴えで、ようやく不真面目だった生徒を責める声は止まった。平田もそれに便乗する形で何とかクラスを落ち着かせていく。
しかし、このままでは済まない。少なくとも筆頭の三馬鹿や不真面目だった生徒には謝罪を始め、これからの態度改善などを約束させる必要があるだろう。
「須藤くん、池くん、山内くん……それに他のみんなも」
櫛田が声をかけると、ビクッと肩を震わせる。流石にクラス全員から責められたのは堪えたようだ。
「ポイントが欲しいのはみんなも同じだよね? だから、来月は絶対にもっとポイントを獲得しなきゃいけない。こうして結果としてクラスポイントに影響が出ることがわかった以上、これからは授業態度や生活態度を改めて欲しいんだ」
「……わーったよ」
「そうだよな、これ以上ポイント減らせないもんな」
「ごめんな、櫛田ちゃん」
「池くん、謝るならクラスのみんなに謝って。私は気にしてないから」
「あ、ああ。みんな、ごめんな」
原作ではポイントがゼロだからあまり更生することに前向きじゃなかった三人だが、流石に減るポイントがあれば注意に抵抗はしないらしい。
また、三馬鹿程ではないが、携帯を弄ったり、真面目に授業を受けたりしていなかった生徒たちも謝罪の声を上げた。これでとりあえずひと安心だろう。
「……綾小路くんはDクラスになったことに不満はないの?」
クラスが落ち着くと同時に、堀北がそう話しかけてくる。原作よりもオレが実力を隠していないからか、堀北もオレに対する当たりが柔らかく、素直に気持ちを吐露していた。
「不満?」
「私の目から見ても、綾小路くんは優秀な人だわ。勉強もスポーツも出来る。人間関係だって上手く構築しているし、とてもじゃないけど、Dクラスに居て良いような人物とは思えない」
「そこまで素直に褒められると照れるが、それを言えば雪や平田、櫛田だってそうだろう。つまり、そういう観点以外に評価されるポイントがあり、オレたちはそれで低評価を得た。そういうことじゃないのか?」
オレがそう諭すように話すも、それでも自分がDクラスなのには納得できないようで難しい顔をしている。
この調子だと、原作通り放課後に茶柱の所に突撃しそうだな――と、考えていると、雪と一緒に、先程までクラスを仲裁していた平田がやってきた。
「堀北さん、それから綾小路くんも少し良いかな。放課後、ポイントを増やすためにどうするべきか話し合いがしたいんだ。是非、君たちにも参加してもらいたいんだけど、どうかな?」
「ポイントを?」
「うん、一部の女子からそういう意見が出たんだ。他にも幸村くんを始めとした上のクラスを目指そうという意見もあって、ポイントを増やしたいという人は意外と多いんだよ。で、椿さんに声をかけたら、綾小路くんが参加するならって言われてね」
雪の方を向くと、「えへへ」と笑っている。可愛い。
「どうしてオレたちなんだ?」
「綾小路くんたちだけじゃなくて、最終的には全員に声をかけるつもりだよ。だけど、一度に全員に声をかけても、きっと全員が全員真剣に耳を傾けてはくれないと思うんだ」
「ごめんなさい。他を当たって貰える? 話し合いは得意じゃないの」
「無理に発言しなくてもいいよ。思いつくことがあったらで構わないし、その場に居るだけでも十分だから」
「申し訳ないけれど、私は意味の無いことに付き合うつもりはないから」
意味のないことね。能力の低い生徒と群れるのを嫌うこいつにしてみれば、不良品クラスの話し合いなど無意味と思っているのだろう。
多少、洞察力が上がり、オレへの態度が良くなっても、根本的な協調性の無さが改善された訳でもないしな。
「そうか。ごめん……もし気が変わったら、参加して欲しい。綾小路君はどうかな?」
「あー……オレも用事があるからパスで。悪いな」
参加してもどうせ呼び出しをくらうので参加する意味はない。が、2人続けて拒否したからか、平田も少しショックを受けている。このままでは少し可哀想だな。
「雪、オレの代わりに参加してくれないか?」
「清隆がそうしろっていうならそうするー」
「と、いう訳で、オレは無理だが、代わりに雪を置いていく」
「ありがとう椿さん。綾小路くんも急にごめん。気が変わったらいつでも言ってよ」
そう言って、平田も席に戻っていった。
「平田も偉いよな。ああやってクラスのために行動するんだから」
「そうかしら? 安易な話し合いをしても、泥沼に嵌って余計に混乱するだけだと思うけど。それに私は今の状況を素直に受け入れることなんて出来ない」
「受け入れることなんて出来ない? どういう意味?」
雪の疑問に、堀北は答えなかった。代わりに次の授業の教師が入ってきたので、席に戻っていく。
さて、心機一転真面目に授業を受けるとするか。流石のDクラスもあれだけクラスメイトたちから責められれば、もう問題行動も起こさないだろうしな。
原作との変化点。
・クラスポイントが80残った。
軽井沢を始めとした平田組が改善してくれたおかげで、原作よりはマシになった。軽井沢も前からポイントが下がることを示唆されていたおかげで無駄遣いを抑えたため、原作のようにポイントの徴収は行っていない。
・須藤たちが態度改善に前向きになっている。
原作ではポイントが0のため、態度改善についても前向きではないが、この世界では多少なりともポイントが残ったために態度改善を受け入れている。クラスの雰囲気は、原作よりもマシ。原作が-100なら、うちは-70くらい。
・堀北が清隆に内心を吐露した。
この世界では実力を隠していないので、堀北にも実力者だと思われており、自分の気持ちをわかってほしくて声をかけたが、清隆に正論を返されて黙り込んでしまう。女は正論ではなく、同意が欲しいの典型。
今話登場人物一覧
・綾小路清隆
ポイントが思ったよりも残らなくてショックだったが、どうせすぐに回復すると思って開き直った。5月までの間、平田と一緒にずっと注意を促していたことで、クラスの中でもカーストが上位になっている。
・椿雪
学校の秘密については想像していた通りなのでほぼ驚くことはなかった。ポイントが少ないのは悲しいが、清隆がいればそれでいいと気持ちを切り替えている。
・堀北鈴音
教師から落ちこぼれや不良品と言われて流石にショックを受けた。しかし、自分以上に優秀な清隆たちも同列の扱いだということが信じられずに、茶柱へ訴えを起こすことを心に決める。
・櫛田桔梗
いろいろ動揺したが、何とかクラスを纏めた。みんなから注目される私、超サイコー。の気分である。
・茶柱佐枝
原作よりも結果がマシなので、お前らは本当に愚かな生徒だながキャンセルされ(略して愚キャン)少しだけ口調が優しい。ここからの清隆の活躍に期待している。
・平田洋介
堀北はともかく、清隆にまで提案を拒否されてショックを受けた。こいつはやはり……┌(^o^┐)┐
・高円寺六助
文武共に優秀な清隆と雪を認めて勧誘をした。とはいえ、原作同様に認めてはいるものの、本気を出せば自分が勝つと確信している。
・須藤健
他クラスに舐められるとわかって怒り心頭だが、その原因は主に自分。
・幸村
メガネくん。男版堀北だが、堀北よりも運動能力をかなり下げて協調性をちょっと上げた感じ。現時点ではただのモブ。
・池、山内、その他
須藤同様に、清隆や平田の話を聞かなかったことでクラスで責められた。こういう体験を一度すると、二度目は避けようとするのが普通で、池は原作よりも少し精神的に落ち着きつつある。山内は山内。