「あまねく奇跡の始発点」及び「アビドス3章」後の話になりますので先にそちらをご視聴ください。
pixivとのマルチ投稿です。
番外編まで繋がるかわからないけどミカに角が生えるくらいまでは書きたいな。
日が落ち辺りが暗くなり外灯が点き始めた頃、先生はここトリニティ総合学園へとやってきた。
桐藤ナギサが「ご相談したいことが…」と連絡してきたからだ。
校門へ着くと正義実現委員会の生徒が一人先生を待っていた。
正実モブ「先生、ようこそお越しくださいました」
先生「やぁ、お出迎えありがとう。ナギサの警護をよく担当してた子の一人だよね。何度か見かけたから覚えているよ」
その生徒はペコリと軽く会釈すると、こちらですと言い先生を校内へ案内し始めた。
促されるまま先生は後を歩いてついていく。
寮の門限後に来て欲しいとの事で、校内に生徒の姿は全く見えなかった。
道ながら夜の照明に照らされた校舎や庭園を眺める。
数ヶ月前にもここへ来る機会があり前にも見た景色なのだがその豪華で美しい建物や装飾は何度見ても感動する。
巨大な校舎を横切り庭園を抜けた先にティーパーティー専用の邸宅が見えてくる。
校舎ほどではないがこちらも貴族のお屋敷くらいはある大きさだ。
玄関を抜け階段を登り邸宅の一室に通される。
正実モブ「失礼します、先生をお連れしました」
案内役の生徒は一言断りを入れドアを開け中へ先生を入れるとゆっくり扉を閉めどこかへ行ってしまった。
ナギサ「お久しぶりですね先生…こんな遅い時間にお呼びしてしまって申し訳ありません」
セイア「やぁ先生…」
中へ入ると桐藤ナギサと百合園セイアが立って挨拶をしてきた。
二人とも神妙な面持ちでどこか元気のない印象だった。
先生「久しぶりだねナギサ、セイア。今日はどうしたんだい?相談事って?」
ナギサ「まずはお掛けになってください、仕事終わりで先生もお疲れでしょうし………」
さっそく用件を聞こうとした先生にナギサは丸テーブルの周りにある椅子の一つを引いてくれた。
先生が促されるまま席に着くとセイアが目の前にカップを置きワゴンからポッドを持ち紅茶を淹れる。
淹れ終わったタイミングでありがとうとお礼を言うとセイアは一瞬先生に向かって僅かな笑みを見せ、そして自分の席へと座った。
ナギサも席に着き自分用に淹れていた紅茶を一口飲んで少し深呼吸をしてからこちらに目線を向けてきた。
ナギサ「………先生………先生にはいつも助けて頂いてるのに、また頼ってしまって………本来ならこのようなことはトリニティの代表である私達ティーパーティーが解決しなければならないのですが………」
先生「気にしないで。私は生徒達の力になってあげたいだけだよ。それにサンクトゥムタワー崩壊事件の時はナギサ達にも助けられた。だからどんな小さな事でも相談してくれて構わないよ」
ナギサ「…………………………」
遠慮がちに話し始めたナギサに気を遣わなくていいよと言ったつもりだったが口を噤んでしまった。
ナギサは今までの人生で人々を引っ張って導いていくべき人間として生きてきたのだろう。
自分で判断し自分で行動し自分が全ての結果の責任をとってきた。
他の生徒のために人一倍頑張ってきた女の子に全て大人に任せてというのは少し酷なのかもしれない。
それは彼女に対する侮辱だし彼女には大抵の物事は解決できる力を持っていると信じている。
だが今回は、そんなナギサが先生に連絡してきたのだ。
おそらく解決方法はいくつか考えてはいるが絶対に失敗はできないと思っているのだろう。
ナギサが失敗したくないと思うこと…先生は相談を請け負うべく部屋に入った時から気になっていた事を聞いた。
先生「そういえばミカは?………」
優しく問いかけたつもりだったがナギサの顔は更に雲ってしまって悲しそうだった。
この部屋にはセイアとナギサしかいなかった。
本来ティーパーティーは三人で生徒会長をやる三頭政治組織である。
三人目のティーパーティー、聖園ミカだけがこの場にはいなかった。
ナギサ「ミカさんは………寮の門限が過ぎていますので自室で休んでいると思います………そして今日、先生が来られる事はミカさんには伝えておりません………本当にご相談するべき事はまた別にあるのですが………ええ、そうですね………先にミカさんの方を話しましょう」
相談事の一つではあるが本題ではないらしい。
ナギサ「ミカさんへの嫌がらせ………いじめが前にも増してひどくなっています………」
ナギサはテーブルの上で組んだ手の指に力が入り自らの皮膚に爪を突き立てる。
悲しさ、悔しさ、憤り、色んな感情に体を震わせていた。
先生「………エデン条約の時から随分と時間は経ったのに、なぜまたそんなことに………」
ミカはトリニティを裏切ったとしてエデン条約の事件の後から魔女と呼ばれ生徒の大部分からいじめを受けていた。
しかしいじめていた生徒達のほぼ全てがミカから何の被害も受けておらず、ミカの事をほとんど知らない生徒達ばかりであった。
そして唯一被害を受けたと言えるのは、セイアだけでありその本人もミカを許すと言っている。
にも関わらずミカに危害を加える生徒が後を立たなかった。
ミカは学校で一番偉い立場であり更に容姿も控えめに言ってかなりいい。
そんな秀でた人間を一方的に殴る蹴る奪う精神的に追い詰めるのは、言ってしまえば彼らにとって最高の娯楽であったのであろう。
もちろん先生も一方的に一人の生徒がいじめられる状況は絶対に許せないので、ミカにはいじめが収まるまでずっと側にいようか?と提案もしている。
だがミカは贔屓していると捉えられて先生の信用が落ちちゃうよと断ってきた。
同様にセイア・ナギサの申し出も二人の立場を守る為に断っている。
時間が立てばみんな飽きて自然と解決しちゃうよ、私は全然平気だから、とミカは明るく笑って言っていた。
自分の見通しの甘さと楽観的な希望にすがっていたことに自分で自分が嫌になった。
ナギサ「これがミカさんにつけていた正義実現委員会の監視からの報告書です………ミカさんに黙ってやるのは友人失格だと思うのですがどうしても目を離したくなくて………」
ナギサは手元に置いてあった分厚い報告書の束を先生に差し出してきた。
先生は何ページかに目を通した。
そこにはミカの私物を盗難・焼却・廃棄したこと、失くなっていることに気づいてゴミ箱の中を探しているミカに対して「ゴミ漁り」や「乞食」と集団で本人に聞こえるように言っていたこと。
除草作業のボランティア指定区域にミカが来る前に水やゴミを大量に撒いて妨害していたこと。
ミカのよく行くお気に入りだと思われる飲食店・化粧品店・洋服店・アクセサリーショップなどで店員に聞こえるように悪評を話し多くの店で出入り禁止させていたこと。
一般学内食堂で食事中のミカの机や椅子にわざと足や体をぶつけて食べ物をこぼさせたり服を汚させたりしたこと。
他生徒の私物の破損をそこにいた全員がミカを犯人と断定し弁償と土下座を要求していたこと、何を弁解しても聞いてくれなくて逃げ出したミカを追い回していたこと。
ミカが入浴後に寒そうに震えながら自室に戻っていることに監視が気付き調べると寮の浴槽のお湯が全て抜かれていて、ガスの元栓もシャワーを浴びている途中で閉められていたようだということ。
ミカと面識ある人間がミカをどう思っているかを出鱈目に書いたメモがロッカーに入れられていたことなどが書かれていた。
同じ日にこういったことが数件あり、日付も連続して記載されていた。
パラパラとしか確認できていないがおそらく今日に至るまでの数ヶ月間、一日足りとも抜けてる日はないのだろう。
先生は報告書から目を離す。
そして目を閉じ会う度に笑顔で話していたミカを思い出す。
ほったらかしにしていたつもりはなかった、他校の問題解決に取りかかっている合間にも少しでも時間を作ってトリニティに来てミカに会って話を聞いていた。
困ったことはないかい?嫌な思いはしてないかい?友達とは上手くいってるかい?と。
するとミカは笑って「大丈夫だよ」「もう心配ないよ」と答えていた。
ナギサ「ミカさんへのこういった行為は止めてくださいと何度も全校集会で言いましたのにっ………場所を変え手段を変え………」
先生「こうなってしまった原因の心当たりはあるかい?」
先生の問いにナギサはコクンと頷き…
ナギサ「原因はトリニティ総合学園への編入希望のアリウス生徒を対象とした短期間体験入学をミカさんが始めたからです」
なるほどなと思った。
以前は自分達とは直接関係なく、ただ単にミカを責める理由ができたからやっていたことだったが今回は学校襲撃を行ったグループが自分達の学校に入ってくるという自分達への実害があるかもしれない事態を絶対に許容できないとして相手を完全に排除するレベルのいじめに発展したのだ。
これはミカがティーパーティーを辞めアリウス生編入を諦めるか、最悪…学校を自主退学に追い込むまで続けるつもりなのだろう。
ずっとまともな教育を受けられる環境を与えられなかったアリウス分校の生徒達を手助けしようとしているだけなのに。
ナギサ「アリウスの学校に視察に行きましたが授業ができる教室も生徒がゆっくり休める寮も勉強のための教材も何もかもが足りませんでした。学校及びアリウス自治区再建のための資金繰りをトリニティの方で既に始めてるのですが私達の代で間に合うかどうか…。そして肝心なのが今学校にいる子達ですね、再建にはどうしても時間がかかってしまう。そこでミカさんが現在やっているのがアリウス生の一次編入です。ミカさんはアリウスから希望者を10人程集めてトリニティに来てもらい校舎や設備の案内、一室を貸しきっての模擬授業などを一人でやっています。白州アズサさんのような生徒を増やすことでトリニティ生徒の理解を得ようとしています」
セイア「この事についてはミカから手を出さないでと言われている、私やナギサに迷惑はかけたくないと………全く馬鹿馬鹿しい」
黙っていたセイアが思わず言葉を漏らす。
ミカの行いの被害者であるセイアだが自分を口実に自分以外が勝手にミカに私刑を繰り返し、それを助けてやれない現状に怒りや悔しさを覚えているのだろう。
三人の中で一番冷静で頭がよく何事にも感情を顔に出さない彼女がギリリと歯を食い縛り眉を吊り上げている。
ナギサ「セイアさん……………ですが、ミカさんの言うこともまた事実。アリウス校生徒受け入れを私もセイアさんも了承したと発表しただけで現ティーパーティーは全員裏切り者だ、即刻退陣せよと主張するグループも少なからずでてきましたからね。正義実現委員会に完全にミカさんをいじめから守らせたところで状況は悪化するでしょう」
ナギサは気を押さえてという風な目配せを送る。
セイアは一呼吸置いて冷静さを取り戻した。
それを確認してナギサは説明を続ける。
ナギサ「更に悪いことに最近パテル分派の生徒もいじめの対象になっています」
先生「パテル分派にも?」
パテル分派とはミカが首長を務めるトリニティの派閥の一つである。
ミカが事件を起こしたことでパテル分派への他派閥からの風当たりが強くなったことで当初はパテル分派生徒が率先してミカを責め最初の頃のいじめを先導していたと記憶している。
セイア「パテル分派はミカが失脚するように抗議活動を頻繁に行っていたが中々叶わないため…一人また一人と抜けていって今では残すところ23名にまで減ってしまったよ。この23名は、ミカをいじめている生徒や元パテル分派メンバーに派閥を抜けてミカを孤立させろと言われたが頑なに拒否し続けている。そのためミカ程酷くはないがいじめを受けることになってしまっている」
先生「どうしてその子達が派閥を抜けないかわかるかい?」
ナギサ「いえ先生…まだ理由はわかっていません。何しろつい先日、正義実現委員会の生徒が発見したものですから。ですがその事を知ったミカさんがひどいショックを受けた様で、自分のせいで他の子達にまた危害が加えられてると自分を更に責めるようになってしまって…。先生にご連絡したのももう限界と判断したからです…」
セイア「ミカを守ればトリニティ生徒の大半の反感を買いティーパーティー全員のクビが飛びアリウスを救えない、次代のティーパーティーに託すこともできるが私達と同じ結果になるだろう。アリウスを手助けするにはミカや残存パテル分派生徒にいじめを耐えてもらって事を進めるしかない。という現状の解決策はあるだろうか?………ね、先生」
一通りの説明を終えた二人から期待の眼差しが先生に向けられる。
トリニティ全体がアリウス生を受け入れアリウス再建に理解を示し、尚且つミカのいじめを止められるような答えはないだろうかと。
先生として、大人として、悩める子供達の不安を解消し問題を解決してやりたい。
先生「………………………………………………」
だが直ぐには思いつかず答えてやることができなかった。
辛い思いをしている子達を救ってやれない自分が非情に情けなかった。
補習授業部のアズサの様に『シャーレ』の超法規的処置を匂わせ手を出させないようにすることも考えられるが、あまりにも人数を増やすと他生徒の親御さんやトリニティ自治区OG会が『シャーレ』の職権乱用と内政干渉を訴えてくる可能性がでてくる。
と、黙ったまま答えを出せないでいる先生にセイアが自分のスマホの画面を見せてきた。
画面には動画の再生ボタンがセットされていた。
セイアが押してみてとニコッと笑みを浮かべながら促してくるので先生は言われるがままに動画の再生ボタンを押す。
真っ暗な空間に大人数の人が鮨詰め状態でザワザワとひしめき合っている映像が流れ始める。
空間の前の方には壇上があり唯一照明でライトアップされている。
その壇上に一人の女の子が登ってきた。
光に照らされ現れたのはミカだった。
ミカは手に持っていたマイクを口元まで持ってきて喋り始めた。
ミカ『みんなーーーー☆今日も私の授業に来てくれてありがとーーーー♪>ワ<』
大勢のアリウス生徒『『『『『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお』』』』』
先生「!?」
録画越しでもわかる大歓声に困惑する先生。
ミカ『じゃあ、早速一問目行ってみよっかー!!1+1は~~~?>ワ<』
大勢のアリウス生徒『『『『『2ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ』』』』』
ミカ『わわっ、みんなスゴいじゃんね☆』
アリウスA『キャーーー、ミカ様ーーー♪バカにしないでーーー 』
アリウスB『もっと難しい問題出してーーー 』
アリウスC『私を廊下に立たせてーーー 』
アリウスD『是非、個人授業をーーー ミカ様ーーー 』
ミカ『じゃあリクエストに答えて次の問題いっくよ~~~☆!!!!!!』
大勢のアリウス生徒『『『『『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお』』』』』
先生「???????????????」
セイア「ミカが編入施策に切り替える前にやっていた出張授業の映像だ。アリウス校へ出向き学校の授業とはどういうものか知ってもらうためにミカ自らが先生となってやっていたんだ。これは七回目のミカの訪問に私とナギサも様子を見るために着いていった時のものだ」
先生「授業???????????????」
アリウス生徒の盛り上がりようが、どう観てもアイドルのライブにしか見えない授業映像に困惑しているとセイアが捕捉してきた。
セイア「安心したまえ先生。意味が理解できない摩訶不思議ゾーンに見えるだろうがこれはれっきとした授業だったよ。問題は段々難しくなっていくし基礎的な事を多くの生徒が覚えていっているのを確認している。中にはトリニティの学校で出される様な問題に正解する生徒まで何名かいるくらいだ。生きてきた中で勉強をしたことがないという生徒達が、だ」
ナギサ「最初見たときは授業と認識できず頭痛がして頭を抱えました………ですが授業中、生徒全員が本当に楽しそうにしていました。一人一人に机も椅子も教科書もなく教育をほとんど受けたことがない生徒が勉強に興味を持つようになるきっかけには最高の授業ではないでしょうか?」
セイア「ああ、常識に囚われた私達にはできない授業だ。先生、ミカはね現在・過去…おそらく未来のティーパーティーをも含めた中で唯一『アリウス』に救いの手を届かせられた人間なのだよ。ティーパーティーの席には私やナギサの様な人間がこれまで座ってきたしこれからもそうだろう。そして『アリウス』との和解を何とかしたいと思っても数々の障害に実現不可能と判断してしまい『他校との外交摩擦の解消』『学園全体の成績向上』『治安維持と保有戦力の強化』などを優先してしまうのだろう。私がそうだったからね」
ナギサ「ええ…私もそう思っていました…」
先生「セイアもナギサも間違っていないよ…」
学校や自治区を守りより良い学園を作るためにはセイアやナギサの運営は何も間違っていない。
『アリウス』との接触には時間がかかるだろうし接触できたとしてもトリニティ全体を危険に晒す可能性を孕んでいたわけだから二人とも間違ってはいないだろうと伝えたかった。
セイア「死者7名」
先生「……………………………」
セイア「昨年度のアリウス生徒の死者の数だ。内、餓死6名・アリウス幹部の体罰による致死1名。毎年同様の人数が亡くなっている。内戦時代にはもっと多くの生徒が死んでいた。生きているものも全員飢餓に苦しみ栄養失調状態。これを聞いても間違っていなかったといえるのかい?」
先生「それは……………」
アリウス自治区がどういう環境だったかについては先生も報告を受けている。
ナギサ「他の何を差し置いても一刻も早く手を差しのべてあげるべきでした」
セイア「ミカが裏取引場所に持ってきた最初の支援物資は大量のロールケーキだったそうだ。アリウス生徒達は喜んで受け取ろうとした。だが武器や弾薬ではなかったことに大人達アリウス幹部は激怒し、受け取ろうとしたアリウス生徒達に暴行を加え怒鳴り付けロールケーキを奪い始めた。が、それを見た瞬間にミカは大人達に殴りかかり全員薙ぎ倒して『これはこの子達にあげたものだから邪魔しないでくれる?あ、次会ったときに食べられなかったなんて聞いたら貴方達全員覚悟してね?☆』と脅したそうだ。フフッ………大人の言うことは絶対に聞く良い子になれと教えられてきたアリウス生徒達の目には、大人の言うことを聞かない悪い子ミカはどう映ったんだろうね?
まぁそれが今の『アリウス』からミカへの絶大な人気と信頼に繋がっているんだがね。あの時初めて食べたロールケーキは涙がでるほど美味しかったと言っていたよ」
ナギサ「ミカさんが作ったこの奇跡とも思えるようなチャンスを、掴んだ手を離させてはいけません。私達はあの子の味方をしてあげたい手助けしてあげたい。ミカさんとアリウスを助けられるのならばティーパーティーをクビになっても退学になっても構いません。………状況がそれを許してはくれませんが………」
セイア「先生、どうかミカとアリウスの生徒を救う方法を見つけてくれないか」
切実な問いに先生は言葉を返す。
先生「二人ともミカが好きなんだね」
ナギサ「昔からトラブルばかり起こす困った子ですが大好きです」
セイア「私はティーパーティーに入った当初、衝動的で人の了承無しに自分勝手に物事を推し進める彼女の事を快く思っていなかったはずなんだがね…この数ヶ月の間に彼女を知っていく内に変わってしまったよ。良いところも悪いところも本当に極端で認めるのは少々癪にさわると未だに感じてしまうが。私もミカのことは好きだよ」
先生「………………………二人の気持ちはわかった。少し時間をくれないか。まずはミカとパテル分派の子達と話してみたい」
セイア「ああ、ありがとう先生」
ナギサ「お願いします、先生」
二人とも深々と頭を下げてきた。
いつか三人が何の気負いも邪魔もなく仲良くできるようにしてあげたいと先生は強く思った。
先生に話すことで気が紛れたのかセイアもナギサもほんのり緩ませているのがわかった。
先生ならこの状況を何とかしてくれると信じているのだろう。
当の本人はまだ自信を持てないでいたのだが。
その後しばらくミカが移動教室の邪魔と言う理由で歴史ある建造物に穴を空け扉を作ったり美味しそう食べてみたいという理由で勝手にスイーツのキッチンカーと契約して校内に誘致していた話を聞いた。
その度にセイアとナギサは関係各位に謝罪に回されたり今年度予算計画のやり直しなどをやらされたそうだ。
ミカの迷惑話をしているはずなのだが二人とも何だか楽しそうな顔だった。
ナギサ「さて、そろそろ本題の話に入りますか。本当はミカさんの応援に尽力してこちらは無視したい気持ちでいっぱいなのですが。せっかく締結まで漕ぎ着けたエデン条約にも影響が及びそうな案件ですし」
一通り愚痴りおえたナギサは、また別の問題を先生に話し始めた。
ナギサ「現在、トリニティ自治区及び中立区にてゲヘナ生がトリニティ生へ声をかけるという事案が頻発しております」
先生とナギサとセイアのお茶会は、まだまだ続きそうだった。
━━━━to be Continued━━━━