サブタイの書き方がダナムのエンブレムと同じくらい分からない。
∇待っていてくれていた方、評価をつけてくれていた方、栞ぶち込んでいただいていた方、そしてお気に入り登録をしてくれていた方…ありがとうございます!AC熱が再燃してエルデン熱がクールダウンしてきたので暫くはコッチ方面の投稿が多くなると思いますので何卒ゆっくりお待ちください!∇
あの依頼から1ヶ月が経過。あの後イグアスの名前は売れた。それはもう売れた。
曰く、「あいつの戦い方は気持ち悪い」
曰く、「言動は荒っぽくて誰にでも噛み付くくせに戦い方がキモイ」
曰く、「野良犬って言ったら武器壊されて装備壊されてボコボコのボコにされた。知ってるか?死ぬ寸前ってまじで走馬灯見るんだぜ。」
曰く、「ちくわ大明神」
曰く…誰だ今の。
そして、
まあそういう感じだ。本人は不満に思ってるがその評判のおかげで少ないながらもあのペロキチ以外からも依頼が入るようになったのでヨシとしている。
「チッ、どいつもこいつもろくな事書きゃしねぇな…最後の記憶から見て、俺は近接を握るべきか…?クソ、ヴォルタが居さえすれば…」
イグアス自身も火力不足は自覚していた。手数の不足も。そして戦い方の欠点も。だがずっとずっと、爆音親父に顔面整形される前から。それこそルビコンでの戦い以前から続けていたその戦法を剥がすには、体が変わってからも無意識に出てしまうほどに染み付いてしまっていた。
「…ブラックマーケットでも回るか。」
出した結論はショッピング。名が売れたとはいえ無名であるためまだまだ依頼の少ない現状、自由時間が多く取れるというもの。表では出回らない強力な武器やそれに見せ掛けた鉄クズなどあるが、近接武器を欲するイグアスにとっては些細なことだった。
「…で、ここに来たって訳か。嬉しいじゃねぇの、ヘッドブリンガー?」
「ブラックマーケットで武器を買うならここ一択だ。他のとこにゃゴミか鉄クズしかねぇ。で、なんか良いのは入ったか?」
「おうとも。全部で4…いや、3つだ。まずはこの鉄パイプだ。新品同然、傷一つ無いピカピカの鉄パイプだ。中にコンクリが詰まっててちと重いが破壊力はあるぞ。欠点は鉄パイプじゃなくてアルミパイプって事だな。これは1000円だ。名前もブランドも耐久性もないし俺も要らん。」
「…そうかよ。次は?」
「次はこれだ。金を入れると動く。名前は【ゴールドラッシュ】ミレニアムのバカ共が息抜きに作ったのをここに捨てにきやがった。性能は酷いもんだ。例えば1000円チャージすると弾は10発自動で装填される。ただ威力は空き缶をギリ倒せないくらいだ。至近距離でやって、だからな。実践なら10万は無いと使えやしない。オーパーツを組み込みやがったせいで買取価格は100万したぜクソ!…買ってかないか?いい貯金箱だ、本当なら120万の所90万で良いぜ。」
冗談めかしてそういう店主を一蹴する。
「ふざけてんのか?次!」
「じゃ、最後だな。これは真面目に行くぞ。…3つ目はこれだ。納品箱に紛れ込んでいたみたいでな。仕入れた覚えも拾った覚えも無いがまぁ見た感じ壊れて無さそうだから置いてある。価値は知らんが、それと同じく使われている技術も知らないのばっかりだ。これは巫山戯なし、200万だ。負けることは出来ない。」
さっきまでの流れが嘘のように急に真面目になる店主。それもそのはず、なぜならそれは──
「な、パルスブレード…!?」
キヴォトスにあるはずのないものだったからだ。
「で、どうする?内部には音叉と似た機構してるのと何かの出力装置、それと多分だがエネルギー増幅装置が着いている。それでいてここまで小型になってる。相当な技術だぞ?今買わなきゃ二度と手に入んないかもな。」*1
それは決まっているだろう。
「買う。金はこれでいいか?」
「おう!こいつに関しては仕入れた訳じゃねぇからオマケにこれとこれも付けとくぜ!」
「入れんじゃねぇ!」
イグアスは今まで貯めていた金と最近稼いだ金を全ツッパし*2パルスブレードを購入。オマケにアルミパイプ(コンクリ入)と贅沢な貯金箱(粗大ゴミ)を押し付けられ、持って帰ることになった。
「ああ、そうだイグアス。」
「なんだよおっさん。」
さあ帰ろうとドアに手をかけたところで声をかけられ振り向くイグアス。目に映ったのは、歴戦を思わせる雰囲気を纏った男の目。ゆっくりと口が開かれる。
「…お前が何を見て、何を知って。何処から来て、どこへ行くのか…そして、何を目指して、何を感じて、何を手にするのかは聞かないでおく。興味もない。だからこれだけは約束しろ。俺の店に来る以上、七面倒な''火種''は持ち込むな、ってな。」
「…ああ。それだけか?」
おう、また来いよ!と先程までの空気を消した店主がそう言ったのを背中で受けて店を出る。憎い青空が見える。あの星とは真逆の青空が。
「''火種''、か。」
「ケッ、らしくもなくシラケちまった。」
「どこが、だ…狂犬めぇ…!」
時は進んで現在
昼間!依頼が入った!仕事中!
ということで新武器、【パルスブレード】の試し斬りにやってきたイグアス。雑魚相手しかいない、数もそこそこ程度でちょうどいい仕事を入れてくれたもんだとほくそ笑みながらスキップでもしそうな足取りでむかった。
内容はコンプラ的に言えないが、強いて言うなら攫われたミレニアムの生徒を奪還してくるだけの仕事だ。少し手が足りないらしく、最近現れた新進気鋭の独立傭兵に依頼が回されたらしい。
「ぐっ…ぅぅ…在る手段は活かすべきだ…何故それを理解しない…!」
「それはそうだが人道に反してんじゃねぇか。」
なお、相手は人間、オートマタ、獣人とレパートリーの多い烏合の衆だった。それを纏める小太りしたオートマタのリーダーはイグアスに踏みつけられ身動きが取れないレベルに破損している。誘拐したのは1人2人ではなく数十人規模でやっていたようで、上手く雲隠れし続けていたようだ。
「はぁー!にしても近接があると楽だな。マヌケを仕留めるのにいちいち銃なんか撃ってられっかよ。」
今回の敵組織は【ポルドルス・マーチャント】。主な活動は市民を誘拐して売りさばく人身売買。クズそのものだ。
「あ、ありがとうございます…」
「ああ、仕事だからな」
怯えた様子のミレニアム生徒は、礼を言いつつイグアスの背中に付けられた武器に目線が行っている。大方、珍しい形の武器だからつい見てしまっているんだろうと考え、無視を決め込む。しかし…
「すみません…その、背中の武器って…【ゴールドラッシュ】じゃないですか?」
「あ?お前コレ知ってんのか。」
「えっと、知っているというか、製作者です…」
「はぁ?!嘘だろ!」
「嘘じゃないです!」
無視できない情報を教えられつい声を荒らげてしまう。目の前に、イカレ武器を作りそうにもない格好のやつが製作者だと言ったのだ。仕方ない。
「ところであの!それ、どうやって使ってますか…?」
「金を突っ込んで使って…ああそうだ!てめぇなんてもん作りやがった!金突っ込んでんのに大した威力出ねえじゃねぇかよ!オーパーツとかいうのを使ってんのになんでこんなのが出来んだ!?」
「違うんです!違うんです!」
「何がだよ。使い方か?生憎俺は金を突っ込んで使うって聞いたんだがな?」
「えっと、根本からと言いますか…説明すると…」
長く分かりにくい説明が流れ出すのでここで要約すると、
①この武器は武器ではなくモデルガンであること。
②お金を突っ込むのは例えで言っていたわけであって貴重品や思い入れのある大切なものであれば威力は出ること。
③思い出の大きさで出力が変わること。
④深夜テンションで作ったおもちゃをブラックマーケットで珍品として出したらかなりの額で売れて本来の武器製造が捗っていること。ゲヘナの友達と一緒に作っている。
⑤ミレニアムのエンジニア部部長をしていて、価値あるものをエネルギーに変換する装置はお手製のもので自分しか制作できないようにしていること。
この5つである。
「じゃあこの札口にもの詰め込めばいいのか?」
「詰め込まなくてもこの、これです!このボタンを押せば勝手にスキャンしてデータを分析、対象をポリゴン体に分解して取り込んだらエネルギー充填が完了して、次に反対側のこのボタンを押すと内部にあるエネルギー出力準備がされます。大体5秒くらいなんで、まあ使わないやつかと…準備が完了したら全体的にオレンジ色に光るので、後は好きなタイミングでトリガーを引けば戦車にも風穴を空けられる威力が出ます!…まあ取り込ませた物の勝ちにもよりますけど…」
説明が終わると納得した顔でゴールドラッシュを眺めるイグアス。
「なるほどな…通りでカス弾しかでないわけだ。」
「それより!」
「うぉっ」
先程までの怯えた様子はどこへ行ったのか、ずいっとイグアスに顔を近づける生徒。イグアスは怯んだ。
「その左腕に取り付けてるそれはなんですか!?さっきの戦闘でちらっと見えましたけど緑色の電気?エネルギー体?みたいなのをブレードの形に出力しばったばったと切ってましたよね!どういう仕組みになってるんですか!しかも、見た目では威力はそこそこしか出なさそうなのに、戦闘用オートマタの強化外骨格すらすっぱり切っていて!私、気になります!」
「暑苦しい!離れろぉ!」
「みせてくださいよその武器ィ!見せて見せて見せて!」
じりじりと迫る顔面の圧力とどっから出てるのか分からないパワーに押し負け、言葉の最後にはせっかく買ったパルスブレードを、任務の回収対象であるだけの知らない奴に見せることになった。器具はないようでバラされる心配は無いが不服な様子を隠そうとしないイグアスを傍目に、パルスブレードを弄くり回す生徒。
「ほう…ほうほう…つまりあれは超高出力パルスを、この芯の形の発振器にまとわりつくよう発生させて切りつけていると…チャージできるじゃないですか!ただブレードを出せるのが持って2連、チャージすると1回でオーバーヒートしちゃいますね…排熱する時は排気管が開いてヒートシンクが作動するみたいですが時間が…小型化の弊害ですかね。そして起動スイッチは…おぉ、こんなコンパクトに!では…えいっ!*3……なんて素晴らしいぃ…!ああ、未知なる武器の奏でる起動音は、この世のどれもが雑音に思える程の甘美な調べ…!*4センスが良いですね!流石は我が
「さっさと返しやがれクソガキが!もういいだろ!あと誰がご友人だ!」
「いいやダメです!まだ見たいです!というか一旦持ち帰らせてください!」
奪い返そうとパルスブレードを掴むがこの生徒も負けじと力を込めて離さない。
「はぁ!?なんで見ず知らずの他人に、俺の商売道具を渡す必要がある!ついさっき買ったばっかなんだぞ!」
「そんなこと言わずに!私とミレニアムの友達ならこの武器改良できますよ!それでもダメですか!?」
「ダメだ!第一パルス系の武器作ったことあんのか!せめて10…いや、15個以上の実用的なパルス兵装の開発が条件だ!いいか、それまでは絶対にダメだ!復唱しろ!」
「『15個以上の実用的なパルス兵装の開発が条件!それまではブレードの改造は禁止!』」
「復唱したな!…っと、お前の引渡しポイントに到着した。さっさと帰れ!二度と来んな!」
「わーい!」*6
復唱ヨシ!暫くは大丈夫だな!
『独立傭兵、ヘッドブリンガー。この度の働きは見事なものでした。これからも頼らせてもらうことがあると思うから、その時も期待してます。それと、貴方の助けたミレニアム生徒から伝言を預かっています。コホン…
【この度は助けて頂きありがとうございました。貴方との出会いは大変素晴らしいものでありましたよ、ヘッドブリンガー?フフフ、武器の開発は我が校のハモニカ部所属の友達と協力して進めていて極めて順調です。貴方のパルスブレードの改造…楽しみにしておいて下さいね^^】
との事です。では。』
「やっちまった…」
拠点に戻って翌日。あの生徒の身元の確認と状態の検査を終えたのだろう、ミレニアムの傭兵起用担当のセミナーからそう連絡があった。事務的な言葉に続くねっとりした声真似はよく似ていてヤツが喋っているのかと思うほどだった。
「ゴールドラッシュ作ったやつに15個以上は…少なかった…!」
まだ作り終えた訳では無いだろう。だが確実に制作、試運転を含めて3つは作っていると分かるテンションの伝言に背筋が凍るイグアス。
ヤツが卒業する前にブレードの改造は確定した瞬間であった。
To Be Continued…
次回─「キヴォトス探査─散歩」