ダンジョン攻略、悪運にて ~低級スキルの組み合わせでアビリティ大量習得~   作:レイジー

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■ω・`)ノ ヤァ マタ ショウコリモナク アタラシイノ カイチャッタヨ



プロローグ 鑑定×ステイタス化

秋庭桜花(あきばおうか)さ~ん、どうぞ~」

「あっ、はい」

「ではそちらの覚醒機に両手を当ててくださ~い」

「――っ!」

 

 ダンジョン出現から10年。

 未だに地上にモンスターは蔓延ってはいるが、それでも主要都市の奪還には成功した。

 それは日本が島国で、他国からのモンスター流入がほぼないのが大きい。

 

「そのままグーっと押し込んでくださ~い」

「は、はい!」

 

 一定の調査が済み、最弱のモンスターの命が新人ハンターの覚醒に使われる。

 死ぬ寸前まで弱らせられたモンスターが機械の中に封入され、登録料を支払った新人ハンターは機械を用いてラストアタックを得ることで初討伐を行い、覚醒を果たす。

 機械といっても新人ハンター側の操作はほとんどなく、無数の針がついた板に直接繋がる板を押すだけ。

 構造としては板2枚の間に棒が繋がった状態だ。

 

「……はい、終わりましたね~。ではお疲れ様でした~。取得するスキルを選んだら用紙に記入して提出してくださ~い。それで終了ですので~」

「あっ、はい」

 

 桜花の視界に浮かぶ半透明のウィンドウ。

 そこに書かれているのは『空き容量 2』の文字。

 つまり取得できるのは2つ。それはデュアルスキル。そこそこ珍しい程度ではあるが、初期条件としては恵まれている方だった。

 具体的にはハンターの100人に1人の割合。そこから更に10000人、つまりトータルで100万人に1人の確率で3つのスキルユーザー。トリプルユーザーもいる。

 

(よしッ。枠2個。これで良いスキルなら――)

 

【鑑定】【ステイタス化】

 

 選べたのはこの2つだけだった。

 本来、選べるスキルは最低でも5つ。多ければ30を超えるという。

 にもかかわらず、桜花に許されたスキルはたったの2つ。

 選択肢は選択肢の体をなしていなかった。

 

(は、ははは……鑑定とステイタス化? なにさ、それ……)

 

 スキル【鑑定】。

 それはダンジョンで入手できる特殊鉱石やモンスタードロップなどを調べることができる。

 スキル【ステイタス化】。

 自身や他者の能力をステイタスとして閲覧できるスキル。

 それらは現在は『機械化されている』要素。

 特殊鉱石などの効力は既に他のスキルユーザーが調査済みであり、モンスタードロップも同様で、モンスターから得られる魔石の含有魔力量は機械で測定可能。

 ステイタスはそのスキルによる調査結果を元に研究が行われ、魔力によるバフのようなモノだと判明した結果、その魔力を機械で測定することで人為的に『ステイタス化』されている。

 

「ゴミッ――じゃねえかァァァアアアッ!?」

 

 スキルとしての希少性は上の下程度にはどちらもある。

 デュアルユーザーの希少性という点や。現代では個人の実用性はないと情報が出回り、運悪く入手可能となっても選ぶ者がいないという点から両立は世界初だ。

 だが、希少性と有用性は別だ。

 世界にたった1つのゴミがあるとして、確かに唯一という希少性はあってもその本質がゴミとなれば価値はゼロだ。

 

「あ゙ぁ゙ァ゙ァァァアアア……アビリティ習得頑張らないと……」

 

 アビリティ。

 それは覚醒によって得たスキルとは異なる覚醒によって生まれたポテンシャルの空白に生じる技能。

 スキルとアビリティ。

 2つを例えるなら、スキルはガチャで得た外付けの恩恵であり、アビリティは経験に基づく行動の最適化。

 ゆえに、ポテンシャルと経験さえ合致すれば誰であろうと無限に習得が可能。

 

「くそッ、俺は運がおかしい! 運がおかしいのが全部――……こんなこと言ってるヒマあったら訓練しよ……」

 

 書き殴った書類を途中からキレイに書くという情緒不安定さを見せつつ、桜花は覚醒所をあとにして訓練所へと向かった。

 

―――――

 

「みんな動きスゴイなぁ。こっそりステイタス見ちゃお」

 

 【ステイタス化】のごく僅かな長所。

 手軽に使えて、見ていることを他の人間に知られない秘匿性。

 

『能力補正値:筋出力323

      :耐久力192

      :瞬発力380

      :器用127

      :幸運100

      :魔力207

 スキル:斬撃拡張

 アビリティ:剣術(3)

      :疾走(1) 

      :身体強化(2)

      :姿勢制御(1)』

 

(ほえ~、本当に見れた。俺は……全部100か)

 

 複数ウィンドウで自分のモノも見比べ、すぐに消す。

 

(この補正項目って具体的になんなんだ? 筋出力は可能な最大の力、耐久力は攻撃を受けた時のダメージ軽減力とかスタミナとか、瞬発力は筋出力が最大まで達する速度、器用はアビリティ習得に必要な魔素(ミスト)? の取得量に対する補正? 幸運はドロップへの補正? 魔力は最大魔力量とか魔力回復速度とか色々。……へ~、ハンターマニュアルには書いてなかったけどそうなんだ)

 

 予習内容にはなかった新たな知識に心が躍るのを感じた桜花。

 どう足掻いても現実は変わらないのだからポジティブに行こうと決めた桜花は、こうして本を読まずとも楽に知識を得られるのなら意外と良いかもしれないとスキルを『良い』と思った。

 

(アビリティ、のあとの数字はレベルかな? 具体的にどう違うとか調べられないの――)

 

 アビリティに目を向ける。

 すると新たな項目が増えた。

 

『剣術(3):他のアビリティを一切複合させない状態で対象を一刀両断にする(3/100)

       短時間で多数の斬撃を対象へ加える(81/100)

       魔石を切らずにモンスターを一撃で倒す(31/100)

       素振り(2079/10000)                       

   

 剣術(1):狙った場所への攻撃命中(0/10)

       ブレのない剣閃(0/10)

       剣でモンスターを倒す(0/10)

       素振り(0/100)                          』

 

「……へぇ。……マジでッ!?」

 

 この時の桜花は知らなかったが、これこそがスキル複合の恩恵だった。

 【ステイタス化】だけではアビリティ詳細が見れない。

 【鑑定】だけではステイタスの閲覧ができない。

 アビリティの取得方法、成長方法。世界の誰もが知らない数値化された現実。

 これが幸運と不運の両方に恵まれた悪運の持ち主――秋庭桜花に許されたチートだった。

 




■ω・`)ノ ヤァ ミンナッテ コウイウノ スキナノカナ?
      ボカァ ナントナク オモイツキデ ヤッチャッタヨ
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