【いつものチーム部屋。いつものようにネガティブになってしまうシュヴァルと、それを気遣うトレーナー。しかしこの日は些細なすれ違いから諍いになってしまう。】
シュヴァル「分かりました。僕あっちで頭冷やしてきます。いつもうじうじしてごめんなさい!」
トレーナー「待てシュヴァル」
【立ち去ろうとするシュヴァルを引き留めるトレーナー。自らに伸びるトレーナーの腕を、シュヴァルは咄嗟に振り払ってしまう。】
トレーナー「うわっ」
【ウマ娘の力で、思わずよろけるトレーナー。机にぶつかりそうになる】
シュヴァル「危ない、トレーナーさん!」
ガシャあああああん
【倒れる机など、盛大な音】
トレーナー「(う、痛たたたた……はっ、シュヴァルは大丈夫か!?)」
【痛みに顔をしかめていたトレーナー、目を見開く】
トレーナー「ふご、ふもも?(うわ、なんだコレ?)
【トレーナーの眼前に映るのは、白い布切れのようなもの。野球ボールの縫い目の弧を描くような形状。更に外側は弾力のある肌色ときている。縁に沿った小さなフリル。白地の布にいちご柄が入っていて……】
トレーナー「苺?」
シュヴァル「ふ、ふわ。トレーナーさん。顔が、そこ、駄目です……」
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トレーナー「シュヴァル、すまん。この通りだ」
【ひとまず起き上がった後、全力で土下座をするトレーナー。】
トレーナー(まさか倒れた拍子にシュヴァルのスカートの中に頭を突っ込んでいたとは)
【椅子に座り、全力土下座のトレーナーを見下ろすシュヴァル。先程の周知の名残か、まだ顔が赤い。そして照れたように横をぷいと向いて】
シュヴァル「いえ、僕が力づくで引っ張ったせいですから。トレーナーさんが悪いわけじゃないです」
トレーナー「それでもどう責任を取ったら(ああ、何と言う失態だ。親御さんにも何と説明すべきか)」
【土下座したままのトレーナー。一方シュヴァルもいやに動揺している】
シュヴァル(あああぁぁ、僕は何てことを! 一緒に倒れたふりをして、トレーナーさんの目の前でわざと下着を晒してしまうなんて。
でも、こんなアピールする機会は逃せないし、ついやっちゃったぁ。
僕の下着を見て少しは興奮してくれたかな。トレーナーさん、今何を思っているのだろう。ああ、早く顔をあげて情けない顔を見せて欲しい。)
トレーナー(それにしてもあんな可愛い柄の下着を履いてるなんて。シュヴァルも女の子なんだな。はっ、真剣な場面で自分は何を)
シュヴァル「ト、トレーナーさん。もう良いですから顔を上げて(まずい。僕の顔、僕らしからぬ加虐心が漏れ出てる?)」
トレーナー「いや、まだこちらの気がすまん(く、シュヴァルの声を聞いたら、さっきの光景がまた目に浮かんで思わずにやけ面が)」
【椅子に座るシュヴァルと土下座するトレーナーの無言の対峙はいつまでも続く……】
モブウマ娘「うわぁ。連絡に来たんだけど窓の中の2人は何やらただならぬご様子」
発行日 20XX/11/26
サークル おパンツ亭
発行者 モブマロ
連絡先 XXXXXXX
印刷所 人参印刷
【本作品はフィクションです。実在のウマ娘・レース・団体等とは一切関係ありません】
時は同人談義をした後のMTG終了後に戻る。
「それじゃあMTGも終わったし、校舎で事務作業に戻らないと。シュヴァルはどうする?」
「あ、じゃあ僕はこのお煎餅を食べてから……いいですか?」
「もちろん。時間がないんで先に出るが、鍵を閉めるのも任せて良いかな」
「はい、忘れないようにします」
「気を付けてな」
そう言うと、トレーナーは辞去の挨拶をしてチーム部屋を立ち去った。
「ふぅ……」
トレーナーの気配がなくなると、シュヴァルは大きくため息をついた。
そして、よっこいしょとばかりに腰を上げる。その下にある、自らの身体で隠していたものを丁重に手で取った。
「はぁ。お尻に敷いてたら跡が残っちゃったや。まぁ保存用が家にあるからその点は安心だけれども」
そう語るシュヴァルが持つのは、一冊の本だ。厚みの薄い。尻に敷いたおかげで更にぺしゃんこに。
「それにしても、まさか本当にトレーナーさんの顔を尻に敷いてしまうなんて……。うう、絵だと分かっていても物凄い背徳感」
と語る通り、その表紙には随分呑気な表情のトレーナーが描かれている。
いや、実際にはトレーナーとシュヴァル当人の2人が載っているのだが、シュヴァルにとってはトレーナーの方が大事らしい。
さて、シュヴァルがこうして手に持っているものこそ、シュヴァルxトレーナーを描いたコメディ本だ。それも少しエッチな。
「キタサン本と一緒にこれも買ってしまったんだ……。部屋で読んでいたらちょうどトレーナーさんが来てしまって、どこかに隠そうと思ったけどそれは無理で。咄嗟に尻に敷いてしまった。
……トレーナーさんに見られるのは恥ずかしいと思ってさ。それで気がついていない振りをしてキタサン本の方を読んでいたんだ。フェイクでね」
とシュヴァルが振り返る通り、2人が同人談義をしている間、その本はずっとシュヴァルの尻の下に敷かれていたのだ。
そして「ついそちらの世界を覗いてしまった初心者」のフリをしていたシュヴァルだが、実のところ「分かっている」。
(「ナマモノ」って言われた時、「刺し身」とか反応したのは流石にわざとっぽかったかな? でも怪しまれないで良かった。)
そうして自らのお尻の形にへこんだ同人誌を愛おしげに撫ぜながら、シュヴァルは呟いた。
「いいよね。同人誌は勇気をくれる」
過去に思わぬ偶然により、一度はトレーナーと気持ちが通じ合ったシュヴァルであったが、彼女にとってその前途は暗かった。
引っ込み思案で、自分に自身が持てない彼女にとって、色恋など望外の望み。
本当ならもっともっと活躍して立派になって、相手とも色んな交流や経験を積み重ねて。それで初めて仲が一歩進展する。そういうものだと諦念してた。
にも関わらず告白が成功してしまったことに、「あまりにも性急ではないか」「ご都合主義だ」という気後れがあった。
そして自分がトレーナーにどうアプローチをかけていくのか、そういったことも皆目検討が付かなかった。
そんな時、何か参考になればとも思って手にした同人誌。
そこに描かれている自分たちは、本当に様々な表情をしていた。
トレーナーに対して話したように、それこそこちらが「そうだったんだ」って納得してしまうくらい真剣に考察したものから、笑っちゃうようなしょうもないものまで。
当然本の中には自分とトレーナーの交流を描いたものもある。
そこには様々な恋模様が描かれていて。色んな手練手管でパートナーを翻弄する主人公がいて。自分じゃ想像もつかないような多種多様なシチュエーションが存在して。
初めは圧倒された。
「ああ、皆様方とても良い恋愛を描かれなさっておいでで。やっぱり自分には色恋なんて早すぎましたね。自重します」
だけども様々な本を読んでいくうち、本に描かれた物語を創るファンたちの思いを知るうちに、それこそトレーナーに語った「ファンの方たちに不様なところを見せてはいけない」、「これまで以上に頑張ろう」という自身の思いもあって。
やがて気づかされたのだ。
「そうか。僕にはこんなにも沢山の可能性があるんだ」
何だ、気後れすることはない。
僕を信じてくれるファンが見た僕。そんな僕には、これほどの道を歩めるポテンシャルが備わっているんだ。
そして僕はその無数の可能性の中の1つを選び取り、「たまたま告白が成功してしまったシュヴァルグラン」になったのであり、その物語の道を歩んでいる訳だ。
これまでの経験値が不足してるとか、発展が性急過ぎたとか、そんなことはどうでも良くて、これから必要なことを適宜学んでいけば良いし、そこでのイベントを通じてトレーナーと絆が深まっていくのだ。
焦ることなど何も無い。道は信じる人の前に自ずと開かれていくものなのだから。
それでも時に挫けたり迷ったりした時はどうすれば良いか。
……そんな時はまたファンの描いた本を読んで、勇気をもらえば良い。
だって彼らは、僕がどんな試練も乗り越えられるだろうことを、信じてくれているんだから。
「僕は僕の未来を切り開いていこう」
そう思うに至った時、気落ちは奮起に変わっていた。
「でも自分から下着を見せつけるのはちょっとやり過ぎで、解釈が違うと思うな」
頬を染めて呟く。
そこに関しては奥手なシュヴァルグランなのであった。
トレーナー「しかしシュヴァル。最近MTG中に間食することが少なくなったのだが、具合でも悪いのかい? もしかして我慢しているのかもしれないが、お腹が空いたらすぐに言ってくれて良いんだぞ」
シュヴァル「いえ、まったく問題ありません」
トレーナー「そうか? なら良いんだが」
シュヴァル「ええ、糖分なら……沢山摂取してますんで」
シュヴァルグランのヒミツ
実は、1番お気に入りの本は、
黄色勝負服x無敗三冠ウマ娘の下剋上シチュ