3種目目の『バスケットボール』を制し、2対1とリードを広げたが、次の『テニス』でAクラスに追いつかれた。
Bクラスが選んだ種目だけに自信があったのだが、向こうにもテニス部の生徒がいたようでギリギリ逆転を許してしまっている。
これで2対2――続く5種目目は『英語テスト』ということで、ここで温存していたメンバーを全て出して勝負を賭けに行った。
「先ほどの温存が功を奏したのかどうか……ちなみに世界的傾向として、男子よりも女子の方が様々な科目を得意としているようで点数が高いそうです。この英語もその一つ――勿論、あくまで傾向に過ぎませんが、参考程度にどうぞ」
挑発は無視でいい。選ぶ8人は、『平田洋介』、『幸村輝彦』、『王美雨』、『櫛田桔梗』、『神室真澄』、『椎名ひより』、『堀北鈴音』、『椿雪』とした。
クラス移動してきた学力の高い二人に加えて、ここで雪と鈴音の両方を切る。
月城がこの試験でオレの実力を図るつもりな以上、最終戦は『チェス』で決まっていた。
向こうが本当にオレを退学させる意志があるなら話は別だったが、あいつは親父殿の指示で退学を匂わせてオレの成長を促す他に、こちらの成長も確認しに来ている。表向きはともかく、本当に退学しかねないようなハメはして来ない。
よって、次の6種目目はAクラスの『現代文テスト』か、Bクラスの『弓道』、『タイピング技能』、『水泳』の中から選ばれるが、3/4でBクラスの種目が選ばれるとはいえ確定ではなかった。
もし仮にこの『英語テスト』で負けて、次に『現代文テスト』を引いた場合、チェスに行く前にオレの退学が決定してしまう。
だが、逆にこの『英語テスト』を制すことが出来れば、次の6種目目に負けたとしても五分の状況でチェスに行けるし、勝てれば4対2でクラス勝利を決めてチェスに臨める。
つまり、ここで全力を出す以外にないのだ。
おそらく、坂柳も残ったメンバーで英語に強い生徒をぶつけてくる。雪を温存しておく余裕はない。最終戦のチェスは、恵のラジコンで決定だ。
「それでは、英語テストの結果を発表します。Aクラス、合計684点。Bクラス、合計691点――Bクラスの勝利です」
坂上から発表された点数は、7点差と僅差だが勝利をもぎ取ることが出来た。もし、雪を投入していなかったら負けていたかもしれない。それだけの接戦だ。
「負けてしまいましたか。Bクラスの皆さんも相当勉強されていたようですね……ですが、ここで椿さんや堀北さんを使い切ってしまって良かったのですか?」
「よくはないが、ここで負けると詰みの状況があったからな」
状況が3対2となり、再びBクラスがリードになると抽選が再開される。6種目目として選ばれたのは、『現代文テスト』だった。
「運がいいですね。4/6でAクラスの出題です。故に、ここは絶対に落とせません」
やはり、『現代文テスト』が選ばれたか。おそらくは月城の調整だろう。
ここで、オレが勝利して余裕の状況で最終戦に臨むより、3対3の五分の状況で最終戦に行った方が、よりオレの本気を見られる。
この危険があったからこそ、先程本気で『英語テスト』を勝ちに行ったのだ。もしかしたら、英語テストに負けたら素直にBクラスの種目になっていたかもしれないが確証がない。
それに100%勝てる保証もない以上、あそこで全力を出したのは間違いではなかったはずだ。
こちらはもう、学力的に強い生徒が殆ど残っていないということで、層に厚みのあるAクラスには敵わない。
一応、残っている生徒の中でも、現代文に強い生徒で臨んだが、やはりAクラス相手だと勝負にならなかった。これで3対3の状況となり、次の最終戦で全てが決まる。
坂上が進行を再開すると、大型モニターに『抽選中』の文字が浮かんだ。しかし、もう結果を待つまでもない。最終戦の種目は、この試験が始まる前から既に決まっていた。
『チェス』 必要人数1人 時間90分(切れ負け)
ルール・通常のチェスルールに準ずるが、引き分けは全て敗北とする。また、41手目以降も持ち時間は増えない。
司令塔・任意のタイミングから持ち時間を使い、最大45分間、指示を出すことが出来る。
「3勝3敗で、最後の7戦目に挑める。これほど嬉しいことはありません。しかも、この種目が最後に選ばれるなんて――残り物には福がある、ということでしょうか」
坂柳も、これが全て偶然と考えるほど馬鹿ではないだろう。しかし、仮に月城の思惑が介在していたとしても、自分たちにとって都合が良ければ問題ない。
「Aクラスにとっては誤算だったんじゃないか? 5種目全てが選ばれたのに、オレたちにこうして追い詰められているのは」
「そうですね。予想外にも押されたのは認めざるを得ません――ですが、この第7戦は少し違います。司令塔の実力が大きく左右される戦いとなります」
「生憎と、オレはチェスが得意なんだ」
「それはそれは……奇遇ですね。私も得意なんですよ」
本来であれば、原作のように代理の生徒同士を戦わせてから本番――と、行きたかったが、雪を使ってしまった以上、そうはいかなくなった。
「なら、坂柳……こういうのはどうだ? 45分でケリをつけよう」
「……それは、私たちだけで勝負を付けようということですか?」
「ああ。お前も、雪を使った今、オレがラジコンを使うのは察してるだろ? 無駄なことはせずに一騎打ちで決めたい。それとも、オレと戦うのは怖いか?」
「フフ、いいでしょう。その挑発に乗って差し上げます。では、橋本くんには申し訳ありませんが、この試験は私とあなたの一騎打ちということで」
Aクラスは橋本、Bクラスは恵をチョイスし、二人が移動するまで少し時間が出来る。途中、星之宮が休憩を促してきたが互いに拒否した。
今、いい感じに場があったまってきている。ここで、休憩など取ってしまえば、この空気が冷めてしまうのは目に見えていた。
機材を挟んで、オレと坂柳がバチバチにやりあっているのを星之宮が何とも言えない表情で見ている。どうやら、こういう空気は苦手らしい。
「準備が整ったようですね。では、これより第7戦のチェスを始めます」
坂上のスタートと同時に、講義室の一角で橋本と恵が『お願いします』と頭を下げる。
「では、始めましょう。本気で行きますよ、綾小路くん」
「ああ。自慢の実力を見せてくれ」
◇◆
どうやら橋本は打つ気満々だったようだが、駒を間違えずにおけるようになったレベルの恵が橋本に勝てるはずもなく、早々にラジコンとなって貰った。
先行はAクラス――坂柳も橋本をラジコンとして一手目を打ってくる。
こちらも、即座に手を返した。
しばらくはノータイムで打ち続けていく。あまりの速さに、打つ方が間に合わないという状況だが、オレと坂柳にしてみればまだ挨拶の段階だった。
「意外と攻めっ気が強いんだな」
「普段はもう少しスマートな手を打つのですが、あなた相手だとどうも気合が入ってしまうようでして」
しかし、雑な手ではない。純粋に力がある。このまま押されるとオレが不利になるが、素直に攻撃を受け続けるオレではない。
「そういう綾小路くんは冷静ですね。私の攻撃が全て受け流されていて、本当に効いているのか不安になります」
「効いてるさ。我慢して凌ぐのがやっとだ」
「本当ですか? 私の一手は、あなたに届いていますか?」
「ああ、痛いほどにな」
嘘ではない。坂柳はオレの想定していた以上に強かった。オレも失着はないはずだが、状況は坂柳が少しリードしている。とはいえ、まだ序盤だ。焦る場面ではない。
司令塔の持ち時間は、インカムをONにして指示を出し、その場所に駒を置くまでが持ち時間と判断されるようだが、まだ時間は15分も使っていなかった。
恵が駒の場所を確認しながら置いているので、坂柳より少し余裕はないが、それも誤差だ。原作よりも、司令塔の持ち時間が15分長いし、この早指しなら問題なく45分で打ち切れる。
互いに15秒とかからず手を返していく。
残り20分を切る頃には、中盤に差し掛かっていた。ここまでは坂柳が押してきていたが、これ以上好き勝手にさせるつもりはない。
ようやく見せた僅かな隙――坂柳は攻めすぎた。ここでオレのポーンによる両当たりを止めるすべがやつにはない。
一気に巻き返しを図っていく――が、坂柳も上手く引いていく。完全に押し返しきれなかったが、それでも盤面の状況は五分に戻した。
「流石です。一瞬の油断が命取りとなる……まだ冷や汗が止まりませんよ」
「上手く逃げられたがな」
「そう言いながら、また厳しい手を……このナイトは絶妙ですね。ルークを――いえ、それでは白のクイーンにルークの利きが当たらなくなります……」
ここで坂柳が長考――残り時間を贅沢に使って先の先まで手を読みだした。
しかし、相手が読む時間を作ると言うことは、オレも手を読むだけの時間を得られるということでもある。
「では、行きます――」
オレだったらここに打つであろう場所に的確に指してきた。だが、読んでいた手だ。オレも即座に返していく。
「やはり、綾小路くんは些細なミスなど絶対にしませんね」
「諦めてくれてもいいんだぞ?」
「それは出来ない相談です。ミスがないのであれば、実力で上回り正面突破するまでです」
今度はオレの手が止まる番だった。
予想外の一手に思考を余儀なくされる。間違いなく、これまで打ってきた誰よりも坂柳は強かった。
互いに残り時間が10分を切り、オレが手を返していく。
「ああ、なんと楽しい時間なのでしょうか。もう、ギャラリーへの気遣いもどうでもいい。私はただ、この一戦を人生で最高のモノにしたい。そう今強く願っています」
坂柳の一手は強烈だ。ここに来て、一気に力でオレを捥ぎ倒そうとしてくる。普段は杖をついたか弱いお嬢様だが、今のこいつは剛力の戦士だ。
「あなたはその程度で終わる人間ではありませんよね? 綾小路くん、見せてください」
ならば見せよう。残り5分を切って、再びオレも動き出した。対する坂柳は再び手が止まり、一手に時間をかけていく。
しかし、こちらは止まらない。既に終局までの道筋は見えている。勝負は終盤、チェックメイト間近――今ならまだ逃げられるが、その逃げ道もすぐに封殺する。坂柳も制限時間一杯使って頭を悩ませているが、ここからの逆転はない。
「見事です……本当に見事です綾小路くん。あなたは、私の望みに十分応えてくれました。冷や汗をかく、というのも初めて体験しました。あなたは強敵でした」
そう言って、残り一分を切ると、坂柳は次の手を指示した。
「――これで終わりです」
クイーンサクリファイス――クイーンを捨てて、坂柳は突破口を切り開いてきた。
想定外の一手だ。
ここで、オレにも読み落としがあったことを察する。しかし、坂柳にも読み落としがあった。
もしここで、クイーンサクリファイスではなく、ビショップでサクリファイスしていたらオレに受けはなく敗北していただろう。
本来ならば、オレが負けていた。
そう、負けることが出来たはずだった。
一瞬だが、脳が焼ききれるのではないかというほど熱を帯びる。
同時に今まで見えていなかった――否、今までのオレでは見えなかった手まで見通せるようになっていた。
「楽しい戦いでした。終わらせるのは実に惜しい……」
しかし、坂柳はその勝利に気づいていない。そして、この一手が勝利への一手ではなく、決定的な失着であることにも気づいていなかった。
スッと、熱が冷める。
もし、坂柳が気づいていたのなら素直に負けを認めても良かった。それだけの力をこいつは持っていた――だが、気づいていない以上、この勝負はもうオレの勝ちだ。
「えっ?」
こちらのクイーンを差し出す。一見、ただ捨てにしか見えない一手――だが、坂柳は言葉を失った。残り30秒、読み切れるか?
「ッ! 攻めきれない!?」
そう、取ればルークでのチェックにならずメイトにならない。かといって、クイーンをそのままにすればこちらは坂柳のメイトから逃げる隙が生まれる。そうなれば、もう坂柳に俺の反撃を凌ぐ手は残されていない。
残り10秒――ここで坂柳も読み切った。
もう、逆転するすべはないということを。
「……Resign」
坂柳が敗北を認める宣言をした。
しかし、丁度司令塔の持ち時間がなくなったため、ギリギリで発言は無効になっている。つまり、橋本が残り45分を使える――が、オレにはまだ3分以上時間が残されていた。
3分あれば、勝ちは動かない。
橋本も無様なあがきをするつもりはないようで、坂柳が負けを認めると同時に、素直に負けを認めた。
恵が『勝ったの?』と、首を傾げる。駒の動かし方くらいしか知らない恵は、オレたちの攻防には完全に付いてこられていなかった。
「――それまで。今の種目、Bクラスの勝利です。よって、今回の最終特別試験の結果は4勝3敗でBクラスの勝利となります。Aクラスも素晴らしい戦いでした」
これで、とりあえず退学は防いだ。
しかし、坂柳にもう少し時間があれば、負けていたのはこちらだったかもしれない。実際、オレを死に至らしめる一手を、あいつは打つ可能性を持っていた。
「凄い戦いだった……で、いいのよね? まさか、あの坂柳さんに勝っちゃうなんてね。負けたら、先生の胸の中で泣かせてあげようと思ったのに」
負けても良かったかもしれん。
「星之宮先生」
「じょ、冗談ですよ冗談」
いや、上手くすればワンチャン――
「でも綾小路くん。君は思った以上にずっと凄い子みたいね。フラッシュ暗算のとんでもない10問目を正解したり、チェスで坂柳さんに勝ったり……成績が良くて運動能力の高いのは知ってたけど、サエちゃんが君を贔屓する理由が本当の意味でわかった気がする」
「贔屓してます?」
「してるよー、特に最近は今までと全然違う。これまでは殆ど生徒に無関心だったのに、なんか急に先生っぽくなっちゃってさー」
そう愚痴をこぼしながら、星之宮も撤収作業に入る。坂上もまた、「試験は終了しました。生徒は速やかに退室するように」と告げて動き出す。
「坂上先生、私たちも一度教室に戻った方がいいんでしょうか?」
「いえ、これで本日は終わりです。そのまま帰宅して貰って構いません」
「いいよねー生徒は。これで帰れるんだから」
「星之宮先生は後片付けをしてください」
「わかりましたぁ」
オレが椅子から立ち上がると、坂柳も立ち上がったようで、ゆっくりとこちらに歩いてくる。
「お疲れさまでした。綾小路くん」
「ああ。そっちもな」
45分とはいえ、早指しでチェスを最後まで打ったのだ。肉体的なものはともかくとして、精神的な疲労は相当なものだろう。
「私は、ご期待に添えられませんでしたか?」
「いや、想像していたよりも遥かに強かった。もし、何かが違っていれば負けていたのはオレだっただろう」
「それは良かったです。負けてしまいましたがとてもいい勝負でした。最後まで、勝負はどちらに転んでもおかしくはなかった……ですが、私の打ったあの一手が失着になるとは、顔から火が出るくらい恥ずかしいです」
「あそこはビショップだったな。それでお前の勝ちだった」
「……確かに、それなら白に受けはありません。ですが、時間があれば気づけたかもしれませんが、あの時の私には気づけませんでした」
だからこそのクイーンサクリファイス――もし、あれがオレ以外の相手だったら、失着だとは気づかなかったかもしれない。しかし、オレだからこそあの手は失着になってしまった。
「いやぁ、実に素晴らしいものを見せて頂きましたよ」
オレと坂柳が互いに健闘を称えていると、多目的室に月城が姿を見せる。今回、原作のような乱入はなかったので、心から称賛しているようだ。
「これはこれは、月城理事代行。特別試験をご覧になっていたのですか?」
「ええ。私たち学校側は不正がないよう、管理する立場にありますから。別室でお二人の試合を見させて頂きました。どちらも一歩も譲らない、互角の戦いとはまさにこのことでしょう。今回の勝負は、来年度以降の大きな財産として残ることを確信しています」
と、手放しで褒めてくる。どうやら、この試験で実力を見せるという月城との約束はしっかり果たせたようだ。
チェスだけでなく、この試験全体を通して、オレの指揮能力や計算能力は月城に伝わっているはず――これで、月城も無暗にオレと敵対する意味がないと悟ってくれただろう。
「ご満足して頂けたのなら何よりです。月城理事代行」
「ええ。見たいものも見られましたし大満足です」
暗に、坂柳には興味がなかったとも言えるが、流石にそこまでうがった取り方はしないようで、坂柳も「それはよかったです」と笑みを返している。
「そういえば、CクラスとDクラスの特別試験はどうなりましたか?」
「一時間ほど前に決着がつきました。あちらも4勝3敗でDクラスが勝利しています」
龍園が勝ったのか。アルベルトを封じて帆波有利の状況にしたからCクラスが勝つと思っていたが、もしかしたら何か切り札を隠し持っていたのかもしれない。
「綾小路くんもご苦労様でした。君とはいずれ、どこかでゆっくり話をしたいですね」
「いずれ機会があれば」
「では、その機会を楽しみにさせて頂きます」
前回とは打って変わった態度に、坂柳も首を傾げるが、月城は特にオレへ退学を促すことなく去っていった。
オレが親父殿の思惑を理解している以上、無理に退学させるフリをしても意味がないと察したのだろう。あれがあの男の基本的な姿という訳だ。
「……では、私たちも帰りましょうか綾小路くん。約束もありますしね」
「そうだな」
約束とは当然――前にした処女を頂く約束である。
坂柳も少し恥ずかしそうにしているが、反故にするつもりはないようでゆっくりと歩き出した。オレもペースを合わせて横を歩いていく。
勝ちはしたが、互いの実力はほぼ互角だった。原作でも言っていたが10回やれば、5回は負けるだろう。しかし、坂柳は「私はどこかであなたに負けたかったのかもしれません」と、負けたことを誇らしげにしていた。
原作とは違う、完全にフェアな戦い。
そこでオレが勝ったことで、坂柳は改めてオレが天才であると定義づけたらしい。オレにしてみれば、天才かどうかなどどうでもいいことだが、坂柳にしてみれば重要なのだろう。
しかし、原作と違って、勝負は一度きりとは言っていない。この先も、坂柳と戦う機会が訪れる可能性は十分にある。
まぁ、当面は月城の相手をするフリをしないといけないので忙しくなるだろうが、また落ち着いたら相手をしてやってもいい。
坂柳も負けたままでいられるほど大人ではないようで、「しばらくは距離を取りますが、いずれまた再挑戦させて頂きます」と告げていた。
そのまま、互いに適当な世間話をしながら寮へと戻る。今日は記念の日だ。流石におしがま選手権を開催するのは無粋というものだろう。
慣れてきたはずだが、処女を失うとなるとやはり恥ずかしいのか、また坂柳が恥ずかしがる姿が見ることが出来た。とはいえ、心疾患を持っていることに変わりはないので、ゆっくりと丹念に体をほぐしていく。
念のために普段はプレイでしか使わないローションまで使って、Tレックスで坂柳の初めてを頂いた。
同時に、「アッ、まっ!!」と言う声と共に、黄金の飛沫が放たれる――第六回チャンピオンが決定した。
そういえば、特別試験でいろいろあったが、こいつも3月が誕生日だったな。
改めて、チャンピオン連覇と、女になった記念の日ということで、『HAPPY BIRTHDAY』と、祝いの言葉を送りながら唇を奪っていく――それだけで、坂柳の体は電流が走ったようにビクリと跳ね上がった。
原作との変化点。
・第4戦でテニスが採用されてAクラスが勝利した。
元土肥千佳子という生徒が活躍してAクラスが勝利している。
・英語テストで全力を出した。
元々、英語テストで本気を出すつもりだったが、ここで負けると詰みがあったために堀北だけでなく雪も使用している。
・6戦目は調整が入った。
月城の介入で、Aクラス有利の状況になっている。ここで清隆が勝つと、4対2で面白くないので勝ち数を並べてギリギリまで退学意識を持たせようという考え。
・チェスは開幕から司令塔同士の戦いになった。
ちなみに作者はチェスミリしら。考察を参考にそれっぽく書いてるだけ。後、坂柳のクイーンサクリファイスを本文では失着と表現していますが、もし相手が清隆出なかった場合は誰も受けることは出来ない必殺の手となっています。清隆だからこそ気づけたのであって、仮に雪でも気づくことはなかった。例えるなら、棒ハンター漫画の軍儀でコムギがしばらく『狐狐狸固』という戦術で無双していたが、誰も気づかなかった死手に天才である本人だけが気づいたような感じ。
・坂柳は勝てた可能性があった。
格の違いがここで決まった。もし、坂柳が勝っていたら物語は終わっていた。結果、4対3でBクラスの勝利となっている。これを見て、橋本が遅めの裏切り準備を始めた。
・坂柳の初めてを頂いた。
今回はおしがまは止めてあげようと思ったのだが、気が付いたら六連覇していた。
今話の登場人物一覧。
・綾小路清隆
司令塔として指示を出しながら、坂柳と本気の勝負をした。限界を超えたことで、それまで見えていなかった自分の失着や坂柳の失着が見えてしまった。
・椿雪
温存を考えていたが、負けられなくなったため英語テストで起用している。
・堀北鈴音
最初から英語テストで参加させて勝つつもりだった。
・櫛田桔梗
英語テストで頑張って結果を出している。
・軽井沢恵
雪を使用したため、ラジコンとして最終戦に参加している。
・椎名ひより
原作にはなかった切り札。英語テストでの結果を出している。
・王美雨
英語が得意なのもあって、英語テストでのエースとして送り出した。
・神室真澄
英語テストで元Aクラスに相応しい実力を見せている。
・坂柳有栖
45分の死闘を行った。もう少し時間があれば、勝っていたのはこっちだったかもしれない。しかし、負けても満足そうにしており、嬉しそうに初めてを失った。
・星之宮知恵
清隆の実力を把握できて満足。片付けをしなくていけないことに愚痴を言っている。
・平田洋介
英語テストで全力を出した┌(^o^┐)┐
・幸村輝彦
テストは自分の得意分野ということで、出来うる限りの結果を出している。
・橋本正義
原作では混合合宿辺りから清隆に探りを入れるが、今まで関わりが全くなかった。が、今回の結果でしっかりと存在を認識した。
・月城常成
表向きは綾小路を退学させることを継続している。また、どうせバレているならと、本人とも結託してなぁなぁの仲になった。原作では有り得ない月城懐柔ルートである。プロテクトポイントもないので、チェスの邪魔もしなかった。
・坂上
しっかり教師として働いている。