前回のあらすじ!
武器を買った!
安いおまけも着いてきた!
ミレニアム生徒は変態技術者だった!
パルブレ改造の未来が確定した!
「あ゙〜…やっちまったなぁ…」
無様にも頭を抱えて後悔しているこの男はイグアス。あの連絡があった後、急いでブレード以外のパルス武器がこのキヴォトスに存在するか調べたところ見事にヒットせず、オーパーツもどきを作り上げた技術者に対して足を上げる程度の至極簡単な条件だった事を今更になって酷く後悔している。
「クソっ!気分が晴れやしない…!トリニティ自治区にでも行ってくるか…」
気分転換にコーヒーとスイーツを食べに行く事とした。
お前は知らんだろうが、こういう時はフィーカと甘いものが最高に良いんだぜ、と遠くから馬鹿野郎の声が聞こえた気がした。
トリニティ自治区・スイーツ店【大豊】
「いらっしゃいませ!お好きなスイーツをお選びください!」
「久しぶりにこの名前を見たな…」
どこか見覚えしかない名前の店を見つけて懐かしさからつい入店してしまうイグアス。以外にもクオリティは高く、子供から大人まで楽しめるようにレパートリーも豊富だ。どれもこれも美味そうな匂いと綺麗な見た目のおかげでつい買いすぎてしまうヤツも居そうだ、というのが感想としてあがる。
「コーヒーが合う洋菓子…ケーキか?」
レッドガンで甘いものを食べる機会などがそうそう訪れることがなく、基本的に食堂のババアが作り上げる定食や作戦行動中のレーションだった。すると後ろから声をかけられる。
「他にもパイやマカロンなども、コーヒーに合いますよ?」
「そうか。それは助かるが、まず誰だテメェは」
見ただけでわかるこの圧倒的生まれが良すぎるお嬢様のオーラ。純白の羽に純白の服。よく手入れされた枝毛のない滑らかなロングヘアに綺麗なエメラルドの瞳。そして、やはりと言うべきか光を反射し輝きを放つトリニティの校章…間違いない
「これはこれは、いきなり話しかけてしまって申し訳ございません。私はトリニティ総合学院所属、桐藤ナギサと申します。以後お見知りおきを…
独立傭兵 ヘッドブリンガーさん。」
こいつは手を出しちゃいけないタイプの人間だ。
「…良いとこのお嬢様に名前を知ってもらって光栄だな?是非とも教えてもらいたいもんだ、''コーヒー''に合う''スイーツ''をよ。」
「ふふふ…ここはカフェエリアもあるんです。そちらで''お話''しましょう。」
景色の良いカフェテラスに、1人のお嬢様と1人の独立傭兵が話し合いをしていた。独立傭兵がテーブルに置いてある紙の一部を指差すと、お嬢様はそれについて真剣に説明を始める光景があった。
「……そしてこちらは…………なので、このチーズケーキはブラックと食べるのがオススメになります!お次がこの生クリームたっぷりのケーキですが………という作り方をしているので甘さは控えめでくどさがなくて、生地とスポンジは……………ということでこのケーキは微糖コーヒーで食べるのがオススメです!」
「…思ったより砂糖使うんだな………甘くないクリームなんてのもあるのか……」
「それから………」
ナギサのオススメ紹介は進んでいく。聞いているイグアスは楽しそうにしているお嬢様にほんの少しでも触発されたのか、自分でも以外に思えるほど話を聞いていた。
「なるほどな。…じゃあ最後に、このマカロンってのはどうだ?」
「そのストロベリーマカロンはコーヒではなく紅茶との相性が良くてコーヒーとはあまり相性が良くないんですが、酸味と甘みが絶妙なバランスで共存していて生地はサクサク、中のクリームも主張が激しすぎず薄すぎず、全ての要素がベストマッチしているのでブラックより少し薄めのコーヒーなら合うと思います。…その、どうでしょうか?一通り説明は出来たと思いますが気になるスイーツは…」
「ああ、今日のところはチーズケーキにする。他のは今度来た時にでも買っていく。」
今はブラックが飲みたい気分でな、と付け足すと呼び出しボタンを押して店員にチーズケーキとブラックコーヒーを注文する。ナギサも同じものを頼んだようだ。
ナギサが紹介していた通り、胸焼けしそうなほど甘いケーキをコーヒーと食べることで最高の味を作り出している。作法など一切知らないイグアスは、バクバクとケーキを食べコーヒーを飲みあっという間に完食した。
ちなみにナギサは綺麗な所作で丁寧に食べてとても幸せそうな顔をしていた。羽も無意識に動かしてしまうほど美味しそうに。
完食し、会計を済ませた2人は店からちょっと外れたところで別れの挨拶をしていた。
「テメェも知っている通り俺は独立傭兵をして日銭を稼いでる。これはちょっとした礼だ。何かあれば…1回だけタダ働きをしてやる。」
「良いのですか?ただスイーツを勝手ながら紹介させていただいただけだと言うのに…ありがたくいただきます、ヘッドブリンガーさん!」
自身の傭兵としての連絡先をナギサに渡し、実に満たされた気分転換だと心がホットだ。
上機嫌に拠点へ戻ると、そこには通知が3件来ている傭兵業のための携帯が今も着信を告げていた。
警戒もなくスマホのロックを外し内容を見てみると…
『私、この前のミレニアム生徒こと滝川メリー。傭兵起用担当を脅…説得してあなたの連絡先を手に入れたの。』
「こいつ、まさか…!?」
『私、滝川メリー。気軽にメリーって呼んで?今、5つ目のパルス武器を完成させたの。』
『私、メリー。今、6つ目のパルス武器を完成させたの。』
心臓が激しく鼓動しているのが分かる。冷や汗が止まらない。先程の天国のような心地良さは、いったいどこへ消えたのか…
『私、メリー。今、7つ目と8つ目を友達と別に同時に作成しているの。』
新しく、新着メッセージが1件届く。
『私、メリー。今、9つ目に取り掛かったよ?』
イグアスのストレスは解消されてまた溜まった。
『寝ろ。』
せめてもの抵抗として睡眠を摂るよう促してスマホの電源を切る。1度深呼吸を行って深く息を吸うと…
「あああああああああ!!ああああああああああああああああ!!!!」
MADNESS!
心身ともに体力が削られた。
※この後今のパルスブレードに対する思い残しがないようにとにかく無茶な依頼にも怪しい依頼にも取り掛かった。名声が上がり企業にも認識されるようになった。
To Be Continued…
次回─「キヴォトス探査─探査なんかしてる場合じゃねぇ!」